機動戦士ガンダムAGE (4)マーズ・コンタクト (角川スニーカー文庫)

著者 :
制作 : 矢立 肇  富野 由悠季 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.12
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本棚登録 : 54
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003978

作品紹介・あらすじ

ヴェイガンによるノートラム侵攻を阻止した地球連邦。だがその後、連邦政府の腐敗を糾弾するフリットによって、その体質は大きく変わっていった…。そして時は流れてA.G.164年。アセム・アスノとロマリーの子キオは素直で優しい少年に成長し、地球で平和に暮らしていた。だが彼の住む街をヴェイガンが襲う。混乱の中、キオを祖父フリットと共に新たなるガンダムを起動する!話題沸騰の小説版、ついに三世代目・キオ編が登場。

感想・レビュー・書評

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  • 順番が3→1→5→2→ときてしまいまったもので、
    これをもってAGEノベライズ版、読破となります。

    全体的に見て、凄く良かったところと悪かったところが。
    ひとまずこの巻単品は1番頁を割かれていることもあって、
    しっかりした内容でした。
    この巻単品での良かったところとしては、キオ君がルウ&ディーン兄妹
    をはじめとするヴェイガンの子供達と築いていく関係性。
    キオ君がこんな少年だから「わかりあえる」という夢を抱ける。
    また可能性を見出すことができる。

    これは子供達の中で浮きがちだったフリットや、比較して葛藤して
    しまっていたアセムでは難しかったであろうことであり、時代の変化
    以上に彼であるからこそ見出せたのではとも思わせました。
    何より「わかりあいたい」の根幹が見れて嬉しかった。

    あと、1番不満であったシャナルアさんの死の際に対してのキオ君の
    描写も、彼の背負う十字架を匂わせるものになっていました。

    子供を戦場に送り出す非常識さは、全編を通して貫かれており、
    ここは凄く大好きでした。
    子供は見なくていい世界だと本当に思います。

    逆に、小説全部を通して苦しかったのは、「その世界を見てしまった」
    大人が自嘲的に描かれすぎかなと感じたこと。
    特にお互いを罵り合い激突する親世代親子は見苦しいほどでした。
    葛藤の描写はあるもののあたたかさ・たくましさを感じる描写が排除されがちで、
    薄汚さ・厳しさだけが目立っている印象が強く、子供の輝きと共に
    描かれて欲しい「大人の凄さ」が若干弱く感じたこと。
    想いだけでは駄目、という点はAGEの良かったところだと思うので。
    社会的・経済的に力を得ていくことで成し得て行くことも
    結構大きいかなと。
    これまでのヒーロー像というのは若者主人公の「力押し」が
    大半だったので。

    まぁ、その極端ともいえる対比のおかげで、その中間に置き去りに
    されたゼハートの葛藤が際立っていて、切なかったですね。
    そう、彼は時間の中に置き去りにされているんですよね。

    そんなこんなで主人公すら3人で補完しあってたAGEらしく、
    色々なメディア(そうなってくれたのはありがたい)で
    補完されてた印象でした。
    TV、MOE、ゲーム、ノベライズ、コミック、それぞれの
    長所短所がありました。

  • アニメよりも描写が細かい分キオのゲーム感覚には何とも言えない感がある。
    本編ではなかなか出番も見せ場もなかったウェンディのキオに対する気持ちが知れてよかった。ユノアさん怖い。

  •  TVシリーズでは殆ど触れられていなかったバックボーンを丹念に描いていたのでキオ編の時代背景を掴むことができたが、丹念すぎる余り説明が続きテンポの悪さを感じた。ブリッジクルーなりに皮肉混じりにでの解説をさせればよかったのではと思うが、その役足りえるメンバーがいないのではしかたのないところか。後、気になったのは過去作品からのフレーズの引用。これは先の2冊にもあったものだが、少なくとも先の2冊ではちょっとしたファンサービスだったが、本巻ではそれが過剰でであったように感じた。

  • アニメを見ただけでは理解できない、頭の悪い私に、組織の関係や裏事情、キャラクターの心理などをわかりやすく、教えてくれる、楽しい一冊。

    ゼハートが、ちゃんとAGE3のパイロットを「アセムの息子」と認識し、意識していたところや、コールドスリープから目覚めて、もうアセムがこの世にいないことを知って一筋、涙を流すところ、アセムとの関係をキオに語るシーンなど、感慨深い。
    もちろん、アセムが生きているとわかった時の反応も。
    コールドスリープのせいで、ゼハートはまだ18歳かそこいらの年齢らしいことも判明。
    変わってしまったヴェイガンの兵たちの気質に戸迷ったり、軽く浦島太郎状態である。
    そして、ザナルドに、ガレットの兄弟は揃いも揃ってガンダム奪取に失敗した・・・と、デシルと一括りにされるのが、おもろうてやがて哀し。
    ゼハートの方は、兄さんはどうしようもない人、と思っていたのに。

    ザナルドは、イゼルカントの戦略に違和感を感じたりするあたり、あれはあれでなかなかの人物だと思う。

    それと、無敵老人フリットが実は普通に己の体に限界を感じていたという事実、実はアセムのこともすごく愛していて、その死にかなりのショックを受けていたこと、孫に対する愛情、嫁に対する気遣いなど、描写が細やか。

    アニメでは、サラっと流された感があった、イゼルカントの「独裁者の間違った正義」も、キオが感じた怒りを読者が一緒に体験することで、その老害の有害さはフリットなどの比ではないと実感させるものがある。

    そして、なぜか、やたら詳しく書かれる、キオのゲーマーっぷりと、讃えられるゲームの素晴らしさ(笑)

  • 『AGE』という作品の側を被った恐るべき別物。

    凄まじい怒りとコンプレックス、あるいはリビドーを根底にキャラを動かし、ようやく『AGE』という作品が成り立っている。支離滅裂に見れるキャラクターの行動を、納得いくものとすべく組み立てようとすると、こうもなるのだろうか。

    それと面白いのが、キオのキャラクター。彼を構成する「純真無垢な少年」、「ゲームで戦争のやり方を学んだ少年」、この両輪で動かす上で、作者のゲーム論(『ゲーム脳』云々の批判に対する、ゲーム史等を踏まえた正論)を交えて納得いくものとして動かすため、かなりの文章を割いているため、少々クドく感じるところもあるが、これっくらいは自由に描かれる箇所があっていいかも。


    あとは、クライマックスのAGE-3再起動のシーンが凄い。過去ガンダムの系譜を受け継ぐ"ガンダム賛歌"は必見。

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