群青の夜の羽毛布 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2014年1月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784041006962

作品紹介・あらすじ

ひっそり暮らす不思議な女性に惹かれる大学生の鉄男。しかし次第に、他人とうまくつきあえない不安定な彼女に、疑問を募らせていき--。家族、そして母娘の関係に潜む闇を描いた傑作長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • テーマは崩れた家族
    母親と娘の確執
    1995年の作品なのでこの類の小説としては
    早い作品なのではと思う
    母親の支配は厳しく 娘の精神は脆い
    時折 回想する告解が入り
    山本さんの作品としては珍しいのでは
    ミステリアスなストーリー展開

    2002年映画化
    大学生の健全そうな男子は バイト先のスーパーの客である美しい女性に恋をする
    彼女は心身共に繊細
    大学を中退し節約して家事をこなす彼女は
    母親と妹と坂の上の戸建てに住む
    教師である厳格な母親
    奔放な妹
    三人の関係を読むほど 家庭の異常さをみる

    支配する母親も従属する娘も気持ち悪いのに
    この家庭やこの男子にもっと秘密があるようで
    最後まで見届けてしまった

  • 本のリサイクル市でぱっと目に入ってきたタイトルに惹かれて読みはじめたら、想像もしなかった不穏な気配に怯みつつも、謎めいた語り手に導かれ、どんどん深みにはまっていく。怖くて哀しくてやめたいのに引き返せない。最後まで読まずにいられないストーリー展開と情景をありありと想像させる文章はさすが山本文緒。新作が読めないのがつくづく寂しい。出版当時の記憶もないのだが、2002年に映画にもなっていたとの事。

  • 歪んだ家族の形を描いた一冊。厳しすぎる母と娘の重く暗い話しではあるものの、不思議と嫌な感じはしなかった。どこかが少しずつ違っていたら、幸せな家族になったのではないかとも思う。

  • 母と娘に潜む闇と秘密。大学生鉄男は,年上で儚げなさとるに惹かれるが,交際は難航する。さとるには逃れられないが家族の呪縛がある。精神を病む父,過干渉の母。追い詰められたさとるの狂気の行動が怖い。

  • タイトルから、静かでゆったりした展開を想像しておりましたがめちゃくちゃ違いました。ここまでくると、ミステリというかホラー。そうだ親子関係という恐ろしい関係は“ホラー”の類なんだ…と謎に納得。スルスル読めたけど、重たい読後感。

  • 母と娘2人の闇を抱える家族の謎を、長女の彼氏と同じ視点でどんどん明らかになる。
    情と憎しみが入り混じっている異常な家族関係。展開が読めず、続きが気になり一気に読んでしまった。
    山本文緒さんの小説は本当に面白い!

  • なんでしょう。出てくるほぼ全ての登場人物が糞。本当に読んでる最中、読後、胸糞悪…。正直、こういった読書は自分には必要ありません。自転しながら公転するが非常に面白かったので、うーん。

  • 一貫してダークで、劇場型な展開も多い反面、心理描写がすごくリアルで、頻繁にゾッとしながら読み進めました。

  • 不思議な魅力を持つ女性・さとると付き合い出した鉄男。
    あまりにも厳格な母親、奔放な妹、母親の顔色を伺いながら暮らすさとる。彼女の家庭環境のいびつさは、次第に鉄男の知るところになる。
    皆イヤなやつで読後感がめちゃくちゃに悪い…なのに読めちゃう…

  • 読み始めるとどんどんいやな気持ちが積み重なっていくのに、読むのを止められない。

    恋愛の先に家族があり、家族ごとに多かれ少なかれ事情を抱えているものだけど、この家族は鉄男が生半可な気持ちで首をつっこんではいけないしさとると鉄男は目的がすれ違い続けていて幸せになれなさそう。

    そのことに鉄男自身もはじめから気が付いているはずなのに、情なのか何度も「自分はさとるが好き」と言い聞かせて自己暗示をかけて付き合いを保っているのが怖かった。

    何度も驚く場面はあったが、いちばんはカウンセリングの謎が解けたとき。
    途中でおでんの具材の話になったときに母親がタコの有無を確認して、入っていないことに薄い反応だったのはそういうことか、と納得した(この母親ならタコがスイッチになり怒り狂ってもおかしくないと思ったので)。こういう部分が山本文緒さんのお話の面白いところだなぁ…

  • 薬科大学を中退し精神を病んで働くことができなくなったさとると
    健全な大学生の鉄男はあることがきっかけでつきあっている。
    病弱でおとなしく、謎めいたさとるのことを鉄男はほっとけず、今までつきあった女性たちと違う魅力を感じている。
    さとるの母親は異常に厳しく、それに従うさとる。そんな、さとるの家の異常さに脅威を感じながら、その家になじんでいく鉄男。
    山本文緒さんの作品は人間の心の描写がリアルで面白い。表現が重くないのか、読みやすく影像が浮かんでくる。
    この作品は山本文緒さんの作品のなかで暗いストーリーだが、後半に明るい兆しがあり読了ご安堵した

  • 読んでいる最中、背中がぞわぞわしてしょうがなかった。
    大学を中退し、家事手伝いとして過ごしているさとる、24歳。
    2歳年下の彼は大学4年で、就職も決まった今、自由な時間をさとると過ごしたいと思っている。
    しかし、さとるはいつも母の影におびえ、門限を絶対に破ろうとはしないのだ。

    父の姿のないさとるの家では、母が絶対的権力者で、何か気に入らないことがあると暴言を吐く、だけではなく、暴力も振るう。
    さとるは母に愛されている実感がないまま、母を怒らせないように気を遣って生きているのだ。
    さとるの妹みつるは逆に、母に反発を隠さない。
    ただし、やっぱり逆らうことはできない。
    しんと冷たい家族の姿がそこにはあった。

    私の実家の話かと思った。
    ここまでひどくはないけれど、過干渉の母に対して反発は許されなかった。

    さとるたちが隠す父の影。
    その謎が解けたとき、物語は一気に崩壊に向かっていくのだけど、私はそれよりも前半の方が怖かったなあ。
    怖いというより苦しかった。
    息ができなくて背中がぞわぞわ。
    どうして親は私を縛り付け、思い通りにさせようとするのか。
    なぜ子どもは自分の意見を言ってはいけないのか。
    学生時代は何かが自分の中から飛び出してきそうで、怖かった。
    友だちがいなかったら、きっと爆発していたと思う。

    物語の終盤でみつるが姉の恋人である鉄男に言う台詞がある。
    「入院してるのは、私の両親とお姉ちゃんだよ。だからできる限りは面倒見る。でも、どこまでやったら親孝行で、何をしなかったら親不孝なんだろう」
    みつるは家族を愛してはいないが、情はある。
    だからできる限りは面倒見るけど、距離を置こうとする気持ちはすごくわかる。
    それは、今現在私が実家に抱いている思いと多分同じだ。

    哲夫にもまた、さとるには告げていない家族の問題があった。
    全くのお嬢様気質のまま大人になった母。
    なにも自分で判断することをせず、責任も持たず、誰かの庇護のもとでなければ生きて行けない母。
    父は愛人を作って出ていき、兄も大学進学を機に家から離れていった。
    全力で人に頼ろうとするから、人は彼女から離れていく。
    それを間近にみて母を捨てきれない鉄男。

    人は皆、まず自分の力で立てるようにならなくてはだめだ。
    親に、子に、恋人に凭れて、縛って、愛憎がきつく絡まっていくのは、結局誰のことも幸せにしない。できない。
    そういうことですよね、文緒さん。
    夏にこの本を予約した時、この本を読む前にあなたがいなくなるなんて思いもしませんでした。

  • 山本文緒さんの訃報にふれ、Kindleの一覧からふと読んでみた。

    謎の独白から始まる各章に、つかみどころのない主人公さとる、さっぱりした妹みつる、今ならきっと毒親と呼ばれるであろう厳しすぎる母親、そして次第に明らかになる彼女らの暮らしぶり。そこにどんどん深入りしていく鉄雄。

    ホラー感すらある強烈な展開だけれど、そうなるべくしてなった、何の不思議もない流れではないか。
    家族というごく小さなかたまりのいびつさに胸をえぐられ、坂の上の家の佇まいがしばらく頭から離れない、奇妙な読後感のある作品だった。

  • 何だか優しい気持ちになる。思春期の青さと新鮮さ、傷つきやすさや脆さと隠している部分。
    その頃に包んでくれる存在は、文字通り羽毛布団の様だ。それを表現しているからこそ、こんなに優しさが残るんだろう。

  • モヤモヤしながら読み進めました。
    ずっと薄気味悪いというか、嫌な感じ。
    有り得そうな、リアルだからこそ
    嫌なのかなと思いました。

    歪んだ家族関係。
    24歳にもなって門限が
    22時なのは普通なんでしょうか?

    厳しく育てることが悪いことだとは
    思っていません。
    けれど、親に萎縮してしまうようになったら
    終わりなんじゃないでしょうか。

    登場人物全員に共感することはできず
    好きになることも出来ませんでした…

    後半からは驚きの展開の連続でした。

    彼女たちは今後
    どうやって生きていくのでしょうか。

  • 家族という箱は本当に怖い。
    さとるはふつう、みつるはすごい。
    母という存在はなんでいつも狂ってしまうんだろう。
    意識が中にむいているから?
    家族を離すまい、という異常な執着?

    意識は外に向いていた方がいいのかな。
    外から見えない、というのがいけないんだろうか。
    わからない。

  • 嫌な気分になる本。
    でも読み進めて行くと止まらなくなる。
    ある意味ホラーより怖いかも。
    色んな人間関係あるけれど、なんだかんだと縁が切れない家族との人間関係が一番難しいのではと考えさせられた。
    仕事が忙しい時や余裕がない時にはお勧めしにくい本です。山本文緒さんは、大人しそうだけど男性に依存したり掴み所がない女性像を描くのがとてもうまいですね。今回も唸りました。

  • ゆがんだ家庭の事情を赤裸々に描いたお話。

    長く一緒に暮らしている家族ならそこでのルールみたいなものは自然と出来てくる。
    家族各々はその狭い世界のなかで生きなければならない。
    抜け出したくても、なかなかできない。
    家族間のルールに縛られると嫌なことなのかいいことなのか、その判別までもが難しくなる。

    娘二人の家庭に母親が女帝になり、彼女の独裁ぶりに父親を含め娘の恋人までが、翻弄されていく。

    ここまではよくあると思うのだが、母親が娘の恋人を寝取るというのは、ちょっとわからない。
    娘を含めた周囲の者達を独占したいのであれば、そんなことはしないのでは?

    この母親が何を目指しているのかが、さっぱりわからない。





  • ⭐︎4寄りの3。先が気になってすぐ読んでしまった。
    だけど、虐待と精神科的な問題と、それくらい深いテーマに触れるなら、もっと緻密に最後回収してほしかった。放火で問題をうやむやにした感じがした。

  • どうなるどうなる?と展開が気になって一気読み!生き地獄のような理不尽な毎日に耐えるさとると、一見反抗しているように見えながらもちゃんとお金を入れているみつる…お母さんがこの人じゃなくてよかったと心から。限界って突然くるよね…

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著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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