誰もいない夜に咲く (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.52
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本棚登録 : 386
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006528

作品紹介・あらすじ

親から継いだ牧場で黙々と牛の世話をする秀一は、三十歳になるまで女を抱いたことがない。そんな彼が、嫁来い運動で中国から迎え入れた花海とかよわす、言葉にならない想いとは-(「波に咲く」)。寄せては返す波のような欲望にいっとき身を任せ、どうしようもない淋しさを封じ込めようとする男と女。安らぎを切望しながら寄るべなくさまよう孤独な魂のありようを、北海道の風景に託して叙情豊かに謳いあげる、傑作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 壮絶なのに醒めている。不思議な印象が残る作品群。
    全て北海道の街が舞台の短編集。
    雄大で美しい風景…ではなくて、過疎が進んだ雪深い田舎や、寂れた漁師町、うらぶれた夜の街、などが主な舞台で、だからこそ寒々しくてリアル。

    桜木紫乃さんて直木賞をとった時に実家がラブホテルだったって言ってて気になってたけれど、その環境が、男女の肉欲をこんな風に醒めた感じで描くきっかけになったのだろうかと考えたりした。
    言ってしまえばどうしようもないダメ男とずるずる付き合ってしまう女が何人か出てくるのだけど、そのわりに溺れてるような雰囲気はなくて、醒めた諦めみたいなものに包まれてるから。

    それぞれ印象に残ったからひとつを選びにくい。挙げるとすれば「海へ」と「根無草」かな。
    切ない。胸が痛い。そして女は強い。

    北海道、男女の肉欲、貧しさ、というワードから、佐藤泰志の小説と雰囲気が共通するような気がする。
    暗部がひとつもない人生を歩んでる人はほとんどいない。
    ふわっとしててどこか現実離れしている物語も好きだけど、同じくらいこういう胸が軋むような生々しい物語も好き。

  • 桜木紫乃シリーズもこれで一旦休憩にしようと思う。『ホテルローヤル』よりはこちらが好みかも。
    「誰に何を言われても構わないと思ったら、怖いことなんかなくなる。人は逃げてもいいんだって、」風の女より
    「石のような頑固さが敵を作り、あくの強さは根強い支持者を生んだ」絹日和より

  • 女と男の物語を綴った短編集。
    みっともなかったり情けなかったり堕ちてしまったりする女たちは、でもどこか生き生きとしている。

  • それぞれが独立した短編集。
    北海道の風土と物悲しさしくもあるけど強い女性が一貫したテーマで描かれる。
    一時はこの裏悲しさや暗さが苦手で気持ちが滅入ってしまうこともあったが
    今回はまた違った目線で読めた。ひとりで生きる女性のやるせなさとある意味の諦めにフォーカスをあてると男たちが悲しい生き物にみえてくる(笑)
    やはり女性は強い。

    ただ、それぞれの物語の設定が良すぎてここでお話がおわってしまうことがすごく残念。それぞれの続編もあればいいのにと。

  • またお話しの数だけ、哀しいがたくましく強い女性たちが居た。自分は北海道ではないが、生まれ育った土地が厳しい季節を乗り越えなくてはならない所だから?私はこんなにも彼女たちに惹かれるのだろうか。力をもらっているのだと思う。だから読みたくなるのだ。

  • 静かに豊かに鮮やかな情景と、
    強かに内に叫びを抱え生きる女たち。
    その融和と対比が浸透する短編集。

  • 私は寒い土地を描いた物語が物凄く好きです。

    母が北海道出身で、小さい頃に冬の北海道の幻想的な話を良くしてくれていました。
    そのイメージが頭にこびり付いていて、冬は母を思い浮かべる季節。

    本書は北海道を舞台にした短編集。
    北海道の情景が頭に浮かび、懐かしい気持ちになりました。
    淡々と男女のアレコレを描いているのに
    何だか生々しくて、実にウマいなぁと。

    一番初めの、波に咲くがお気に入り。

  • 北海道の女の物語。淡々と進む話がこの物語の深いところに届く。
    ホテルローヤルよりも僕は好き。

  • 北海道を舞台に描かれる男女の短篇集。
    桜木紫乃の作品には性に関する描写が多いように感じる。
    ただ、登場する女性たちは強い心を持っている。
    好きだったのは、「フィナーレ」と「根無草」。

    2016.10.28

  • 女の強さ、脆さ、儚さ、アホさ。
    「良くも悪くも女」という生きものについて書かれ、それにダメ男が絡んだり、ときに頑張る男も書かれてた。
    珠玉の短編集。話の並び順も良かった。

    小説書くの上手い(直木賞作家だから当たり前かもしれないけど…)必要なことしか書いていない(これがなかなか難しいし、だいじ)

    淡々としているのに、生きる人の妙な生々しさがある。生活感が漂う。ときに驚くほどきれいな言葉や情景もある。

    「波に咲く」鬱屈した村の空気とささやかな愛。

    「海へ」女の強さと弱さとまぬけさ。未来に希望を感じたい。

    「プリズム」暴力的。ラウドロック。こういう展開になるのはすこし意外だった。

    「フィナーレ」ドラマティック。明るい終わり方でよかった。

    「風の女」メメントモリ。死を絡めながらも静かで凛としたお話。

    「絹日和」前向き。

    「根無草」きっぱりと毅然と進む女。古賀さんの贈り物。

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プロフィール

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、同作を収録した『氷平線』で単行本デビュー。13年、『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞。『氷の轍』『裸の華』『霧(ウラル)』『それを愛とは呼ばず』『起終点駅(ターミナル)』『ブルース』『星々たち』『蛇行する月』『ワン・モア』『誰もいない夜に咲く』等、著書多数。

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