道徳という名の少年 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.25
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本棚登録 : 661
レビュー : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041007501

作品紹介・あらすじ

愛するその「手」に抱かれてわたしは天国を見る−−エロスと魔法と音楽に溢れたファンタジック連作集。榎本正樹によるインタヴュー集大成「桜庭一樹クロニクル2006−2012」も同時収録!!

感想・レビュー・書評

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  • これきっとハードカバー時の装丁が可愛かったんでしょうね、文庫もそのデザインを踏襲していて中のレイアウトとか結構凝ってます。しかしページ数は少なく、短編連作形式の本編はイラスト等のぞけば70ページに満たず、1冊の半分以上は作者のインタビュー集。お徳といえばお徳。分けてほしいといえば分けてほしい。でもインタビューは他の作品についてのものも多くて、なかなか読みごたえがありました。

    本編のほうは、一見連作形式ですが、もとはバラバラの雑誌にバラバラのテーマで発表されたものだったそうで。美しくも不道徳な母親から生まれた父親の違う4人の姉妹と弟、その弟と末の姉の近親相姦から生まれた男の子につけられた名前が「道徳(ジャングリン)」。さらにその道徳の子供が・・・と1作ごとに家系図は発展。この不道徳な一族の最後の一人の死までが描かれます。

    個人的に面白かったのは「ジャングリン・パパの愛撫の手」。戦争で両腕を失った息子(道徳)をサポートするパパが、息子とその嫁との夜の営みもサポートしちゃうというとんでもない話ですが、その官能性や残酷さも含めて童話的テイストで淡々と物語が進むこともあり、本当はパパのほうを愛していた嫁の切なさ、自分の姉を愛してしまった過去をもつパパの切なさ、もろもろ桜庭一樹的テーマが集約されていたと思います。

  • 作家・桜庭一樹独特の音感で紡がれるしっとりと耽美な物語。
    薔薇のかんばせを持った少女はいつか母となり、その子供もまた成長して親になっていく、そんな連綿とした血の繋がりが童話的に描かれている。
    艶やかな装丁・挿絵が物語の雰囲気を壊すことなく渾然一体となっていて素晴らしい。

    ただ一つ残念なのは後半に収録されているインタビュー集が作品から完全に浮いてしまっていること。他の桜庭作品を幅広く読んでいない読者にとってはあれこれ引用されてもさっぱりわからないだろうし、溜め息が出るほどの読後感がきれいさっぱり払拭されてしまう。

  • 子供じゃなく大人のための、ダークな童話。
    短編集と著者のインタビュー。


    小さな国の、敬虔なクリスチャンが住む町の
    町でいちばんの美女が、午前零時に赤子が生んだとこから
    始まる物語。
    1、2、3、悠久、そして異父兄弟の、末弟。
    悠久は弟の間に、道徳(ジャングリン)が誕生し
    ジャングリンは成長し、小さな国は遠くのおおきな国が
    戦争をはじめ、ジャングリンも従軍する。
    ジャングリンは、両腕を失い戦争からから帰ってくる。
    そして、幼いころから愛していた雑貨屋の娘と
    結婚する・・・・。

    ジャングリン・パパの愛撫 がいちばん、好きでした。
    夜更けるとそれがやってくる時間は、
    いやらしくもあり、雑貨屋の娘を思うと切ない。
    ジャングリン・パパも、血のつながりのある
    姉を愛してた過去を持っているから、切ない・・。

    淡々とした中にある、残酷さ、いやらしさ。
    桜庭一樹の作品を、ある程度読めば
    桜庭一樹が詰まっているのがわかります!
    最後に、道徳という名の少年 というタイトルは
    この、反道徳的な一族には
    いちばん似合わない。

    目次
    1,2,3、悠久!
    ジャングリン・パパの愛撫の手
    プラスチックの恋人
    ぼくの代わりに歌ってくれ
    地球で最後の日

    インタビュー
    桜庭一樹クロニクル2006-2012

    解説 榎本正樹

  • インタビューも本編も素敵でした。僕の代わりに歌ってくれ、がとても好きです。

  • 『赤朽葉家の伝説』や、『青年のための読書クラブ』等、南米文学を思わせる作品が今までありましたが、これは、一際濃厚に南米の雰囲気を感じます。
    物語の舞台も、明言されてはいないものの、どうやら、南米そのもののようです。

    後半は、2006年から2012年にかけての、桜庭一樹さんへのインタヴューが掲載されています。
    どの作品についてのインタヴューも興味深かったのですが、「山にいる死者は善き死者で、海にいる死者はおそろしい死者」というイメージが、すごくよくわかりました。
    山陰のDNAなのかしら。

  • 大人のための童話・お伽話のような芸術作品。装丁も素敵。
    「道徳という名の少年」だけど、その生い立ちや背景は、道徳とかけ離れた、醜く美しい背徳の世界。

    言葉は少ないのに、的確にテンポよく丁寧に綴られていく。
    非現実的でありながらも、異世界に夢のように違和感なくすっと入り込んでいく感じ。
    そう、これこそが小さな子どもが純粋に絵本に求めるような読書の世界だったことを思い出した。
    久々の桜庭一樹ワールドに短時間だけど、どっぷり浸かってしまった。

    生い立ちの設定であったり、名前の付け方であったり、時代や世界観、言葉ひとつひとつの選び方も、独特でとても真似できない。

    ストーリーに「タブー」「エロス」「残酷さ」「呪いのような血筋」をふんだんに取り入れながらも、拒絶を感じさせずに、しっとりした甘美な愛情や切なさだけをもたらす。

  • 暗黒童話のような短編集。
    親から子へと不道徳な一面が引き継がれてゆく一族の物語。

    後半は、これまでの作品に関するインタヴューが掲載されている。

  • 2017/05/30
    移動中

    短編の連作、珍しい気がする。で、後半は解説やインタビューがまとまっている。閑話休題といった感じ。

  • 桜庭さんだなあ という

  • 薄い本の半分以下が表題の内容で、他はインタビュー等が掲載されていた。
    何の予備知識もなく買ったのが悪いのだが、知ってたら買ってないな。
    あまりにも短く拍子抜けしてしまった。
    内容は悪くないと思うが読みごたえは無いです。

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著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば かずき)
1971年、島根県生まれの小説家。
1999年「夜空に、満点の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。
『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)、『私の男』で直木賞を受賞。他の代表作に『GOSICK -ゴシック-』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『赤朽葉家の伝説』などがある。
ゲームのノベライズやライトノベル作品や、山田桜丸名義でゲームシナリオを手がけるなど幅広く活躍している。

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