南の子供が夜いくところ (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 463
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041007129

作品紹介・あらすじ

からくも一家心中の運命から逃れた少年・タカシ。辿りついた南の島は、不思議で満ちあふれていた。野原で半分植物のような姿になってまどろみつづける元海賊。果実のような頭部を持つ人間が住む町。十字路にたつピンクの廟に祀られた魔神に、呪われた少年。魔法が当たり前に存在する土地でタカシが目にしたものは-。時間と空間を軽々と飛び越え、変幻自在の文体で語られる色鮮やかな悪夢の世界。

感想・レビュー・書評

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  • 今回は南の海に浮かぶ島が舞台だった。
    緊張を和らげるおまじないのひとつに観客は南瓜だと暗示する手法があるが、恒川先生の手にかかるとこんな風に料理されるんだなぁ。面白い。
    同著者の夜市、秋の牢獄では純日本的なひんやりとした空恐ろしさを感じたが、それは南の島が舞台であっても変わらなかった。
    恒川ワールドに迷い込むと現実と幻想の境界線が曖昧になり、気付けば物語の世界にどっぷり浸っている。読後の余韻がたまらなく気持ち良い。

  • 傑作『夜市』から続いてきた異郷を舞台にした作品群から一転。伝説、民話、神話、怪談という民族心理に根付いた寓話を一つの舞台で語られる短編集として構成、展開しようとした恒川光太郎の意欲作。
    絶望の淵からの再生と復活をテーマに7つの話が語られてゆく。表題の『南の子供が夜いくところ』は、この短編集のプロローグ的な話であり、主人公のタカシ少年と大呪術師ユナが南洋に浮かぶトロンバス島との関わり合いと、この島にまつわる奇談で読者を現代、過去、異界へ縦横無尽に駆け巡る異世界へと誘う構成と飽きることなく一気に読ませる「技」は見事。日本人の深層心理にある「南国望郷論」に基づくユートピア「トロンバス」。大自然の不思議は神々へ畏怖と優しさとして人の中に息づく。恒川が魅せた新たな「異世界」。
    作中、トロンバス島の住人の中に「ON:オン」からやって来たとされる人物は前作『雷の季節の終わりに』の舞台となった「穏:おん」からか?ちょっとしたファンサービスが嬉しい。

    • はこちゃんさん
      そうだ、文庫本化されていたのですね。買わなくちゃ♪ 竜が最後に帰る場所も早く文庫化しないかな~と思ったら、おぉ、13日発売!マエストロさん、...
      そうだ、文庫本化されていたのですね。買わなくちゃ♪ 竜が最後に帰る場所も早く文庫化しないかな~と思ったら、おぉ、13日発売!マエストロさん、サンキューです(*^-゚)b
      2013/09/05
  • 南の島を舞台にした不思議な連作短編。それぞれ主人公は違うけれど、呪術師ユナと日本人の少年タカシでゆるくつながっている。

    魔法なのか、呪術なのか、はたまた夢か幻か。南の島の明るいイメージと一見似つかわしくない幻想的な世界が広がる。

    どれも恒川さんらしい美しい文章で綴られているけれど、幼い日のユナを描いた「紫焔樹の島」と植物のように半分地中に埋まっている元海賊の男が過去を回想する「まどろみのティユルさん」が特に好み。

  • 一家心中しようとしていた家族
    その息子タカシが一人の女性に
    助けられ、連れて行かれた島
    #トロンバス島 で
    繰り広げられる短編7作品
    .
    .
    それぞれ違う人物からの
    違う時代違う視点の
    話だけど、どこかで繋がっている
    .
    小さな島の
    長い旅の終わりを飾る
    ”夜の果樹園”は
    読んでいて、ハッ!とする
    そうか。私は瓜畑を渡るのを
    やめてしまったのかもしれないと。
    少しウルっと来るくらい
    心に刺さるものがありました。
    .
    有り得ないような
    有り得るような
    そのキワどいラインで
    進む話は
    妙に現実的で
    説得力がある
    やっぱり恒川光太郎 さん
    好きっす。

  • ◆初期の「夜市」や「雷の季節」のような喪失を突きつけられる恒川作品とは趣が異なり、浅い眠りの中幾度も夢をみては再び眠りに落ちていくような、たゆとう不思議な読後感。◆〈小鬼は決して滅びない。バスが夜に運んでくる〉「結局はみんな同じなんだよ。俺だっておまえと同じだったんだ」◆みな、罪や過ちを抱えている。しかし、自ら内省するうちに、罪や過ちは風化し、流転し、存在はメタモルフォーゼする。我々は許され、再生する。◆ここ2ヶ月ほど重い読書に浸っていたので、うたた寝のような湿り気のあるこの読書に思いのほか癒された。【2014.04.12】

  • 『夜市』に続いて、恒川光太郎連読み2作目。
    南海に浮かぶ、架空の島、トロンパス島の物語。
    自然信仰と、日本的八百万の神や鬼の類いが上手くブレンドされた、「ファンタジーの皮を被った悪夢」が展開されてゆく、連作短編集。
    個人的にはオチは想定内だったが、「まどろみのティユルさん」が一番好き。
    恒川先生、この流れ(トロンパス島シリーズ?)で、まだ書けるような気がする(ユナの話はまだまだありそうだし、ソノバ辺りの視点からのエピソードも面白そう)、期待しているのは、自分だけだろうか…?

  • 南の子供が夜いくところ:一家心中しようとしていた家族の子供タカシが、両親と別れて南の島の教授の家で暮らすことになる。

    紫焔樹の島:タカシを一家心中から救ったユナの幼き日の物語

    十字路のピンクの廟:タカシのクラスメイト達の話、ピンクの廟には謎の像が祀られている。その成り立ちを探る

    雲の眠る海:ペライアという島国の興亡を描く物語酋長の甥のシシデマウさんが主人公!

    タコ漁師:息子が死んでタコ漁師になった男の話ヤニューという妖異も登場する

    まどろみのティユルさん:元海賊のティユルさんは首だけが土から出ている!?

    夜の果樹園:タカシの父親がタカシに会うためバスに乗ったら不思議な場所に迷い込むそこは、住人達の頭がフルーツの街!?


    トロンバス島と呪術師ユナを中心とした七つの短編!幻想的な物語を好きな人は、どうぞお読み下さい!

  • ・ホラーというよりファンタジー。南の島が舞台の綺譚集
    ・一つの長編だけど、章それぞれ独立した短篇という趣き。章相互はゆるく関連しているが、ミステリのように、終盤にかっちりオチをつけるという感じではない。南の島から連想されるイメージを思うままにつなぎ合わせてみましたよ、といったところ
    ・正直薄い

  • お気に入りの作家さんの文庫本最新作でかなり期待して読みました。 恒川作品でお気に入りなのは「風の古道」、「夜市」、「神家没落」、「秋の牢獄」で、これらに比べると、恒川さんっぽさが無くなったのかなという感じがしました。今回の作品でもは、「夜の果樹園」が、それら作品に一番近いかなって感じですね。 この後で、夜市を再読しましたが、ここで書くことではないかも知れませんが、改めて夜市、風の古道の完成度の高さにはビックリさせられました。

  • 南の島を舞台にした連作短編集。恒川作品は好きだが、これはイマイチだった。
    南の島にあまり思い入れがないので、最初の方はあまり話に入れなかった。だが、最後の三編は楽しく読めた。オンがルーツという登場人物がいて、おっ!と嬉しくなった。
    フルーツ頭の話で、人間でないものになればまたそのものの苦労があるという話は、金持ちの飼い猫っていいな、と思っていた私への戒めかもしれない。

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