つばさものがたり (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 140
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006887

感想・レビュー・書評

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  • 「つばさものがたり」・・・勝手に、一代記だと思っていたら、そうじゃなかった。(もしくは新幹線の「つばさ」を思い浮かべてしまった)タイトルもっと考えた方がいいんじゃないかな?なんか、すごく設定が細かいファンタジーなので(天使のテストの設定が細かすぎる!)、こういうの、子どもは好きだけど、大人にはちょっと・・・ついていけなーい!(笑)主人公の小麦ちゃん、病気のことを誰にも言わないのは、なんだかなあ。親にくらいちゃんと言った方がいい気がするけど・・・
    でもこれを読んで、ケーキってすごく繊細に繊細に作られているんだ、ということが分かって、おいしいケーキ、こだわったケーキを食べたくなった!単純!

  • 順調だった仕事も、大好きだった人も諦めて小麦は故郷へと戻った。
    すべては身体に巣食う癌のために。
    完治したと思っている周囲に再発・転移した事実を打ち明けることができずに、逃げるように何も知らされていない家族が住む故郷へと帰ってきたのだ。
    夢だった母とのケーキ屋。だが、「天使の通り道」ではない店は開店早々に閉店に追い込まれる。
    兄の息子・吐夢にもある問題があった。
    天使が見えるという吐夢を父である小麦の兄・代二郎は心配するが、母親の道恵は楽観的だ。
    天使・レイことを嬉しそうに話す吐夢を優しく見守っている。
    どんなにがんばって手に入れた未来も、突然の病がすべて壊していく。
    辛くても必死にそれを隠してがんばろうとする小麦が愛おしい。
    病気のことを知る前も、知った後も、代二郎をはじめ小麦を支えようとする周囲の人たちがあたたかい。
    自分の努力や熱意ではどうにもならない病との闘い。
    死は容赦なく刻々と近づいてくる。
    それでも悩み、苦しみ、ときに泣きながらも前を向き続けようとする小麦の姿は強く、そして輝いている。
    小麦は病に立ち向かうために。
    吐夢は自転車に乗れるように。
    レイは天使の試験に合格するために。
    そして道恵はケーキ屋をしっかりと守っていけるように。
    何かを手に入れるために頑張る姿は美しい。
    約束通りに迎えにきたレイ。
    「ちゃんと生きて、ちゃんと死ぬ」。最近見たドラマでのセリフだ。
    私はちゃんと生きているだろうか?
    死ぬことはけっして終わりではない…と信じたくなる物語だった。

  • この作家さんはこんな話も書くんだなと発見した。
    夢に向かってひたむきな主人公を素直に応援したくなるし、この作品のファンタジックな要素も引っかかる事なく馴染めたので途中何度か目が潤んだ。落ち着くところに落ち着く、正統派な感動ストーリーだと思う。

  • パティシエの小麦は、癌に侵された自分の体を隠し、家族と念願のケーキ店をオープンさせる。ただ、甥の叶夢は「ここははやらないよ」と天使からの伝言を伝える。子供の言葉と聞き流していた小麦だが、だんだん店の売り上げは下がり、自身の体調も思わしくなく、とうとう店をお休みすることにする。

    しばし休養して心身ともに落ち着いてきた頃、叶夢が「天使の試験がある」と言いだす。どうやらいつも一緒の天使と要請のハーフで叶夢にしか見えない、レイには立派な天使になるための試験があるらしい。

    小麦の兄である代二郎と共に戸惑いながら話を合わせていたが、実際の試験で本当に天使がいるような気がして、将来に希望を持つ。

    心機一転場所を変えて叶夢の言う「レイがここならてんしがいるって」というアドバイスに従い店をオープンすると、店は大繁盛。でも小麦の命のタイムリミットは迫っており、最後はレイが迎えに来てくれる。

    子供の言葉って真剣に取り合うのは難しいのかもしれないけれど、真実が含まれているのかもしれない。小麦は最後死んでしまうが、きっと彼女は幸せだった。私も天使が見たい。

  • なぜ上司に病気のことを相談しないんだ?なぜ同僚に言えない?なぜ家族に甘えない?スーシェフもできないぐらい調子悪いのにお店をオープンしようなんて思う?勝手に自分の思いを義姉にたくす?ふ~。美しい物語でした。

  • 井戸の茶碗のように善人しか出てこない物語。それでも、嫌味が無く、レイの存在もすんなり入ってきました。代二郎さんが一番魅力的だったかも…

  • なかなか泣けました。
    伊豆はいいなあ。

  • 洋菓子店を開くという亡き父の思いを叶えようとする若きパティシエールと天使の見える甥っ子の話。
    天使が出てくるけど、変なファンタジーではないし、物語は山あり谷ありで面白かったけど、甥っ子の名前、叶夢でカナムは弱冠キラキラだよなぁ、とどうしてもその点だけ引っ掛かりを感じてしまったよ。

  • 母や亡くなった父の期待を一身に集める光のような妹の小麦と、何だかうまくいかずに中途半端で残念な兄。
    しかし、パティシエを目指し都会で頑張る小麦がガンになり、それを隠して地元に戻ることに・・・。
    前半は入りにくかったけれど、夢叶が気になって読み進めるうちに引き込まれて一気に読みました。
    家族、夢、命といったものを、ファンタジーの形で温かく描いている素敵な作品。

  • キレイなお話。
    意外性とかは全くないけど、心が洗われるし、さらさらっと読める。
    登場人物が皆優しさに溢れていて、思わず肩入れしちゃうなあ。
    がんって人事じゃないなあ…
    若くても検診行くべきなんだろうな。

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著者プロフィール

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年、第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』で小説家デビュー。04年に刊行した『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『殺気!』『つばさものがたり』『銀色の絆』『途中の一歩』『仮面同窓会』『検察側の罪人』『引き抜き屋1 鹿子小穂の冒険』『引き抜き屋2 鹿子小穂の帰還』『犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼』『犯人に告ぐ3 紅の影』『望み』などがある。

「2021年 『霧をはらう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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