続氷点(上) (角川文庫)

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レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003862

作品紹介・あらすじ

自分が辻口家を不幸にした殺人犯の子であるとして、自殺をはかった陽子。一命をとりとめ、父・啓造や母・夏枝からすべてを謝罪されたが、自分が不倫の末の子であったという事実は潔癖な陽子を苦しめた。陽子は実母・恵子への憎しみを募らせていく。一方、兄・徹はその恵子に会い、彼女なりの苦しみを知ることになる-。大ベストセラー『氷点』のその後、"真実"を前に苦悩する人々を描いた珠玉のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 正直、勢いは落ちた。陽子、相変わらずウザい。いつまでもウダウダ悩んでんな!そもそも、何に悩んでるのか既にぼんやり。犯人の子じゃないのに。お前と同じ境遇の子供達はどーなるんだよ?!と引っ叩きたい。

  •  氷点の続編だ。陽子が助かり、それからまた、苦悩の日々が始まる。死ぬよりも生きることの方が困難なときもある。それでも陽子は名前のごとく、明るく生きようと頑張る。人間の幸福は、結局は自分自身の内部の問題だ。生きる意義や目的がつかめないうちは、空虚であり、虚無的である。満たされないということだり、幸福感が無いのである。ただ、不幸を知らない人には真の幸せは来ない。幸福が人間の内面の問題だとしたら、どんな事情の人であれ、幸福の可能性はあるのだ。

     自分ひとりぐらい死んでも構わないとは思ってはいけない。その一人ぐらいと思っている自分に、たくさんの人がかかわっている。ある一人がでたらめに生きると、その人間の一生に出会う人全てが不快になったり、迷惑をこうむったりする。そして不幸にもなる。真の意味で自分を大事にすることを知らないものは、他の人をも大事にすることを知らない。

     極道者や大悪人はいちばん救いやすい。自分で本当に極道者と思い込んでいれば、神様の前に頭が上がらない。これは、一番手がかからない。手のかかるのは、人の前にも、神の前にも、何一つ悪いことをしていないと思っている人間だ。

     一生を終えて後に残るのは、我々が集めたものではなく、我々が与えたものである。と、ジェラール・シャンドリという人が言った。あくせくして集めた金や財産は誰の心にも残らない。しかし、かくれた施し、真実な忠告、温かい励ましの言葉などは、いつまでも残る。

     続編では、許す、とはどういうことか、という話が中心になる。罪は、自分が考えているよりももっと深く、大きい。たとえ、人間の命をもってしても根本的に償い得ない。だから、罪は許される以外にどうしようもないのだ。罪をはっきり許す権威が必要なのだ。本書では、ありえないような偶然が重なり、そんなことはありえないだろう、と思うが、著者は読者にそのような物語として本書を書き記したのではないであろう。そのストーリーから浮かび上がる、人間の内面の問題や人間関係が引き起こす問題、嫉妬や欲望など、人間はわがままで身勝手で、自己中心的なものであると、語りかけている。

     全2巻。続々編を期待したいような終わり方でもあった。

  • ☆☆☆☆ 一命をとりとめた陽子には今までのような快活さがなく、もの憂げな表情で臥せっていることが多かった。兄の徹は陽子の生みの親に会って現状を打ち明けたり、恋敵である北原に陽子を会わせたりする。父の啓造は生き別れた由香子に再会して以来、由香子が気にかかるようになる。村井は相変わらず夏枝や由香子に近づき、啓造と夏枝の仲を引き裂こうとする。ますます泥沼化する人間模様がたまらなかった。

    p19
    胸に沁み入るような淋しい微笑だった。

    p20
    世のすべての男たちは、自分の子である確証を持たずに、妻の生んだ子を、自分の子であると信じているのだ。
    同じように、子供たちもまた、疑うことなく、親を親と信じて育っているのだ。

    p262
    「…でも、本当の人間の幸福って、結局は自分自身の内部の問題だと思うの」

    p305
    「…わたし、人間って、もっと自由な者だと思っていたわ。いまは何を言ってもいい自由な時代だし、みんな自由に生きていると思ったわ。でも、自由な人なんか、一人もいないかもしれないのね」

    自分がこうありたいと思う方向に、必ずしも自分の心はついては来ない。

    p331
    「自分一人ぐらいと思ってはいけない。その一人ぐらいと思っている自分に、たくさんの人がかかわっている。ある一人がでたらめに生きると、その人間の一生に出会うすべての人が不快になったり、迷惑をこうむったりするのだ。そして不幸にもなるのだ」

    p333
    「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」

  • 名言だらけ。感想は下巻へ。

    人間の世界のできごとは、誰か一人だけが悪いなどと、いい切れるものでもない。

    何だかひどくまちがった歩き方をしていたような気がするんだ…砂浜や雪の野を、まっすぐに歩いたつもりでも、ふり返ると、足跡が曲ってついていることがあるだろう。

  • 陽子さんが生きてて良かったと安心した中二の頃。

  • 次々と展開が進み、続編ながら飽きずに読み進められました。生きることについて考えさせてくれます。

  • 内面が深く描かれていて、引き込まれます。人の心は多面的だとつくづく感じる。

    本編(?)とは違い、「続」では段々と家族が平穏に戻っていくような感じがするが…果たして?下巻が楽しみ。

  • 続を含めて氷点だと思う。

  • 大きな石と小さな石

  • 2015.8.8読了、下巻へ

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著者プロフィール

三浦 綾子(みうら あやこ)
1922年4月25日 - 1999年10月12日
北海道旭川市出身。終戦まで小学校教員を努めたが、国家と教育に対する懐疑から退職。1961年『主婦の友』募集の第1回「婦人の書いた実話」に『太陽は再び没せず』を投稿し入選。
1963年朝日新聞社による投稿した小説『氷点』が入選し、朝日新聞に同作を連載開始。1965年、同作で単行本デビュー。刊行直後にベストセラーとなり、映画化・ラジオドラマ化される代表作となる。ほか、映画化された『塩狩峠』が著名。様々な病苦と闘いながら、キリスト者として執筆を続けた。

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