檸檬 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 847
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008386

作品紹介・あらすじ

私は体調の悪いときに美しいものを見るという贅沢をしたくなる。香りや色に刺激され、丸善の書棚に檸檬一つを置き−−。現実に傷つき病魔と闘いながら、繊細な感受性を表した代表作など14編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 詩や散文の延長線上にあるような文章で、ひたすら表現が美しい短編集。
    濃かったり激しい波があるような物語はほとんどなくて、そうなると平坦になりがちなのに、表現だけで読ませるような感じ。
    そういうのを書くのはすごく難しいと思う。
    物語自体を波だらけにするのはそこまで難しくないけれど、何もないような物語を名作にするというのは。

    長らく肺結核を患い、31歳という若さで亡くなった著者なので、病を患った陰鬱な内容もけっこう多い。だけどその状態をシニカルな視点で見ているような感覚もある。
    その死後に認められ、稀有な作家だったと皆が口を揃えて言うようになった作家。
    ボードレールの詩に親しんでいた影響も随所に出ているらしい。
    映画の「小さな悪の華」を観た影響でボードレールの詩集を1冊持ってるんだけど、内容が暗く激しくてずっと読み続けることは出来なかった。ということを思い出しました。笑

    「Kの昇天」「桜の樹の下には」「冬の蠅」「ある崖上の感情」がとくに好き。

  • 病んで歪んだ世界。そこに突き刺さる孤独と、瀬戸際の美しさ。そして、彼岸に踏み入れた片足――。

    病んでいる人のみが見ることのできる世界、自分の中にある普通は他人に見せないような薄暗い感情を形にしたらこんな作品になるのかと思う。「冬の日」「冬の蠅」が特に良かった。気づけば梶井ワールドにはまって全作品を読みたくなった。

  • 痛烈な描写。それは現に檸檬を見て、匂いを嗅いでいるかのよう。そして思わず顔をしかめずにはいられないくらいの、吐かれた痰の色。それらは病に侵され、憂鬱が満ちた生活を送った作者だからこそ見えた世界であり、出来た描写だと思うのです。そんな作者の生活がリアルに写された、短篇集が詰まった本でした。この本、「桜の木の下には屍体が埋まっている!」の一文の原作を知りたくて購入しました。この短篇も痛烈な描写と、人間心理が描かれている印象深いものでした。どの短篇も言葉遣いが難しく、ページ数の割には個人的に読了に時間が掛かってしまいましたが、じっくりとものの描写や人間心理を感じながら読める1冊だと思います。

  • 数年前に読んだ時は、陰欝すぎて耐えきれない、と途中で読むのをやめてしまっていました。
    でも、ふと、城のある街が読みたくなって再読。
    読書の面白いところで、感想は全く以前と違います。
    身近で、繊細で、景色の色が濃くて、明るく、暗く、まるで絵画を見ているかのような感覚になりました。
    大好きになりました。素晴らしいです。

  • 高校生の時に授業で習ってからずっと印象に残っていて、本屋で可愛い表情の『檸檬』を見て欲しくなって買った。やっぱり何回読んでも面白かった。檸檬を買うシーンや丸善で檸檬を置いてくるシーンはわくわくして楽しくなる大好きな作品。でも同時収録の他の作品は詩的であまり理解できなかったので☆3つ。

  • 檸檬だけ読んで手放してしまったが、あとから別のところでKの昇天を読んで良いなと思った。また買わないと...。

  • こういう文章を書きたいんだよな、とさながら檸檬の皮にほど近い部分を齧ったような想いで読んでいた。嫉妬するのがおこがましいほどに美しい。

  • 2018/1 7冊目(通算7冊目)。手に取ったきっかけは、角川文庫の夏の対象文庫になったのを見て。有名になりかけたころから病気だったためか、主人公が肺病という設定の短編が多い。印象に残ったのは「檸檬」「のんきな患者」「瀬山の話」。「檸檬」は短いながらも文章が写実的でとても印象に残る。「瀬山の話」は、作者自身がネタなのかなと思う。読んでいて一番興味を引いた。全体的に情景描写が綺麗な印象を受けた。感想はこんなところです。

  • 出逢えて嬉しい一冊。

    桜の木下には死体が埋まっている。。。
    なんと幻想的で甘美な文章なのだろう。
    梶井基次郎の写真も見たけれど、
    人を外見で判断しちゃいけないけど、
    その見目ゆえの繊細な文章なのだと思う。

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プロフィール

1901年(明治34年)、大阪生まれ。志賀直哉の影響を受け、詩情豊かな小品を描いた。1925年、同人誌「青空」に、「檸檬」を発表。肺結核で1932年(昭和7年)に没。

「2013年 『檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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