悪党 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.72
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本棚登録 : 814
レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041004715

作品紹介・あらすじ

探偵事務所で働いている佐伯修一は、老夫婦から「息子を殺し、少年院を出て社会復帰した男を追跡調査してほしい」という依頼を受ける。依頼に後ろ向きだった佐伯だが、所長の木暮の命令で調査を開始する。実は佐伯も姉を殺された犯罪被害者遺族だった。その後、「犯罪加害者の追跡調査」を幾つも手がけることに。加害者と被害者遺族に対面する中で、佐伯は姉を殺した犯人を追うことを決意し…。衝撃と感動の社会派ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • なんだろう。
    読んでいる時、ずっとドロドロの苦い何かを飲んでいるような気分で、喉のあたりを掻き毟りたくなる感じがしていた。でも、各章の最後に少し切なくなる感情もあって。

    犯罪者側と被害者側の立場、それは身内だけではなく色々な人も巻き込み巻き込まれ、人生がめちゃくちゃになってしまうこと。それは死ぬまで続く。
    主人公の佐伯を通して、それらの葛藤や鬱屈した気持ち、佐伯の勤める探偵事務所にやってくる人間たちもまた、佐伯と同じような気持ちを抱えていたり、その逆だったり。。。そういったものを上手く表現された小説だと思った。

  • ココで知った「悪党」。
    小説に対して、正しい表現では無いのですが、「目が離せない」
    そのくらい、面白かった。

    事件の被害者家族である主人公の、完全に一人称の視点で描かれてます。

    被害者と残された家族、そして加害者とその家族。
    「さまよう刃」と「手紙」の両方の要素が入っていますが、東野作品とは全く違う感じです。

    ココのレビューで、なんとなく面白そうと思い、手に取りましたが驚いた。
    薬丸岳さんの著書、初めてでした。
    物語の閉じ方も、色々考えさせられます。

    単純に面白い!とはちょっと違う気がしますが、良い本に出会えました。

  • 性犯罪は、もっと罪を重くしてほしい。読後、改めて思う。主人公佐伯は過去に、姉を強姦殺人で失う。復讐に燃えながら私立探偵を続けるところ、出所後の3人の犯人の手掛かりを見つけるー。復讐を決行するのか?そんなことをしても心が癒えないのか?どちらの選択をした人の気持ちも分かり、自分では何が正解かは今は判断できない。しかし今朝の新聞のインタビュー「負の連鎖は断ち切ろう。人は憎みたいのではなく、愛したいのだ」の記事がタイムリーで胸に響く。本書はご都合主義の所もあるが、考えさせられる。性犯罪の描写はとりわけ痛ましい。

  • 加害者調査を通して被害者としての怒りを乗り越えていく。周りにいい人がたくさんいたおかげて救われたね。なかなかヘビーな話題立ったけどいい物語だった。

  • 犯罪には、加害者と被害者だけでなく、それぞれの家族、友人、恋人、そして弁護士などが関わってきます。当たり前の事ですが、加害者はそこまで考えて罪を犯してはいないでしょう。
    この物語では、それらの人達の心が痛い程に描かれています。正直読んでいて暗い気持ちになったし辛いシーンもありました。しかしそれが現実ですし、とてもリアリティがありました。
    読後、思い出したのは某有名大学生や医大生のレイプ事件です。殺人に至ってはなくとも、被害女性の心は殺されたも同然だと思います。
    息子、そして若い人達に是非読んでほしい1冊です。

  • もし自分が。大切な人を殺され、その犯人がのうのうと生きているのだとしたら。
    たぶんどんなことがあっても赦しはしないだろう。
    贖罪の気持ちの有無とか、その犯人が更正したかどうかとか、そんなことは一切関係ない。そんなことは知ったことか、だ。
    だから、僕はこの物語をとても興味深く読んだ。

    犯人を復讐のために刺した被害者遺族がいた。
    犯人に被害者のことを生涯忘れさせないことを復讐の代わりとした遺族がいた。
    憎しみだけでは生きていけないと悟った男がいた。

    たくさんの人の思いと決断を間近で見てきた佐伯ははたしてどんな決着をつけるのか。物語はどこに着地をするのか。
    加害者を刺し殺すなどして復讐をはたすのか。
    または別の生きがいを見つけ、事件を忘れていく努力をするのか。
    言い換えれば、ひどく後味の悪い結末を迎えるか、もしくは予定調和のありがちなエンディングを迎えるか、その二択だと思っていた。
    中盤は面白く読んだけれど、結末にあまり期待はしていなかった。

    それだけに――このエンディングは悪くないと思った。
    僕が考えていた二択の両方を満たすようなそんな終わり方。息をつかせず最後まで読みきらせる筆力と合わせて、とても優れた作品だと思う。

  • かつて姉を殺された主人公・修一は、探偵として働いている。その探偵事務所に、「かつて身内を殺した犯人が出所後にどうしているか調べてほしい」という依頼が来る。調べてどうしようというのか…憎しみの気持ちが理解できるだけに、自分の仕事の意味に悩むが、憎むべき相手を見つけてどうするかは依頼人次第だ。探偵としては、頼まれたことをするだけだ。
    短編風に、何人かの犯罪被害者が登場する。彼らの依頼を受けながら、修一本人も、自分の姉を殺した犯人に対してどうするべきか、自分はどうしたいのか、悩み続ける。
    これまでの薬丸岳の作品同様、本当に重たいテーマだ。本作はもう推理とかサスペンスチックなしかけは全くなくて、とにかくストレートに、犯罪被害者の遺族は加害者を赦せるのか、加害者が刑期を終えた後どうなっていれば赦せるというのか、ということを問題にしている。
    夢も希望もなく、家族も友達も失ってホームレスみたいな生活をしていれば赦せるのか。立派に社会人になって仕事をして世の中に貢献していれば赦せるのか。反省の言葉を口にすれば赦せるのか。加害者も大切な人を殺されたりして同じ苦しみを味わえば赦せるのか。
    加害者が本物の「悪党」だった場合、反省を促すとか、同じ苦しみを味わうとか、そういう何もかもが無駄なのかもしれないと思わせるくだりがあって、とっても重かった。犯罪被害者に対して社会が優しくないといけないと思った。報道などで何度も傷つけられるようなことがあってはならないし、被害者が子供だったりした場合、社会が絶対に守らなきゃいけないと思った。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    探偵事務所で働いている佐伯修一は、老夫婦から「息子を殺し、少年院を出て社会復帰した男を追跡調査してほしい」という依頼を受ける。依頼に後ろ向きだった佐伯だが、所長の木暮の命令で調査を開始する。実は佐伯も姉を殺された犯罪被害者遺族だった。その後、「犯罪加害者の追跡調査」を幾つも手がけることに。加害者と被害者遺族に対面する中で、佐伯は姉を殺した犯人を追うことを決意し…。衝撃と感動の社会派ミステリ。

    とても切ない。被害者の果てることの無い心の傷が切なかった。
    冷たい人間だと思った木暮所長が懐の深い人で話全体がとてもまとまっていた。

  • 途中気分が悪くなったくらいの描写力。

    ラストは、どっちだろうと思いつつ読んでいたが、そう締めたかって感じで、不思議と読後感は悪くなかった。


  • 『天使のナイフ』、『闇の底』、『虚夢』に続く第4段。
    慟哭の社会派ミステリーです。

    元警察官の佐伯修一は、小さな探偵事務所で働いていた。
    ある日、老夫婦から、息子を殺し、今は社会復帰している男の所在を調査して欲しい、との依頼を受ける。

    更に、その男の今の暮らしを見て、赦せる状況か否か判断して欲しい、との追跡調査を依頼される。そして、それに対する佐伯の調査結果が、大きな波紋を呼ぶ。

    更に、所長の指示で、犯罪被害者から、加害者の所在調査を複数引き受けることに...

    いくつもの事件を調査するうちに、彼の中に芽生えてきたのは、ある想いであった。

    なんと、彼の姉は、小さい頃理不尽にも命を奪われ、彼自身も犯罪被害者であった(警察官を辞めたのもその一因)。
    そして、彼は、姉を死に追いやった3人を探すことに...

    全体を通して重いテーマですが、あっという間に読み進めました。最後に、重い病で自ら死を迎える加害者のそばで、彼は何を想い、何をするのか。

    最後のエピローグで、彼の今後に希望が生まれ、良いエンディングではないかと思いました。

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著者プロフィール

薬丸 岳(やくまる がく)
1969年生まれ、兵庫県明石市出身。1988年、駒澤大学高等学校を卒業。高野和明の『13階段』の影響で小説家を目指し、2005年『天使のナイフ』が生まれる。同作で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。日本推理作家協会現会員。
2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)をそれぞれ受賞。その他の代表作として「刑事・夏目信人シリーズ」があり、2018年2月にシリーズ最新作『刑事の怒り』が刊行されている。

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