南の子供が夜いくところ (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 602
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041007129

作品紹介・あらすじ

からくも一家心中の運命から逃れた少年・タカシ。辿りついた南の島は、不思議で満ちあふれていた。野原で半分植物のような姿になってまどろみつづける元海賊。果実のような頭部を持つ人間が住む町。十字路にたつピンクの廟に祀られた魔神に、呪われた少年。魔法が当たり前に存在する土地でタカシが目にしたものは-。時間と空間を軽々と飛び越え、変幻自在の文体で語られる色鮮やかな悪夢の世界。

感想・レビュー・書評

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  • 傑作『夜市』から続いてきた異郷を舞台にした作品群から一転。伝説、民話、神話、怪談という民族心理に根付いた寓話を一つの舞台で語られる短編集として構成、展開しようとした恒川光太郎の意欲作。
    絶望の淵からの再生と復活をテーマに7つの話が語られてゆく。表題の『南の子供が夜いくところ』は、この短編集のプロローグ的な話であり、主人公のタカシ少年と大呪術師ユナが南洋に浮かぶトロンバス島との関わり合いと、この島にまつわる奇談で読者を現代、過去、異界へ縦横無尽に駆け巡る異世界へと誘う構成と飽きることなく一気に読ませる「技」は見事。日本人の深層心理にある「南国望郷論」に基づくユートピア「トロンバス」。大自然の不思議は神々へ畏怖と優しさとして人の中に息づく。恒川が魅せた新たな「異世界」。
    作中、トロンバス島の住人の中に「ON:オン」からやって来たとされる人物は前作『雷の季節の終わりに』の舞台となった「穏:おん」からか?ちょっとしたファンサービスが嬉しい。

    • はこちゃんさん
      そうだ、文庫本化されていたのですね。買わなくちゃ♪ 竜が最後に帰る場所も早く文庫化しないかな~と思ったら、おぉ、13日発売!マエストロさん、...
      そうだ、文庫本化されていたのですね。買わなくちゃ♪ 竜が最後に帰る場所も早く文庫化しないかな~と思ったら、おぉ、13日発売!マエストロさん、サンキューです(*^-゚)b
      2013/09/05
  • 時代や国を超えて、人々が繋がるところが好き。思いもよらない展開にぐんぐん惹き込まれました。何となくハロウィンの読書におすすめしたい本です。

  • 両親の都合で、不思議な少女ユナに
    一人、南の島に連れられた少年・タカシ。
    辿りついた南の島は、不思議で満ちあふれていた。
    変幻自在の文体で色鮮やかな悪夢の世界が描かれる。
    「南の子供が夜いくところ」
    「紫焔樹の島」「十路地のピンクの廟」
    「雲の眠る海」「蛸漁師」
    「まどろみのティユルさん」「夜の果樹園」収録。

    どこか不思議でどこか不気味な南の島。
    それでいてどこか物悲しさの残る物語。
    この島は本当にどこかにあるのではないかと
    思ってしまうほど、島の光景が目に浮かぶようです。
    色彩豊かな悪夢といった感じ。
    「ピンクの廟」の先祖を弔う祭りや
    「雲の眠る海」の先住民への侵攻など
    実際にあった事も描かれているからでしょうか。
    特に「まどろみのティユルさん」が好きです。

  • 南の島を舞台にした不思議な連作短編。それぞれ主人公は違うけれど、呪術師ユナと日本人の少年タカシでゆるくつながっている。

    魔法なのか、呪術なのか、はたまた夢か幻か。南の島の明るいイメージと一見似つかわしくない幻想的な世界が広がる。

    どれも恒川さんらしい美しい文章で綴られているけれど、幼い日のユナを描いた「紫焔樹の島」と植物のように半分地中に埋まっている元海賊の男が過去を回想する「まどろみのティユルさん」が特に好み。

  • 一家心中しようとしていた家族
    その息子タカシが一人の女性に
    助けられ、連れて行かれた島
    #トロンバス島 で
    繰り広げられる短編7作品
    .
    .
    それぞれ違う人物からの
    違う時代違う視点の
    話だけど、どこかで繋がっている
    .
    小さな島の
    長い旅の終わりを飾る
    ”夜の果樹園”は
    読んでいて、ハッ!とする
    そうか。私は瓜畑を渡るのを
    やめてしまったのかもしれないと。
    少しウルっと来るくらい
    心に刺さるものがありました。
    .
    有り得ないような
    有り得るような
    そのキワどいラインで
    進む話は
    妙に現実的で
    説得力がある
    やっぱり恒川光太郎 さん
    好きっす。

  • ◆初期の「夜市」や「雷の季節」のような喪失を突きつけられる恒川作品とは趣が異なり、浅い眠りの中幾度も夢をみては再び眠りに落ちていくような、たゆとう不思議な読後感。◆〈小鬼は決して滅びない。バスが夜に運んでくる〉「結局はみんな同じなんだよ。俺だっておまえと同じだったんだ」◆みな、罪や過ちを抱えている。しかし、自ら内省するうちに、罪や過ちは風化し、流転し、存在はメタモルフォーゼする。我々は許され、再生する。◆ここ2ヶ月ほど重い読書に浸っていたので、うたた寝のような湿り気のあるこの読書に思いのほか癒された。【2014.04.12】

  • 『夜市』に続いて、恒川光太郎連読み2作目。
    南海に浮かぶ、架空の島、トロンパス島の物語。
    自然信仰と、日本的八百万の神や鬼の類いが上手くブレンドされた、「ファンタジーの皮を被った悪夢」が展開されてゆく、連作短編集。
    個人的にはオチは想定内だったが、「まどろみのティユルさん」が一番好き。
    恒川先生、この流れ(トロンパス島シリーズ?)で、まだ書けるような気がする(ユナの話はまだまだありそうだし、ソノバ辺りの視点からのエピソードも面白そう)、期待しているのは、自分だけだろうか…?

  • 連作短編であるが短編間に深い繋がりはなく、著者の「草祭」のような作品が好きな方にはおすすめである。とある島で起きた時空を超えた幻想的な物語が様々な人物の語り口で展開される。最初の短編を読んだ際、今作は微妙かもしれないと感じたがそれは杞憂だった。全ての短編を読み終えた時に最初の短編を読み返すと変な笑いが出た。「そんなこともあったな」、とまるでとある青年のように。

  • ホラーというほど怖くも無く、やはり恒川さんらしい幻想譚。
    同じ島が舞台で登場人物も共通なので、明らかに連作短編なのですが、各編で世界観が異なります。勿論ミスなどでは無く意図したものでしょう。
    旅をして様々な世界観の土地を訪れる物語はよくありますが、この本の場合は多少の時代差はあれ同じ島内の話なので戸惑ってしまいました。というか、そこに引っかかってしまい、恒川さんの奇想、南の島が舞台なのにどこかヒンヤリとして薄暗くノスタルジックで切ない恒川ワールドを十分に楽しめなかったような気がします。
    ちょっと残念。

  • 良い終わり方。
    ユナが具体的に何ができる呪術師なのかわからない。先が見えるぐらい?

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』などがある。

「2021年 『滅びの園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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