リフレイン (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 151
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003770

作品紹介・あらすじ

一隻の船が無人の惑星に漂着したことからドラマは始まった。属す星も、国家も、人種も異なる人々をまとめあげたリーダーに、救援後、母星が断じた「罪」とは!?争いは人間の本能なのか?厳格な法なくして人は拳をおさめられないのか?信念を貫き通す男と、彼を愛するがゆえ、それを阻もうとする仲間たち。二つの"正義"がせめぎあう。『黄金の王 白銀の王』で話題の著者の原点にして、圧巻の人間ドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • SF設定ながら、「正しい殺人は存在するのか」というとんでもない哲学的なテーマをぶちあげている。

    地球以外の惑星にも人が住み、宇宙旅行が当たり前になっているという世界設定。
    超高度な文明により科学技術は発展しているが、超能力とか超自然的なものは出てこないので、惑星をそのまま国に置き換えても違和感なく読める。

    争いを続けていたアンタミア星域106の星が平和的統合に向かっている時代、宇宙船イフゲニア号が惑星間の移動中に故障、遭難する。
    船は惑星メシアに不時着し、生き残った二百数十人は文明のない無人の惑星で生きるために行動しなくてはならなくなる。

    各惑星のエリートが乗り合わせた宇宙船だったため、理性的に組織が形成され、生き残るため役割分担がなされ人々は生活を安定させていく。
    物語の前半は遭難者たちが惑星メシアで作った”国家”イフゲニアでのサバイバル、出来事が描かれる。
    これが最後まで続くかと思いきや、中盤で捜索隊がメシアに辿り着き、人々は故郷へ帰れることになった。

    後半は一転して裁判もの。
    イフゲニアのリーダーを務めた男が、遭難時に取った行動により母国で裁判にかけられる。
    刑に服しようとするリーダーと、彼を信頼し愛する遭難仲間の綱の引き合い。

    文章は緻密で冷静、淡々と積み上げる系。特に後半部は禅問答のようなことが繰り返され、この世界観に入り込めないとつまらなく感じるだろう。
    私的には、正義と正義が対立するとこんなにも厄介なのかと悶々イライラしたが、一気に読めるくらい惹きつけられたし、考えさせられた。
    最後までもやもやしている。
    ラストをどう落とすのか、沢村さんの他の作品的に最悪の結末も考えていたが、
    典型的なハッピーエンドパターンではないけどいい後味の終わり方だった。

    この作品はファンタジーノベル大賞最終候補に残ったデビュー作。たぶん『黄金の王』が売れたから復刊になったのだと思う。
    筆力と物語の厚みも去ることながら、こんなテーマに挑んだことに驚く。
    正直とても楽しいとは言えない。
    他の作品を読んでもそうだけれど、人間の心理、相反して成り立つ正義に強い関心がある人なんだなあと改めて思った。


    気になるのは垣野内成美の装画。
    吸血姫シリーズ大好きで垣野内さんの絵も好きだけど、この物語とキャラクタにしては線が細すぎて合っていないなという印象。

    垣野内さんは田中芳樹の薬師寺涼子の装画を担当していたし、この物語が宇宙モノなのも相まって、妙に銀英伝のイメージが浮かんだ。

    http://www.horizon-t.net/?p=679

  • 20年前の著者の事実上のデビュー作をリライトした作品。「瞳の中の大河」や「黄金の王 白銀の王」に通じるものが強くあり、まさに著者の原点だと感じました。作品設定がまた著者らしい。SFが苦手な人は敬遠した方がいいかもしれません。

  • ジャケ買いだったんだけど、意外にずっしり、読みごたえがあって、これは当たり。垣野内さんのイラストは繊細で素敵ですが、物語は儚い印象など決して無い。(あれ、薬師寺涼子シリーズもそんなだな。ギャップが良いのか)

    オチの付け方が絶妙な線上にある。巻末の参考文献リストのつくりとかも。この作家さん好きかも。他作品も読みたい。小川一水氏が解説なのも合ってる〜!

  • ジャンプに失敗して辺境の惑星に不時着した宇宙船。惑星統合を目指している世界。宇宙船にはいろいろな星の人が乗っていた。さてどうなるか

    前半は、文明の無い星で自然を相手に生き抜いていこうとする話
    後半は、その時の事件の捉え方が惑星によって違うことの話

    地球上の国に置き換えてもおかしくない。

    人を殺すということ、争うということ、許すということ、沢山のことを考えさせてくれる。殺人に情状酌量があるから「国としての大義名分があれば戦争もかまわない」というより、どんな時と場合でも殺人は実刑(終身刑…情状酌量はなく死刑もないけど、きっと恩赦も無いんだろうな)で戦争は絶対しないという方が良い気がしてきた。

  • SFかと思って読み始めたら、あれよあれという間に場面は法廷へ。
    奪った命に対しての責任を誰がとるのか。
    難しい話で、読んでいて楽しいというよりも、「一体この展開の始末はどうつけるの!?」と気になってしかたがない状態になりました。
    後半はフレオンと一緒になって、何度「ラビルの頑固者-!」と思ったことか。
    しかし、あの星の倫理観はとても立派で得がたいものだけど、多惑星との法整備やもろもろの統合の道はなかなか大変そうですね・・・。

  • やっぱり、沢村凛さんすごい。唸るわ。これがデビュー作ですか・・・
    何はともあれ、まずは復刊に感謝。ハードカバーでしかも絶版、だけど書評では良さげ。読みたかったけど諦めていたところへ、文庫本での復刊!読めて幸せです。ありがとう角川文庫さん。

    宇宙船が壊れてジャンプに失敗し、無人島(星か?)サバイバルだったのに、ページ半ばで早々に救出船が来て「あれ?」と思ったら、いつの間にか法廷ドラマ。
    前半では、「あ、テミズ大佐だ」なんて読んでましたが、ラビル・アンフォードはラビル・アンフォードでしたよ。なんてまあ、理想と誇り高き、頭の固い御仁か。
    でもやっぱり、ラビル,テミズ,櫓と薫衣、とまあ、なんと信念強き男を描き切りますかね、この作者さんは。読後が清々しいのです。良い男の一生を、生き様を見たという。聖人君子のように見えて、でも本当は、そうあるべく頑張っている普通の人で。自分の中に欲望があることをわかった上で自己を律しきれる人,他人のため自分を殺せる男。カッコいいわなあ。

    後出の「瞳の中の大河」,「黄金の王白銀の王」の方がドラマチックというか物語に壮大さ,厚みがありますね。本書は後出2作に比べて、描いている期間が短いというのもありますがね。デビュー作だから、ということかな。にしても、状況,感情をうまく書かれますよね、まるで実体験したかのように。その立場,状況であれば、そんな風に考え、思うだろうなあ、なんて納得できるというか。各キャラクターに立った想像力がすごいんだろうなあ。

    最後、アムネスが荒事により立ち去った後どうなることかと思ったら、エピローグで救われた。ちょっと安易な気もしなくはないけど、この結末でラビルが本当に救われたのかどうかは言い難いけど、でもアムネス・ティニエルよくやった!単純な一読者としては良かった、と安堵の涙。

    死刑については、現実世界でも複雑だもんなー。その現実の複雑さを見事にドラマ化した本だと思います。途中にもありましたが、ではミラドスを殺さずに済む方法があったのか?と言われれば否、なんだろうな。メリエラナイズ。理想的ではあるが、やはり現代の感覚では無理があるなあ。

    最後の参考文献、面白いですよね。「瞳の中の大河」でも初めのカルハンの兵法百伝の引用とか、「黄金の王白銀の王」の廸学とか。この方はこういうところから世界観を作っているんですね。

    続けて「ヤンのいた島」が秋に復刊・・・楽しみだ。さらなる復刊・文庫化を期待しております。あーでも復刊も良いけど、新刊が欲しい!長編もの書いてほしいなー。

    個人的には、この表紙は好きじゃないかな、物語の凄みが伝わらないというか。もし、何も知らなくて平積みされていたとして、果たしてウチはこの表紙を手に取るかな?ま、どのような読者層を狙ったのかわかりませんけどね。

    小飼弾さんの書評 bit.ly/PdQ7Wp に激しく同意!

  • 書店でなんとなく気になって買ったのですが、買ってよかったです。表紙イラストは軽めですが、テーマはいろいろ考えさせられるハードなものでした。ラストがちょっと。。。でも、ああ終わらせるしかないかなー?この作者の他の本も読みたくなりました。

  • 表紙の事ばかり言ってますが、この表紙は無いですよ。残念過ぎます。内容と違いすぎです。

  • 生々しさがないので読みやすいが、極限状態に置かれたときに・・・という設定と、価値観に殉じる生き方。

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