日本語えとせとら (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003381

作品紹介・あらすじ

日本語は千年を超えて生き続け、まことに多彩で奥深い。色を表す言葉なら、あさぎ、納戸、利休ねずみ、群青、すおう。米作りなら、田おこし、しろかき、田植え、草取り、稲刈り。豊かな表現に充ち満ちている。日本語なしには、考えることも知識を培うこともできない。「微衷」「転失気」はどんな意味?「狼狽」の語源とは?ためになる情報から、相槌の打ち方や句読点の打ち方まで、日本語にまつわるあれこれを楽しく綴る。

感想・レビュー・書評

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  • P55 一期一会は、千利休の高弟・山上宗二の言だそうだ。
    「今日の茶会を一生にただ一度の出会いと心得て、心を尽し最善をまっとうするよう努める」とか。

    P152 急に悪人に変わるんです。
    これは、漱石の「こころ」で先生が言った言葉のようだ。
    う~ん、どうですかねえ、と納得させられるような言葉である。今まで普通と思ってい人が、考えられないような凶悪犯罪に走ることがあり、そういう場合などにね。

    P294 著者が評価する清張の短篇は、「張込み」と「黒地の絵」だとか。
    「張込み」は読んだと思うが、何時の日か、「黒地の絵」も読むことがあるのかな。

  • 日本語のあれこれに思いを巡らせたエッセー集・・というところかな?
    知識の豊富さは流石!浅薄な私が初めて知ることなどいろいろあり、それも平易な言葉で書いてくれているので、とても読みやすかった。
    それもそのはず、井上ひさしさんの「むつかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに、かくこと」を引用されてたから、それを念頭に置かれてたんだろう。
    比較的最近書かれているものなので、現代に沿った話も多く、古さを感じさせなかった。一方で、ごく最近問題になっているようなルッキズムやフェニミズム的視点にはやや疎いようにも感じた。これは今後、アップデートされていくのだろうか?現在のご年齢がご年齢だけに・・。
    全体の文章は軽妙で、エッセーのお手本にしてもいいのではないかと思ったくらい。やや下ネタ的な部分があるのは、これは男性作家の性だろうか??
    さらに、最後に松本清張の『黒地の絵』についての解説があって、こちらはむしろ小説を志す人の為のテキストになっていた。
    今回は図書館で借りたけれど、手元に置いてたまに読み返してもいい本のような感じもする。

  • 「ことばは深い」。短いエッセイ集のように書かれていて読みやすいが、内容は深い。
    知らなかった言葉もたくさんあった。”ことほぐ”(寿ぐ/言祝ぐ)。”言葉を告げて祝う”こと。
    詩文を楽しむ心理もこの”ことほぐ”が含まれているという視点は興味深い。言葉に出して素晴らしさを称えているというわけだ。

  • 恥ずかしながら阿刀田高さんのことなど一切知らず、ただ「遊びながら日本語力を伸ばす」という帯につられて手に取った本。
    どこかの雑誌に掲載したであろう、短いエッセイというか手記がつづられているのだけれど、なんというか、言葉は悪いけれどお年寄りの戯れ言という印象。ダジャレも寒く感じられるし、言葉の表記も古臭くて、日本語の美しさが伝わってこない。うーん…残念。

  • 阿刀田高のコラムは面白い。

    覚えておきたい言葉として
    井上ひさしの座右の銘
    「むつかしいことをやさしく、
    やさしいことをふかく、
    ふかいことをゆかいに、
    ゆかいなことをまじめに、
    かくこと」

  • コラムなので気負わずに読める日本語の小話あれこれ。ふーん、へー、と感心することがいっぱい。

    なかでも「たそがれどき」の話が好きです。
    「たそがれ」はもともと「誰そ彼」と書く。
    「むこうにぼんやりと人影が見える。見えるけど、だれだかわからない。ーー彼はだれなのーーと尋ねるくらいの明るさ。Who is he? がそのまま時間帯を表す名詞になっているのだ。」

    真夜中を表す「おうまがとき」は「逢う魔がとき」。つまり魔物に出くわす時間帯。
    夜が明けきらない早朝は「あさまだき」と言う。これは「朝はまだ来ません」ということ。

    花の名前となると「忘れな草」や「宵待草」など、日本人の趣深さと美意識を感じます。

    他にも、そういえばなんでこんな言い回しをするんだろう?成り立ちはわからないけどよく耳にするよね、口にするよね、というような日本語をサラッと説明してくれてます。

  • 風呂で気楽に読む用に買った。誰そ彼、の話が一等好き。
    「むこうにぼんやりと人影が見える。見えるけど、だれだかわからない。
    ―彼はだれなの―
    と尋ねるくらいの明るさ。“Who is he?”がそのまま時間帯を表わす名詞になっているのだ。」

    逢う魔がとき、あさまだき勿忘草、宵待草なんて言葉をこしらえた人の感性にあらためて感嘆。


    ・年々にわが悲しみは深くして いよゝ華やぐ命なりけり(『老妓抄』)
    ・このころの我が恋力記し集め 功に申さば五位の冠(『万葉集』)

  • 帯にあるように「遊びながら日本語力を伸ば」せるかと言えばそれはないと思うんだけど。
    なんせどのコラムも根拠というものが欠片もない。
    ほぼ、阿刀田さんはこう思ってる、っていうもの。

    読み物としてはアリなのかなぁ。でも年齢らしい固さがイライラする。

  • ゆたかで、ユニーク、おもしろい日本語について「ことばは深い(17)」「ことばと遊ぶ(15)」「ことばの道草(19)」「ことばの知恵(8)」の4つのカテゴリーで59の項目に渡り日本語について綴られている。

    日本語について、すこし不思議なことから、用語の解説から、小説に登場するものから、多岐に渡り日本語を楽しめる。そして勉強になることがたくさん。

    巻末には「小説家の眼」として、新人諸氏(おそらく小説家を志す新人)にむけて『テーマ、モチーフ、そして花』というタイトルで松本清張の小説「黒地の絵」を題材として、小説の解説を行われている。
    これも勉強になった。

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    内容(「BOOK」データベースより)
    日本語は千年を超えて生き続け、まことに多彩で奥深い。色を表す言葉なら、あさぎ、納戸、利休ねずみ、群青、すおう。米作りなら、田おこし、しろかき、田植え、草取り、稲刈り。豊かな表現に充ち満ちている。日本語なしには、考えることも知識を培うこともできない。「微衷」「転失気」はどんな意味?「狼狽」の語源とは?ためになる情報から、相槌の打ち方や句読点の打ち方まで、日本語にまつわるあれこれを楽しく綴る。
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  • 2012/6/22 Amazonより届く。
    2015/2/23〜2/26

    まさに日本語に関する様々なエピソードが綴られたエッセイ集。阿刀田さんらしい薀蓄満載で、知らなかったことも多数。最後の松本清張の「黒地の絵」の作家サイドから観た分析は特に秀逸。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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