- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041004890
作品紹介・あらすじ
家計を助けるため12歳で製糸工場に働きに出ることになった少女・お初。被傭期間は3年。期間中は会社の命令に逆らうことはできない。身体検査や全裸になっての虫干しから始まった奇妙な工女生活は、予想に反し快適だったが、それもつかの間、次第に逃れられない恐怖の惨劇に変貌してゆく…。煮繭の臭いでむせ返る製糸工場にうごめく淫靡な恐怖を描く、とてつもなく怖いお伽噺。選考委員をうならせたホラー小説大賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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製糸工場に奉公に行くことになったお初。そこで描かれる不自然で満たされた日常と、妖しく親切な人々に、読者は不信感を煽られる。間違いなく疑わしいのに、怪訝な様子ひとつ見せない登場人物たちがもどかしく歯痒さを覚える。そして結末に、大いに納得するはずた。ほら見たことか。
そして読み終えた後に著者の戦略に気づいたのは私だけではないはず。まるで枕元で読み聞かせる母親の声を再生するかのように流れてくるですます調は、私たちの不安を十分に駆り立ててくれる。
ホラーと呼ぶには臨場感は足りないけれど、最終的に最も恐ろしいのは影に魅せられた人間である、という顛末はとても好み。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本的な匂いのする物語だった。
雰囲気というか流れる空気感は「雨月物語」ふう・・・のような。
もちろん、完成度からいったらまったく違うけれど。
早々に結末がわかってしまうので驚いた。
大賞だと知っていたので、ちょっと納得がいかない感じも。
タイトルにしても本当にストレートすぎて残念。
そのままなんだけど・・・と軽くツッコミを入れたくなったほど。
もともとのタイトルは別のものだったので、出版するにあたり変更したのだろう。
編集者との話し合いで決めたのかもしれないが、このタイトルの方が売れると思ったのだろうか。
猟奇的な場面ばかりが多い物語よりはいいけれど、どうなんだろう。
あまり好きではない表現が続く場面もあって、ちょっと苦手な物語に感じてしまった。 -
森山東の「呪扇」を彷彿とさせるような残虐劇で好みだったが、盛り上がるまでが長く中盤やや退屈。この手のストーリーならばもう少し残酷な描写が多くても良かったのではと思いつつも、この昔話を語って聞かせるような坦々とした口調だからこそ良いのかもしれないとも思う。
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第17回日本ホラー小説大賞受賞作
同賞受賞の「黒い家」が面白かったため手に取った。
前半は面白いが、後半はやや間延びした感じがする。予想を裏切る展開が1つあると良かった。 -
2012/12/17読了。ホラー小説大賞の受賞作。ブクログ内での評価点は低いみたいであまり期待してなかったんですが、思っていた以上に面白かったです。
製糸工場に奉公するため集められた、貧しい農村の娘たち。適性検査で繭から糸を繰る製糸部と、ヤママユガを育てる養蚕部とに分けられる。適性に太鼓判を押されて養蚕部に配属されたお初、養蚕部の仕事はなかなか始まらず、三食昼寝つきの生活が続く…。娘たちの運命やいかに。
製糸工場で何が行われているかは、読んでいる途中で想像はつきますが、そのうえで読みつづけても怖さ…というよりおぞましさ、にゾクゾクしました。
想像したことが、文中の描写によって確信に変わっていく過程も楽しめました。
ミステリーではないので、もともとこういう読み方が想定されてるんじゃないかと思います。
学生のときに実習で雌のカイコに蛾輪っていう円錐形のカバーみたいのを被せて卵を産ませたのとか、地元の子供向け体験教室でカイコの繭から生糸をとったりしたのとか、タイフードフェスティバルでカイコのサナギの茹でたのを食べたりしたことを思い出しながら読みました。 -
少女のエログロっぽかったから買った。
後悔はややしている。
全く怖くない話ならともかくホラー話で怖くないというのが残念。
出てくるおっさんみんなロリコンなのかと思ったら違った。
あんな異常なおっさん達でもロリコン率が低いとは…。 -
いろいろとツッコミどころは満載なのだが、致命的なのはホラー要素が弱いのと、オチが予想できてしまう構成だった事。
キャラ名で遊んでるのはまぁいいとしても、もうちょい真面目に書いてほしいと思った作品。
でもまぁ、新人賞はこれくらい砕けた作品の方がいいのかもしれない。 -
読みやすかったけど、結末が楽しみだったけど
最後が拍子抜けした。
ハッピーエンドになったらよかったなぁ
ちょっとした下ネタが好きじゃなかったけど、物語性は面白かった -
読みやすいけど読んだあとに何か残るものは特にない。
ただ、悪人ばかりなのだなあ。
いつの時代も子供は騙されるばかり。