ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005613

作品紹介・あらすじ

小学4年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんが関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした。未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 是非、夏の暑さの中で読んで欲しい作品です。
    え?こんな所にペンギンが!?
    森見登美彦ワールド全開です。

    今のような蒸し暑い茹だるような夏ではなく、窓からサラッと風が吹き、カーテンから夏の太陽が感じるような爽やかな作品です。
    初恋の淡い気持ちも感じられます。

  • 不思議なひと夏の思い出。
    町に突然現れたペンギンたちとお姉さんの不思議な力の謎を、小学四年生のぼくが研究していく物語。
    ぼくは「おっぱいが好き」と素直に言えちゃうくらい真っ直ぐな男の子。
    クラスのガキ大将的な存在の子にも屈せず自分をつき通す強さも持っている。
    恋には疎く、好きな子にいじわるしちゃう恋心には気づかない。
    そういう真っ直ぐさが、清々しく、懐かしく、キラキラと眩しく、童心を思い出させてくれる。
    いいなぁ、子どもって。…なんて、大人だからそう思うけど、子どもからしたらその瞬間を必死に生きてるんだよね。
    ペンギンとお姉さんの謎。うん。不思議は不思議のままでいいのかも。いつかまた出会えるかもしれないものね。
    とても爽やかな気分になれるSF小説だった。

  • 小学4年生の主人公の言動とファンタジー性に入り込めず、読み進めるのに苦労し、何度も挫折しかけた。
    主人公は色々なものに興味を持ち、それをノートに書いて日々精進し、賢くなっていることを自覚する少年。賢さを維持するため甘いものが好きで、そのため歯医者に通い、そこに勤めるお姉さんと知り合う。お姉さんのおっぱいが好きで、お姉さんにも何度も注意される変な子供。
    ペンギンが突然街に溢れてその研究や、友人との川の源流探し、別な友人との森に現れた「海」の研究とか、色々な研究にハマってゆく。街は魔物の出現や海の膨張で大騒動になるが、主人公の研究で救われる。
    いじめや初恋のような甘酸っぱい出来事もあったりするのだが、ペンギンが産み出されてゆく謎や宙に浮かぶ海の謎など不思議すぎて、純粋な心を失った小生には楽しみ難い内容でした。

  • 久しぶりの森見登美彦。自分の中で伊坂幸太郎とともにハズレの無いワイルドカード。そして、やっばり面白くて読みやすい。

    大人になるまでの日数をカウントダウンし、毎日成長していくと決めている利発な少年アオヤマ君と歯科医助手として働くお姉さん。そんな2人を中心にペンギンの大量発生やら海(と呼ばれるもの)の出現やらとSFチックな現象事象が大発生。利発な少年アオヤマ君は友人達とその現象の解明に挑むのだが。。。。

    という感じのストーリー。
    SFは基本的に難しくて、読むのが遅くなるが本作は程よいPOP感と主人公のおっぱい好きという設定のおかげで詰まる事なく読め進められた。
    ひと昔の映画の感想で知り合いの女性が「おっぱいって言葉がですぎてなんか嫌」って言っていたが、
    まあ、ノイズに感じる人もいるだろうねー。
    自分も確かにこの要素のせいで、すこーし人に勧めづらいのかなあーと思ったりもしたが、読了した後に考えるとやっぱり、必要なのかもしれないと思い始めている。だって、その要素だけでだいぶ読みやすくなってる気がする。アオヤマくんが言ってた、
    「嫌な事があった時は、おっぱいの事を考える様にしている」というセリフは名言だし真理である。

    藤子不二雄の箱庭SF感を凄く感じる本作は、ペンギンの愛らしさも含め、アニメも是非見たくなってきた。また、少年の成長を感じるジュブナイル的な感覚もたまらない。

    森見登美彦作品はやっぱり、大好きだー!

  • とにかく探検とか秘密基地とか
    自分でルールを作るストイックな少年像に弱い自分は(笑)
    かなりハマりました♪


    SFの皮を被りながら
    終盤になるに連れて切なさが増す展開に
    久々に読み終わってしまうことの
    寂しさを感じた作品でもあります(>_<)
    (そして最後の二行であえなく涙腺崩壊…)




    主人公は
    研究が趣味な、
    小学4年生の「ぼく」こと
    アオヤマくん。


    スズキ君帝国初代皇帝で(笑)
    イジメっ子の
    スズキ君。


    栗色の髪と
    透けるように白い肌のクラスメートの
    ハマモトさん。


    「ぼく」と秘密地図を作る
    探検隊の相棒で
    ブラックホール好きの
    ウチダ君。


    そしてすべての秘密の鍵を握る、
    不思議な力を持った
    歯科医院のお姉さん。



    物語は郊外の住宅地に突如現れた
    ペンギンたちの謎に迫る
    アオヤマ少年と仲間たちの冒険譚と、

    切な過ぎる初恋の記録です。



    秘密基地や探検ごっこで遊んだ記憶のある人なら
    懐かしさで
    微笑ましくなるだろうし、

    子供たちが死に怯え
    死に捕らわれてしまう場面は
    スゴく共感できました。



    パンが美味しい喫茶店「海辺のカフェ」での
    お姉さんとのチェスシーンが
    どこか詩的でなんとも印象的だし、

    アオヤマ少年とお父さんの
    凛とした信頼関係が
    またカッコいいのです♪
    (行く先を決めないあてのないドライブや子供扱いしない会話など)




    実験が大好きで、
    常におっぱいのことを考えてしまうアオヤマ少年は
    もしかしたら
    森見さんの子供時代そのままなのかも(笑)



    抜けていく乳歯と引き換えに
    少しずつ大人へと成長していく少年。


    どんなに楽しくても
    夏休みは必ず終わりが来るという真理。


    好きな人を守り抜くために
    自分のルールを貫きひた走る
    アオヤマ少年、


    誰がなんと言おうと
    君は断然カッコいい!


    胸を張るのだ、少年!
    (お姉さん風にね笑)




    SFで
    哲学的なメッセージをエッセンスにしながら、
    少年の大人への旅立ちを描いた
    実はハードボイルドな
    切ない傑作です!


    途中で投げ出しちゃった人、
    最後まで読んでみて!(笑)

    • 円軌道の外さん

      紫苑さん、コメントありがとうございます!


      あはは(笑)
      作家でも
      合う合わないってありますもんね(^_^;)

      け...

      紫苑さん、コメントありがとうございます!


      あはは(笑)
      作家でも
      合う合わないってありますもんね(^_^;)

      けど自分もこの作品は
      いつもの森見作品とは違った文体やし、
      主人公は子供やし(笑)
      京都やないしで、
      違和感感じながら読んでたら
      途中中だるみして
      読むの止めそうになったんですよ〜(笑)

      自分の読書友達でも
      挫折した人沢山いたし(笑)
      だから気にすることないですよ(^_^)v


      とりあえず頑張って最後まで読めば
      御褒美があるんで(笑)
      爽やかに泣けると思います♪


      また是非是非
      トライしてみてくださいね(*^o^*)


      2013/02/05
    • 円軌道の外さん

      マリモさん、
      コメントありがとうございます!

      おおーっ
      さっすが読書家
      仕事が早いですね〜(笑)(^O^)


      刊...

      マリモさん、
      コメントありがとうございます!

      おおーっ
      さっすが読書家
      仕事が早いですね〜(笑)(^O^)


      刊行されてすぐに
      読まれたんですね♪


      しかし、アオヤマくんは
      こまっしゃくれた子供で
      子供らしくない
      理屈っぽい子供なんやけど、
      (マリモさん御指摘のように
      過去のモリミー作品の誰よりもホンマ知的な主人公でしたよね笑)


      最後の告白には
      やられましたよ(泣)

      『うんうん、
      そうやってみんな、
      大人になって行くんやで〜』
      って
      頭ヨシヨシしてあげたくなりましたもん(>_<)


      頭は良くても
      心はまだ子供なんやな〜って
      自分の初恋が走馬灯のように
      よぎっては消えていきましたよ(笑)


      2013/02/05
    • aoichikyuさん
      書かれてあった

      “秘密基地”

      に反応しました。。。


      もともと、ペンギンにもよわいので
      氣になってしまい。

      どう...
      書かれてあった

      “秘密基地”

      に反応しました。。。


      もともと、ペンギンにもよわいので
      氣になってしまい。

      どうしようか・・・と思いつつ登録を。

      読みたい本だけぽこぽこ増え、
      読むペースはついてゆかず。
      まあ、いろんな本との接し方あるかなと
      ゆるやかにいきてます。


      少年時代に戻ってたいせつなものを
      見つめなおす時季なのかもしれません。

      素敵なおはなしをありがとうございます。
      2018/08/19
  • 2010年の日本SF大賞受賞作品。森見登美彦は主人公に◯⚪︎◯◯言わせすぎw。

  • SF世界観が素敵でした!コミカルな要素が豊富で読み出すと止まらなくなるほど面白かったです!
    少年達の止まらない探究心や熱心な研究感動に感心されたのと、偶に普通の小学生とは違う生意気な面もあり、思わず笑ってしまう場面もありました笑
    笑いあり、涙ありの物語であり、色んな事が起きてどうすればいいのか分からない今だからこそ、1日大切に生きようと思い、元気を貰った本です✨️

  • 眩しい夏の日をすごした少年が大人になっていく物語のように感じた。
    とてもステキな初恋の物語だった。

    物語は...
    ぼく(アオヤマ君)は小学校4年生で、郊外の住宅地に住んでいる。偉い人になるために努力を欠かさない。そして、歯科医院の「お姉さん」のことがとても気になる。
    ある日、街にアデリー・ペンギンの群れが現れた。
    ペンギンがどこからきたのか、調べ始めたぼくの前で不思議なことが起こった。あのお姉さんがコーラの缶を宙に投げ上げると、それがペンギンに変わったのだ。
    お姉さんはぼくに言った。「この謎を解いてごらん」と...

    前半部分はなんか読みづらかった。
    しかし後半になるにつれ、青春であり、SFであり、ファンタジーであり、ミステリーであり、興味が湧いてきた。
    おもしろくなってきた。

    お姉さんが気づいていくセリフがとても切ない、哀しい。
    「もし私が・・・」
    「そろそろ・・・」
    「私も、私の思い出も、みんな・・・」


    とてもステキなラストでした。

    アオヤマ君は大人の階段を一気に駆け上がっていく。
    お姉さんと約束したから。
    お姉さんが待っているから。
    お姉さんは「大人はひいきしないとだれが決めた?」と笑いながら、ひいきしてるから、君を、ずっと。
    君だけが私を見つけてくれると信じて待っているだろうから、きっと。

    月とともに。

    そんな気がした。


    「・・・。そしたら私を見つけて、会いにおいでよ」
    「ぼくは会いに行きます。」

    ふたたび巡りあう本当のラストを想像した。
    そんな余韻を残して、私は本を綴じた。

  • お姉さんのような余裕のある人になりたいと子どもの頃に思っていたなあと懐かしく感じた。でもストーリーが進むとお姉さんの存在は予想の斜め上をいく。登場人物すべてが魅力的で、森見登美彦さんは愛されキャラ生み出しマシーンだと思った。

    これからもどんどん森見作品を読み進めたい。

  • 景色が白く飛んでしまいそうな初夏の「郊外の街」。小学校4年生のアオヤマくんと、歯科医院のお姉さんのお話。
    SFに免疫がないので、想像力を総動員させました。そこは私の努力次第ですが、とても良いお話でした。

    今だって一日一日成長しているはずなのに、小学生の頃のほうが、毎日をもっと精一杯、頭を使って生きていた気がします。アオヤマ君のように。
    切ない経験は、アオヤマ君をとても立派な大人にするのでしょうね。アオヤマ君の願いが叶うよう、私も願うものです。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生駒市に生まれる。小説家。『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー、最新作は『シャーロック・ホームズの凱旋』。好きな食べ物はチャーハン。城崎にて人生初のスマートボールを楽しむ。

「2024年 『城崎にて 四篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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