メガロマニア (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041004708

作品紹介・あらすじ

いない。誰もいない。ここにはもう誰もいない。みんなどこかへ行ってしまった--。眼前の古代遺跡に失われた物語を見る作家。メキシコ、ペルー、遺跡を辿りながら、物語を夢想する、小説家の遺跡紀行。

感想・レビュー・書評

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  • メキシコに持って行った本第二弾。
    恩田陸さんがマヤの遺跡に行き「我々は生物としては連続しているのかもしれないが、文化や意識においては断続的な存在であって、それらを共有することは不可能なのではないだろうか」「かつてのチチェン・イツァーは別のメキシコ、別の世界だ」と感じるのに、深く同感した。
    生贄の儀式とか、残酷な神々とか、勝った方が死ぬゲームとか、同じ感覚でやってると思えないもんなあ。

    さすがの恩田さんも、南米の遺跡の驚異にやや圧倒され、咀嚼しきれなかったような読み応えの紀行だったのだが、やはりふとした着想は面白かった。
    こちらの空想も膨らんでいくような余白がある。
    かなり観光地化されているようだけど、マチュピチュも行ってみたいと思った。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 十年ぶりくらいに再読した気がする。飛行機が嫌いな割に空港や飛行機の描写が真に迫っているのが好き(「消滅」の時とか)自分で海外のいろいろな場所に行った後に読むと面白さが倍増した。

  • 恩田陸さんの中南米の古代遺跡を追う紀行エッセイ。17日間という日程でメキシコ、グァテマラ、ペールーを移動し密林の中のピラミッドなどたくさんの遺跡を見てまわられて、情報量が多すぎてご本人も飽和状態なのが伝わってきた。そりゃそうだろう。謎の多いマヤ文明やインカ帝国の遺跡を専門に研究してきたならまだしも、興味があるというだけでは妄想や夢想するのにも限界があるというもの。だけどその率直な感想が私には丁度良くて面白かったです。専門的なことを詳しく語られても私には一度に頭に入らないですから。空中都市マチュピチュは私も関心が一番あった所かのですが、よく出来たテーマパークでスタンプラリーをしているみたいだったという感想なのは予想外でした。ペルーのオリャンタイタンボという3方を山で囲まれた集落が何か物語を秘めているような気がして魅力を感じました。今後自分で実際に中南米に行くことはないと思うけど、この本で少し一緒に旅をさせてもらったような気分になれました。

  • 恩田陸の南米紀行。途中でいくつか妄想‥‥じゃなくてショートショートが入っていたりして楽しめた。

    南米と言うと陽気なラテン系のイメージだけど、グアテマラの人は含羞やはにかまがある。とか、グアテマラの家は日本のおばあちゃんの家のようだ‥‥など、親しみを感じた。

    ペルーもまたメキシコやブラジルのような騒々しい明るさはなく、むしろ暗さがある‥‥なんて記述が印象に残った。

  • NHKのスペシャル番組のための訪れた、中南米の遺跡群の紀行エッセイ。

    マヤやインカ、アステカなどあちらの遺跡や文明は聞いたことあれど詳しくは知らず、結構勉強になった。

    ところどころに挿入されている写真に物凄く興味をそそられる。

    行ってみたいなぁ。

    それにNHKでそんな番組やってたの全く知らなかった、なんとも残念。

    そして今まで読んだエッセイでも感じた、移動中や旅先での心持ちや思想などの恩田さんの考え方は本当に面白い。

    飛行機乗るの嫌だろうけど、今度は東欧なんかの紀行文書いて欲しいなぁ。

  • エッセイはわりとおもしろいと思ってたので、イマイチ肩透かし。本人の言うとおり世界の雄大さに「負けた」んだろうな、と感じざるおえない。
    異国の何処かむせるような空気がむっと匂ってくる。

  • 焦点の定まらない紀行文と言うか覚書ですかな?
    ご本人も自覚されているようですから何ですが、当方思うに紀行文になると筆者の総合的知性が問われるような気がする。その場所に何を嗅ぎつけ、自身とどのようにリンクさせるのか?強烈な執心が絶対不可欠かと思うのですが、その前提として色んな知識と理解がその筆者の血となり肉となっていなければならないかと。この意味でこの地域への筆者の思い入れはあくまで「興味本位」でしかなかったと言わざるを得ないんでしょう、残念ながら。
    旅行記だったらもっと羽を伸ばせて面白くできたかもしれないけれど、やはりNHK出版ではそれは相成らんということやもしれません。

  • 62まで読んだ

  • 再読。紀行文を目指していたみたいだが、中南米の旅行の覚書という風で終わってしまった。恩田さん自身にもその自覚はあるらしく、マチュピチュ遺跡のあたりで、圧倒的で独創的なビジュアルに対する「敗北感」について触れている。が、逆にこの風景に触れるずっと以前に、『上と外』を書き上げていることに驚く。この遺跡を含む風景が恩田さん自身の中で醸造されて、いつか面白い小説という形になることを楽しみにしている。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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