氷点(下) (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2012年6月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784041003398

作品紹介・あらすじ

兄・徹の友人・北原と愛し合うようになった陽子。しかし母・夏枝は北原にゆがんだ愛情を持ち、2人に陽子の出生の秘密をぶちまけてしまう……人間存在の根源に迫る不朽の名作。

みんなの感想まとめ

人間存在の根源に迫る深いテーマが展開されるこの作品は、愛や許し、原罪について考えさせられる内容です。登場人物たちの苦悩や葛藤は、読者に強い感情移入を促し、特に陽子の健気さには心を打たれます。母親のゆが...

感想・レビュー・書評

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  • 没入度のすごい小説。辛くて悲しかった。なぜ1番純粋で清らかな心の持ち主が、こんなに苦しまなくてはならないのか。

    “ある裕福な家庭の子供が川原で殺された”

    ここから、暗がりの中を転げ落ちるようなドラマが展開される。

    母親(院長婦人)でありながら、男性に色目を使うような行動が許せなかったし、大人になりきれていない大人が心から憎いと思った。人間はここまで醜くなってしまうのか。

    この小説のテーマとは離れるが、院長婦人は結婚が早すぎたのだと思う。未成熟のまま親になってしまうと本当に怖い。恋愛の中に片想い、失恋、別れと様々にあるけれど、実際に経験することは、人間の精神の成長において必要だ。

    最後まで、陽子が健気すぎていたましくて.....
    陽子は、悪くない、悪くないと思いながら読み進めた。本書の解説を読み、この小説のテーマが“原罪”ということを知ったとき、心が凍りつくようで呆然としてしまった。今後、キリスト教について学んでいきたい。

    (2026.5.22読了)

  • 下巻は展開が凄まじく、ラストは涙腺が緩む。
    「原罪」というテーマを深く考えずにはいられない。
    誰しも知らず知らずのうちに罪への傾向性を持っているのかも、と考えると人間は弱い者同士。
    気になる終わり方なので続編も読んでみたい。

    余談ですが、1963年朝日新聞の一千万円懸賞小説募集だったこと、当時としては破格の金額。
    長寿番組「笑点」は『氷点」を捩って(もじって)付けられた名前で、旭川の近くで笑点の収録があった時、綾子さんに出演の依頼があったが辞退した。というエピソードを初代秘書さんが語られていてほっこりしました。

  • 許すとはなんだろう。愛とはなんだろう。様々な問いが残った。誰が善で、誰が悪なのか、何が善で、何が悪なのかわからない。
    文通でのやり取りといった昭和を感じる描写が描かれているけれど、読んでいると行動より感情に意識が向くので違和感なく読めた。人の感情や心の動き方は、昭和であれ令和であれ、変わらないのだろう。
    あの時あぁしていれば…が積み重なって、取り返しがつかないことになる前に、信頼・嫉妬・思い込みに惑わられないように、真実は自分の目で確かめたい。

  • 上巻の最後も下巻が早く読みたくなるような終わり方だったが、下巻の最後も続編を読みたくなる面白さだ。
    会話文には時代の古さを感じ少し違和感があるが、それ以外は今の時代とあまり変わらない気がした。
    特に日本人の建前で話すところ。
    家族であっても建前で感情を隠し、怒りの感情さえも永年隠し続けながら暮らすところは昔も今も日本人らしいと感じながら読んだ。


  • 登場人物、みな自己中で驚く
    陽子の出来すぎるほどの純粋無垢が痛々しい
    エンタメ性が高くて爆発的に読まれたのも納得だ
    まさかのラストだがとりあえず少し落ち着いてから続氷点に向かおうと思う
    完璧な火曜サスペンス劇場に脱帽だ
    それにしても辰子さん、サイコー
    唯一、いまでも推せるひとです

  • 下巻でも嫉妬の嵐が続き、夏枝は相手をいかに傷つけるかばかりを考えている。
    客観的に見るとその思考には苛立ちを覚えるが、加害者の子どもという逃れられない事実を背負っていると思うと、まったく共感できないわけでもない。
    陽子は生まれながらの潔癖な心を持ち、それが美徳であると同時に、氷点に達するほどの弱さでもある。
    『続氷点』も非常に気になるが、皆がまた苦しみを抱えながら生きていくのかと思うと、私まで胸が痛む。
    だから、続きは読まずここまでにしようと思う。

  • やっぱり昼ドラの印象が強い。誰がどうだったからというような話ではないんだろうけど、私のような小物は言いたい。夏枝の自己中心的な考えや行動が全ての元凶のように思われてならない。近くにいた周囲の人たちは振り回されてしまったようだ。知らない方が幸せだった。いや、真実を知った方が幸せだったのか。人の生き方を変えてしまう秘密を。北海道の寒さが美しく身に染みる。タイトル回収が素晴らしい。

  • 読み終わってお腹の底にズンと来るような物語だった。人間とはなんて弱く利己的なのだろうと思った。下巻でも暗い影が全体を覆っているけれど、読み進める手が止まらない。最後でなぜ「氷点」というタイトルなのかが分かった。
    解説を読んだら人間の「原罪」がテーマになっているとのこと。「どんなに無垢に見える人間でも原罪と無縁な者はいない」という悲しくもどうしようもない現実を、巧みなストーリーと描写で分かりやすく伝えてくれる。
    最後の最後でほんの少しでも希望が見えてよかった。

    「続・氷点」は「ゆるし」がテーマとのこと。読んでみたい。

  • 塩狩峠を読んだ際は「こんなにも他人に対して自己犠牲ができる人はいるのだろうか?このような善人は本当に存在するのか?」と感じたが、この本では「こんなにも人は自分勝手、自分本位になれるものか」と絶望し続けた。読んでいて本当につらかった。
    ここまで人間の汚さや醜さが書き上げられているのは凄かった。

  • すごい、すごすぎる作品だった
    自覚すらしなかったかもしれない心理のすべて
    事件によって人間の内なる憎悪が具現化していく
    罪の根源について問う哲学的な結末に驚愕した

  • 【原罪】
    人間であれば誰もが持っている「罪への傾向性」

    嫉妬、嘘、欲望、誤解、傲慢、罪
    全ての人に備わっているスペックだと思ったら
    そんなに悪いことでもない様な気がした。

    人間というものは自己中心である。P277

  • 続氷点が、手元にあって、よかった。
    直ぐに、読みたいと思います。

    陽子が、どうなるのか、どんな生き方をするのか、まるで、想像できません。

  • 陽子ーー!!!!!!!!!
    人間って、罪深い。本当に悲しい。

  • なんとも言えない読後感
    陽子はひたすらに純粋であり、周りの人物は自分本位の考え方で構築されていてある意味では純粋さがある
    こんなに、ヤキモキ・イライラしているのに読み進めてしまうのは小説としての面白さ
    そこにある、「自分の中にもある自己中心的で、他人に嫉妬する」気持ちに思い当たるからだろうと思う
    目が離せないのだ、彼らの行く末に
    その彼らの行く末に、自分の未来を重ねてしまうから

    [読了短歌]

    晒される
    私の中の
    醜さが
    せめてあなたの
    心とければ

  •  たった今、読了しました。
    正直、何度も投げ出しそうになりました。
    硬い文章で、非常に難解そう…と言う、自分の先入観とは裏腹に、文章は、やさしく読みやすかったです。(助かりました(^_^;))
    しかしながら、失礼ながら、上巻のみでは、感想が書けなかったかも知れません。
    下巻に入り、物語の展開は、あれよあれよと進み、自然と活字を目で追いました。
     人としての「原罪」がテーマになっています。
    作者は、キリスト教徒なのでしょうか…
    知識不足でわかりませんが、「原罪」をググると、キリスト教における、アダムとイヴが犯した罪が最初の罪…?などなど書かれてました。
    人は、誰しも「原罪」を背負い、生きている。
    (私の解釈、間違えてないかな?)
    表題の「氷点」の意味も、終盤になりやっと繋がりました。
     やさしく、ありふれた事柄を書いている、しかし、上手く言えませんが、奥の深〜い小説だと感じました。
     読み手によって、感想もほんとにさまざまなのだろうなぁ。

  • 登場人物たちの嫉妬の行き交いが凄まじい。場面設定は思い切りが良すぎるが、この状況だからこその感情の描き方が秀逸すぎる。ストーリーは重いので読後感は良くないけど読み応えはかなりあって面白い。傑作。

  • 全体的にじとっとした陰湿な雰囲気で、ドロドロした韓国ドラマを見ているよう。
    夏枝にイライラしながら読んだ。
    辰子だけが唯一まともな考えを持っている気がする。
    続氷点もぜひ読みたいな。

  • クリスチャンで有名な三浦綾子先生が書いた名作小説。めちゃくちゃ面白くて上下巻一気読み。娘を殺された男がその原因を妻の不倫だと疑い、復讐のために犯人の子供を引き取って育てさせるというなんとも業が深い話。犯人の娘とされる「陽子」以外の登場人物があまりに自分勝手&欲望まみれ。ただただ陽子が可哀想だが、原罪というか人が元々持っている罪みたいなものと、陽子による許しがテーマなのかなと思った。かなり昔の小説だが文章も綺麗で読みやすく大ヒットしたのも納得。

  • 辻口家の養女 陽子が高校2年生になるまでの物語。小4で貰い子だと知ってしまい、今まで以上に真っ直ぐ育っていこうと決意したり、初めて恋をしたり、犯罪者の子だと知ってしまったり。

     陽子が真面目で健やかに育てば育つほど気に食わない母の夏枝。実の娘を殺した犯人の娘が幸せに生きている事への苛立ちや、若く美しい女性へと成長している陽子への女としての嫉妬を抱え生きている。

     辛かったけど、面白かったです。
    昭和21年頃に生まれた女の子達の高校卒業後の進路とか、当時の生活とか。『氷点』ってタイトルの付け方も秀逸。

  • 下巻。
    夏枝の陽子への陰湿な嫌がらせはエスカレートしていき、兄の徹は陽子を愛する思いを自制するために友人の北原を陽子に紹介する。やがて北原と陽子はお互い惹かれあうが、嫉妬に狂った夏枝がついに北原と陽子の前で、出生の秘密を明かしてしまう…

    高木…お前ってやつは…!!!!(読了後の第一声)

    下巻では夏枝がいよいよ醜怪な人物に思えて嫌悪感がすごかった。特に北原に色目を使って陽子から奪い取ろうとしたところにドン引きした。夏枝が陽子に冷たく当たるようになったのと反対に、父の啓造は陽子に優しくなってきた…と思ったら陽子の脚を見て欲情しててもうダメだこいつら……。辰子さんだけは最後まで気持ちのいい人物だったなぁ。
    自分の罪を知り、死を選んだ陽子。続編があるってことは陽子は一命をとりとめるんだろうけど、陽子にとってそれは幸せなことなんだろうか…と思った。
    とりあえず続編も読みたいと思います。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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