クリストファー男娼窟 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 140
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005163

作品紹介・あらすじ

N.Y.、クリストファー街の夜、男娼は恋を囁き、情欲に身を委ねる。金のために身を売るヘンリーの、虚ろな慚愧。ドラッグに溺れた男娼が見たものは-。大人になることに、漠然とした怖れを抱えるキーコ。女に溺れた父、そしてママコの折檻。不毛の愛の数々、キーコは離人幻覚に囚われる-。妻の死体と三十日暮らした男は、若き恋の思い出に身を委ねた。一途な情動、行き場のない魂を濃密に綴る傑作小説集。

感想・レビュー・書評

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  • あの水玉の絵画を手掛けた草間彌生が小説も書くのかと興味本意で手に取った。
    書かれた時代もあってか、やはり多少読みにくく読む終わるまでかなり時間がかかってしまった。今では表現できないような(してはいけないような)言葉や描写があるのは興味深かった。表現が露骨で内容もとにかく凄いので、読んでいて若干病みそうになった。

  •  芸術、芸術家、前衛芸術、都会、男娼、そういう文化の息づく都市、というものに興味をひかれる。ニューヨークの男娼窟の物語である表題作が私は一番好きだ。男娼をやって大学を出た、という主人公の経歴がまた何ともいえず惹かれるものがある。男娼窟のあるアパートの様子とか、凄くかっこいい。本を読んでいて頻繁に思うことがある、こういう風に書きたい!と思う個所がクリストファー男娼窟にはいっぱいあった。
     草間彌生の芸術作品を見に行くと、いつも猛烈にやっぱり芸術家が好きだ、と思う。芸術家の書く文章って、どんなものなんだろう、という興味も手伝って手にした本。文章は独特で、所々主人公の本当に観ている光景と幻覚が混ざり合っている感じの個所も出てくる。クリストファー男娼窟ではあまりなかったけど、離人カーテンの囚人では読んでてちょっと疲れた。
     芸術を生み出す人の脳味噌の中には、やっぱり興味があるな。

  • すごい。

  • 久しぶりに難解な小説を読んだ
    今の私の力では理解することができず始終モヤモヤしたまま終わってしまった
    時間を置いていつかまた読みたいと思う

  • 初見では、読みづらい文章だった。
    でも、第1章を読み終えた頃には慣れてきて、草間彌生の独特の描写と世界観に没入できたと思う。
    文の書き方がなんとなく英語的だなあという印象を受けた。日本語を編んで作った文章と言うよりも、文学的要素のほとんどが名詞、シンボリズム、情景描写がだったから。割とどんな言語に訳してもニュアンスが変わらない文章なんじゃないかな…

    あまり読んだことのない感じの文体で面白かった。移動中に読むつもりで持ち歩いてたけど、結局後半は家で一気読みしてしまった。

  • p38 肛門の退行と固着の妖気の中で男たちは、魂の自由からかどわかされ、ナルシズムの囚人カーテンの中で秘かにさまよっている。

    草間彌生も小説を書くのか、と思って読んだら、意外とちゃんと小説だった。幻覚と現実が混じり合って詩的ではある。水玉の印象が強くて、そんな衝動的な感じの人が言葉を操れるのかと思ったけど(たまに良く分からない場面はあるけど)渡米してただけあって、ニューヨークの雰囲気を肌で感じて、そして絶妙な狂気と感性の言葉で表現されている。
    愛の渇望と、性の衝動と、茫漠な自己の風景。ミルク色のカーテン。蛾の銀色の鱗粉。腐ったネズミと花。蒸れた体臭。ドラッグとホモの夜のニューヨーク。

  • 草間彌生が書いてるのが売り。内容はジゴロや売春婦の娘が薬物汚染や親子関係の不具合に直面し身を滅ぼし死んでいく話。アナルとタナトスと狂気に満ちた短編集。とにかく暗く破滅的。

  • 草間彌生著「クリストファー男娼窟」読了。生とは、性と幻惑と闇と光の中で疾走する光芒。脳みその裏側がチリチリ焼ける読後感…

  • これは、読む絵画である。エロティックでグロテスクで美しい。性液ののようねっとりしているかと思いきや意外に爽やかである。文章に色彩が弾けている。読書する時間は麻薬のように流れ去る。

  • 草間彌生の小説ってどんなんだろうと思って読んでみたら・・・いやはや、ものすごいです。表題作は若い黒人男娼の話。性描写だらけなのになぜかいやらしさより悲しみの色のほうが強い。「離人カーテンの囚人」は性と生と死の妄想がごっちゃごちゃになってそっちに引きずりこまれるような恐ろしさ。「死臭アカシア」はもう完全にイッちゃってる。一つ一つの文章はしっかりしていておかしな要素は無いのに、その組み合わせとか順序が変なので、歪んでるというか、狂気を感じる。

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著者プロフィール

前衛芸術家。小説家。1929(昭和4)年長野県松本市生まれ。10歳の頃より水玉と網模様をモチーフに絵を描き始める。57年渡米、翌年ニューヨークに移り、ネット・ペインティングを発表。73年の帰国後も彫刻、映像、パフォーマンス等、自らの表現を追求し続けている。

「2012年 『クリストファー男娼窟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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