零戦 その誕生と栄光の記録 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 891
レビュー : 114
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006238

作品紹介・あらすじ

世界の航空史に残る名機・零戦の主任設計者が、当時の記録を元にアイデアから完成までの過程を克明に綴った貴重な技術開発成功の記録。それは先見力と創意、そして不断の努力が見事に結晶したものであった。「われわれ技術に生きる者は、根拠のない憶測や軽い気持ちの批判に一喜一憂すべきではない。長期的な進歩の波こそ見誤ってはならぬ」日本の卓越した技術の伝統と技術者魂を見直すことが問われる今こそ、必読の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 映画「風立ちぬ」の主人公のモデルとなった堀越二郎が、自ら零戦の設計について語った一冊。

    零戦の設計にかかわる道のりに軸が定められており、まるで非常に完成度の高いドキュメンタリー番組のよう。設計のプロセス、チーム内の人間関係と役割分担、各部品の役割から過酷な要求へ答えていく工夫まで、その挫折と成功が詳細に語られる。飛行機の速度や振動数など、初めて知る数字がたくさん出てくるものの、とてもわかりやすく、また細部を語れば語るほど、携わった人々の濃密なドラマも次々とこぼれ出していく。ページをめくる手が止まらなくなってしまう。

    当時は、どの国においても、最高の技術を追い求める人々は、戦争関連の開発に携わっていた時代。それを、現在の視点から、人を傷つける道具を作ったんだ、と簡単に否定するようなことはしたくない。
    でも、それでも、零戦の撃墜数を誇らしく語る彼の口調がつづくと、嫌悪感と悲しさが募って読み飛ばしたくなる。そんなの全然かっこよくない。所詮は戦争の道具なのだと思ってしまう。彼の功績が、戦後の日本の発展に生きているだろうこと、別の時代でも大活躍していただろうことは、わかるんだけれども(戦闘機だからこそかっこいい、という感覚もあるのもわかっているんだけれども)。とても面白かった一方、そんなもやもや感が残る一冊だった。

    そういう、歴史や戦争を学ぶときにいつも抱く複雑な気持ちを、もし風立ちぬを観て初めて抱く人たちがいたのなら、この映画の功績は計り知れないんじゃないか、すごいことなんじゃないか、と思う。
    そして、読んでいて、永遠のゼロの、戦闘機乗りの思いをいくつも思い出した。航続距離を誇らしげに語るあたりは特に胸が痛んだ。これも映画が楽しみ。

    • daidai105さん
      このレビュー良い!!私も、『風立ちぬ』観てから、この本を読みましたよ。
      このレビュー良い!!私も、『風立ちぬ』観てから、この本を読みましたよ。
      2013/08/31
  • 零戦と言われて、何を想像しますか?と聞かれたら、自分の場合は、神風特攻隊と答えます。
    戦争の道具として、使われたのが、非常に惜しいと思います。しかし、戦争で使用するから、
    この稀代の名機は生まれたのかもしれません。

     海軍司令部の無茶苦茶な要求以上のモノを発明した堀越氏の努力と想像力は、凄まじいものがあります。
    ただ、戦闘機は人を殺す道具です。それでも、作らなければならなかったのは、非常に不幸だと思います。

     戦争を2度やってはならないが、それを忘れてもならない。
    おそらく、堀越氏は、この本を書く事で、日本人にいつまでも、零戦で散っていた人、殺された人へ
    技術者として、「できること」をしたんだと思います。

  • 零式艦上戦闘機

    航空機史上、世界で最も有名と言っても過言では無く、またその優秀さは戦後、アメリカが日本の航空機開発を禁じた事からも明らかであろう。
    その主任設計者自らが、構想から実戦投入までを克明に記載したのが本書である。
    軍部から幾つもの不可能と思われる性能要求を突きつけられたにも関わらず、決して諦める事無く、妥協せず、しかし適切に優先順位を熟慮して、稀代の戦闘機として具現化したその精神、姿勢は、私も同じ技術者の端くれとして正に鑑とするものであり、未だに日本のモノづくりの精神として継承されていると信じたい。

    最後に著者の言を引用する。
    「私の武器は、納得がゆくまで自分の頭で考えることだった。裏づけのない議論のための議論はきらいで、実物と実績で見てもらいたいという主義だった。」
    「技術者の仕事というものは、芸術家の自由奔放な空想とはちがって、いつもきびしい現実的な条件や要請がつきまとう。しかし、その枠の中で水準の高い仕事をなしとげるためには、徹底した合理精神とともに、既成の考え方を打ち破ってゆくだけの自由な発想が必要なこともまた事実である。」
    正に至言である。

  • プロジェクトXを読んでいると、車、新幹線、航空機(YS11)日本技術の黎明期に活躍した人達の多くが零戦や戦闘機製作に関わった技術者がおおいのに気づいた
    いわば メイドインジャパンのルーツ的なプロダクトなのかもと思って 読んでみた(ちなみに、若い頃 風たちぬはよんでいた)
    やはり まさに プロジェクトXに共通する 飽くなき技術の追求、試行錯誤、そして創造的な工夫によって 当時世界一の航空機(戦闘機)を実現している

    あくまで技術者として書かれている点が非常に共感をよぶ著作でした

  • 『設計者のモノガタリ』
    宮崎駿の引退発表の翌日の朝、風立ちぬを見に行かねば!と思い、この本を少し読みかけてから映画館に行った。それから毎日チョビチョビ読んで約1か月かけて読了。戦闘機の開発の様子がわかり、新鮮な驚きの連続だった。読んでるだけで胃が痛くなりそうな要求を解決していく過程も面白かった。日本の技術に乾杯!(ところで、MRJはどうした?)

    堀越二郎は、設計・開発に卓越していただけでなく、説明能力も凄い。 当時の軍や三菱重工(の前身)や飛行機の技術など全然知らない者にもスムーズに読めるように書かれている。

    角川文庫で読んだのだが、解説は宮崎駿と関わりのある編集者の人が書いており、そちらの情報も興味深かった。宮崎監督曰く、堀越二郎には熱狂があったはず・・・と。 月刊モデルグラフィックス紙上で、『妄想カムバック 風立ちぬ』というマンガを連載をしたそうだ。単行本になっていないようだが、出版されたらこちらも読んでみたい。

    子供の時に、プラモデルの透明ゼロ戦を作ったのを思い出した。52型となってたと思うが、やっと意味が分かった。当時はマンガでもゼロ戦はかなりポピュラーなものだったが、最近の子供は知らないだろうなと想像。 零戦という言葉自体もン十年ぶりに聞いたような気がする。

  • 零戦の開発の様子が、開発者らしく描かれている。心のどこかで期待していた零戦を作ったことの痛みと言ったものは描かれておらず(それは私の身勝手な思い)、神風への心痛が紙面をさほど割かずに描かれていた。
    宮崎駿「風立ちぬ」を観たり、百田尚樹「永遠のゼロ」を読んでいたので、開発者の視点からの零戦は新鮮であり、かつ、私にとってあの時代が少し立体的なものになりました。
    零戦の開発はそれ自体すごくて、その知識や取り組みや勇気といったものに尊敬し、かつ勇気づけられます。

  • 科学技術で生きていく人間にとって、最後の章だけでも、読む価値がある。しかしその最後に凝縮された彼の技術への思いについては、その前の章…彼が半生を捧げ開発設計した零戦の誕生とその活躍、そして悲痛な最期を知らなければやはり伝わるものも伝わらなくなってしまう。

    堀越氏の人柄の良さ、美しい飛行機への熱狂が、本の隅々までを彩る。素晴らしい本だった。

  • 零戦の設計主任を務めた堀越二郎の自らの手による開発記録史ともいうべき本書。長らく廃刊となっていたが、このほど復刊された。
    零戦の開発前夜、海軍より提示された要求仕様は、当時の戦闘機の常識を大きく超えるものであった。特に、一般にトレードオフ関係にあるとされる航続距離と空戦性能の両方において、世界最高水準の達成が必達目標とされたのは重要である。これに対し、堀越二郎は「設計のしきたりや規格を、神格化して鵜のみにするようなことをやめて、その根拠を考え、新しい光を当ててみたらどうだろうか」という飛躍的な発想により、当時の設計基準の枠を超え、安全率の合理的な引き下げという解を導き出して見せた。
    過去の経緯や規格に従った設計は簡単だけれども、大きな飛躍を達成することは難しい。自分も技術屋の端くれとして、設計手法の根拠を常に疑う姿勢を忘れてはならないと、痛切に感じた。
    文句なしの名著である。

  • ジブリ映画「風立ちぬ」に先立って読み始めたが、読了は本日となった。技術の進歩の陰に戦争があるのは悲しむべき事実だが、海軍の示した無理難題をこの設計チームは叡智を結集して実現させた零戦の物語に感銘を受けた。特に技術的な話はたいへん面白く、同時期に購入した『風立ちぬ・美しい村・麦藁帽子』がなかなか読み進められず困っている。

  • 零戦が、当時、一時ではあったにせよ、世界最高の戦闘機であったことが、良く分かる。

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