配達されたい私たち (角川文庫)

  • KADOKAWA (2013年3月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041007884

作品紹介・あらすじ

死ぬことだけ考えて生きている、うつの男。死に場所と決めた廃屋で見つけたのは朽ちる寸前の手紙の束。男は放置された7通を郵便局員に代り配達することにした。すべて届けたら自殺してラクになる、そう決意して……

みんなの感想まとめ

心の喪失と再生を描いた物語が展開されます。主人公は、うつ病に苦しみながらも、死を決意した廃屋で見つけた7通の手紙を届けることを決めます。この手紙たちは、時を越えてそれぞれの宛先に思いを届けることで、主...

感想・レビュー・書評

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  • 32歳、ウツ、妻子あり。
    感情は喪失し、毎日を芋虫のように暮らす澤野。
    ある日、死に場所として入った廃墟で、届けられず捨てられた7年前の手紙の束を発見する。
    そうだ、この7通の手紙を届けてから死のう。
    心を亡くした男が届ける、心を繋ぐ7通の手紙の物語。

    知人に勧められて借りました。
    著者がうつ病だったということがあり、鬱の描写がとてもリアル。
    感情の喪失や色のない世界、動けない体に、取り纏う希死観念。
    体験記ではなく小説でこんな風に鬱独特の症状を描いている作品は希少かもしれないですね。

    7年前に届けられるはずだった手紙が時を越えて届くことで様々な物語が生まれますが、共通して思ったのは、タイミングって大きいなということ。
    タイミングが違えば結果は違っていた。そういうことは現実にたくさんあって、むしろそういう些細なタイミングのズレや一致で生まれた結果の積み重ねが人生を創っているように感じます。

    一般的な「良い」「悪い」という物差しとは別のところで物語が紡がれているのもよかったです。
    時を越えて届けられる手紙って、なんだかいいですね。

  • 2023/07/22 読了

    うつ病の主人公が7年前の手紙を届けに行くっていう設定がまた好き。
    「死にたくなったら自殺する」というただの症状で特別なことではないと言っていた。自らの命の無駄しては行けないっと当事者でない自分が気軽に言ってはいけないなと感じた。
    ….最後主人公が植物状態から意識を戻して、伝えたいことを伝えられたらいいなと思う

  • 思いは届けるためにあり、そうして、人は届けるために思う。それがいつまでも、途切れることなく、くりかえされる。

    7通の手紙を届けてから死ぬって決めて、配ってるうちに鬱の自分の心の変化に気づく。植物状態になってはじめて、生きていないと伝えられないことを知る。心から生きたいと思う。誤解だらけの世の中、人間関係。終わってからじゃ遅い。公開も全部受け止めて前に進むしかない。思いも口にするべきって知らされた。

    教師も誤る。親も間違う。社会に理不尽な差別を受ける者もいる。まっすぐ進めるかは本人次第。


  • 手紙の配達先で7人の人間模様を見て、希望が生まれ、心を入れ替える、そういう結末になるとばかり思っていましたが、そうではありませんでした。

    私にとっては、ショッキングな結末でしたが、このような終わり方の方が現実に近いのかもしれないと思いました。

  • 正しいかどうかは知る由もないのですが
    鬱の方の心理を内側から描く設定に
    とても知的好奇心を刺激されました。

    中途半端な希望的観測など許さない徹底した
    心象の描写には、本当に心揺さぶられました。

    主人公が迎えた結末には絶望と驚きとかすかな希望。
    作品世界に吸い込まれて、そうして吐き出された途端、
    締め付けられるような思いとあたたかい思いの両方を
    胸の中に感じて、それこそが現実なのだと
    思い至りました。

    今は…本当の幸福な結末を心から祈るばかりです。

  • うつの怖さ
    人とを結ぶもの
    最後の描写にドキッとしました。
    え、、、
    最初は、もっと軽く読めるものかと思っていましたが、
    進めれば進めるほど
    7年前の手紙が紡ぐ思いに心を打たれました。
    1人だと孤独を感じている人には読んでいただきたい一作です。

  • 目的を達成する頃には回復するかと思いきやそう来るか!意外な顛末ながらうつ病は深刻だ、本当にそう思う

  • 言葉の選び方が一色さんらしいのと、経験上うつ状態の主人公がとてもリアルでした。各章がマイナスからプラスに増えて行くのもほのかな希望を感じました。しかし、ドラマ版を見られなかったことを悔いています。DVD化されてないようだし。。

  • うつ病の澤野。自殺しようとした廃墟で郵便局員に廃棄されたと思われる手紙の束を見つける。7年前の手紙だ。なんとか読めそうな7通の手紙を届けよう、それを自分の死へのカウントダウンにしようと決める。 
    なんとも興味深い話です。澤野が少しずつ行動範囲を広げていき、何も感じられなくなっていた心に変化が起きてくる。もちろん、うつ病がそんなに簡単な病気で無いことも踏まえ、妻と子供との愛情も感じられる一冊。

  • 全体を通していい本だった!というより、ひとつひとつのストーリーがよかった。

    7年経てばいろいろなことが変わる。
    7年前の自分の気持ちってどうだったかな。

  • 一気読み。あー、鬱の症状の気持ちが痛いほど分かるよーって思いながら読んだ。笑 少しずつ復活していくけれど、最後は奥さんがいたたまれないなあ。

  • うつ病になった人がどう感じどう生きているか詳しく語られていますが、解らない人には自己中心的としか見られないんだろうな。全体的に言葉の選び方が巧く、心に響きます。しかし奥さんのあの行動はちょっと……。主人公が死にたくなった気持ちも解ります。救われたような、救われないような、読む人によってかなり印象が変わる作品だと思います。

  • 1通、1通の手紙に関する内容が重い。。もしちゃんと本人に届いていたら人生大きく変わっていたんじゃないかと。配達しなかった配達員が憎いっ!
    思っていたラストと違い、少し残念な気がした。豚玉食べてほしかった。思いをちゃんと伝えられるといいな。

  • ☆3.4
    鬱病を患った澤野は、ある日自殺しようとして入った廃墟で偶然手紙の束を見つける。それは7年前に郵便局員によって破棄されたものだった。「この7通の手紙を配り終えたら死ぬことにしよう」と決めた澤野は、一通ずつ手紙の配達を始めるが...。

    正直、「え!ここで終わり?!」って感じ。ハッピーエンドにして欲しいなぁ..。鬱病で感情を無くした澤野が、段々感情を取り戻して、最後のシーンで奥さんや子どもへの愛情や感謝の気持ちを思い出したのはいいけれど、植物状態で聴覚と嗅覚だけじゃ...。回復して伝えて欲しい!

  • 鬱病を患った主人公が自殺をするために侵入した、廃墟となった映画館で、7年前に配達されるはずだった郵便物の束を見つけ、自殺へのカウントダウンとしてそのうちの7通を配達する物語。
    7年前の手紙を受け取った人たちとの対話から、主人公が得るものとは。

    鬱を題材にした作品は数多ありますが、この作品のディテールには驚くばかり、自分がいかに鬱を誤認していたかを思い知らされました。
    作者さん自身が鬱病だったそうです。
    小説ではありますが、周囲の人々が読むべき一冊です。

    ラスト1通からの心情変化と振り落とされそうなほどのスピード感、最終章で明らかとなる状況と主人公の心境。
    今まで出会ったことのない、とてつもない質量を持った作品でした。
    こんな小説にはなかなか出会えない。

    普段は読んで1日寝かせてからレビューを書いていますが、この作品に関してはもう二度と味わえない初読の読後感を残したく、一気に書きました。

  • 感情はある日突然去って、
    ある日突然戻ってくる。
    自己批判は誰よりも自分が一番できる。
    死は身近だった死が遠のいていく。
    生の延長に戻っていく。
    誰かに支えられていると、誰かを支えることができる。

  • 発想は評価。でも物語の進み方は平行線をたどり、伏線がなくて、途中で飽きる。最後の終わり方も、何を伝えたいのか、いまいちよくわからない。急にぱっと飛んだ感じ。

  • 廃墟の映画館で見つけた手紙を届ると言う構成の中で、主人公の心が揺すぶられていく。でも結末は謎です。作者は鬱病の経験があるようですが、20年前に罹患したものの、治って今は普通の生活をしているそうです。鎌倉大船と言う土地柄が良く出ていました。

  • ■心を失くした男が届ける、心をつなぐ七通の手紙。

    感情を喪失したうつ病の澤野は、ある日、死に場所として入った廃墟で、偶然手紙の束を見つける、それは昔郵便局員に破棄されたものだった。「この7通の手紙は、さろうならへのカウント・ダウンだ」すべてを配達し終えたら肚をくくろう」彼は死とその痛みを先延ばしするため、7年前の手紙の配達を始める。そしてそこに込められた悲喜劇に遭遇し、久しぶりに心の揺らぎを感じるが……。神経症の時代に贈る、愛と希望の物語。

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著者プロフィール

一色伸幸(いっしき・のぶゆき)
1960年東京都生まれ。脚本家、小説家。
1980年前半から『宇宙船サジタリウス』『私をスキーに連れてって』をはじめ『七人のおたく』『波の数だけ抱きしめて』などアニメ、映画、ドラマと幅広い分野で次々とヒット作を生み出す。
『僕らはみんな生きている』『病院へ行こう』は日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。
多忙を極める中、うつ病を患い仕事を中断。無気力と自殺願望に苦しむ毎日を送るが、2年間の療養生活を経て復帰する。

2004年の連続ドラマ『彼女が死んじゃった。』(日本テレビ)や、2007年のエッセイ『うつから帰って参りました』(アスコム)、後にドラマ化、舞台化された小説『配達されたい私たち』(小学館、後に角川書店から文庫化)でうつ病患者の心情を表現するなど、復帰後は人の内面に深く入り込んだ作風で高い評価を受ける。

NHK特集ドラマ『ラジオ』は、2013年に文化庁芸術祭大賞、ギャラクシー賞優秀賞、シカゴ国際映画祭テレビ賞金賞、菊島隆三賞など数多くの賞を受賞。2014年には国際エミー賞にもノミネートされた。

「2018年 『感動コミックエッセイ さよなら、うつ。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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