シシド 小説・日活撮影所 (角川文庫)

  • 角川書店 (2012年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784041005606

作品紹介・あらすじ

1954年、日活ニューフェース1期生宍戸錠。大部屋俳優から成り上がるためシシドがとったのは顔にメスを入れることだった。エースのジョーの若き日々を綴った自伝的小説。

みんなの感想まとめ

テーマは、1950年代の日本映画界における著者の成長と変貌を描いた自伝的小説で、特に日活映画の黄金期に焦点を当てています。著者の若き日の挑戦や成り上がりの過程は、外連味とクールさを兼ね備えた演技を通じ...

感想・レビュー・書評

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  • 如何なる経緯でかかる書物を著したのか存じませんが、これはまことに愉快で痛快な一冊であります。
    小説と銘打つからにはフィクションなのでせうが、間違ひなく宍戸錠さん自身の体験が色濃く反映されてゐるに相違ありません。

    シシドは日活ニューフェイスにスタア候補として入社しますが、当面は鳴かず飛ばず。「警察日記」でチャンスを掴みかけるものの、自身の不始末が原因でしばらく干されてしまひます。
    更に当時付き合つてゐた女優のアカシ・ジュンコとも別れ、失意のどん底に落とされたのであります。
    そんなシシドは、つひに豊頬手術を決意し、二枚目の顔をわざわざ個性的にするのでした。

    ところで、『日本映画俳優全史』なる書物の「宍戸錠」の項では、この頬が膨らんだ件を「頬がふくらむ病気に掛ったとかで顔が大きくなり、身体全体が肥ってデカくなって、すっかり豪快なキャラクターに一変」などといふ記述があります。これはあんまりやね。著者は猪俣勝人・田山力哉共著となつてゐて、どちらの担当か分かりませんが、いづれも名の知れた映画人なのに、これは酷い。
    更に言へば、宍戸錠は肥つてゐません。実にスリムであります。印象だけで筆を進め過ぎましたね。

    さて日活は、良質な映画を作つても中中ヒットさせることが出来ずに苦しんでゐました。そんな状況下、あの「救世主」石原裕次郎が登場します。彼の人気は爆発し、日活では男性アクション路線が確立します。彼に加へ、小林旭・赤木圭一郎・和田浩治の四名でローテーションを組む「日活ダイヤモンドライン」を形成、シシドはアキラやトニー(赤木)の好敵手役で人気を博すやうになるのでした。

    ところが和田浩治の成績がイマイチらしく、ダイヤモンドラインにシシドを昇格させメムバアを強化する措置がとられます。そんな折、裕次郎はスキー事故で入院、日活は一転して大ピンチに陥るのでした......
    何と本書はここで終り。トニーの死やダンプガイ・二谷英明のライン昇格などは綴られてゐません。(つづく)となつてゐて、実際その後に続篇が出たやうですが、そちらはどうも評判が悪いね......

    本書はゴーストライターの存在説もあるのですが、わたくしは多分本人が書いたのだと思ひます。プロのライターが手を加へたかもしれませんが。何故なら、プロが書いたにしては文章が個性的すぎる。ゴーストライターなら、もつと上手に(つまり、万人受けするやうに)書くでありませう。

    それにしても、映画全盛時の映画会社の金銭感覚は全くをかしいね。どんぶり勘定もいいところです。そしてスタアと下ッ端役者とのあまりにも違ふ待遇。当然と思ふかも知れませんが、会社のスタアへの気の配りやうといつたら度を越えてゐます。これぢやあスタア達が増長するのも無理はない。そして危機感の薄さ。テレビの存在を軽視し過ぎてゐましたね。映画が永遠に娯楽の王者であり続けると慢心してゐたのでせう。

    最後にひとつ。当時の井上大助がアイドル扱ひだつたとは、意外といふか吃驚でございました。
    蛇足ながら、ラインの俳優でわたくしの好きな順を挙げると、①小林旭②宍戸錠③赤木圭一郎④二谷英明⑤和田浩治⑥石原裕次郎となります......

    エースのジョーよ、さらば。

  • 逆さ言葉読みづらいし、美化し過ぎな感。
    興味深いのは裕次郎のくだりだけ。

  • 「どっきりカメラ」や「くいしん坊!万才」でしか馴染みのなかった著者だったが、日活映画でその演技を初めて観たとき、外連味たっぷりでありながらクールな存在感に軽い驚きを覚えた記憶がある。日本映画のビジネスとしての黄金期を躍動感溢れる文章で描き、細かい註釈もついた本作もまたクールだ。

  • 単行本刊行時には読み逃していた一冊。日活100年を記念して文庫化。
    実にいいところで終わっているが、完結編が出るんだとか。

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著者プロフィール

石原裕次郎、小林旭らとともに日活の黄金時代を支えた俳優。「エースのジョー」と呼ばれる。『拳銃は俺のパスポート』『殺しの烙印』など、代表出演作多数。

「2012年 『シシド 小説・日活撮影所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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