かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 605
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006870

作品紹介・あらすじ

第143回直木賞候補作品
かのこちゃんは小学1年生の女の子。玄三郎はかのこちゃんの家の年老いた柴犬。マドレーヌ夫人は外国語を話せるアカトラの猫。ゲリラ豪雨が襲ったある日、玄三郎の犬小屋にマドレーヌ夫人が逃げこんできて…。

元気なかのこちゃんの活躍、気高いマドレーヌ夫人の冒険、この世の不思議、うれしい出会い、いつか訪れる別れ。誰もが通り過ぎた日々が、キラキラした輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心の奥底に染みわたる。

感想・レビュー・書評

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  • まだ指しゃぶりをしていたかのこちゃんが、小学1年生になって、マドレーヌ夫人、玄三郎、すずちゃんと共に成長していくストーリー

    自由研究の章やお祭りのところは、嬉しかったり、友達と貴重な時間を過ごすかのこちゃんが自分の子供とも重なりました

    ファンタジー要素もあり、ほんわかで続くのかなと思いきや、一冊の本の中でいろんな感情が込み上げてくる本です!

  • かのこちゃんとすずちゃん。天真爛漫で好奇心旺盛!こういう元気いっぱいの小学生いるなぁ。
    かのこちゃん家の賢い老犬・玄三郎と、ここ一年住みつくようになった思慮深い猫のマドレーヌ夫人。
    それぞれの出会いと避けられない哀しい別れ…
    たいへん心に沁みるお話で良かった♪

  • 久しぶりに万城目学、プリンセストヨトミ以来。さすがの直木賞候補。ダブル主人公の「小1・かのこ」と「猫・マドレーヌ夫人」。それぞれ大切な人・犬を持つ。かのこは良き友人・すずちゃん、マドレーヌ夫人は最愛の夫・玄三郎。相手のことを想い暮らしていくがそれが長続きしない。突然訪れる友人、最愛との別れ。切ない心情の揺れ動きが身に染みる。しかし、お互いにその想いを友人、最愛に伝えられたと思う。ラストの場面も「別れ」。この別れは切なくもお互いのために必要な別れだったのだろう。猫嫌いの自分がまたしても素敵な猫に会えた。

  • H29.7.31 読了。

    すごく優しくてどこにでもありそうな日常を取り入れたハートフルな作品でした。もう少し万城目さんの世界に浸っていたかった。

  • 天真爛漫で好奇心旺盛な小学一年生かのこちゃん。ふんけーの友、ゴリラじゃないやつ、トイレで茶柱など、その言動が可愛らしく可笑しくて、思わずプッと吹き出してしまう。
    高貴で優しい猫マドレーヌ夫人の大冒険と、柴犬の玄三郎との夫婦愛も素敵だった。
    ほんの些細なことにも感動していたあの頃が蘇ってくるよう。別れは切なくも、最高に癒された。

  • 小学一年生のかのこちゃんとアカトラ雌猫のマドレーヌ夫人、それぞれの日常が描かれた物語。かのこちゃんの家で飼われている柴犬の玄三郎とマドレーヌ夫人との仲、かのこちゃんと同級生のすずちゃんとの関わりなど、読んでいて楽しかった。二つの"別れのシーン"は物悲しく感じられたけど…。

  • 休日になれば
    肉屋のコロッケを頬張りながら
    猫ストーカーしてる自分には
    まさにツボな小説だったし、

    純粋無垢で
    あったまるこな世界観に
    いやぁ〜
    まんまと泣かされましたよ(>_<)



    小学校1年生の女の子
    かのこちゃん。

    アカトラの淡い茶味がかった猫の
    マドレーヌ夫人。

    かのこちゃんの家の年老いた柴犬の
    玄三郎。


    この物語は
    種の境界を超えた愛と冒険と
    一人の女の子の成長を描いています。


    指しゃぶりを止めた途端、
    内なる好奇心が
    一気に外の世界へと噴き出していく
    かのこちゃん。


    野点、やおら、いかんせんなど
    難しい言葉への
    飽くなき興味と情熱。

    特にトイレの茶柱や
    子供だけの粋なお茶会のくだりには
    笑わせてもらったなぁ(笑)


    縁側でのスイカ、
    夏休みの自由研究、
    プールにこだまする「大きな古時計」、
    神社の夏祭り、
    夜の公園での線香花火。


    そして、やがて来る別れの時…。



    物知りで、鹿と話すことができる
    お父さんのキャラが
    またいいのですよ。


    やがてかのこちゃんは
    鼻に親指を突っ込み、残りの指をひらひらさせている(笑)
    ただ者ではない女の子のすずちゃんと
    刎頸の友(ふんけいのとも)となるべく
    奮闘することになります(笑)


    平行して描かれる
    猫のマドレーヌ夫人と
    犬の玄三郎との固い絆。

    厳然たる種の境界を飛び越え
    果敢に肉屋を目指す
    マドレーヌ夫人の
    玄三郎への愛には
    胸がきゅい〜んと鳴りまくったし(T_T)、

    キジトラの和三盆、ぶちのキャンディー、三毛のミケランジェロ、シャムの茶子など
    個性豊かな野良にゃんこ軍団の井戸端会議にも
    頬は緩みっぱなしでした♪



    別れは必然。

    川の流れと同じく
    ずっと同じままで
    同じ場所にとどまることはできない。

    どんなに楽しいことも
    必ず過ぎ去っていくし、
    どんなに悲しいことも
    時が経てば忘れていく…。

    変わってゆくことを
    何度も何度も繰り返しながら
    人は前へ前へと進んでいく。

    だからこそ
    人にはとどめたい思いがあって、

    人は忘れていく
    生き物やからこそ
    忘れたくない思いがあるんですよね(^_^)


    かのこちゃんとマドレーヌ夫人の
    輝ける明日に祝福を!

    • まろんさん
      大大大好きな本です!

      鼻てふてふしたり、むずかしい言葉バトルしたり、
      トイレで茶柱(?)をこしらえたり、すずちゃんとお茶会で上品ぶったり
      ...
      大大大好きな本です!

      鼻てふてふしたり、むずかしい言葉バトルしたり、
      トイレで茶柱(?)をこしらえたり、すずちゃんとお茶会で上品ぶったり
      かのこちゃんのキラキラした毎日を追っているだけで、なんだか幸せな涙がこぼれちゃって。
      ふだんはすまし顔なのに、いざとなると猫又になって
      玄三郎やかのこちゃんのために必死で走り回るマドレーヌ夫人も、とてつもなく素敵。
      たからものにしたい本です♪
      2013/04/16
    • 円軌道の外さん

      まろんさん、
      連チャンコメントありがとうございます!

      万城目さんの小説は
      奇想天外で毎回話題性もあるんやけど
      どこかモリミー...

      まろんさん、
      連チャンコメントありがとうございます!

      万城目さんの小説は
      奇想天外で毎回話題性もあるんやけど
      どこかモリミーの小説世界と
      カブる印象を勝手に持ってたので(笑)、
      まさかこれほどまでに純粋で
      ほのぼのした作品を書けるのかと
      正直ビックリやったんスよね(笑)(^_^;)


      自分にとっては
      少年や少女の成長もので
      猫が出てくるってことだけで
      胸キュンの要素を満たしていたし、
      物語の締め方がまた
      切なくも希望が香る終わり方で
      心憎かったですよね(泣)(T_T)


      子供を作るなら
      絶対男がいいってずっと思ってたけど、
      かのこちゃんみたいな
      粋で和の心が解る子なら
      女の子でもいいかぁ〜って
      この本を読んで
      考え改めましたよ(笑)

      2013/04/22
  • もう冒頭から、心奪われました。
    かのこちゃんのゲリラ豪雨の言い方ったら!
    表現・言葉・ストーリーが、
    あれよあれよという間に
    私のツボに見事に嵌っていきました。

    小1の女の子の日常と、
    ある日女の子の家に居ついた猫の冒険の物語。

    かのこちゃん、最高です。
    かのこちゃんの「どこか変で、でも好きな響きの言葉」
    は、チョイスがかなりイケてます。

    そしてふんけーの友、すずちゃん。
    すずちゃんとのやりとりも、最高。
    ござる会話をしている二人を見たら、
    絶対に近寄って会話に入れてもらってる!!

    そんなこの作品。笑いで包まれた本の中に、
    ホロリが待っていると思ってなく…。

    辛い別れで目の周りが赤く腫れ上がっても、
    ポカッと暗い空洞に、時間がたてば
    次の何かがニョキニョキ芽生え始める。
    抜けた乳歯の後に、もっと力強い歯が生えてくるように。

    悲しすぎるからって別れを怖がってばかりいたら
    リニューアルしてバージョンが変化した
    その先にいる自分にも出会えないんだなぁって。

    かのこちゃん、確かに知恵が啓かれましたね。
    私なんかより、余程わかってます。
    マドレーヌ夫人だってそう。
    自由な猫は元々リニューアルの天才ですものね。

    前回読んだ本が大号泣だったので笑いたかったのに
    またまたウルウルきてしまいましたが…
    終わり方が大好きです。

    万城目学さん、初めて読みました。
    第一印象がこの作品で大当たりです。
    ヤバい…ツボすぎる作家さんかも知れません。

    • なにぬねのんさん
      かずさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      万城目さんは読んでみたい作家さんだったのですが、ずっと縁がなくて…。
      思い切...
      かずさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      万城目さんは読んでみたい作家さんだったのですが、ずっと縁がなくて…。
      思い切って気になっていたこの作品を読んで、大当たりでした。
      私も「偉大なるしゅららぼん」読んでみたいです。
      さっそく忘れないよう、本棚にポチっ!

      情報有難うございます~。
      2015/01/12
  • 主人公はやっと指しゃぶりから卒業した好奇心旺盛な小学一年生の女の子、かのこちゃん
    この子が天真爛漫でとーっても可愛い!(*'▽'*)
    もうひとりの主人公はかのこちゃん家の庭に住むアカトラ猫・マドレーヌ夫人(=^x^=)
    柴犬・玄三郎が夫
    夫人の目線で猫社会が描かれていて、これがなんともシュール
    この辺りは万城目さんの感じ
    かのこちゃんとマドレーヌ夫人に訪れる、それぞれの出会いと別れが話の軸となり、「猫の恩返し」となる盛り上がりを迎える時にちょっと不思議な事が起こる
    全体的にはいつもの万城目ワールドではないのだけれど微笑ましくもあり、涙もあり ( ; ; )

    かのこちゃんなんだけど、何でも知りたい年頃で、その言動に何回も笑わせてもらったー(^○^)!
    夏休みの自由研究も無茶苦茶で子供らしくて面白かった
    そこの部分も含めて楽しめるので、お勧めです





  • お気に入り作家マキメ氏のなかでも大好きなこの作品、文庫を手に入れてようやく再読しました。
    表紙がさー、アカトラのマドレーヌ夫人でかわいいし。

    他の作品ほど奇想天外な登場人物や荒唐無稽な展開はなくとも、小1の女の子と猫と犬とでこんなにも可笑しくおもしろい。
    きらきらでわくわくでふわふわで物悲しいでござるよ。
    夫婦の別れ、泣ける。
    いとあはれなり。

    娘がかのこちゃんの歳に近づいてきたので、よりいっそうリアルにかわいくて、今から歯が抜ける日が楽しみです。
    知恵が啓かれる日もくるかなぁ。

    そして、マドレーヌ食べながらお茶会したいでござる。

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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