つばさものがたり (角川文庫)

著者 : 雫井脩介
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2013年1月25日発売)
4.05
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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006887

作品紹介

パティシエールの君川小麦は、自身の身体に重い秘密を抱えたまま、故郷・北伊豆で家族とケーキ屋を開いた。しかし、甥の吐夢からは「ここは流行らないよ」と謎の一言。その通り、店は瞬く間に行き詰まってしまう。力尽きた彼女に新たな勇気を吹きこんだのは、吐夢と、彼にしか見えない天使の"レイ"だった…。小麦のひたむきな再起を見届けたとき、読み手の心にも"見えない翼"が舞い降りる。感涙必至の家族小説。

つばさものがたり (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 切ない。切なすぎる。

    主人公のパティシエールの小麦が作るケーキはとてもおいしそうで、ケーキ食べたくなるけど、切なすぎて胸が痛くなった。

    自分だったら小麦みたいに冷静に病気を受け入れられないな。
    パティシエールとしての才能がありながら、若くして病魔に侵されて、
    私だったら、なんで?なんで私だけ??って思うし、
    親や周りの人を困らすぐらい甘えちゃうと思う。
    けど小麦は泣き言一つ言わず、一生懸命ケーキを作る姿が痛々しすぎて、いたたまれなかったな。

  • クローズド・ノートの感動を再び
    というキャッチフレーズに惹かれて読み始めた本。
    クローズド・ノートは受験合格後の最初の一冊でした。だから覚えているのかもしれませんが、とても感動してなんて温かい物語なんだろうと思ったのを覚えていました。
    だから、その2弾ということは…と思い手に取りました。

    パティシエールの君川小麦は、君川家の希望の星だった。兄の代二郎は、父の期待に応えきれなかったのに対し、妹であった小麦は父に温かく見守られ、小麦とケーキ屋を開くという夢まで語っていた。
    そして、小麦はその夢を叶えるべく、パティスリー・ハルタで修行を積み、順調に進んでいた。しかし、彼女にはある重大な秘密があった。
    その秘密を自分の中だけに抱えたまま、故郷に帰り、家族でケーキ屋を開く。
    代二郎の子供、叶夢は、少し不思議な子供で、幼い頃から天使レイが見えた。
    「このお店は流行らないよ」
    叶夢にしか見えない天使レイが言ったことは、本当になり、客足は減るばかり。
    そんな店の状況に精神的に追い詰められていった小麦は、ついに家族に重大な秘密を打ち明ける。
    そしてそんな小麦を救ったのは、叶夢とレイの夢に向かう姿だった。

    家族、仲間、親子、友達…

    最後のフィナーレには、涙せずにはいられない、そんな作品でした。


    クローズド・ノートの感動を再び、というキャッチフレーズに嘘はなく、素晴らしい作品でした。
    最初、叶夢とレイの部分には、少しとまどいを感じる部分もありましたが、この2人…?がすごく重要な要であることが物語を読み進めていく上でわかりました。
    小麦の必死に努力し戦い続ける姿、重大な秘密を1人で抱える姿、そして最後の五条と早百合の結婚の所には、涙涙でした。
    もし、小麦が病気という大きな爆弾を抱えていなかったら、五条のフランス行きについていったり、五条のお店についていってたら、五条との結婚もありえたのではないか、そして彼女には、パティシエとしての新しい未来があったのではないか…
    その可能性を考えずにはいられません。

    でも、叶夢やレイの影響を受けて、前向きに進む小麦やその周りの人々の姿は、温かかったです。

    またクローズド・ノートを読みたくなってしまいました!

  • 火の粉の雫井脩介が、こんな優しい話を書いたことに驚いた。号泣ではないがホロったくるいい話。

  • 『火の粉』に続き、雫井作品二作目。前に読んだのとは全く違う作風で、こんなに温かく微笑ましい作品も描けるんだとビックリしました!パティシエールの小麦が病気の身体に鞭を打ち、君川家の"希望の星"であり続けるため、また母と亡き父の夢の為に頑張り続ける姿には胸が熱くなり...(;_; 素直に読んで良かったなぁと思える作品でした(^^* オススメです!

  • 2015年6月28日読了。家族のあったかい話でした。クローズドノートを思わせるあたたかさがありました。小麦がいい子でしっかり者で真面目で、だからこそ可哀そうで仕方なかった。叶夢の存在もとても良かった。叶夢かわいかった。代二郎兄ちゃんとお母さん、道江さんの存在も大きかった。道江さん気の毒だったけど、最後には自分の人生の目標を見つけられてよかった。あとパティスリーの成功までの話も心がわくわくしました。最後は涙涙です。忘れかけた自分の優しい部分を思い出させてくれる話です。

  • クライマックスが最高だった。
    胸が熱くなり、心が潤ってくるのが自分でも分かった。
    日々の当たり前な日常が、全く違うものに見えてくる。
    あぁ、本ってこうゆう力があるんだ。
    そう実感した。

  • 結構良かった。
    最近何かと乳がんの話題が多い私。この本もそうだった。乳がん検診は絶対行こう。

    登場人物がとてもあったかくていい。がんばる人は応援したくなる。結構、始終泣きっぱなしだったな。
    天使とか妖精って見えないだけでホントはいるのかな。あたしのオーラは美味しいといいなあ。

    ああ、ケーキ食べたくなっちゃった。

  • とっても心温まる本でした。
    天使がこの世にいることを教えてくれた。
    その人が前向きに夢を持って生きてると よいオーラを持っている。
    天使は、そのよいオーラを食べて大きくなる(^_^)
    その人に光り輝く夢があれば どんなことになろうと
    必ず夢は叶うんだってことを教えられた気がします。
    常日ごろ、夢は願ってれば叶うと思うようにしています。

    だって、天使あえることだってこの世に中あるかもしれませんよ(^_^)

  • 叶夢にしか見えない天使と妖精の子レイ。大きな翼を持つ天使になりたくて頑張るレイ。病を持ちながら、夢の実現に動こうとする小麦。無口で内向的な吐夢も少しずつ成長する。レイの背中の翼の物語であると同時に吐夢や小麦、周りの人たちの物語でもある。レイのテストの日もお店の開店の日も、本のこちら側から思わずがんばれ~~と応援してしまった。
    読みながら、にっこりしたり涙したりと 彼らの景色を楽しんでいました。

  • 当作は、二つの話が同時進行しています。
    一つは、病に侵されながらも自分の店を持つ女性のエピソード。
    もう一つは、天使が見える男のコと父親のやり取りです。

    ジャンル分けは難しいですね。
    裏表紙には「家族小説」と書いてありますが、ファンタジー要素もあります。

    悪い人が一切出てきません。
    綺麗ごとだけではありませんが、卑屈っぽさはないと思います。

    小麦は東京の有名店で、パティシエとして働いていた。
    小麦の夢は、両親の夢を叶えること。
    自分の店を持つ為に、女性には重労働である菓子作りに励んでいた。

    TVのドキュメンタリーで見たことはありますが、パティシエの世界は男性社会という感じでしたね。
    朝は早くて夜は遅いし、体力が必要らしいです。

    ある日、小麦の憧れのパティシエ・五条が店に現れた。
    「近いうちに店を持つが、小麦をスーシェフとして迎えたい」と申し出てくる。
    良い話ではあったが、小麦は断った。
    雇い主・春田は、小麦の答えに失望する一方で心配してもいた。

    五条はパリで修行していたが、その時、小麦にも「一緒に行こう」と誘っていた。
    小麦は乳がんが見つかったので、断っていた。
    再発や転移もしていて、現在も治療中である。

    乳がんのことは誰にもいっていませんでした。
    周りに配慮していたのでしょうが、余計に心配させてしまうわよね。

    心身共に弱った小麦は、逃げるように店を辞めた。
    しかし、地元に帰る前に五条の店を覗いた時、「自分の店を開いて頑張ろう」と前向きになる。

    小麦の兄・代二郎は、息子・叶夢(かなむ)の扱いに困っていた。
    叶夢は大人しくて、運動が苦手である。
    しかも、「天使と妖精のハーフ・レイとは友達だ」と言っていた。

    叶夢は幼稚園で変わり者扱いされていて、友達がいない。
    自閉症ではないかと心配していたが、問題を起こしていないので病院には連れて行かなかった。
    妻・道恵は叶夢の話を否定しないで付き合っていたが、代二郎は「そんなものはいない」と否定する。
    それ以来、叶夢は代二郎を避けるようになった。

    小麦は、母と一緒にケーキ屋を開く。
    準備は順調に進んでいたが、叶夢に「天使がいないから流行らない」と言われた。
    当初は、誰も叶夢の話を信じていなかった。

    オープンしたての頃はイチゴケーキを安売りしていたので、売上は順調だった。
    しかし、ぱたりと客足が途絶えてしまう。
    立地条件の悪い格安テナントが原因かと思われたが、それだけではなかった。
    ケーキは不味くないものの、格別に美味しいという訳でもない。

    小麦の体調は良くなくて、定期的に東京まで行って治療を受けても、副作用に悩まされていた。
    道恵はお手伝い感覚で働いていたのに、小麦にビシバシしごかれて不満が募ってゆく。
    売上が落ちたことで給料を払うのが厳しくなって、道恵は辞めようとした。
    小麦が死んだ後のことを考えれば、道恵がいないと困る。
    小麦は涙ながらに道恵を引き留めて、雇っていた妙子をクビにした。
    身も心もボロボロになって、母達に病気のことを知られてしまい、しまいには閉店することになる。

    小麦ちゃんは一人で頑張り過ぎですね。
    両親やお兄ちゃんの期待に応えようとする優等生タイプです。

    春田シェフは性格がイケメンだと思いました。
    小麦がお店を辞めた後も心配していたようです。
    厳しくも心のこもったアドバイスをしてくれます。
    こういう人だから、春田シェフは美味しいケーキが作れるのでしょう。

    道恵がケーキ屋勤めをはじめると、代二郎は叶夢と一緒にいる時間が長くなりました。
    代二郎は体育会系で、女性陣には頭が上がらない様子です。
    鈍いところはありますが、彼なりに考えて行動しています。

    代二郎は、叶夢から「レイがエンジェルテストを受ける」と聞く。
    「またかよ」と呆れつつも、飛ぶ為のコツを教えていた。
    それがキッカケで、叶夢は体を動かすようになる。
    レイに関することは半信半疑でも、叶夢は園児にしては難しい言葉を口にするので、真っ向否定も出来ない。
    それはさて置き、念願だった「息子と外で遊ぶ」ことが出来たので、代二郎は満更でもなかった。

    代二郎は、レイのことを自然に受け留めるようになる。
    実際はレイが見えないが、そんなことは関係なくなっていた。
    叶夢も子供らしい屈託のなさで、代二郎に懐いてゆく。

    叶夢は小麦に懐いていた。
    レイ曰く、「小麦のオーラは美味しい」らしい。
    代二郎のオーラは臭いので、天使は寄りつかないそうだ。
    そんな訳で、代二郎は「ケーキ屋に近寄るな」と言われる。
    代二郎も真に受けて、閉店後にしか行かなくなっていた。

    店を畳んで家にこもる小麦を、代二郎はエンジェルテストの会場に連れて行く。
    天使は見えなかったが、小麦は元気を取り戻した。

    小麦は、これまで作ったケーキの味見をする。
    副作用で舌が荒れていたせいで、ちゃんと味を掴めていなかった。
    小麦は反省をして、天使をモチーフにしたケーキを作る。

    天使のケーキは代二郎や叶夢から好評だった。
    家族達の励ましを受けて、小麦は新たに店を開く。
    叶夢のアドバイスを受けて、今度は天使がいる店を選んだ。
    小麦の事情を知った道恵は、悩んだ末にパティシエになることを決意する。

    今回は売り上げを伸ばしていって、腕のあるパティシエ・中川が志願して働くようになった。
    充実した日々を送っていたが、小麦の病気が悪化する。
    病院の世話になる時間が多くなってきたが、道恵は使い物になるレベルに達していたし、中川もいるから不安はない。

    代二郎達は、小麦の為に何かしたいと考える。
    五条は、雑誌にコーナーを持つ程の有名パティシエになっていた。
    小麦が想いを寄せていると知り、五条が取材して欲しい店を募集していたので、代二郎達は喰いつく。
    五条を呼ぶ前に、小麦は一度断っていたが、エンジェルテストを見に行ってやる気を取り戻す。

    五条は小麦の作ったケーキを絶賛してくれた。
    五条と小麦がイイ感じになるかと期待していたら、五条が結婚報告してきた。

    代二郎達は、やってしまったと悔やんでしまう。
    五条の結婚相手は小麦の親友なので、既に報告は貰っていた。
    小麦は心から二人を祝福し、「結婚式にはケーキを作りたい」と申し出る。

    終盤の小麦ちゃんと道恵さんのやり取りが好きでした。
    義理の姉妹という関係ですが、師弟関係というよりは友情のようです。
    道恵さんのようなタイプは好きなんですよね。
    適度な聞き分けのなさと、サッパリした性格が。

    小麦が亡くなってレイが迎えくるという切ないオチですが、過剰なセンチメンタルさはありませんでした。

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