かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 5177
感想 : 610
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006870

作品紹介・あらすじ

第143回直木賞候補作品
かのこちゃんは小学1年生の女の子。玄三郎はかのこちゃんの家の年老いた柴犬。マドレーヌ夫人は外国語を話せるアカトラの猫。ゲリラ豪雨が襲ったある日、玄三郎の犬小屋にマドレーヌ夫人が逃げこんできて…。

元気なかのこちゃんの活躍、気高いマドレーヌ夫人の冒険、この世の不思議、うれしい出会い、いつか訪れる別れ。誰もが通り過ぎた日々が、キラキラした輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心の奥底に染みわたる。

感想・レビュー・書評

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  • 友人が読んでいたというきっかけで購入。

    最序盤は児童書っぽいかな、合わないか??とか思っていたけれど、言葉の回し方に洒落が効いていて読むほどに進む感じがすごく好きだった。
    始まり方に反して最後はかなり映画的な盛り上がり方もするのに締め方がさっぱりしていて、こういう締め方をする小説は本当に好きなんだよなと思った。ちょっと泣いた。

  • 長い間本棚で眠っていた本。なんて可愛らしい物語なんだろうと幸せな気持ちになった。
    万城目さんが書く美しい比喩表現と、タイトルからは想像もつかない意外な展開にすぐ本の世界に浸れた。

    かのこちゃんが色んな経験を積みながら日に日に成長していく姿が本当に健やかで、マドレーヌ夫人と玄三郎さんの関係性もとても素敵で。読んでて心が温かくなった。

  • 万城目学、祝直木賞。

    小学1年生のかのこちゃん、人間の言葉がわかり、犬とも会話ができる、アカトラのマドレーヌ夫人、そしてマドレーヌ夫人の『夫』、年老いた柴犬の玄三郎。

    ほのぼのと話がすすんでいく…

    かのこって、名前は鹿の子からきてたなんて。
    『鹿が言われた』なんて…
    おとうさんは、鹿男なのか⁇

    茶柱、ならねう◯◯柱、笑えた。

    マドレーヌ夫人が乗り移った『かとりさん』はどうなったんだろう。
    ミンチの代金は…
    肉屋はどうしたんだろう…
    気になる…

    かのこちゃんとすずちゃんのお茶会もよかったな。
    また、かのこちゃんとすずちゃんが会えたらいいね。

    マドレーヌ夫人と玄三郎もいい夫婦だったな。

    マドレーヌ夫人、どっかに行ったとしてもきっと戻ってくるんだろう…

  • 万城目さんの本は初めて読みました。猫好きの私には犬と仲良しの猫もなかなかすごいなと思いながら読みました。かのこちゃんとすずちゃんの出会いと別れ、マドレーヌ夫人と玄三郎の出会いと別れ、成長に従い沢山の出会いと別れがあったことを思いだしました。乳歯が抜けて新しい歯が生えるように主人公も様々な経験をしながら大人へと育っていくんだろうな。沢山の人達に見守られながら。

  • かのこちゃんが渋かわいくて、犬の玄三郎や猫のマドレーヌ夫人たちの会話が可笑しくて、この本がすごく好きになった。
    かのこちゃんを通して、小学1年生に見えるわくわくした景色をもう一度見せてもらったよう。
    少し切ないけれど、それ以上に温かい気持ちをくれた作品。

  • 万城目作品の中で、1番のお気に入り。

    指しゃぶりが外れないかのこちゃん。どこか気品漂う猫のマドレーヌ夫人。マドレーヌ夫人を想う優しい犬の夫、玄三郎。鼻ちょうちょを飛ばす仲良しのすずちゃん。どの登場人物を見ても何故か温かく心がホッとする。

    柔らかな日常に起こる驚きの出来事は、さすがの万城目ワールド。しかし決して派手ではなく、優しさに満ちた日常の中の出来事として溶け込み、物語がより一層風通しの良いものになっていると感じた。

  • かのこちゃんかわいい!!
    とても純粋で、真っ直ぐでとても愛くるしい
    マドレーヌ夫人、あなたに会いたい!!
    とても気高くて、美しい心を持ったあなたが
    とても好きです

    マドレーヌ夫人はふらっとかのこちゃんの家の飼い猫になった。そこで出会った夫で犬の玄三郎と愉快なかのこちゃん一家と生活することに…
    はじめはかのこちゃんの、知恵が拓かれた瞬間を描いた物語。親指をしゃぶる癖が抜けなかったかのこちゃんだが、ふとしたときにマドレーヌに親指を舐められ、その信じられないくらい臭い匂いを嗅いでしまったことから親指しゃぶりを脱することに成功する(笑)
    あとすずちゃんとの出会いも素敵だったなぁ。
    次に描かれたのはマドレーヌ夫人が「猫股」になって、かのこちゃんに助言したり、玄三郎のためにお肉を入手したり、空き地を救うと思いきや、それが夢だったという物語。でも夢でありながらその勇気はちゃんと伝わっていて、心が温かくなった。
    次に描かれたのはかのこちゃんとすずちゃんの別れの物語。2人が夏祭りで過ごす楽しい時間や、別れの瞬間はとても儚くキレイだった。
    最後はかのこちゃんとマドレーヌ夫人の別れの物語。玄三郎をがんで亡くし、かのこちゃんは夫を亡くしたマドレーヌ夫人に家に縛られなくてもいいんだよと首輪をとって解放してあげることに…最後2人は離れ離れになったが、かのこちゃんがいつかマドレーヌ夫人とまた出会えたら嬉しいな。

    本作を通して、
    無垢な心や初心を改めて教えてもらえた。
    万城目さんはいつも私に
    かけがえのない想いを伝えてくれる。
    これからも万城目作品から目が離せない!!

  • 最初読み始めたとき、何気ない日常を書いているほのぼのとした作品だと思っていた。しかし、かのこちゃん、マドレーヌ夫人を中心に展開されていく日常はとても柔らかい印象を与えつつ、いつかは訪れる別れの悲しみも表現している。また、作者の最後の比喩的メッセージがたまらなく良かった。

  • 万城目さんらしいファンタジー色は出しつつ、また新しい物語を読ませてくれた。
    最初の「知恵がひらかれた」というので引き込まれた。
    あまりに現実と離れていて冷めてしまう、みたいなことがないのが万城目さんの小説。
    かのこちゃんの可愛らしさや、マドレーヌと玄三郎夫婦が醸し出す空気が魅力的で、別れの話には切なさと透明感があって、総じてやっぱり面白かった。

  • なんて可愛らしいお話なんだろう。

    指しゃぶりを止められなかったかのこちゃんが、難しい言葉に興味を持ったり、お友達との事で悩んだり、お別れも経験して、心も体もぐんぐん成長していって、最後猫のマドレーヌ夫人にした心遣いが優しくって泣けちゃう。

    クスッと笑えるポイントも散りばめられていて、短いお話だけど、大満足だった。
    中でもマドレーヌ夫人がお肉屋さんで、お肉の量を聞かれて「だから、これくらいッ」と言って拳を突き出す場面がお気に入り。

  • 突然「知恵が啓かれた」小学一年生のかのこちゃん。
    全ての関係性が良い!
    かのこちゃんとすずちゃん、マドレーヌ夫人とキャンディーやミケランジェロや和三盆といったネコ仲間、マドレーヌとかのこちゃん、マドレーヌと犬の玄三郎。
    猫股あり、笑いあり、感動ありの心温まる作品。
    かのこちゃんとすずちゃんがずっと「刎頚の友 ふんけいのとも)でありますように。
    マドレーヌもまた現れてくれますように。

  • 心あたたまる小説。

    主人公は小学一年生のかのこちゃん。この女の子とマドレーヌ夫人と呼ばれる飼い猫を中心として描かれるファンタジー要素を含んだほっこりストーリー。

    かのこちゃんの天真爛漫且つパワフルな言動や行動はどこか懐かしく、好奇心旺盛だった少年・少女時代を重ねた方も多いのではないだろうか。

    また、マドレーヌ夫人の章では猫目線の人間が描かれておりとても新鮮味があった。街並みや人の仕草、祭りの雰囲気を細かな比喩表現で描写しているため、まるでその場面にいるかような感覚でスラスラと読めた。

    印象深いのは、マドレーヌ夫人が感じた、自由になったがいつもと違う感覚の場面。これは我々の実生活でも感じることであり、名残惜しそうに自己の生き方を選択したマドレーヌ夫人にはどうしても同情せざるを得なかった。

    ラストはちょっぴり切なく、ホッコリするような、読んでよかったなぁと思える作品であった。

  • ちえがひらかれた、かのこちゃん。好奇心の赴くままに駆け回る姿は読んでいて楽しいし、マドレーヌ夫人との心の通わせ方はとても素敵だった。

  • 大好きな一冊。
    万城目学さんの他の著作は大学生とか若いめの大人が主役のことが多いけれど、(それらも面白くて好きだけど)これは、小学一年生女子と猫と柴犬の物語。
    言葉遣いが独特で、なんだかずっと面白い。

  • 一年生のかのこちゃんは両親と犬の玄三郎とその妻のマドレーヌと名付けた猫と暮らしています。
    刎頚の友であるすずちゃんと出会い、なかなか充実した日々を過ごしています。

    初っ端からかのこちゃんのファンとなってしまいました。

    心がほっこりし、読んでいるだけで笑顔になれるそんな一冊です。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/687119


    人間のかのこちゃん、猫のマドレーヌ夫人、犬の玄三郎。
    日常+ファンタジーな世界観が織りなす出会いと別れの物語。

  • 子どもの頃、きっとこうだった。
    子どもの、猫の経験する別れは、等しく悲しく、相手への想いがあふれ、そしてまた別の世界を歩んでいくものなんだな、と感じた。

  • 小学一年生の目線で日常を見ることができる小説。歯が抜けた時のことや、夏休み中のプールのことを思い出し、懐かしく感じました。
    人間になったマドレーヌが商店街で何を買ったのかが明らかになるシーンで感動しましたし、玄三郎が亡くなるシーンで泣きそうになりました。

  • 今年、2023年第170回直木賞ノミネート作家の作品を手にした。
    こちらの作品もノミネート作品。
    とても、心温まる作品。
    小学生かのこちゃん、赤トラ猫のマドレーヌ夫人、その猫の主人である老犬玄三郎の1年間通してのハートフルストーリー。
    不思議な現象もあり、なかなか読み進め感あり。魔術的要素のあるマドレーヌ夫人は最強だなぁと。これは読まないと損します!

  • かのこちゃんという名前がとても愛らしくて
    天真爛漫なキャラに癒されました。子どもの頃の感覚が蘇る様でした。すずちゃんとの小さな小競り合いもあるある!な感じで懐かしい。
    そして
    マドレーヌ婦人の章では人間目線が逆にヘンテコな感覚になってしまうくらい猫目線になってしまいました。
    かのこちゃんは、あの家で唯一のこどもなのに婦人と玄三郎の仲を理解しさいごを過ごさせてあげる計らいをしているところは子どもの動物的な感というのは侮れないなと思いました。
    時々ファンタジーが入るところは驚きましたがそこでは感動しちゃう仕掛けはすごいなあと思いました。
    マドレーヌは、その後どうなるのか気になります

  • 誰かのエッセイに出てきて読もうと思った本。
    かのこちゃん一家が素敵
    読みやすい本だった(2時間くらい)

  • 元気な小1、かのこちゃんと気高いアカトラの猫、マドレーヌ夫人の冒険。
    この世の不思議、うれしい出会い、そしていつか訪れる別れを描いた感動作
    図書館スタッフ

  • 2023.11.23 読了

    くーッ!最後の最後で泣かされた。
    これは玄三郎じいちゃんに惚れますね。

    小学校1年生のかのこちゃんとマドレーヌ夫人(アカトラの猫)が主人公のちょっとファンタジックな物語で児童文学ぽさもありつつでもしっかり大人に刺さるお話でした。
    根底にずっと誰かが誰かを思いやる気持ちが流れていて読んでいて心がポカポカしてくる。
    自分も誰かに優しくしたくなるそんな作品でした。

  • 小学生の女の子かのこちゃんと猫のマドレーヌ、犬の玄三郎のお話。
    犬同士、猫同士、人間同士といった同種の友情はもちろん、種の境界を越えた友情に感動しました。お互い直接コミュニケーションは取れないけど、心の中では通じ合っている描写がとても素敵でした。
    また、マドレーヌが人間に化けて恩返しをするシーン、かのこちゃんとすずちゃんの関係が変化していくシーンなど、印象的な場面が多くてあっという間に読めました。
    純粋な感動モノでとても良かったです。

  • かのこちゃんは、小学校一年生、源三郎という老犬の、小屋に、雨が激しく降っていて、野良猫が、入っていた三毛猫が、かのこちゃんのお母さんの、得意な、マドレーヌの色なので、マドレーヌ、夫人と名前を付けられたマドレーヌ夫人も源三郎犬も、動物同士話ができる普通は、尻尾は、二つに、割れないのに、割れたため、人間の人に、なったりする、かのこちゃんは、親指を、しゃぶる癖が治らず、すずこちゃんという、友達ができ、リアルに、女の子、らしさがあり、私にも知らない言葉を、知っています、思わず笑えます、かのこちゃんの、好奇心や、飼っている、動物達の別れなどで、経験を、することにより成長します、素朴さが、表れて、正直が、大切な事を、学べます。

  • 元気いっぱいな小学生のかのこちゃんと、猫のマドレーヌ夫人の、何気ないけど幸せの詰まった日常が描かれたお話でした。
    人目線だったり猫目前だったり、
    角度によって見え方も感じ方も違うけど、
    みんな大事にしあってるところが何よりもほっこり。

    読んでる間中、かのこちゃんとマドレーヌ夫人をそっと見守る気分になりました。

  • 「好奇心が強い小学1年生、かのこちゃん経験する出会いと別れをみずみずしく描いた作品。
     人生には別れがつきものだ。相手と親しければ親しいほど、別離はつらく、苦しい。心の中でその人が占めていた部分がごっそり抜け落ち、穴があいたようになる。その穴がきりきり痛む。何度経験しても、この痛みになれることはない。
    ー別れのつらさは、そこに愛や優しさ、キラキラした時間があった証だ。だから、全身で受け止めるしかない。」
    (『いつか君に出会ってほしい本』田村文著 の紹介より)

  • 7-8年ほど前に読んでいたものを再読。

    日常の中でおこる小さな奇跡、そしてもたらされる確かな成長に心暖まります。

  • まだ指しゃぶりをしていたかのこちゃんが、小学1年生になって、マドレーヌ夫人、玄三郎、すずちゃんと共に成長していくストーリー

    自由研究の章やお祭りのところは、嬉しかったり、友達と貴重な時間を過ごすかのこちゃんが自分の子供とも重なりました

    ファンタジー要素もあり、ほんわかで続くのかなと思いきや、一冊の本の中でいろんな感情が込み上げてくる本です!

  • 平易な文章。
    内容は万城目ワールド。

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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