氷点(下) (角川文庫)

著者 : 三浦綾子
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年6月22日発売)
4.19
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  • レビュー :60
  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003398

氷点(下) (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 下巻は成長していく子供たちの心理が中心.併せて,子供が成長すると同時に,発端となっている娘の殺害からも時間が経過し,夫婦の感情にも変化が生じていく様が見て取れる.

    陽子が家族殺しの犯人の娘であるがゆえに陰険に接する母と,それが故に守らなければならない・幸せにならなければならないと考えて行動する兄との対照が印象に残る.終盤,陽子に対する曝露に際して北原が提示する視点は作品当初から抱いても然るべきものであったが私はついぞ気付かなかった.

    下巻では啓造を通じて,聖書やキリスト教に触れる場面が目立つほか,陽子の口から語られる世界の見方も興味深い.誰もが誰かしら・何かしらの載った因果の中で災禍の引き金を引いている・引かざるを得なくなっている可能性があり,それが罪であるというのが本作品の言う「原罪」なのであろうか.

  • 人間の「原罪」とは何かを主題にした不朽の名作であり、過去に何度も、映画やドラマ化しています。原罪とは人間が生まれながらにして持っている罪であり、人間が生きていく上ですべての人に、平等に、優しさを与えられなければ自分の存在自体が他人を苦しめている可能性があるということです。
     ある一つのきっかけで人を憎み欺く、人間の身勝手さ・罪が曝け出されて行きます。約50年前の作品ですが、現代でも違和感なく読むことができます。程度の差こそあれ、人間誰しもが持っているであろう汚い感情に、自分を当てはめて考え込んでしまい、タイトルの「氷点」の意味がわかった時にはハッとさせられるのではないでしょうか。重いテーマではありますが、ページをめくらずにはいられないストーリーで、読んでいる最中も読み終わった後も考えさせられる作品です。(K.K)

  • 全体的に読みやすくおもしろいけど、時代の差か文章に違和感を覚える箇所がいくつかあった。
    いくら医者でドイツ語を勉強しているからといって、「シェーンなフラウ」とか「ハイラーテンする」とか、日常生活で本当に使っていたのかなと疑問に思った。
    腑に落ちないところは他にも。
    夏枝はたしかに酷いことをしたし、はじめは啓造に共感していたけど、一番は啓造が責められるべきじゃないのかと思う。
    夏枝のせいでルリ子が殺されたとか言って復讐した啓造が一番おそろしく感じた。

  • この昼ドラ感!

  • 犯人の子でなかったとしても罪の意識は拭えない、と陽子が言うように、本物の母娘であったとしてもこの確執は避けられないやつなんだよな 母が女である限り、、
    同様に、啓造と徹の欲も陽子が本当の娘でも起こり得るものかもしれなくて、陽子がもらい子だからとか犯人の子だからとかいう言い訳に全員が甘えることでそれらの罪のしわ寄せが陽子にいったのだろうか

    「陽子も大人になったのね。ノーコメントよ、おかあさん」はしびれるな~

  • こんなにドロっドロの物語は今まで見たことないな、というくらいドロドロ。いまどきの小説でこんな物語は無いだろうなぁと思ったら1960年代の作品ということで納得。韓国でリメイクされているのいうのもなんとなくわかる。
    なんとなく、キリスト教の香りがするな、と思ったら作者の三浦氏はクリスチャン。テーマも原罪。なるほど。と思う。
    続編があるようなので、このまま一気に突入かな。
    文学なのか、下世話な文芸なのか紙一重って感じ。でも面白い。

  • 小川洋子さんのラジオ
    今日は北海道から、この本ということで
    読み直してみました
    なんかきちんと読んでいなかったのか
    ドラマを見たのか
    曖昧だったのがストンとしました
    「原罪」とか 重いです
    「続」はどうしようかなあ
    小川洋子さんの切り口が楽しみです

    ≪ 凍えきる 心傷つき 氷点に ≫

  • 陽子は永遠の理想型。

  • 以前に読んだことがあったはずだけどうる覚えで再読。
    結末をすっかり忘れていたので、新鮮な気持ちで最後の事実に驚き胸をなでおろした。
    しかしまぁ、なんていう話!陽子がかわいそう過ぎる、というか周りの人間がひどすぎる。妻への復讐のために陽子を引き取る啓造もありえないけど、この妻の夏枝が最悪な女。夫が陽子を引き取った本当の目的を知った後の夏枝の豹変ぶりが怖い。
    その後、何かといっては陽子に憎しみを向け(陽子は何も悪くないのに言いがかりとしか思えない自分勝手な思い込み)冷たい仕打ちを繰り返す。そのうち陽子が美しく成長するもんだから嫉妬もあってもう救いようもない。この夏枝、自分が一番じゃないと気が済まないっていうやっかいな女で。一見優しそうに見えるのも始末悪い。
    頼りのお兄ちゃんの徹もだんだん恋心を抱いちゃうし、陽子が安住できる家庭環境ではない。なのに無理やりにでも前向きに生きていく陽子が健気というかかわいそうというか。本当に味方だなと思えたのは辰子くらいかな。そして北原。
    北原がいて良かった。すべてを暴いて真実を手繰り寄せてくれて良かった。手遅れではないよね?最後が中途半端なところで終わってしまって。これは「続」を読まねば。

  • 最後の最後にひっくり返された。この結末は予測していなかった。下巻は、恋の糸がもつれにもつれる。誰も彼も激しい恋心や嫉妬心やプライドのためにもがき苦しむ。もし誰かが自分のことを真剣に愛してくれていたら、きっと人は自殺なんかしないと考えた陽子。ところが二人の男性に真剣に愛されていた彼女は、母親に嫉妬されて出生の秘密を暴かれ、自分に罪があるという事実に耐えて生きていけなくなった。私の心に氷点があったのだ、私の心は凍えてしまったのだという遺書に、ただただ震えた。

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