- 角川書店 (2013年1月25日発売)
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感想 : 85件
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784041006528
作品紹介・あらすじ
寄せては返す波のような欲望に身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂のありようを、北海道の風景に託して叙情豊かに謳いあげる。
感想・レビュー・書評
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寄せては返す波のような欲望に身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。
安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂。
とても素敵な角川の紹介文、引用させていただきます。
そんな人々の“どうしようもなさ”と“それでも生きていく姿”を、北海道の風景に託して叙情豊かに描き出す七つの短編。
「波に咲く」
中国人妻との静かな生活を守ろうとする畜産業の青年。寂しさを封じ込めているのは日本の女だけではない。青年にも言葉にならない悲しさがあるのが見えてくる。
「海へ」
クズ男に貢ぎ、身体を差し出す女。
やがて 彼女は彼らを捨てて離れていく。
“ん、それが良い”と思える、ささやかなカタルシスがある。
「プリズム」
この短編が最も印象的。
クズ男に美人局を仕向けられる女。その気持ちの受け口になったのが、新しいクズ男。
光を屈折させるプリズムのように、彼女の人生も斜めに歪んでいく。という意味にとったんですが。
「フィナーレ」
ストリッパーと地域記者の淡く静かな恋。
すすきのを離れ、別々の道を歩むことで、ようやく得られる穏やかな生活。
“終幕”とは、必ずしも悲しいものではないのだと感じさせる。
「風の女」
12歳で家を出た姉が、遺骨となって戻ってくる。
書家として将来を期待されていた姉が、その才能を隠し生きた道。その理由に想いを馳せる妹の静かな揺れも少し哀しげ。
「絹日和」
着付師になる夢を諦め、廃坑のクズ夫について行った女。生き方どころか意志までも手放していたが、人生の再生へと小さな賭けに出る。
「根無草」
生活力のない父と共に転々としてきた少女は、やがて記者となる。
子どもの頃の記憶に残る男との再会をきっかけに、自分の生き方をようやく選び取る。
“根無し草”であることの痛みは、最期まで。
どの短編の人物も、夜にひっそりと咲く花のように、誰にも気づかれない場所で自分の人生を生き抜こうとしている。
作者は彼らに過度な救いは与えない。
それでも読み終えたあと、女性たちの強さが印象的。それがこの短編集の魅力。
詳細をみるコメント11件をすべて表示-
おびのりさんクズ男にクズ男を被せてきますクズ男にクズ男を被せてきます2025/11/29 -
みんみんさん波に咲くの両親も酷かったな笑波に咲くの両親も酷かったな笑2025/11/29 -
おびのりさん両親も町の人も酷かった両親も町の人も酷かった2025/11/29
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7つの短編集
どの話も女が強かに生き抜いている
男に騙され流されているようで、実は自分の足で踏ん張って生きている女達
行ったことのない北海道の情景が目に浮かぶような文章はさすがです
これぞ桜木紫乃って感じ♪
北海道を描き続けている桜木作品はどれも似ていて飽きちゃう?って方もいるけど
わたしはこのまま北海道にこだわって描き続けて欲しいと思ってます_φ(・_・
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2025/11/08
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桜木さんの作品は「ヒロイン」を読みましたが
まだそれだけです。
でも、北海道へのこだわり…あったかは、
覚えていません^^;桜木さんの作品は「ヒロイン」を読みましたが
まだそれだけです。
でも、北海道へのこだわり…あったかは、
覚えていません^^;2025/11/10 -
2025/11/10
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寒い土地、
荒波、
雪の白に覆い尽くされる大地。
人の噂が広がる界隈
そして、寂れゆく街
そんな土地でのさまざまな女。となぜかパッとしない男の繋がりと生業。
どの短編も女が強い。寒さに耐え、性に耐え強くなる女
だからこそ男が情けなくなるんじゃないかなどと思うけど、だからこそその辺りが桜木さんの描く小説の素敵なところだ
毎日が天候のようにグレーでいると一時の温もり、凪ぐ煌めく海、雪の白が美しい大地が狭いからこそある人情が宝物に思える -
自分が住む田舎町の身近な日常のすぐ隣に
男と女の様々なドラマがひっそりと存在する
田舎の狭いコミュニティで噂されながらも
その土地を生きる「近所の人たち」が脳裏に浮かぶ -
どれも暗いお話。
短編集は、どれかひとつは気に入り、のめり込んで読み込むことがあるのですが、今回は珍しくどれもピンと来ず…。ザンネン…。
また桜木さん作品を探しに行きます。 -
北海道のイメージはこんな感じなのだろうか。
いや、いいかえるなら、こんなに貧しくて暗いのだろうか。
周りをみてもそこまでお金に困っているイメージはないけれど、実際には違うのかもしれない。パチンコに通っているひとも多そうだし、知らない世界が身近にははやっぱりあるのかもしれない。
自分の知らない薄闇を覗いた感じになりました。
寂しいです。そして悲しくて寒い。 -
「あ、北海道だ」と思った。カラッと乾いた寒さと眠たくなるようなどこか呑気な空を感じた。そして「きかない」女たちがたくさん描かれていた。「きかない」というのは「きかん坊」というのとは少し違って、なにくそと歯を食いしばる、根性のある性質のこと。北海道弁。
「波に咲く」以外どの作品も、そんな「きかない」女たちが人生の昏いトンネルをくぐるときの一場面を描いている。昏いのにどこかあっけらかんとしていて、それは厳しい冬をあたりまえのように乗り越える道産子そのもので愛おしい。いずれの作品も、終わりかたは読者の想像の羽を広げるものばかり。 -
壮絶なのに醒めている。不思議な印象が残る作品群。
全て北海道の街が舞台の短編集。
雄大で美しい風景…ではなくて、過疎が進んだ雪深い田舎や、寂れた漁師町、うらぶれた夜の街、などが主な舞台で、だからこそ寒々しくてリアル。
桜木紫乃さんて直木賞をとった時に実家がラブホテルだったって言ってて気になってたけれど、その環境が、男女の肉欲をこんな風に醒めた感じで描くきっかけになったのだろうかと考えたりした。
言ってしまえばどうしようもないダメ男とずるずる付き合ってしまう女が何人か出てくるのだけど、そのわりに溺れてるような雰囲気はなくて、醒めた諦めみたいなものに包まれてるから。
それぞれ印象に残ったからひとつを選びにくい。挙げるとすれば「海へ」と「根無草」かな。
切ない。胸が痛い。そして女は強い。
北海道、男女の肉欲、貧しさ、というワードから、佐藤泰志の小説と雰囲気が共通するような気がする。
暗部がひとつもない人生を歩んでる人はほとんどいない。
ふわっとしててどこか現実離れしている物語も好きだけど、同じくらいこういう胸が軋むような生々しい物語も好き。 -
女ならではの理不尽や苦労みたいなものに、現代を生きる女性が読んでも共感する。
現代では、そういった女の苦労はかなり解決されているけれども、だからこそその問題は丁寧に隠されているようにも見えるから、著者の作品を読むことで自分の女性性や女の身体について考えさせられることが多い。
というわけで著者の作品が大好きなのだけれど、どの本も正直同じような内容だなって思う。なのについつい読んでしまう。。。
なろう小説とか、演歌とか、Bzの音楽のように、定型があり、そのため安定して読めてしまう。感動どころも似たような感じなのにいつも感動してしまう。 -
2024年10月1日読了。北海道の地で、どん詰まり・希望のない生活を生きる女性たちの物語たち。日本の地方都市の縮図というか…寒々しい物語ばかりで読んでいてなんとも希望を失ってくるが、それでもたくましく生きるというか「生きざるを得ない」女性たちの姿は、しょぼくれて現状を打開できない男性たちの姿に比べ、力強いというか人間の「業」みたいなものを感じさせる…。生きるのにも何をするにもお金と仕事は大事だが、それより大事なのは「未来は今より良くなる」という希望なのだろうな。
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良かった。短編集だからさくっと読める。なのに1つ1つしっかり内容が厚い。内容のせいで引き込まれるからさくっと読めるのかも。
特に「フィナーレ」が良かった気がする。ストリップの踊り子さんの話。 -
BGM 化粧/中島みゆき
桜木さんの小説から男にはわからない女を知る。 -
北の大地に生きる強く逞しい女達の浮き沈みある人生模様を描く桜木紫乃さんの傑作短編集。桜木さんの描くヒロイン達はみんな迷いがなくきっぱりとしていますよね。自らの下した決断に責任を取り後悔せずに今を懸命に生きている男以上の力強さを感じます。みんな十分に聡明で賢いのにどうして自堕落な甲斐性の無い男達に惚れるのかは謎ですが、まあ生まれついての性分なのでしょうね。本書を読んで心に思い浮かんだ2つの歌詞を書きますね。前川清「そして神戸」誰かうまい嘘のつける相手捜すのよ、さだまさし「向い風」倖せの形くらい私に決めさせて
『波に咲く』我愛爾、愛してる、国だけで性格を一括りにすべきではないと思います。『海へ』健次郎は自由への手切れ金と考えよう。加藤さんは少し気の毒ですね。『プリズム』やがて記憶が戻り現実が重く圧し掛かってくるでしょう。『フィナーレ』勇気を出せば二人の復縁も有り得るかも知れませんね。『風の女』自らの運命を悟った姉は妹の幸せを願って全てを仕組んだのかも知れませんね。『絹日和』最低の男と死の一歩手前で別れられてよかった。彼の潔さだけは褒めてあげるべきでしょう。『根無草』嘘も方便。古賀の遺した金で母娘二人お幸せにね。 -
初めて読む桜木紫乃。7編を収録した短編集。収録作にない書題がついている短編集は珍しい。
7編の舞台はいずれも北海道。主人公は女性、ちょっと不幸だったり迷ってたり人生がうまくいってなかったり。最後にはちょっとそんな日常がいい方向に変わるような予感を誘う。でもそれはささやかなもの。きっと彼女たちはこの後も、何ども不幸に見舞われたり迷ったりすることだろう。でも、普通の人の人生もそういうことの繰り返しだ。そんな当たり前だけど、あまり小説読んでは思わなかったことを感じた。
自分が住んでいないせいか、北海道はこういう物語の舞台になるなあ。 -
北海道を舞台にした短編集
それぞれの登場人物に諦めがあり少しだけ希望があるような
生きているからこそしたたかに明日をどうにkして生きていくという力強さを感じる
どの女性にも言えるのだけど今日より明日はきっといい日だとどこかで信じているのかなと思っている -
それぞれが独立した短編集。
北海道の風土と物悲しさしくもあるけど強い女性が一貫したテーマで描かれる。
一時はこの裏悲しさや暗さが苦手で気持ちが滅入ってしまうこともあったが
今回はまた違った目線で読めた。ひとりで生きる女性のやるせなさとある意味の諦めにフォーカスをあてると男たちが悲しい生き物にみえてくる(笑)
やはり女性は強い。
ただ、それぞれの物語の設定が良すぎてここでお話がおわってしまうことがすごく残念。それぞれの続編もあればいいのにと。 -
またお話しの数だけ、哀しいがたくましく強い女性たちが居た。自分は北海道ではないが、生まれ育った土地が厳しい季節を乗り越えなくてはならない所だから?私はこんなにも彼女たちに惹かれるのだろうか。力をもらっているのだと思う。だから読みたくなるのだ。
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桜木紫乃シリーズもこれで一旦休憩にしようと思う。『ホテルローヤル』よりはこちらが好みかも。
「誰に何を言われても構わないと思ったら、怖いことなんかなくなる。人は逃げてもいいんだって、」風の女より
「石のような頑固さが敵を作り、あくの強さは根強い支持者を生んだ」絹日和より
著者プロフィール
桜木紫乃の作品
