ヤンのいた島 (角川文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • KADOKAWA (2013年2月23日発売)
3.56
  • (7)
  • (12)
  • (22)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 136
感想 : 28
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784041005200

作品紹介・あらすじ

文化も誇りも、力の前には消えるほかないのか!? 南の小国・イシャナイでは、近代化と植民地化に抗う人々が闘いを繰り広げていた。学術調査に訪れた瞳子は、ゲリラの頭目・ヤンと出会い、国の未来と直面する。

みんなの感想まとめ

文化や誇りが力の前に消えていく中で、南の小国・イシャナイの人々が直面する苦悩と希望が描かれています。学術調査に訪れた瞳子は、ゲリラの頭目ヤンと出会い、彼との交流を通じて、先住民たちの未来についての深い...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 長らく発見されなかったある島へ学術調査に入り、島の様々な不思議を目の当たりにする瞳子。ゲリラに捕まり、仲間となり、その頭領と同じ夢をみるという奇妙なことに戸惑いながらも親しみを感じ・・・。
    島の先住民と、政府の対立。二人が見る夢は連続していて、そのどれもが先住民がどう生きていくべきかということについて異なる道を選んでいる。ゲリラとなるのもその一つ。
    どうすれば自分たちは平穏に生き続けられるのか。外からの人間に感化されず、自分たちの文化を守ることがいかに難しいかという問いかけ。欧米的な文明社会が本当に正しいのか?

    最後はいわば夢オチ。ゲリラの先住民たちもまた、どう生きるべきかを模索する中での夢の一つ。島はまだ、発見されていない。

  • あまりにリアルなファンタジー。
    物語を楽しむことより人間としての自分の考え方や無力さに悩まされた。
    現実に未だに多くの国で起こっている問題、悩んでも行き着くことは無いのだが…。

    ヤンにとってのトウコ。
    出逢って良かったと思う。
    トウコのヤンへの思い。
    ……。
    少し心を整理して考えてみたいと思います。

    • 9nanokaさん
      すっきりしない暗い気持ちになりますよね^^;
      すみません。
      テロやゲリラのニュースを見ても、悪は悪なんですけども、ヤンみたいな事情がある...
      すっきりしない暗い気持ちになりますよね^^;
      すみません。
      テロやゲリラのニュースを見ても、悪は悪なんですけども、ヤンみたいな事情があるのかもしれないと思うようになりました。
      2015/01/12
  • 数日経ってもつい考えてしまう。なんとも言えない終わり。
    イシャナイが幸せになる道はないのだろうか。こんなふうに蹂躙されてきたたくさんの国のことを思うと、言葉にし難い辛い気持ちになる。平等や公平などどこにもないという気持ちにすらなる。

    • komoroさん
      9nanoka さんをそこまで考えさせる作品。
      ちょっと、なんとも言えない終わりが脳裏にやきつきそうですが、読んでみたいです。(^.^)
      ...
      9nanoka さんをそこまで考えさせる作品。
      ちょっと、なんとも言えない終わりが脳裏にやきつきそうですが、読んでみたいです。(^.^)
      黄金の王 白銀の王もかなりシリアスでしたが…。
      さすが沢村凛。
      2014/12/14
  • 「リフレイン」を読み、「まだ、こんな面白い作品を書く人がいたんだ」とハマり、でも持ったいなくてなかなか手をつけずにいた作品です。
    ほぼ一日で読み終えました。

    架空の島での出来事に、リアル世界に当てはまる「正義」「支援」「抗争」の構図。
    前作の「リフレイン」でもそうでしたが、架空の中での人の思想、思惑、行動が、ハンパなくリアリティがある。

    早く次の作品を読みたいなー。

  •  最終ページまで読んでどよめいた。贅沢な使い方だな!と思う。
     作者さんは情が厚いというより、物語に対して真摯だなぁ……と思います。うん。

     ただ、前作がリフレインなんだけれども、こちらのタイトルの方が「リフレイン」だなぁ……と思いました。いやネタバレはいるかもしれないけど。

  • 現実と夢に見る3つの世界。
    夢の中で夢見る3つの世界。

    読み進むに連れて夢と現実の区別が曖昧になり、不思議な気分になる。
    ところどころに顔を覗かせる不穏な気配。

    物語のラスト、そこにはまだ救いはない。
    幸せも絶望もまだない。
    不思議な形態の話でした。

  •  久しぶりにとてものめり込んだ小説。一度読み終えたあと、どうにも本の世界から戻れずに、もう一度最初のページを開いた。
     二度目もわくわくした。やっぱりファンタジーが好きだ!
     ただ、好き嫌いはけっこうはっきり分かれそうな内容です。

     舞台は、太平洋上に浮かぶ島イシャナイ。
     近代の国際社会よって「発見」されたその島では、欧州からの移民によって築かれた国家と、それに対抗するゲリラの抗争が続いていた。
     島の生態調査のためやって来た主人公の瞳子は、そこで、ゲリラのリーダーにして、原住民族の象徴とも言うべき「ヤン」と出会う。

     先進国が押し付けた国際社会のルールによって、蝕まれ壊されていく後進国。
     「発見」される前は独立して自給自足できていた小さな島を、外からの「支援」なくしては成り立たないようにしてしまう残酷さ。
     本来なら優劣のないはずの個々の文化を無理やり一個の枠におさめて、弱者を作り上げている。
     枠へおさめるためなら暴力も非道徳も厭わず、一度枠へ入ってしまえば二度ともとには戻れない。
     これが国際社会の一面なのだと思うと、やるせなくなる。

     なによりも、ただそこに存在していただけのヤンが人格を与えられ、重い決断を背負い、そしてすべての結末へ向かっていくことが、悲しくてならなかった。

     瞳子が、熱帯林を「生態系」ではなく「美しいもの」として見るようになったのと同じく、頭に詰め込まれた固定観念というフィルターを外して、思うままに、感じるままにものごとを受け止め、それらを信じられるようになりたいです。
     昔は、それが確かにできていたはずだから。

  • fantasyとは、ある種、夢のことである。
    うまいこと構想してあって、故に読後の納得感みたいなものにつながるのだが、とはいえ、そこで表現されていることは、どうしようもなさを内包しており、そのどうしようもなさは、この話がフィクションであるにもかかわらず、現実の我々が直面しているどうしようもなさである。
    どう表現すればいいのかな?とつらつら思うに、この作品は、ガリヴァー旅行記なんかと同じにくくればしっくりくるんじゃないだろうか。ただし、ガリヴァー旅行記と、それが書かれた当時の英国およびアイルランドの社会との関係が、この小説と現代の我々との関係に似ているという意味において。

  • 文庫本3作ですっかりお気に入り作家さんになった沢村凛さんの文庫化第4弾。
    うーーん、救いがない。切ない終わり方でした。
    どんな選択をしてもいい結果が出てこない。どれもこれもバッドエンド。ほんと、世界に嫌われているのでは、と言いたくもなる。3つの夢と現実と思っていた1つの夢、4つの夢がパラレルワールドのように展開する。
    『なんだ、夢オチか』と言ってしまえばそれまでなんですけど・・・

    帯にもありましたけど、この話は問題提起なんだと思います。誰もが幸せに生きる、よりよく生きるためにはどうしたらいいのか?現実世界でも答えのない様々な問題が山積みで、でも考えることを放棄したり、他人のふりで目を塞いだりしたらダメだ、ということを語っているのかな、とか思いました。それが例えバッドエンドだとしても、精一杯やるしかないってことなのか。

    これまでの3作と作風が違い、正直好みではなかったお話でした。心熱くなる話ではなかったのは個人的に残念ですが、でもやっぱり好きな作家さんなんだな。

    ダンボハナアルキ、Googleで見たけど、確かにどこかで見たことある画像でした。UMAみたいな?

  • 夢か現か、読み終わって「そうだったのか」と思い知らされた感じ。でもこの先どうなるのだろうと新たな疑問が湧き出てきて困る。

  • 独特の世界観でおもしろかった。
    ただ、瞳子の身勝手さや考えの浅い発言が、読みながらかなり引っかかった。
    それと瞳子とヤンの恋愛色は、この作品には余計な気がした。
    終わり方は個人的に嫌いじゃない。
    『選択』することの難しさを考えさせられる。

  • ダンボハナアルキってなんだよ!ってネットで調べたら、そこまではホントだった。こういうの好きな人いるやね。
    最後のオチはまさかの!だったけど、まぁオチがどうという物語じゃないから、まぁそれは良しとして、妙にごっちゃりとネタが混ぜ込んであって、イマイチどれが印象に残ったかと言われると難しいんだけど、強いて言うならダンボハナアルキだった。

  • 時代劇風の物語と違って、現在に近い話で始まりながら虚実織り交ぜた設定で一気に物語世界に引き込まれる
    物語の大枠の構想は割と単純で、結末はやや強引な感じもあるが、架空の生物を探す話から始まり一気に展開する話は目が離せなくなる
    ちょっと粗い文章も物語の緊張感にあっているし、重いテーマに正面から取り組みながらも重苦しくなり過ぎずかつ緊張感を保ったまま進むのもよかった
    イシャナイは架空の島なのに、イシャナイに幸あれと思わずにはいられない魅力がある

  • 強烈。こんな話になるとは。
    しばらくはぐるぐると考えてしまいそうだし、その度に違った視点が見えてきそう。果たして、より明るい未来に繋がる手がかりにたどり着けるのだろうか?

  • 生物系のファンタジーか、いやいやパラレルワールドものか…と読み進めていくうちに、実はけっこう根の深い国際事情を基盤にした小説だと気づく。途上国支援に興味のある現役国際生におすすめしたいような一冊。

  • 単純明快オタク的にダンボハナアルキを探す冒険ファンタジーだったら好きでした。ファンタジー的な島の現実的で世知辛く辛気くさい話で、反政府軍ヤンの筋をメインに3つの別ヤンのダイジェストが出てくる。がしかし、結局の所は4つのヤンのどれを残してどの3つを殺すかを選ぶ前の時点で所謂夢オチ、どれをとっても投了的未来にちょっと読了感痛いです。主人公瞳子が自己中心的甚だしく非常に嫌いなタイプの人間、ナイーブすぎる。しかも瞳子とヤンの関連がシッカリ語られないのも不満。設定の随所に良い所があるだけにもったいなくて残念。辛気くさく救い様がない国の救い様のない物語、気分が持ち上げて落とされるという事を繰り返されて疲弊した。が、途中でギブアップするほど面白くないということではなく、おもろいことはおもろいです。ただ、好みでないというだけ。

  • 刊行順に読んだほうがベターだという持論を述べながらも今更デビュー作へ。
    ファンタジーノベルス大賞受賞作ということで、文章は読みにくい部分もあり、構成もわかりにくかったのだが、エネルギーを感じる物語だった。

    パズルのピースの形をした南の島・イシャナイでは、政府軍とゲリラが抗争を続けている。
    そこに研究員としてやって来た瞳子が主人公。
    架空の生き物であるとされる生物の実在を信じ、確かめるため学者を志した瞳子は、深夜に仲間から抜け出し島を探索している途中にゲリラに捕らえられる。

    瞳子とゲリラたち、特に頭目・ヤンとの関係性が物語の軸となり、この抗争の行く末、瞳子とゲリラたちがどうなるのかを描くのが話の筋。

    物語の途中で瞳子は頻繁に謎の夢を見る。
    3パターンの夢の中でイシャナイの状況は大きく異なり、ただ瞳子とヤンだけが共通して登場する。
    それはパラレルワールドだった、ということが序盤で明かされるのだが、
    この仕掛けは後でかなり物語の深さを与えるものの、場面展開が唐突で理解が追いつかないところがあった。
    比較的厚い本なのだが、もう少し分量があった方が丁寧だったか。

    戦争、資本主義の負の面、民族の対立、搾取するものとされるものなど、現代社会に通じる問題がふんだんに織り込まれている。
    とても示唆に富んだ、考えさせられる内容だった。
    オチは確かに弱いと思うけれども。

    沢村さんは一貫して書きたいことは変わらないんだな、と感じた。

  • 南の小国シャナイ.ゲリラの頭目ヤンと日本人生物学者の瞳子の出会いから始まる不思議な物語.同じ夢をみるヤンと瞳子.どの夢もシャナイの未来を暗示している.そしてどの夢もシャナイに暗い影を落とす.悲しき未来を回避するための戦い,二人が最後に手にするものとは・・・・.いろいろと考えさせられる作品.単純じゃない.沢村さんらしいなと思いました.

  • 1998年に書かれた作品。その頃に出会っていたなら何を思っていたのだろう?いまここにいる自分とは違う世界が一番いい世界なのか?別世界の存在を認めなければ、決して浮かび上がらない思考の間。己が選択することができるのなら、いったいどの世界に生きようとするのだろう?でも、答えは決まっているんだろうな…
    いや、決めていると言わねばならない…

全25件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1963年広島県生まれ。鳥取大学農学部卒業。91年に日本ファンタジーノベル大賞に応募した『リフレイン』が最終候補となり、作家デビュー。98年、『ヤンのいた島』で第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。骨太な人間ドラマで魅せるファンタジーや、日常生活のひだを的

「2013年 『ヤンのいた島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

沢村凛の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×