エジプト十字架の秘密 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041007945

作品紹介・あらすじ

ウェスト・ヴァージニアの片田舎でT字型のエジプト十字架を模して道標に磔にされた首なし死体が発見される。全てが“T”ずくめの奇怪な連続殺人の真相とは!? スリリングな展開に一気読み必至の名作!

感想・レビュー・書評

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  • 例によって順不同で読むクイーンの国名シリーズ。エラリーの論理の積み重ねや、ある小物から犯人決め手とする所は痺れた。だがあれは時空的に犯行可能?と思う点も‥。私の頭がついていってないのかも。他の国名シリーズも読んでいきたい。

  • エラリー・クイーンのいわゆる“国名シリーズ”の第5作、1932年刊行。角川文庫2013年出版の、越前敏弥・佐藤桂による新訳版。
    国名シリーズは、2010年代に二つの出版社から異なる翻訳家による新訳版が出ていてどっちを読むか迷ってしまう(贅沢な悩み!)のだが、越前敏弥さんがエラリー・クイーンについて語るオンラインイベントのアーカイブ動画など見てしまってとても楽しかったので、基本路線はこっちでいく所存。
    以下備忘メモ。
    ・ハリウッド映画みたい。猟奇的な殺人現場、裸体主義者たち、カルト宗教、複雑なトリック、派手な追跡劇。
    ・エラリーの愛車はデューセンバーグ。画像検索して、ああこういうやつかと。これまた映える。
    ・好きなシーン。
    ①プールではしゃぐエラリー。
    ②捜査が進まず、弱音を吐くエラリー。
    ③とある人でなしを懲らしめにぶん殴りにいくヴォーン警視。
    ④大詰め、父と再会してはしゃぐエラリー。
    ・解説も楽しい。人気が出て思ったよりエラリーの活躍期間が長くなったため、初期作品で語られた設定に無理が出てきてじわじわ設定変更していることとか。デューセンバーグがどんな良い味出してるかとか。

  • ホームであるニューヨークを離れ、広大なアメリカをデューセンバーグを颯爽と乗りこなす若きクイーン。それだけでも絵になるのに、首のない死体が十字架に・・・そして散りばめられる『T』の文字・・・
    なんて脳内映像に訴えかける内容なのでしょう。
    古典とはいえエラリークイーンはやっぱり素晴らしい!の一言に尽きますね。

  • 首を切断され、十字架のように磔にされた遺体。ギリシャを「穏」とするなら、エジプトは「激」の要素が濃い作品。なんと豪華な舞台装置・・・。謎めいた宗教団体に、異様な状態の遺体、姿なき復讐者。たまらんですなぁ。何回か読んでおりなかなかに派手めな作品にも関わらず、不思議と飽きず展開の一つ一つに感心しながら読んでしまいます。目まぐるしい捕り物帳の末、意外な犯人が示されまして、なんと気の利いたラストシーン。いや、もう大好き(笑)そして、デューセンバーグで法定速度外でぶっ飛ばすエラリーのかっこよさ(≧∇≦)惚れる。

  • 古い作品だから……などと油断していると足元を掬われます。そこはやはりクイーン。一筋縄で行くわけがありませんでした。
    第一の殺人において、ミステリを読んできた読者なら思い浮かぶ疑惑を、とある一幕を差し込むことで、巧みに誤導している部分がすばらしい。
    やがて第二、第三の事件がおきても事件は混迷を極めるばかり。
    ここでもキーポイントとなってくるのはやはり頭の無い「T」に準えられた死体。
    そして、スリリングなエアーチェイス(?)の末、解決編が訪れます。
    そこで明かされる真相は、今までミステリを読んできたのに、なぜ気付けなかったのかと自分を殴りたくなるようなものでした。しかし、振り返ってみるとそれを隠すために、沢山の目眩ましを用意し、構造を複雑なものにしていることに気付きました。
    ここら辺が、傑作と現代まで伝えられている由縁なのかなと。
    越前氏の訳も読みやすくオススメです。

  • エラリークイーンの国名シリーズ、5作目。
    角川文庫版、勝手にエラリーイケメン表紙シリーズと名づけてます。
    クイーンのミステリはまだほんの数作しか読んでないけど、パズルみたいに端正だなぁと思います。特別な知識は要しない本当に些細な引っ掛かりからパタパタとピースがはまって行くのが快感でした。後半のスピード感溢れる犯人大追跡は地理が分かってたらもっと楽しめたかも。
    犯人については途中までは疑ってた人物だったけど、まんまと作者の術中にはまって欺かれた。惜しい。やっぱり犯人当てのあるミステリって楽しい。
    困ったときは金で解決エラリー坊ちゃま最高です。

  • たった一つの事柄で犯人を特定する。あまり重要でないと思っていた事が、かなり重要な事だと知って、自分はまだまだだなと思いつつ、エラリーの推理に心酔した。

  • 絶対的名探偵の登場する、古典的ミステリが読みたかった。
    有名なクイーンの作品を子どもの頃に読んだという人は多いかもしれない。しかし実のところ、ホームズやクリスティ、横溝正史等は夢中になっていたが、どういうわけか私はクイーンは読んでいなかった。
    これまでに国名シリーズの「ローマ帽子」「ギリシャ棺」は既読。3作目になる。解説によると、国名シリーズの中では、「ギリシャ」と並び評価の高いものということだった。確かに面白い。これも解説の受け売りになってしまうが、トリックの大胆さ、ロジックの鮮やかさを両立させることに成功している。また、陸・海・空と場面に動きがあり、いわゆるクローズドサークル的ではなく、名探偵自ら縦横に、果敢に行動していく様も躍動感があって良い。
    ただ、以前にもどこかで書いたが、大胆なトリックVS緻密なロジックということであれば、私は個人的に後者が好みで、あっと驚くよりも解決に導く道筋の明快さ、鮮やかさでなるほどすとんと腑に落ちたい。
    その意味で最終局面のわずかなほころびから論理的に犯人を指名する本作のエラリーの推理もやはりかっこいい。そしてトリックは・・驚きはしたが、トリックが大仰になると、犯人がそこまでするかな?とも思ってしまうのだった。
    他にロジックでかっこよかったのは、「月光ゲーム」の江神さんだろうか。理系の方とか、もっと頭の良い人なら、もしかして推理小説の矛盾を突くことができるかもしれないが、ここでいうロジックというのは、あくまでフィクションとしてのものだと私は思う。
    そして自分の考える理想の名探偵像を再確認したいという目論見は見事に達成された。勝手なことを言うが、探偵小説は、やっぱりある程度約束事というか一定の枠組みの中で成立してほしい。クローズドサークルや見立て殺人など、実際には起こり得ないとか、そういうことを言っても始まらない。事件があって、かっこいい名探偵がいて、必ず解決してくれる。私は正直なところそういう様式美のようなものだと思っていて、細かいあらや「他の正解」を探して回るのは趣味じゃない。
    そのうち大好きな名探偵リストを書きたいと思った。青山剛昌先生にほとんど挙げられているだろうが・・

  • 新訳で再読を再開。
    T字路のT字形の標識に頭部が切り落とされた遺体が磔にされるという猟奇的な事件。俺たちゃ裸がユニフォームと言いたげな全裸宗教団体とのトラブル。レーシングカー、デューセンバーグで疾走するエラリー・クイーン。ワクワクする要素がてんこ盛り。
    一つのミスから犯人が特定されていく点は素晴らしい。

  • 国名シリーズ第5弾。読む順番めちゃくちゃだけど、たぶん国名シリーズはあんまり順番とか気にしなくていいのではと思ってる。どうかな?

    パイプのトリックとかのクイーンならではのロジックはちょいちょい出てくるけど、復讐に燃える怪しい人物、首なし死体×4、怪しいカルトとよろめく夫人、派手な追跡劇、ときて、あれ、本格じゃなくてサスペンス?クイーンだよね?思ってたんと違う…?と思いきや、最後の最後に1発ドカンのヨードチンキの瓶。いやー面白かった。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エラリー・クイーンの作品

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