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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041008386
作品紹介・あらすじ
私は体調の悪いときに美しいものを見る贅沢をしたくなる。しかし最近は馴染みの丸善に行くのも気が重い。
ある日檸檬を買った私は、その香りや色に刺激され、丸善の棚に檸檬を一つ置いてくる。
現実に傷つき病魔と闘いながら、繊細な感受性を表した表題作など14編を収録。
※カバーの絵柄は(株)かまわぬの風呂敷柄を使用しています
みんなの感想まとめ
美しいものへの強い憧れと、現実の厳しさが交錯する作品が描かれています。表題作「檸檬」では、みすぼらしい八百屋に並ぶ檸檬が主人公の心を奪い、そこから広がる感情や心理が繊細に表現されています。読者は、香り...
感想・レビュー・書評
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彼の表現は個人的に好き。表題の「檸檬」を読む目的で購入しましたが、その他の作品も非常に面白く、やはり教科書で紹介されていた記憶のある作品は大人になって読むべきモノが多いと思う。
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【檸檬】を青空文庫で読みました。
とても綺麗な表現で、周りの風景が頭にすっと浮かんできます。
「みすぼらしくて美しいものに強く惹きつけられる」当時の心理が、みすぼらしい八百屋に並んでいた「檸檬」に惹かれた理由でしょうか。
檸檬を手に入れてからというもの、大好きだったお店の商品を見ても耐え難いものになってしまった。
檸檬に心を奪われて最後は芸術作品を作り上げたその罪悪感にゾクっとしている様を思い浮かべるとたまらないです。 -
全体を通して陰鬱な雰囲気と独白的な文章が多いのであまり面白さは分からなかった。
いつか魅力に気付くときが来るのかしら? -
誰ってんじゃないが僕の友人を見ているようだった。「そこ」か「ここ」かにある得体の知れない恐怖がいよいよ実体を持とうとしているのを、どこか心待ちにしているような、不本意な他人事というか、究極の他力本願というか。『ある崖上の感情』が好き。「歩け。歩け。歩き殺してしまえ。」「闇!」
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Audibleにて拝聴
檸檬爆弾を仕掛けたら…なんだかとても清廉な気持ちになった。何度も読み返したい。 -
憂鬱や孤独といった感情が、これほどまでに詩的で、しかもその暗さを鮮やかに際立たせた形で表現できるものなのかと、驚いた。
心惹かれた文章を抜き出し、それらを並べて読んでみると、一つひとつが独立した詩のように感じられる。憂鬱の深みや孤独の静けさが、かえって鮮烈な印象となって心に迫ってくる。
類まれな詩的感性を持った者が、憂鬱や孤独と真摯に向き合い続けた末に生まれた芸術だと感じた。 -
病鬱と神経衰弱、不眠。そんな日々から見つける刺激や興奮や妄想。内容は重々しいのに、描写が詩的でとてもきれい。
何度も読み返せば、また違う目線、捉え方ができそうなので、これから何度も読みたい短編集です。 -
日本文学短編部門ベストみたいな企画をやると必ず上位に食い込んでくる作品「檸檬」。もし私が同様の企画を個人的に行うとしたらやはりこの短編はトップ10圏内に入ると思う。
ただ、梶井基次郎の他の作品ってどうなのだろう。「桜の木の下には」あたりは比較的名前を聞くけれど、その他の短編に関してはあまりまともな評価を聞いたことが無い。私が初めて『檸檬』の短編集を読んだのはもうずいぶんむかしのことで、正直「檸檬」以外はあまり印象に残っていない。
というわけで、久々に再読。
うーん、端正な文章だなあ。一文ごと味わいたくなる良さがある。けどどうなんだろう、「檸檬」と「桜の木の下には」以外には、はっきり言ってさほど良いと感じる作品が無かったなあ。というか感覚で書いてるような作品が多く、妙に小難しかったり、ふわふわしていたりで頭に入ってきづらい。梶井基次郎の”絶望と戯れる”って感覚は好きだし、どの作品にもそういう倦怠感や疲労感が漂っているのだけど、それが文学として見事に昇華されているのって「檸檬」以外だと……うーん。なんだか読んでいて、ただ気持ちよく絶望にひたるだけの物語は、どうでもいいやと感じてしまうなあ。私が大人になったということなんだろうか。
それでもなお、学生の頃にこの本を読んだときの「自分のことをわかってくれている」という青く、甘い、あの気持ちは間違いなくあったわけだし、この短編の価値が減じることはないので、相変わらず「檸檬」は大好きな短編なわけだけど。 -
淡々と小さい、でも深い世界を書いているなあ。
ほぼ神経衰弱の主人公だけど生きるのが向いていない人から見た世界や人や物事はこう書かれるんだろうな……
現実でも生きることを楽しいと思うべき、生きているなら何かしら自分の生きた証を残すべき、みたいな考えがマジョリティだけれど世の中の苛烈さが苦しい、生きることに向いていない人は存在すると思うので、生きるのしんどいーって人には心地よい温度感かも。私は好きです。 -
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「いったい私はあの檸檬が好きだ」
この文でわたしは日本語がより好きになりました。
最初この文における「いったい」の意味がわからずなんだこれは……と思っていたのですが、この場合、「一体いつからだろうか、わたしは昔から檸檬が好きだ」の短縮系であることに気づいた時にパッと日本語が好きになりました。
考えれば考えるほど色んな解釈ができる、そんな文章だと思いました。とても短く読みやすいです。 -
重松清の「エイジ」作中で表題作が引用されていて購入。心地よくて気を抜くとすぐ眠くなってしまう一冊。冬の蠅まで読了。表題作は檸檬を持つと元気になる気の病んだ人が丸善に行って檸檬を置いて、「檸檬爆発したらおもしろいなあ」と空想する話。全体的に病人の気の弱った雰囲気が伝わってきて、加えてきれいで詳しい情景描写がまた哀愁を出してるように感じた。「桜の樹の下」や「冬の蠅」の着目点も面白かった。
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「Kの昇天」についての感想
「K君はとうとう月世界へ行った」
影やドッペルゲンガーの概念がよく出てくる事から、『私』が少し健康を取り戻した梶井、『K君』が病気が悪化していった梶井、どちらも梶井基次郎だと解釈するとまた一層面白いのではないかと思う -
日本橋の丸善にいくと思い出す作品ですね。
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詩や散文の延長線上にあるような文章で、ひたすら表現が美しい短編集。
濃かったり激しい波があるような物語はほとんどなくて、そうなると平坦になりがちなのに、表現だけで読ませるような感じ。
そういうのを書くのはすごく難しいと思う。
物語自体を波だらけにするのはそこまで難しくないけれど、何もないような物語を名作にするというのは。
長らく肺結核を患い、31歳という若さで亡くなった著者なので、病を患った陰鬱な内容もけっこう多い。だけどその状態をシニカルな視点で見ているような感覚もある。
その死後に認められ、稀有な作家だったと皆が口を揃えて言うようになった作家。
ボードレールの詩に親しんでいた影響も随所に出ているらしい。
映画の「小さな悪の華」を観た影響でボードレールの詩集を1冊持ってるんだけど、内容が暗く激しくてずっと読み続けることは出来なかった。ということを思い出しました。笑
「Kの昇天」「桜の樹の下には」「冬の蠅」「ある崖上の感情」がとくに好き。 -
あの有名な(「桜の樹の下には」)
桜の樹の下には屍体が埋まっている!
を初めて通して読んだ
夢現で詩的な世界観と
超現実的な緻密さを感じる描写
曼荼羅絵のようだなぁ〜
常に死の影に追われつつも
冷静な頭脳を持つ方だったのかなと
思いつつ読む...
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孤独で憂鬱といった負の感情に悩む主人公
果物屋にある檸檬をみて驚き感動します
“いったい私はあの檸檬が好きだ_”
“いったい…”という言葉の奥に
“一体いつからだろうか…私は昔から檸檬が好きだ”という
心情が隠されているのではないかと思いました
言葉を短縮しながらも
美しい日本語だと感じました
そして檸檬は
主人公の心の状態を表す象徴的な存在で…
みすぼらしいが美しい…という檸檬の姿を
主人公の心の状態と重ねていきます
最後はその檸檬を
ふと抱いたいたずらな感情とともに
洋書店の本棚に置いてきます…
檸檬を通して
一時的に憂鬱を忘れさせてくれる
心の安定剤でもあり
現実から解放するための
夢の象徴として描いたように感じました
檸檬に心奪われ 最後は芸術作品を創りあげ
その罪悪感を主人公は
感じているに違いないと妄想しました
詩的な感じで終わるところが
たまらなく好きでした -
この評価はあくまで作品に対する一般的な評価ではなく、現時点の自分においての評価となります。
というのも、馴染みのない言葉で書かれていることや、話の展開も起承転結がなかったりすることで、正直ほとんど納得しながら読むことができなかった。読み終えるために読んでしまったような側面がある。この作品は純粋に楽しいと感じながら読める方、すごいなぁ。
ただ、これだけ世の中に評価されている作品を、今後読める自分になっていきたいので、文豪の名作は継続的に読むようにしていきたい。
その中でも以下は比較的楽しみながら読むことができて嬉しかった。
「冬の日」
語彙も平易で、ストーリーも入ってきやすく、文章性もあり、よかった。
病気に衰弱していく彼の心情の変化を感じることができた。 -
「檸檬」
常にそわそわふわふわした感じが普段のわたしと似ているなと思った。でもきっとこの人も側から見ると少し変わっているだけで、常軌を逸した訳ではないのだろうな、と。
「城のある町にて」
目の付け所が無邪気で少年のようだった。言葉選びもわたしと違うけどわたしと似ていた。すごい読みにくいのに読みやすい。同族嫌悪かな。本読んでてこんなに「どうしてこう書いてるの?」って思わないの初めてかも。梶井基次郎がどう思ってたか分からないけど似通ってる。わたしならこう思ってこう書くって考えやすい。 -
鬱屈としたモノクロの世界に、檸檬という小さな爆弾。
色と香りが一瞬にして炸裂して、心の奥に火花が散る。
こんなにも静かで鮮やかな「爆発」を描ける筆致、ただただ見事。
梶井基次郎『檸檬』(立東舎 乙女の本棚版)
「えたいの知れない不吉な塊が、
私の心を始終圧えつけていた。」
言葉にできない重さを、
檸檬の鮮やかさがそっと照らす。
イラストと相まって世界感の想像がしやすい。
文豪版岡本太郎『芸術は爆発だ』感がある作品です
著者プロフィール
梶井基次郎の作品
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