パラダイス・ロスト (角川文庫)

著者 :
制作 : 森 美夏 
  • 角川書店
3.84
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本棚登録 : 2203
レビュー : 249
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008263

作品紹介・あらすじ

スパイ組織”D機関”の異能の精鋭たちを率いる“魔王”――結城中佐。その知られざる過去が、ついに暴かれる!? 世界各国、シリーズ最大のスケールで繰り広げられる白熱の頭脳戦。究極エンタメ!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズも巻を追う毎にマンネリ化してきた感はありますが、それでも背表紙の内容紹介文には否が応でも期待が高まります。結城中佐の知られざる過去が暴かれる…だと…?!(ザワ…

    英国特派員が「外国人にして日本語に長けた彼だからこそ気付けた盲点」を契機に、一気に中佐の正体に肉薄していく短編【追跡】。今作を読んでいる最中は、

    「中佐の正体とかめっちゃ知りたいけど知りたくないわ〜嫌だわ〜胸熱だわ〜←」

    と悶えました、はい( ^ω^ )←
    しかし、そこは中佐ですね( ^ω^ )
    英国スパイがちょっと頑張った位では、簡単に尻尾を掴ませるわけがないのです、はい( ^ω^ )

    ……でも、実は英国の彼はイイ線迫ってたんじゃないかしら。【彼の閃きの取っ掛かりになった部分に、中佐が事前に予防線を張っていた】と考えるよりも、【英国の彼が真実に迫りつつあるのを受けて、「結城中佐と目された人物」をでっち上げた】と考える方がありそうじゃないかしら〜!と邪推したのでした( ^ω^ )=3ムフー←満足

    要するに、今回もやっぱり結城中佐は結城中佐で、素晴らしくかっこよかったのでした( ^ω^ )←←←

    他の三編は、前作同様、中佐の教え子達の活躍譚です。

    記憶喪失になっても、「記憶が無くて尚、自分が如何に立ち居振る舞うべきか」を理解している主人公の姿に、骨の髄までスパイ!なD機関の凄まじさを改めて思い知らされた【誤算】。

    D機関、どこで関わってくるの?と首を傾げながら読んで行くと、後半で正体が明らかになる【失楽園】。(この作品が表題作になったことに、ちょっと違和感があります…)

    目の前でターゲットを何者かに殺され、緊張関係にある英国軍人の監視下に置かれるという状況で、見事に事態を打開してみせたD機関スパイが、最後に意外すぎる決断をする【暗号名ケルベロス】。

    今回も、大満足の一冊でございました〜(^人^)ご馳走様でした!


    ◎誤算…ドイツの占領下に置かれた、フランス・パリ郊外。過激な反ナチ発言で捕らえられた老婆を助けようとした日本人青年が、ドイツ兵から逃げようとした際に頭を打って記憶障害になってしまう。彼を助けたレジスタンス達は、一般人とは思えぬ機転を次々と見せる青年を怪しむが、誰よりも混乱しているのは記憶を無くした当の本人。やがて、ドイツ兵の追及の手が伸びようとするが…。

    ◎失楽園…欧州の人間が極東に見出した楽園の地・シンガポール。彼の地に威風堂々と聳え立つ最高級ホテルで、事件は起こった。米海軍士官・マイケルが見初めた現地人の婚約者が、ホテルに滞在していた英国人殺害を認めたというのだ。彼女の無実を信じるマイケルは、独自の調査を開始するが…。

    ◎追跡…謎に包まれたD機関の元締め・結城中佐。彼に興味を持った英国タイムズ紙の記者プライスは、やがて彼の幼少期を知る人物との接触に成功する。果たして彼は「魔王」の人物像に肉薄することができるのか?

    ◎暗号名ケルベロス…日米間を繋ぐ太平洋航路を航行中の豪華客船・朱鷺丸。多くの民間人に混じって乗船したドイツ軍関係者の存在に、船長以下船員達は不安を覚えていた。そして、彼等の不安は的中し、ドイツと交戦しているイギリスの軍艦が朱鷺丸の前に立ちはだかった!その頃、朱鷺丸船内では、一人のアメリカ人紳士が何者かに毒殺されていた!

  • 文庫化をすっかり忘れていて、慌てて手に取った『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第3作。

    今回の短編はどれも、舞台に国際性がさらに加わって、厳しくも華やかな雰囲気がたちのぼる。ナチスとの戦端が開かれ、総力戦へとなだれ込む欧州や、国際紛争のエアポケットとなるシンガポール、いまだ中立のはずの太平洋上。どのエピソードも、わずかな時間や空間の中でのものだろうが、その短さを感じさせないほど張りつめて美しい。読んでいる最中の感覚は、自分の真正面で行われるクローズアップマジックを、じいっと息を詰めて見ている感覚に似ている。

    私がこのシリーズを好きなのは、各登場人物に過剰なキャラを求めず、文章と作品の描く世界から漂う空気だけですべてが出来上がっているからだと思う。D機関の「魔王」、結城中佐という強烈すぎるキャラがあるといえばあるのだけれど、彼の実像はあってないようなものだし、彼が選び抜いた配下のスパイたちにも、実像は求められていないというドライさがいい。個人的には、彼らのその実像の見えなさを使った『誤算』『追跡』が好み。

    勝手な想像だけれど、D機関のスパイたちは百戦錬磨というものの、いくつかの任務を終えたのち、結城中佐のもと、ひいては軍から去っていくのだろう。D機関に「死ぬな、殺すな」のモットーがあるから生き残るというのではなくて、おそらくは自分なりの立ち位置を見つけて、負けない形で軽やかにゲームから下りていくのだろう。どの短編の締めかたにもその感覚はあるんだけれど、『暗号名ケルベロス』の幕切れでは特にそう思った。

    第1巻を読んだときの高揚感が蘇ってきて、思わずイッキ読みしそうなところを、もったいなくてブレーキをかけつつ読み終わった。あー、やっぱり国際謀略ミステリはいいなあ!大野雄二や菊地成孔といった、派手やかなホーンの鳴る音楽と一緒に楽しみたくなる短編集でした。

  • 今回は個人的には、今までの「小気味いい」部分がだいぶ減っちゃったかなあ、という感じでした。
    時代も、前回で真珠湾攻撃が起こっていよいよか!と思ったら、どうやらちょっと戻った?
    それにしても、ちょくちょく出てくるD機関のメンバーに選ばれるための試験(階段の数とか)。あんなの、現実に答えられる人ってホントーにいるのだろうか……。ごく少数だけど、いるんだろうなあ。

  • いつでもどこでも「見えない存在」であるD機関のスパイたち……
    小さな穴ひとつない完璧なカバー、二重に三重に用意されるトラップ
    そのバケモノのような優秀さは怖くもありカッコ良い

    表題作のパラダイス・ロストの内海(仮)がラストにスパイの仮面が自然に剥がれて見せる人情が、彼本来の優しさを見るようで、カッコいいなと思った

  • 面白かった。
    他人の考えを影で本人にも気付かれないように操るスパイ。
    追跡者の話もドキドキ。
    最後の「ケルベロス」、内海のその後が気になります。

  • 安定の面白さ。
    D機関のスパイたちが凄すぎて、もはやなにがあっても
    そうだよね~そんくらいできるよね君たちはって驚かなくなった笑

    魔王の過去を調べる、追跡が最高に面白かった。
    やっぱしわたしたちはみんな、魔王の掌の上なのさ!

    2018.08.12

  • ジョーカーゲームシリーズ第三段
    これも楽しめました。

    5編が収められています。最後の暗号名ケルベロスは前編、後編となっています。連作短編集なのに、なぜわける?(笑)
    なので、物語としては4つ。

    ■誤算
    フランスのレジスタンスに絡む物語。
    どこまでが想定の範囲でどこからが想定外(誤算)なのか?
    引っ張ります(笑)

    ■失楽園
    シンガポールのラッフルズホテルで起きた事件をめぐる物語

    誰が英国人実業家の宿泊客を殺したのか?
    単純に探偵役がそれを解決したのでは、スパイものになりません。その背景に動いていたところがポイントです
    そんなにうまくいくか?って思いますが、この設定はすごい

    ■追跡
    D機関を立ち上げた結城中佐の生い立ちに迫る物語。結局、結城中佐の過去は明らかになるのか?それを追っていた人物はスパイとして拘束されます。
    結局、踊らされていただけなのか?
    これまた面白い設定、展開でした。

    ■暗号名ケロべロス(前、後編)
    エニグマの暗号が絡んだ物語
    太平洋のハワイ海域で、朱鷺丸の船上の摘発した英国スパイ。しかし、突如イギリスの軍艦が表れて朱鷺丸への停船命令が。立場が逆転した英国スパイでしたが、突然、謎の死を遂げます。
    なぜ、彼は殺されたのか?
    それとも自殺なのか?
    殺されたとしたら、犯人は誰か?
    どちらかと言うとミステリー色の強い物語でした。

    ということで、今回も楽しめました。
    まだまだシリーズは続く様です。

  • 今回は、スパイの本流である英国諜報機関がからむスパイ対決。
    人間の心の隙間と闇に入り込む異能者たちの繰り広げる知能バトルはまだまだ飽きがこない。

  • ジョーカーゲームシリーズ 第3弾

    3作目になってもマンネリ化することなく、
    今まで以上に裏をかかれる物語で詰まっている。

    特に「失楽園」がお気に入り。
    ある人物の事故死を巡って、D機関が巧みに立ち回り、
    痕跡残さず任務を遂行する様は圧巻。

    自分が殺害したと思いそれを隠す人、
    自分が殺害したと思い自主する人、
    自主した人を救いたい人、
    その想いを利用する人、

    読み切ると全てが繋がり、
    もっと考えていたら分かったのでは、とも思うのだけれど、
    そう思うのも、やはり読み切ったあとなので
    負け惜しみになってしまうのがいつも悔しい。

  • 1940年、ドイツが火蓋を切った第2次世界大戦の最中に、どいつ寄りではあったが中立国としての大日本帝国陸軍D機関として活動するエージェント。英国MI6諜報員が結城中佐の謎を解き明かすか? と思われた短編を含む5つの物語。もし、日本軍部が諜報戦を重要視していたら、そしてD機関がが最大限に機能していたら、世界の歴史は変わっていたかも知れない、と思わせるフィクション。

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著者プロフィール

一九六七年生まれ。二○○一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。○九年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門を受賞。同年刊行の『ダブル・ジョーカー』は、『ジョーカー・ゲーム』に続き二年連続で「このミステリーがすごい!」の二位に選ばれる。主著に「ジョーカーゲーム」シリーズ、『ロマンス』『楽園の蝶』『象は忘れない』などがある。

「2017年 『風神雷神 雷の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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