- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041006191
感想・レビュー・書評
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どれが真実で嘘なのか。相手のためか自分のためか。モヤモヤしたものがずっと胸にくすぶり続けた。
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なにが真実でなにが嘘なのか。分からないままだけど、それぞれの人生を生きていかなければならない。最後まで飽きることなく読めました。ただ、登場人物一人一人に共感はできなかった。
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「月光」がよぎった。
何が嘘で何が本当なのか分からないけれど、嘘だろうが真実だろうが、吐いた相手と吐かれた相手が同じ気持ちになることはないよなぁ…。
終わり方には少しだけれども安心できた。 -
「道尾秀介」の長篇作品『球体の蛇』を読みました。
『鬼の跫音』、『龍神の雨』に続き「道尾秀介」作品です。
-----story-------------
あの頃、幼なじみの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった……。
狡い嘘、幼い偽善、決して取り返すことのできないあやまち。
矛盾と葛藤を抱えて生きる人間の悔恨と痛みを描く、人生の真実の物語。
1992年秋。
17歳だった私「友彦」は両親の離婚により、隣の「橋塚家」に居候していた。
主人の「乙太郎さん」と娘の「ナオ」。
奥さんと姉娘「サヨ」は7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。
どこか冷たくて強い「サヨ」に私は小さい頃から憧れていた。
そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。
「乙太郎さん」の手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだ「サヨ」によく似た女性に出会う。
彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。
呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない―。
青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。
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「道尾秀介」が、初めて「ミステリーではない」ことを意識して執筆された作品らしく… ちょっと物足りなさを感じましたが、『龍神の雨』と同様に、うまーくミスリードさせられ、物語が二転三転する展開だったので、序盤から終盤まで緊張感が途切れず、愉しく読めました。
父親が家族に全く感心のないことが原因で両親が離婚… 父親と暮していた「友彦」は、父親が東京へ転勤した際、一緒に東京へ行くことを拒み、幼い頃から親しくしていた隣家の「橋塚家」に居候して高校生活を送っていた、、、
「橋塚家」の家族は、白蟻駆除の仕事をしている父親「乙太郎」と娘の「ナオ」の二人… 7年前、キャンプ場でテントが火事になった事件で「乙太郎」の妻「逸子」は亡くなり、顔に大火傷を負った「ナオ」の姉「サヨ」は、事件後に自殺していた。
「友彦」は、小さい頃から「サヨ」に憧れていたが、火傷を負った「サヨ」に対し、憐れみや同情の気持ちが強くなり、その気持ちを「サヨ」に話した直後に「サヨ」が自殺したことから、自分のせいで「サヨ」は自殺に追い込まれたと思い、そのことは誰にも言えず、自分の中で抱え込んでいた、、、
土日に「乙太郎」の仕事を手伝い、白蟻駆除や点検で家々を訪ねるうち、「友彦」は「サヨ」に似た女性「智子」と出会い、彼女に強い魅力を感じた「友彦」は、夜な夜なその屋敷の床下に忍び込み、「智子」と屋敷の老主人「綿貫」との情事を盗み聞きするようになる。
そんなある夜、「友彦」が、いつものように床下に忍び込んでいたところ、屋敷が火事になり「綿貫」は焼死… 床下に「友彦」が忍び込んでいたことを知っていた「智子」は、自分を「綿貫」から救うために「友彦」が放火したのだと思い込み、二人の関係は急速に親密になっていく。
「智子」の勘違い… そして、それを否定せず、「智子」に近付きたいがために、自分がやったように仄めかす「友彦」、、、
これが悲劇の始まりになるんですよねぇ… この後は、暗く哀しい展開が続きます。
「智子」は、「友彦」を守るために「乙太郎」を持ってしまい、「友彦」は、その現場を目撃、、、
さらに「智子」は、7年前のキャンプ場の火事は自分の煙草の不始末が原因と当時の教師「綿貫」に信じ込まされ、身体の関係を強要されていたことを告白… 「友彦」は、「智子」のせいで「逸子」が亡くなり、「サヨ」が自殺したことを知り、「智子」を罵倒して、彼女の部屋を後にする。
思いやりの嘘や狡猾な嘘、同情に満ちた言葉、怒りの感情を抑えきれない言葉、そして胸に秘めた隠された事実… これらの言葉が相互に作用して、複雑に交錯、、、
「智子」は自ら命を絶ち… と、負の連鎖を生み出すんですよねぇ。
終盤では、「ナオ」の証言から、キャンプ場の火事は、「智子」のせいではなく、「サヨ」がテント内で花火に火を点けたことや、「サヨ」の自殺は「友彦」の同情とは関係なかった… ということが明らかになり、「友彦」は「ナオ」と結婚・妊娠と、二人の幸せな生活を予感させるエンディングでしたが、、、
これも、「友彦」のことを自分のものにしたい「ナオ」の嘘だったのかもしれない… という、微かな不安を含んでおり、読み手によって、色んな解釈の仕方のある物語だったと思います。
複雑な余韻の残る作品でしたね、、、
この作品には、嘘を抱えた人間がたくさん出てくるのですが、良かれと思った嘘のせいでお互いを思いやる気持ちにズレが生じて、すれ違ってしまう… 本心でぶつかることを恐れたことにより誤解が生じているんですよね。
これって、事の大小はあるけど、現実世界では日常茶飯事として起こっていることなので… 身近な自分の行動に置き換えて、一つひとつの言葉の大切さや、影響の大きさについて、考えさせられました、、、
摩擦を恐れて誤魔化すばかりじゃなく、本音で、本心でぶつかることも必要なんだと改めて感じました。
本作品、ミステリ的な要素を残した、青春小説、恋愛小説として巧く仕上がっていると思います… 「道尾秀介」の新しい境地かな、、、
でも、個人的には、もっともっとミステリ色の強い作品を描いてほしいと思います。 -
真実なんてどうでも良くて、登場人物それぞれが思い悩みながらベストな答えを考えて生きている。結局それがうまく絡み合わなくて、それぞれが苦しい思いをしてしまう。息苦しさを感じる作品でした。
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道尾秀介さんはどんでん返しミステリのイメージが強かったのですが、本作は一味違った作品でした。
序盤の、先が気になる展開は好きでした。
しかし、2章、3章と進むにつれてだんだん重たくなっていくのが辛かったです。とはいえさすが道尾さん、ずっと先が気になる展開が続くので、だれることなく読み進めることができました。
元気がある時に読むことをオススメします!笑 -
この本は電子ブックとして図書館に所蔵されています。紙の本は所蔵がありません。閲覧する場合は以下のURLからアクセスしてください。
https://web.d-library.jp/kokushikanlic/g0102/libcontentsinfo/?conid=155254
(LibrariEを利用するにはIDとパスワードを申請する必要があります。申請方法は図書館のHPからご確認ください。
https://www.kokushikan.ac.jp/education/library/librarie.html ) -
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(LibrariEを利用するにはIDとパスワードを申請する必要があります。申請方法は図書館のHPからご確認ください。
https://www.kokushikan.ac.jp/education/library/librarie.html ) -
図書館で見かけて借りてみた。
ちょっと特殊な環境にいる主人公が、周囲の人々の言動に心乱されて、人生を歩んでいくが、大事な局面で裏にあった事実を後から知るという話。
どんでん返しとかいい意味での裏切りを期待して読んでいたが、大したことなくてがっかり。主人公の生きている世界が狭い。ずっと暗くて重い。 -
「あのころ世界には、大人と子供しかいなかった。男と女なんてなかった。両親や乙太郎さんや逸子さんは単に大人で、自分たちは単に子供だった。」