群青の夜の羽毛布 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 333
感想 : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006962

作品紹介・あらすじ

ひっそり暮らす不思議な女性に惹かれる大学生の鉄男。しかし次第に、他人とうまくつきあえない不安定な彼女に、疑問を募らせていき−−。家族、そして母娘の関係に潜む闇を描いた傑作長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めるとどんどんいやな気持ちが積み重なっていくのに、読むのを止められない。

    恋愛の先に家族があり、家族ごとに多かれ少なかれ事情を抱えているものだけど、この家族は鉄男が生半可な気持ちで首をつっこんではいけないしさとると鉄男は目的がすれ違い続けていて幸せになれなさそう。

    そのことに鉄男自身もはじめから気が付いているはずなのに、情なのか何度も「自分はさとるが好き」と言い聞かせて自己暗示をかけて付き合いを保っているのが怖かった。

    何度も驚く場面はあったが、いちばんはカウンセリングの謎が解けたとき。
    途中でおでんの具材の話になったときに母親がタコの有無を確認して、入っていないことに薄い反応だったのはそういうことか、と納得した(この母親ならタコがスイッチになり怒り狂ってもおかしくないと思ったので)。こういう部分が山本文緒さんのお話の面白いところだなぁ…

  • 嫌な気分になる本。
    でも読み進めて行くと止まらなくなる。
    ある意味ホラーより怖いかも。
    色んな人間関係あるけれど、なんだかんだと縁が切れない家族との人間関係が一番難しいのではと考えさせられた。
    仕事が忙しい時や余裕がない時にはお勧めしにくい本です。山本文緒さんは、大人しそうだけど男性に依存したり掴み所がない女性像を描くのがとてもうまいですね。今回も唸りました。

  • ゆがんだ家庭の事情を赤裸々に描いたお話。

    長く一緒に暮らしている家族ならそこでのルールみたいなものは自然と出来てくる。
    家族各々はその狭い世界のなかで生きなければならない。
    抜け出したくても、なかなかできない。
    家族間のルールに縛られると嫌なことなのかいいことなのか、その判別までもが難しくなる。

    娘二人の家庭に母親が女帝になり、彼女の独裁ぶりに父親を含め娘の恋人までが、翻弄されていく。

    ここまではよくあると思うのだが、母親が娘の恋人を寝取るというのは、ちょっとわからない。
    娘を含めた周囲の者達を独占したいのであれば、そんなことはしないのでは?

    この母親が何を目指しているのかが、さっぱりわからない。





  • 家族との関係の中で、自分の価値を見出せずに変わらない日々を過ごす24歳の女の子。母と子、女と男、周りと自分。様々な対比の中で存在する自分を見直す機会を与えてくれる本。気分が憂うつな時にはお勧めしないね。

  • この手の小説を読んで理解できない人は幸せな家庭に育ったということ。
    現実にはこれと似たり寄ったりだったり、これ以上にひどい家庭もある。
    よく書けている。

  • 歪んだ母子関係は、欧米では結構昔から取り上げられてきたように思います。
    しかも、『サイコ』や『キャリー』など、ホラーやサスペンスに絡められるほど、その恐ろしさや問題の根深さが捉えられている気がします。

    私が気が付かなかっただけかもしれませんが、日本でこの手のテーマが書かれるようになったのは、欧米に比べると、割と最近になってからのように感じられます。

    欧米では早くから、カウンセリングも普及し、家庭の問題を外に出そうという動きがあったからかもしれません。
    一方、日本では未だに、DVやその他、家庭の中の問題は外に出さない、という考えが、当事者や周辺の人にも残っているようです。

    アダルトチルドレンは連鎖していくけれど、主人公のさとると、その妹のみつるは、少しでも克服出来るかも・・・と、少し希望の持てる終わり方でした。

  • さとるとみつるという名の姉妹。う、なんで男の子みたいな名なの?それには母親(女)の心の暗闇が隠されていたのだった。

     最近ふえた事件・事故にも思いをはせ、家族の形態、役目ひいては結婚とは?という考えにとっぷりとつかって読了した。なんだかそんな考えにわたし自身が最近とりつかれているからなのかもしれない。

     読みやすい小説の型をとっているが、1995年に出版されているから先見の明、世をにぎわす猟奇事件の解説のようでもある。

     帯にミステリアス長編恋愛小説とあるが、今やありふれていることなのだ。おびただしい記事のうしろにこの世界があるのか、よけいぞっとするではないか。

    *****

    この感想を書いたときは幻冬舎文庫で読んで、同時代性を感じたのだが、その後、角川文庫で再文庫化されているので読み直してみたい(2021/8/15)

  • 三人称と一人称で書かれていて、途中までこの一人称が誰のことなのかがわからないのが面白い。

    一番悪いのは母なんだと思うけど、その母の心情が描かれていないので、一体この人は何を考えているんだろう?と思った。

    "どこまでやったら親孝行で、何をしなかったら親不孝なんだろう"
    ほんとそう。
    さとるもみつるも、家族に縛られて生きていたけどこれからは少しずつ解放されますように….

  • 家事手伝いをする24歳のさとるの門限は10時。
    それを頑なに守っている。
    さとると付き合うようになったスーパーのアルバイト店員大学生の鉄男から見たさとるの家庭は、普通ではないように思えた。

    多少の家族の秘密はどこにでもありそうですが、さとるの家庭の問題はとても深く重い。
    さとるはその被害者なのかも。
    さとるの陰湿な雰囲気も、家庭環境にありと思います。
    鉄男が救いになるのでしょうか。

    物語の後の展開を想像しても、一筋縄では行かなそうな気がします。
    みんなが今より少しでも幸せになれたらいいなと願ってやみません。

  • 家がなくなることで解放されたような終わり方だったけど、家族の関係がよくなったわけではないし、すっきりしない…。先生と誰かの会話は、正体が後半まで読めなかったのでおもしろかったです。読んでいて情景が浮かんでくる描写はさすが!

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著者プロフィール

1962年神奈川県生れ。OL生活を経て作家デビュー。99年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞を受賞。著書に『ブルーもしくはブルー』『あなたには帰る家がある』『眠れるラプンツェル』『絶対泣かない』『群青の夜の羽毛布』『落花流水』『そして私は一人になった』『ファースト・プライオリティー』『再婚生活』『アカペラ』『なぎさ』『自転しながら公転する』など多数。

「2021年 『ブルーもしくはブルー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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