ヤンのいた島 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.58
  • (6)
  • (11)
  • (17)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 83
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005200

作品紹介・あらすじ

服従か抵抗か。暴力か非暴力か。選ぶ未来の形は-ゲリラの頭目と1人の女性の物語。南の小国・イシャナイでは、近代化と植民地化に抗う人々が闘いを繰り広げていた。学術調査に訪れた瞳子は、ゲリラの頭目・ヤンと出会い、悲しき国の未来をいくつも味わっていく。「瞳子。世界はぼくたちを憎んでいるのだろうか」。力弱き抵抗者、ヤンたちが掴んだものは?日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • あまりにリアルなファンタジー。
    物語を楽しむことより人間としての自分の考え方や無力さに悩まされた。
    現実に未だに多くの国で起こっている問題、悩んでも行き着くことは無いのだが…。

    ヤンにとってのトウコ。
    出逢って良かったと思う。
    トウコのヤンへの思い。
    ……。
    少し心を整理して考えてみたいと思います。

    • 9nanokaさん
      すっきりしない暗い気持ちになりますよね^^;
      すみません。
      テロやゲリラのニュースを見ても、悪は悪なんですけども、ヤンみたいな事情がある...
      すっきりしない暗い気持ちになりますよね^^;
      すみません。
      テロやゲリラのニュースを見ても、悪は悪なんですけども、ヤンみたいな事情があるのかもしれないと思うようになりました。
      2015/01/12
  • 数日経ってもつい考えてしまう。なんとも言えない終わり。
    イシャナイが幸せになる道はないのだろうか。こんなふうに蹂躙されてきたたくさんの国のことを思うと、言葉にし難い辛い気持ちになる。平等や公平などどこにもないという気持ちにすらなる。

    • komoroさん
      9nanoka さんをそこまで考えさせる作品。
      ちょっと、なんとも言えない終わりが脳裏にやきつきそうですが、読んでみたいです。(^.^)
      ...
      9nanoka さんをそこまで考えさせる作品。
      ちょっと、なんとも言えない終わりが脳裏にやきつきそうですが、読んでみたいです。(^.^)
      黄金の王 白銀の王もかなりシリアスでしたが…。
      さすが沢村凛。
      2014/12/14
  • 「リフレイン」を読み、「まだ、こんな面白い作品を書く人がいたんだ」とハマり、でも持ったいなくてなかなか手をつけずにいた作品です。
    ほぼ一日で読み終えました。

    架空の島での出来事に、リアル世界に当てはまる「正義」「支援」「抗争」の構図。
    前作の「リフレイン」でもそうでしたが、架空の中での人の思想、思惑、行動が、ハンパなくリアリティがある。

    早く次の作品を読みたいなー。

  •  最終ページまで読んでどよめいた。贅沢な使い方だな!と思う。
     作者さんは情が厚いというより、物語に対して真摯だなぁ……と思います。うん。

     ただ、前作がリフレインなんだけれども、こちらのタイトルの方が「リフレイン」だなぁ……と思いました。いやネタバレはいるかもしれないけど。

  • 現実と夢に見る3つの世界。
    夢の中で夢見る3つの世界。

    読み進むに連れて夢と現実の区別が曖昧になり、不思議な気分になる。
    ところどころに顔を覗かせる不穏な気配。

    物語のラスト、そこにはまだ救いはない。
    幸せも絶望もまだない。
    不思議な形態の話でした。

  •  久しぶりにとてものめり込んだ小説。一度読み終えたあと、どうにも本の世界から戻れずに、もう一度最初のページを開いた。
     二度目もわくわくした。やっぱりファンタジーが好きだ!
     ただ、好き嫌いはけっこうはっきり分かれそうな内容です。

     舞台は、太平洋上に浮かぶ島イシャナイ。
     近代の国際社会よって「発見」されたその島では、欧州からの移民によって築かれた国家と、それに対抗するゲリラの抗争が続いていた。
     島の生態調査のためやって来た主人公の瞳子は、そこで、ゲリラのリーダーにして、原住民族の象徴とも言うべき「ヤン」と出会う。

     先進国が押し付けた国際社会のルールによって、蝕まれ壊されていく後進国。
     「発見」される前は独立して自給自足できていた小さな島を、外からの「支援」なくしては成り立たないようにしてしまう残酷さ。
     本来なら優劣のないはずの個々の文化を無理やり一個の枠におさめて、弱者を作り上げている。
     枠へおさめるためなら暴力も非道徳も厭わず、一度枠へ入ってしまえば二度ともとには戻れない。
     これが国際社会の一面なのだと思うと、やるせなくなる。

     なによりも、ただそこに存在していただけのヤンが人格を与えられ、重い決断を背負い、そしてすべての結末へ向かっていくことが、悲しくてならなかった。

     瞳子が、熱帯林を「生態系」ではなく「美しいもの」として見るようになったのと同じく、頭に詰め込まれた固定観念というフィルターを外して、思うままに、感じるままにものごとを受け止め、それらを信じられるようになりたいです。
     昔は、それが確かにできていたはずだから。

  • fantasyとは、ある種、夢のことである。
    うまいこと構想してあって、故に読後の納得感みたいなものにつながるのだが、とはいえ、そこで表現されていることは、どうしようもなさを内包しており、そのどうしようもなさは、この話がフィクションであるにもかかわらず、現実の我々が直面しているどうしようもなさである。
    どう表現すればいいのかな?とつらつら思うに、この作品は、ガリヴァー旅行記なんかと同じにくくればしっくりくるんじゃないだろうか。ただし、ガリヴァー旅行記と、それが書かれた当時の英国およびアイルランドの社会との関係が、この小説と現代の我々との関係に似ているという意味において。

  • 文庫本3作ですっかりお気に入り作家さんになった沢村凛さんの文庫化第4弾。
    うーーん、救いがない。切ない終わり方でした。
    どんな選択をしてもいい結果が出てこない。どれもこれもバッドエンド。ほんと、世界に嫌われているのでは、と言いたくもなる。3つの夢と現実と思っていた1つの夢、4つの夢がパラレルワールドのように展開する。
    『なんだ、夢オチか』と言ってしまえばそれまでなんですけど・・・

    帯にもありましたけど、この話は問題提起なんだと思います。誰もが幸せに生きる、よりよく生きるためにはどうしたらいいのか?現実世界でも答えのない様々な問題が山積みで、でも考えることを放棄したり、他人のふりで目を塞いだりしたらダメだ、ということを語っているのかな、とか思いました。それが例えバッドエンドだとしても、精一杯やるしかないってことなのか。

    これまでの3作と作風が違い、正直好みではなかったお話でした。心熱くなる話ではなかったのは個人的に残念ですが、でもやっぱり好きな作家さんなんだな。

    ダンボハナアルキ、Googleで見たけど、確かにどこかで見たことある画像でした。UMAみたいな?

  • 生物系のファンタジーか、いやいやパラレルワールドものか…と読み進めていくうちに、実はけっこう根の深い国際事情を基盤にした小説だと気づく。途上国支援に興味のある現役国際生におすすめしたいような一冊。

  • 単純明快オタク的にダンボハナアルキを探す冒険ファンタジーだったら好きでした。ファンタジー的な島の現実的で世知辛く辛気くさい話で、反政府軍ヤンの筋をメインに3つの別ヤンのダイジェストが出てくる。がしかし、結局の所は4つのヤンのどれを残してどの3つを殺すかを選ぶ前の時点で所謂夢オチ、どれをとっても投了的未来にちょっと読了感痛いです。主人公瞳子が自己中心的甚だしく非常に嫌いなタイプの人間、ナイーブすぎる。しかも瞳子とヤンの関連がシッカリ語られないのも不満。設定の随所に良い所があるだけにもったいなくて残念。辛気くさく救い様がない国の救い様のない物語、気分が持ち上げて落とされるという事を繰り返されて疲弊した。が、途中でギブアップするほど面白くないということではなく、おもろいことはおもろいです。ただ、好みでないというだけ。

全20件中 1 - 10件を表示

沢村凛の作品

ツイートする