星に降る雪 (角川文庫)

著者 : 池澤夏樹
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2013年2月23日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005651

作品紹介

電波天文台カミオカンデ。チェレンコフ光が燦めく様を夢想する男、田村のもとに、かつて雪山事故を共にした亜矢子が訪ねてくる。恋人を失った女と親友を失った男。あの時、何が起こったのか-(「星に降る雪」)。クレタに住みつき、礼拝堂の修復をしながら寡黙で質素な生活を送る石工。重い過去を背負った男の選んだ償いとは(「修道院」)。激しい懊悩に取り憑かれた男が生の中に見出した、奇妙な熱情を描く、精緻な中篇集。

星に降る雪 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ちょっと辛い評価になってしまったが、「星に降る雪」という標題作に対するもの。敢えて★とした。
    というのは、私には、この中篇小説のよさが理解できなかったから。中途半端に★★★や★★とする理由が見つからなかった。
    意図したところは理解できた。文体には三人称が採用され、主人公ら3人を客観的に描こうということはわかった。
    そうして、雪崩れで死んだ親友・恋人が、星になったという童話めいた話が登場する。そのことを確かめるために、2人は性交する。そういった話。
    この中篇は、本当にそこで終わっている。でも、主人公の男性は彼女に対して欲情することができなくて、別れる。そうして、野辺山、神岡を経て、アタカマへと向かうという結末。
    一体、どこに視点を置いて読めばよいのかが、私には理解できなかった。恐らく意図して描写は最小限に削られている。具体的な地名は登場するが、描写は素っ気ないもの。
    いわゆる濡れ場にしても、リアリティを伴っていないし、女性が語る遍歴?にしても陳腐さを感じる。イタリアの手品師と、そんなに情熱的な恋をした、というなら、もっと違った描き方もあろうと。それほどに、激変したというのか。
    と、読めば読むほど、私には理解できない世界が開けて行く作品だったとしか言いようがない。

  • ・かつて人は夢を見ることができたし、夢を交換することもできた。星からのメッセージを間違いなく聞き取ることができた。だからそのメッセージを土台にして作られた昔の宗教は本当に人を救う力を持っていたし、人はどんな暴力の中にあっても救いを信じることができた。今はそうじゃない。今はなにもかも駄目だ。


    ・これでいいんだ。
    ずっと気づかないまま、おまえはこれを待っていた。そういうことだった。
    この啓示の準備のためにあの雪崩はあった。メッセージはこういう形で届けられる。それを待て、とあの雪崩はまず予告として伝えた。だから今夜、誰かに誘われるようにここまで出てきた。この星空に会いに来た。
    やがてもっと明快なメッセージが来る。
    それを待てばいいんだ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    電波天文台カミオカンデ。チェレンコフ光が燦めく様を夢想する男、田村のもとに、かつて雪山事故を共にした亜矢子が訪ねてくる。恋人を失った女と親友を失った男。あの時、何が起こったのか―(「星に降る雪」)。クレタに住みつき、礼拝堂の修復をしながら寡黙で質素な生活を送る石工。重い過去を背負った男の選んだ償いとは(「修道院」)。激しい懊悩に取り憑かれた男が生の中に見出した、奇妙な熱情を描く、精緻な中篇集。

  • 「スティルライフ」と同じムードと聞いたので読んだ。確かに!と色めき立ちつつ読んだが、結局後味は全く違った。「スティルライフ」に女性が登場すると本作になるという感じ。女性というか、「わからない」第三者というか。
    通じ合う者同士で完結していた「スティルライフ」の方がやはり静謐で美的に映った。

  • 表題作も良かったが、「修道院」がまた良い。

  • そういう世界もあるんだなということを本を読むだけでも知ることができる(現実にあるかはともかくとして) 池澤さんの作品は「キップをなくして」しか読んだことがないので「スティル・ライフ」とかも読んでみようと思う。

  • 「修道院」が印象的な話だった。

  • 表題作と「修道院」という二つの中編を収録。どちらも、親友の死に対峙する心を描いたものだが、非常にストイックな内容で読んでいて心が苦しくなる。

  • 「星に降る雪」と「修道院」の2篇。

    ■星に降る雪

    山奥で観測機器をメンテナンスする田村のもとに、亜矢子が訪ねてきました。

    雪山で死んだ新庄哲之は田村の親友、亜矢子の恋人でした。新庄を挟んで向かい合うように、田村から見えた新庄、亜矢子から見えた哲之を語り合います。

    ■修道院

    ヨーロッパの大学で教える「私」は夏休みにギリシャのクレタを訪れます。
    修道院で見つけた石の銘板に刻まれた言葉についてカフェの老婆に尋ねると、ミノスという男の修道院修復の話を聞かされます。

    黙々と修道院を修復する男の姿と、その訳も知らずに男の打ち込む姿に惹かれる姉弟の姿は、人間臭くありながら、神の存在を感じます。

    一方は信じるものが自らの直観、
    他方は神を感じつつ親友と語る信仰と後悔、
    どちらも、静かに丁寧につづられた文章で、人の及ばない力を持つものの存在を信じる姿が浮かびあがります。

  • もっと大自然の中での雄大なおはなしを想像していたら、中編二篇とも一貫してけっこう男女の微妙で繊細、時には大胆な揺れ動きをえがいたものでびっくりした。星に降る雪、も良かったけれど、二篇目の修道院が最高。日本人以外を主人公に置くというのはそれなりに難しいだとはおもうけれども、そういった国籍とかを全く超越した神話性と現実味を合わせた異色なおはなし。こういう側面もあるのか、と改めて池澤夏樹の底しれなさというか、根のなさみたいなものに触れて、本って面白いなあと感じた。

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