教室に雨は降らない (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1150
感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041004869

作品紹介・あらすじ

森島巧は小学校で臨時教師として働き始めた23歳だ。音大を卒業するも、流されるように教員の道に進んでしまう。腰掛け気分で働いていたが、学校で起こる様々な問題に巻き込まれ……傑作青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと想定と違ってましたけど、楽しめました。

    学校を舞台にしたミステリーということで、どんな事件が起きるのかと思いきや、どちらかというと小学校におけるアルバイト先生の奮闘の物語。
    今まで読んできた伊岡作品とはちょっと違います。

    主人公森島巧は小学校の音楽のアルバイト教師として赴任。
    腰かけ気分で、次の職を見つけるまでのアルバイトとして働きますが、学校内の様々なトラブルに巻き込まれます。

    モンスターペアレント、いじめ、無気力教師、学級崩壊。

    それらに対して、腰かけながらも真摯に対応していく中で、その真相を明らかにしていきます。

    そんな森島の中にも変化が..

    ちょっと暴走気味の森島ですが、こんな先生いいなって思います。

    しかし、この学校の先生たちってどうなのよ!!

  • ん~バイトとはいえ
    この先生 首を突っ込みすぎだろ!
    と思いながらも
    読み終えました。

    自分が学生の時は良くも悪くも
    自分の事しか考えてなかったので
    色々あっても悩む事が一切なかった…
    ハブられても
    教師に嫌がらせされても
    教師にボコボコにされても
    何も考えず
    ただ楽しくすごす事だけ考えてた。

    結局 先生も生徒も人間
    クソばっかです
    学生は逃げ場ないんだから
    人間の標準装備されてるスキル【忘れる】をフル活用することがオススメ!!

    今の教師もガキだけど
    昔のはエグかったな…
    小学生の時 ヒステリックな女教師に、給食食べるの遅かったらナプキン(今で言うとランチョンマット?)にお椀に入ってる味噌汁を全部出されたりしてた(笑)

    宿題もやらないので
    授業中は教室の後ろで何時間も立たされ
    でも休み時間は、その女教師に話しかける女子と一緒にニコニコで毎日話かけていたので

    家庭訪問でその教師が母親に【かなりキツク扱ってるのに平気で話しかけてきて気味が悪い】と言われたことがあります(笑)

    ※だから結局話が変わるけど 俺が何を言いたいかって言うと…
    【この間 道端でお爺さんが猫に話しかけてて…シロ!とずっと呼んでるんだけどその子が黒猫なの気になって しょうがなかったよ!】って事!!

  • 音楽の臨時講師である主人公が学校で起こる様々な問題に苦難しつつも解決していく物語。

    今までの著者の作風にはない設定が新鮮であり、教育現場で起きそうな状況を描き、子供や保護者とのトラブルを解決する展開は面白かった。

    しかしながら、先生という職業は本当に大変なお仕事だと思う。

    ご尊敬申し上げる。

  • ふ〜ん。伊岡さん、こんなんも書かはるんや。
    いつものミステリーとは、一味違う。
    小学校の熱血?アルバイト教師の話。
    なので、「飛び出せ青春」(古る!)ではなくて、「熱中時代」(これも古い…)って感じの現代版かな?
     +ミステリー風味。
    上のテレビドラマには、あんまりモンスターペアレントはいなかったような…
    最近の小学校は、大変や。知り合いに保健の先生いるけど、めっちゃ忙しいらしい。私の頃は、楽やったと思うけど、今は、満員御礼らしい。
    何か、学級崩壊、いじめと色々事件が発生して…させてもあるけど 笑。
    アルバイト教師は、終了して、ピアノの生かして、楽団へ!
    …でも…やはり…

    《好きなら、それでいいじゃないか》
    使命感だの公共性だの国家百年の計だの、そんなものは関係ないって!

  • またまた伊岡さんの本を購入、5冊目かな?と、思ったら6冊目読了。本屋さんに行くとなぜか購入してしまう自分がおります。

    作風は他のと違う感じで新鮮でした!ミステリー要素は極小。大人の嫌な人間模様みたいなの感じられる。。
    自分の三色弁当を生徒に渡すシーンとか優しいなぁって。ところどころに出てくる整髪料きつめ=機嫌悪いなど、毎度の表現にクスクス笑

    ショパンの肖像画のポスターみたくなりました笑

  • 伊岡さんの作品、読むのはこれで2作品目。
    2作品目にして伊岡さんには珍しいというミステリー要素はほとんどゼロの『教室に雨は降らない』。
    公立小学校で音楽の臨時講師として働く森島巧が主人公。学校で起こるトラブルに巻き込まれながら解決のために奔走する短編連作の物語。

    物語がすすむにつれて、主人公の森島が【報告・連絡・相談】を全くしなくなってくるのが えぇぇ・・・という感じ。かなりスタンドプレーが多くて恐ろしい。案の定、物語終盤で生徒に背を向けられてしまうし。

    普段子どもの近くで過ごしていて強く感じているのが、子どもってすごく敏感で大人の心の内をだいぶ分かっているということ。だから、変に嘘をついたり見栄を張ったり、ましてや子どもに迎合するような姿勢を見せたりしたらすぐ信頼を失ってしまう。きちんと芯を持って、ある程度は正直にいるのが大事なのかもと思う。
    あとは咄嗟の判断力。子どもの世界って予想しないことがたくさん起こるから、それらに臨機応変にすばやく適切な対応をしないといけない。(子どもとの会話にもスピード感が要求されるし・・・笑)ただ、すばやく対応しなきゃいけないんだけど解決を急いで軽率に判断して行動すると後々大変なことになることもあり。

    それにしても、森島の小学校の職員室内の空気がめちゃめちゃ悪い。こんな職場じゃなくて本当に良かったなと思う。荒れてしまった学校ほど教職員が団結していると聞くけれど、(というか団結しないとやっていけないらしい。そりゃそうか)子どもに身近な教職員たちがこんな関係だと・・・ねぇ


    「たとえきらわれようと憎まれようと、教師には守るべき義務があるんです。たしかに、この学校に来て、問題のある教師の姿を見たかもしれない。彼らを批判したり幻滅を感じたりするならそれでもいい。しかし、あなたが腰掛け気分だったことも、否定はできないでしょう。教師というのは、どこまでも地道でつらい仕事なんです。」

  • いつもの著者の作品をイメージして読み始めたら、なんだか違う雰囲気。
    爽やかな感じもするし、ミステリー要素よりヒューマンドラマ的な印象をもった。
    森島先生がなんだか飄々としていて、こんな先生がいたらいいなと素直に感じた。

  • 結構前に読み終わった作品。
    小学校の臨時教師となった音大卒の主人公が様々なトラブルに巻き込まれていくが、それを鮮やかに解決していく短編集。1話完結もののテレビドラマを観ているような感覚。
    一つ一つのお話は短いから読みやすいけど、読んだ後の達成感みたいなものはなし。

  • ❇︎
    腰掛け的な非常勤のアルバイト音楽専任教師
    として、生徒との関わりやモンスターペアレント、
    教師間の人間関係、教育現場の事なかれ主義、
    いじめや学級崩壊を実際に体験する中で、
    学校や教師という職業の理想と現実の差に
    戸惑いながら、目指す道を見つけてゆく物語。

    頭が固く融通がきかないくせに、
    ふとした拍子に熱くなって無謀な行動に出る、
    主人公の熱さと頑なさに、若々しさと眩しさを
    感じました。

    ーーーーーーーーーー
    悪意や打算、妥当性より、善良性や純粋さを
    感じる心地良い読後感でした。

    主人公の森島巧が別の人生を選択した姿も、
    見てみたかった気がします。




  • なんと!読んでびっくり!人が死なない!バリバリの学校ミステリーかと思ってました。
    伊岡さんの作品、大好きで8冊目ですが、こういうのも書かれる作者さんなんですね〜。
    でも流石の伊岡さん。面白かったです!
    子どもって何するか分からないもんですね。でもその行動にも何かしら理由があって、大人の考えていることとは違うことが明らかになって解決していくのが面白かったです。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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