フランス白粉の秘密 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003442

作品紹介・あらすじ

NYの五番街にあるフレンチ百貨店。そのショーウィンドウに展示された格納ベッドから女の死体が転がり出た!殺されたのは百貨店の社長夫人。そのハンドバッグからは不審な白い粉が入った娘の口紅が見つかり、娘は夫人の死と相前後して失踪していた。状況から娘が犯人かと思われたが…。皮肉屋で愛書家の推理作家、エラリーが膨大な手掛かりから唯一の真実に迫る。華麗さを増す名推理。"国名シリーズ"第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 国名シリーズ第二弾!!

    理路整然と推理するクールな探偵役、エラリーがカッコよすぎる…♡⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝



    前作『ローマ帽子の秘密』は、エラリーの父であるリチャード・クィーン警視が中心となり、エラリーはどちらかというと補助程度でした。

    今回はがっつりエラリーが主役(`•∀•´)✧

    X、Y、Zの悲劇シリーズのドルリー・レーンはシェイクスピアの引用が口癖のように、エラリーは愛書家らしく文豪小説のセリフを引用するクールなカッコつけマンである。

    百貨店の展示ベッドから、夫人の遺体が発見されたのですが、この百貨店の造りがこれまた珍しい。

    最上階が社長の私室なのだ。
    一階からエレベーターで私室へ直行。
    見取図を見て…ワクワクしますね(*´艸`)♡


    ときめいたのは、エラリーの探偵道具。

    ドイツ中央捜査局の協力者に対して、ベルリン市長が感謝のしるしとして特別にあつらえてくれたものらしい。

    上着のポケットにアルミ箱に入った数十種類の携帯道具が収まっている。
    すごい。
    一緒にいる友達が急にこの箱出して捜査始めたらびっくりする笑笑

    解説に、著者であるリーとダネイの写真が載っていて、この2人からエラリーが生み出されたのかぁ……と感慨深かった。従兄弟同士らしい。

    アメコミ版『フランス白粉の秘密』の一部も載っていて、アメコミエラリーの見た目のイメージとのギャップが…笑
    角川文庫の挿画、竹中さんの描くエラリーとリチャードが素敵すぎて、私は断然角川派(ღ*ˇ ˇ*)。o♡

    ラストもカッコいい!!‎߹ㅁ‎߹)♡

    文句なしのミステリー小説。

    国名シリーズ残りも全部読むぞヽ(´▽`)ノ

  • 新訳、見る人をキュンってさせる表紙でこのシリーズ、これからが楽しみ。
    今までのエラリーのイメージを大きく損なわず、なおかつグッとやんちゃで、美形。警視も想像通りの渋さ。
    絵的に今後、見てみたいのは、ジューナですね。 

    2通りの登場人物紹介、これがまた!面白い!
    何度も見比べてしまいました。
    読み終わった後も、また頷きながら眺めてしまう。


     

  •  まる4年前に買って1/3ほど読んで挫折。
     長大な『ギリシャ棺の秘密』を読破したこともあり、今なら読み通せるとリトライする。『災厄の町』を読んだばかりなので、生意気盛りのエラリーに再会したくなったこともある。(なお、ハヤカワ版ではエラリイという表記である)。
     警察小説の色が濃くなっている。それでいて、エラリー単独の捜査もじっくり描かれている。
     解りにくい部分は創元推理文庫版も参照して読む。あちらは活字が小さい。若いとはいえ、よく読めたものだ。
     あれを持っているのはあの人ぐらいなんだから、真犯人を特定できてもよさそうなのに、今回も完敗。
     なお、謎の日本人タマカ・ヒエロの名がまた出てくる。初出は『ローマ帽子の秘密』だったろうか。

  • 徹頭徹尾事件のことだけ考えてる推理小説。
    他の推理小説もそうなのかもしれないけど、ここまで他の全てを削っているものはそう無い気がする。
    それは、この小説がそれだけ古い作品だということなのかもしれないけれど。
    特にひどいことをしている訳ではないのだけど、黒人はあくまでも黒人扱いなんだなというのは印象に残る。
    これもまた時代を表すものか。

  • 遠い記憶を手繰り寄せながら感想を書く作業は大変ですが、最初に読んだときには気付けなかった魅力に気が付くよい機会でもあります。

    エラリー・クイーン国名シリーズ第二作。
    デパートの展示スペースで、一般客をパニックに突き落とした女性の遺体。
    殺されたのは百貨店の社長夫人、さらに素行に疑問の残る娘は行方知れずとなっていた。
    現場に雑然と残された多数の品物の関係は糸口がつかめないまま。
    頼りになる父リチャードは、新警察委員長が目の上のたんこぶとなって本来の能力を発揮できずにいた。
    不審な殺人事件の先には、凶悪な大規模犯罪組織の影が見え隠れ。
    エラリー・クイーンの推理が光る、本格ミステリー小説をご堪能あれ。

    デパートの人ごみの中で発覚した殺人事件。
    前作『ローマ帽子の秘密』も劇場内で起きた事件であり、非常に容疑者候補の多い状態からのスタートを余儀なくされましたが、それとと比較してさらに騒然とした印象のまま話が進んでいきます。
    そして、エラリーが主役らしい立ち振る舞いを見せ始めており、探偵役としての格好よさが匂い立ち始めました。(前作ではエラリーはあくまで助言役となり、結局はリチャードの手柄になってましたからね)
    後述する点について素晴らしいと思う反面、登場する人物が多くなってきて、個人的にはかなり頭を整理するのが難しかったですね。



    ↓以下ネタバレを含みます↓



    まずタイトルが素晴らしい。
    白粉ってそういうこと?!と途中から疑問が関心に変わります。
    また、本作の醍醐味は消去法を採用した推理であるわけですが、この方法は結論が曖昧になりがちです。(A以外には犯行は不可能である≒Aが犯人である であるが、それはAが犯人である証拠を示すことと比べて消極的な論法である)
    本作のいいところは、その不完全性をわかった上で、犯人に対して揺さぶりをかける道具として「推理」を扱った点にあると思います。
    それは、ラストシーンのリチャードの言葉「法的な証拠はなく――はったりが効いたわけだ!…」にも如実に表れており、エラリーが神のごとく完璧に物事をすべて推理しきれているわけではない、いわばエラリー・クイーンもあくまで人の子であると作者が提示しているあたりにフェアプレイ精神を感じました。
    残念ながら犯人あては惨敗でしたが、推理を聞いて納得できる小説はやはり気持ちがいいものです。

  • 国名シリーズ第2弾。
    今回は百貨店での殺人事件。ショーウィンドウで実演販売したりと、当時の百貨店の様子や賑わいが興味深いです。

    容疑者たち、アリバイ、手掛かりの品々など情報がどんどんでてきてわたしの頭はとっ散らかってしまいましたが、ラストにそれらがひとつの道筋をしめしていくのはとても気持ちいです。
    関係者と証拠品が勢揃いしての推理場面はやはり楽しい。
    消去法で一人ひとり容疑者が消えていく展開も緊迫感があります。

    詳細な登場人物一覧と間取り図も分かりやすく助かりました。

    ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










    5冊の本を手がかりとして、ここ数週間にアパートメントに入ったことがない人物、と容疑者を絞りましたが、ここには疑問が残ります。
    それまで目に入っていたものの気づかず、犯行当日血が流れたことによって初めて本の存在と意味に気づいた可能性は高いです。
    現に毎日見ているはずの社長は何の本が並んでいたか分かっていませんでしたし。

    また指紋検出の白い粉は、一般人は持っていなどころかなんの粉か、どう使うかも普通知らないでしょう。当時では一般的だったのかな?と思いましたが、指紋を拭くのに検出の粉を使うのは稀ではないでしょうか。これが登場した時点で特殊な粉を手に入れ使う事が出来る人物と絞れます。最後の切り札にとっておくようなものでもないと思いました。エラリー達も所詮はったりだと言っていますが。

    口紅が塗りかけなのは途中で襲われたからだとばかり思っていました。これも、いくら重要で緊急の来客とはいえ伸ばすくらいしたと思うんですが。

    と、いろいろ言いつつも、集められた手がかりから一人の容疑者を指し示していく展開にはわくわく。扉のスプリング錠からの鍵と単独犯の推理、なぜ死体を隠したかの推理はとてもおもしろかったです。
    真犯人も意外性があり、劇的なラストになっていました。

  • ☆4.2

  •  エラリー・クイーン著<国名シリーズ>に挑戦。シリーズ第2作は『フランス白粉の秘密』です★

     殺人の舞台は、ニューヨーク五番街にあるフレンチ百貨店。商品のデモンストレーション中にお客さんの目の前で、最新式の収納ベッドから永遠の眠りについた人が出てくる、という前代未聞の騒動が! 身元はフレンチ百貨店の社長夫人と判明します。
     誰が夫人を殺した上に、最悪の営業妨害(ですよね?)をしでかしたのか。
     リチャード・クイーン警視はどうやら職場のストレスが高いらしく、かわってご自慢の息子エラリーが探偵役を務めます★

     文章は至って真面目で喜劇的な印象はないですが、あちこち不謹慎で終始冗談っぽく感じました……
     作品から話がそれますが、フレンチトーストは、アメリカのN.Y.にあったフレンチなる名の店が作ったとする起源説があるとか……そんな豆知識がふと脳裏をよぎったりも★

     死体の発見シーンこそ派手でしたが、事件の推理はエラリーがきめ細かく論理を組み立てて、地道に頭脳労働を進めていくコツコツ感が心地いい。
     通常の捜査なら、犯人探しや犯人特定の手がかり探しに奔走するのでしょう。ですが、本作は人物がやけに多く、証拠になりそうな事柄もあれば関連なさそうな物もごたごたあって、面倒くさい★ 少し理屈っぽいけど、億劫がらず1つずつ丁寧に検証するエラリーは偉いです。
     赤の他人から見ると、死者の尊厳というのは分からないのが本音ですが、殺人は公衆に対する迷惑行為だなとつくづく感じました★

     そして、パパを助けつつ実は守られてもいる、エラリーの傍若無人さが眩しいです✧ この振る舞いは初期ならでは。後期作では人間味がついて苦悩するため、エラソーなエラリーを今のうち味わっておくに限ります★

     くわしくは伏せますが、最後が実に劇的! 未読の方はこれからあの衝撃と快感に痺れるのね……と心底うらやましい。

  • 最後の消去法がドキドキした。物証はないのよね。麻薬捜査がかかわってくる。

  • なんだか難しそうな事件に見えても、
    エラリーが推理をすると簡単そうに思えるから
    凄いなと思う。

    著者の人と探偵役の人の名前が一緒だけど、
    何か意味があるのだろうか?

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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