続氷点(上) (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003862

作品紹介・あらすじ

自分が辻口家を不幸にした殺人犯の子であるとして、自殺をはかった陽子。一命をとりとめ、父・啓造や母・夏枝からすべてを謝罪されたが、自分が不倫の末の子であったという事実は潔癖な陽子を苦しめた。陽子は実母・恵子への憎しみを募らせていく。一方、兄・徹はその恵子に会い、彼女なりの苦しみを知ることになる-。大ベストセラー『氷点』のその後、"真実"を前に苦悩する人々を描いた珠玉のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 一生を終えてのち残るのは、我々が集めたものではなくて、我々が、与えたものである。(ジェラール シャンドリ)
    「おもしろいものだね。あくせくして集めた金や財産は、誰の心にも残らない。しかし、かくれた
    ほどこし、真実な忠告、あたたかい励ましの言葉などは、いつまでも、残るのだ。」

    夏枝が、「生きてる、って、寂しいわね」って、ラストに言ってる…。
    それに、対して、啓造が、つぶやいた、
    「そうか、夏枝も、淋しいのだ。
    その寂しい者どおし、なんで、つまらない争いを繰り返すのか。淋しければ、肩をよせあって、仲良く生きるべきなのだ。」
    当たり前かも、知れないけれど、なかなか、
    出来ない事。
    しみじみと、夫婦とは?家族とは?何か、考えさせられました。

  • 清く正しく美しい心を輝かせていた陽子が
    世の中の澱みや人間の歪みを知り変化していく
    母夏枝の無邪気さと父啓造の気持ちの変化が
    物語を結末へと繋げていく

  • んーーだんだん面白くなってきましたよ!
    下巻が楽しみです。
    やっと読みましたーー(^^)
    でも下巻に行く前に違う作品読んでからにします。
    なんかその方が楽しめそう(^^)
    明日は気合い入れて読書三昧しまーーす(o^^o)

  • もともとTwitterで流れてきた新聞の一部から読み始めた本。
    「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」という言葉に惹かれて氷点から読み続けた。

    この言葉以外にもたくさん好きな言葉に出会えた
    1番刺さったのは、
    「〜その上、人間同士何らかの意味で、傷つけ合っているわ。誰をも傷つけないで生きていける人は、一人もいないと思うの」

    罪を犯した人を許すことは人間ができることなのか?
    なかなかできないけど許したいと思い続けることが大切なのではないかな、と感じた。

  • 氷点が良かったので続編。
    氷点の細かい部分忘れていた所もあったけど、冒頭の方を読むことで思い出すことができた。
    自殺未遂をした陽子が、また日々の生活に戻るまで。
    周りでも村井は妻と子に出て行かれ、高木はまさかの結婚。失踪していた松崎由香子は失明した状態で見つかる。村井と夏枝はまた何だか嫌な感じだなー。

    「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」というジェラール・シャンドリの言葉が出てきて、とても印象的だった。

  • 皆、生きること死ぬことについてたくさん考える人たち。
    スッキリする結末を求めたいが、どうなるのか。

  • 前回同様、下巻を読了しての感想とします。

    しかしながら、三浦文学に惹かれる自身があります。
    もっと早くから知りたかった。またまだ作品は多く残っているので、読み進めたい次第です。

  • 小説を愉しんだ後に思う場合が在る。作中の最終盤辺りの経過の後、「如何いうようになってしまう?」ということが凄く気になる場合が在って、「こういうように?」と勝手に考えを巡らせてしまう場合も在る。
    『氷点』という小説を読んだ。不幸な事件が契機で、一家は重大な秘密を密かに抱え込んでしまう。その秘密に関るヒロインは、その秘密を突き付けられる羽目に陥り、最終盤で騒動を起こしてしまう。やがて一家の秘密の真相を知る人物が、その真相を伝える。そういう具合で「ヒロインの陽子は如何なる?」という場面で物語が幕を引くのが『氷点』であった。
    作者の三浦綾子の中で、『氷点』は発表されている「ヒロインの陽子は如何なる?」という場面で完結していたようである。が、小説が大好評を博し、三浦綾子が次々と作品を発表するようになって行く中で「『氷点』の陽子のその後?」という声は高まったようである。色々な人達が随分と、その件を話題にしていたらしい。
    そういうことで、取材を重ねた上で登場した「続篇」である。
    『氷点』は「昭和30年代の終盤頃」という時期迄の物語である。対して『続 氷点』は「昭和40年代前半頃」という時期の物語である。
    『氷点』に登場の啓造、夏枝、徹、陽子という「辻口家の人達」は『続 氷点』でも引き続き主要な人物達ということになる。そして『氷点』に登場した、辻口家の人達と交流が在る人達も引き続き登場する。その他方で、『続 氷点』には新たな人物達も登場する。
    上巻は、『氷点』の最終盤での騒動の直後という情況から物語が起こる。そして時間が少し経過し、『続 氷点』の鍵になる「三井家の人達」が登場するようになる。
    下巻では、血の繋がらない兄の徹と、兄の友人ということで知り合って親しくなった北原との間で揺れていた陽子、そして「三井家の人達」を巡る挿話が多くなる。
    『氷点』は陽子が成長する過程の子ども時代が相当に入るのに対し、『続 氷点』は陽子が既に高校生や高校卒業後、或いは大学生である。それ故に「陽子の目線」という部分が多い。
    『氷点』の最終盤で陽子は高校2年であるが、『続 氷点』の中では大学生になっている。数年経っているということになる。そういった事情を踏まえ、<見本林>が在って、辻口邸が建っていることになっている神楽や旭川の街での挿話に加え、札幌での挿話も少し多くなり、加えて作中人物達が旅行に出るような場面も在る。

  • ちょっと長い気もするけど氷点のエピローグのような、原罪というよりも赦しがテーマの話し。

    芸術性としては氷点のみでも良かった気もするが、
    「続」によって赦しと救いのある話しになっているので、三浦綾子さんの優しさを感じる。

  • 陽子はルリ子を殺害した殺人犯の
    娘ではないことが判明した。

    だが、陽子はあまり嬉しくなかった。

    自分が不倫の末に生まれ捨てられた子供だった
    と知ったからである。

    陽子は生みの母親を憎み、
    育ての母親の夏枝に対しても少し憎しみを抱く。

    そして、陽子は北原とも連絡をほとんどとらなくなる。

    しばらく失踪していた松崎由香子が見つかる。
    目が見えなくなっていた由香子を
    辰子が引き取った。

    啓蔵は由香子のことが気になりだす。

    進学を躊躇っていた陽子だったが、
    やがて徹とおなじ北大を目指す。
    -------

    村井の嫌味がさらに増してきた。
    嫌な奴すぎる。

    夏枝も相変わらずだし、
    啓蔵も今度は由香子かぃ!呆れるー。

    陽子は変わらずに清い心を持っているなぁと
    つくづく思う。。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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