球体の蛇 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006191

作品紹介・あらすじ

幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう-。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 道尾作品、12冊目の読了となりました。

    悪くない、悪くはないんですが、本作の読後評価も残念ながら☆3つ。

    ミステリー作品に青春物と恋愛物をMIXしたような作品に仕上がっていました。

    嘘、嘘、嘘、...

    大切な人の為についた嘘、その結果が他の人を苦しめることになることを、嘘をついた時には気づかない。

    それぞれが嘘をつくことで抱える苦悩。

    それは見事に書き切ったと思います。

    本作の主人公は17歳の高校生友彦、

    説明
    内容紹介
    あなたが殺してくれたのね

    あの頃、幼なじみの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった……狡い嘘、幼い偽善、決して取り返すことのできないあやまち。矛盾と葛藤を抱えて生きる人間の悔恨と痛みを描く、人生の真実の物語。
    内容(「BOOK」データベースより)
    幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう―。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。
    著者について
    ●道尾 秀介:1975年東京生まれ。2004年「背の眼」で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。05年『向日葵の咲かない夏』で注目を集める。07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、10年『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    道尾/秀介
    1975年生まれ。2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。07年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞を受賞。09年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞。10年『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞、『光媒の花』で第23回山本周五郎賞を受賞。11年『月と蟹』で第144回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • オススメ!
    グイグイ読ませる、真相が知りたくてページを捲る手が止まらなかった。道尾先生、さすがです!

    嘘は悪いのか? 誤魔化す嘘、保身の嘘、策略の嘘、相手を想いやる嘘。

    家庭事情で中学〜高校時代を隣人宅で暮らすことになったトモ。トモの回想から始まる話は、隣人宅の姉妹、サヨとナオ、父親の乙太郎一家を襲った悲劇が根幹。

    「人は自分だけの物語を生きている」これは『向日葵の咲かない夏』でも感じた作者からのメッセージ。

    不気味なスノードームの球体、『星の王子様』のアイテムもスパイスとして効いている。読了感はなぜか良い(^^)

  • なんとも、かなしい。もう何もしんどいもの出てこないでと思いながら読みました。最後は少しほっとしました。
    それにしても床下のたくさんのカマドウマ…無理です。。

  • 読後、球体の蛇というタイトルに納得した。
    主人公が見聞きしたものが嘘なのか、主人公が考えたことが嘘なのか、何もかもが信じられない。
    曖昧なものが思いの繰り返しによって本当のようになっていく。
    想像や思いの中で物語が動いていくので(回想ってことじゃない)、まさに球体に閉じ込められたようだった。

    静かに進む出来事を不思議に眺めている、そんな気持ちで読み進めた。
    その感覚もまた、球体を見つめているようだ。

    最後の一行がとても印象的。
    そもそも終盤も印象的。

    奇妙な作品だったと思った。

  • 最近読んだ中小説の中で一番好みな作品。
    実に美しく物語が展開され、また収束していく。
    終盤ギリギリまで本当に救いようが無い息苦しさを感じさせ、最後は読者に任せる形を取っていたのも良かった。
    小賢しい人間に特に刺さる傑作だと思う。

  • 自分が殺した人。
    自分が殺す原因を作った、あの人。
    罪なき失敗を殺人と見なし、殺してしまった自分。

    そして、誰かを守るための嘘。

    少し沈んだ調子で物語は進むが、読後感は爽やか。彼らの明るい未来を祈らずにはいられない。

  • ひたすら「え?」の連続。誰のために口を閉ざしたのか。誰もが真実を見ていたような気もするし何も知らない気もする。最後、二人は本当に幸せなのか?それすらよくわからない。

  • さすが道尾先生というか、このもどかしさとやりきれなさから更にずぷりと沈め込まれるような痛み、心グサグサやられてしまう。毎回しんどさのメーター振り切れるんじゃないかってくらいなんだけど、これがクセになるんだっ。やめられない重痛の魅力。
    主人公の床下の行動は乱歩作品みたいな変質っぷりだなぁと引いてしまいましたが(笑)
    タイトルへの繋がりが出てくるたびにいつも成程、と息が漏れます。こんな自分が嫌なのに、嫌だから更に上塗りしてまた嫌だなと嘆く。誤魔化しながら、言い訳しながら、欲に手を伸ばして。主人公のみならず、自分までグサグサ刺される。
    重なる嘘は、どれがどこから何が嘘で真実だったのか。その明確な答えはないまま、曇天の心にずっと小さな痛みの塊を感じながらの終幕は重い余韻。
    妊婦からゾウ、蛇、球体と表す流れが好き。主人公が球体の内部に感じたものに、ずっと包まれていたいか否か。やはりはっきりと答え難い。

  • 幼なじみの死の秘密を抱えた17歳の「私」はある女性に出会い惹かれる。その時言えなかった些細な真実が誰かを傷つけるなんて考えもせずに…。
    狭い世界でのたうち回る蛇のように、互いの嘘で傷つき傷つけあってしまう。最後の展開が救いだったのかはちょっと考えてしまうな。
    終始釈然としない主人公に苛立ちながら、妙に人間臭さも感じてしまった。

  • 暗くて切ない物語
    テーマは「嘘」
    幼いウソと過ちの連鎖が人生を変えていく。
    本作も、文芸作品的な文体なのですが、この文体って嫌いなんだよなぁ(笑)

    ストーリとしては、うまく語ることができない(笑)
    主人公は、両親の離婚により、サヨの妹のナオと父親乙太郎と同居しているトモ。

    サヨは幼いころから、残酷ないたずらをする性格。
    ある時、サヨとナオと乙太郎と妻逸子とトモでキャンプに行ったときに悲劇が起こります。
    サヨとナオをテントに残して夜のドライブに行ったときにテントが火災。
    子供を助けようとして全身やけどを負った逸子は死亡。
    ケロイドの傷跡を負ったサヨはその後自殺
    その責任を感じる父親乙太郎
    その自殺の原因を造ったと思っているトモ

    そんな設定の中、
    サヨに似ている智子にトモは惹かれ、智子が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込みます。
    智子はその家で先生といわれる男といやいや関係を持たされている。
    そして、ある時、床下に潜り込んでいたときに、その家が火事に。
    それを機に二人は付き合うようになります。
    そして、ある時、智子がいやいや関係を持たされている原因をトモは知ることになります。
    ここから話は急展開!

    トモと智子の関係は?
    トモとナオとの関係は?
    そして、テントの火事の真相は?

    最後の最後はちょっと救われた気分

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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