檸檬 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008386

作品紹介・あらすじ

私は体調の悪いときに美しいものを見るという贅沢をしたくなる。香りや色に刺激され、丸善の書棚に檸檬一つを置き−−。現実に傷つき病魔と闘いながら、繊細な感受性を表した代表作など14編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 彼の表現は個人的に好き。表題の「檸檬」を読む目的で購入しましたが、その他の作品も非常に面白く、やはり教科書で紹介されていた記憶のある作品は大人になって読むべきモノが多いと思う。

  • 梶井基次郎の『ある崖上の感情』で出てくる古代ギリシャの風習というものがどんなものかを詳しく知りたい。... | レファレンス協同データベース
    https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000309324

    「檸檬」 梶井 基次郎[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321301000057/

  • 全体を通して陰鬱な雰囲気と独白的な文章が多いのであまり面白さは分からなかった。

    いつか魅力に気付くときが来るのかしら?

  • 【檸檬】を青空文庫で読みました。

    とても綺麗な表現で、周りの風景が頭にすっと浮かんできます。

    「みすぼらしくて美しいものに強く惹きつけられる」当時の心理が、みすぼらしい八百屋に並んでいた「檸檬」に惹かれた理由でしょうか。

    檸檬を手に入れてからというもの、大好きだったお店の商品を見ても耐え難いものになってしまった。

    檸檬に心を奪われて最後は芸術作品を作り上げたその罪悪感にゾクっとしている様を思い浮かべるとたまらないです。

  • 病鬱と神経衰弱、不眠。そんな日々から見つける刺激や興奮や妄想。内容は重々しいのに、描写が詩的でとてもきれい。
    何度も読み返せば、また違う目線、捉え方ができそうなので、これから何度も読みたい短編集です。

  • 日本文学短編部門ベストみたいな企画をやると必ず上位に食い込んでくる作品「檸檬」。もし私が同様の企画を個人的に行うとしたらやはりこの短編はトップ10圏内に入ると思う。
    ただ、梶井基次郎の他の作品ってどうなのだろう。「桜の木の下には」あたりは比較的名前を聞くけれど、その他の短編に関してはあまりまともな評価を聞いたことが無い。私が初めて『檸檬』の短編集を読んだのはもうずいぶんむかしのことで、正直「檸檬」以外はあまり印象に残っていない。
    というわけで、久々に再読。
    うーん、端正な文章だなあ。一文ごと味わいたくなる良さがある。けどどうなんだろう、「檸檬」と「桜の木の下には」以外には、はっきり言ってさほど良いと感じる作品が無かったなあ。というか感覚で書いてるような作品が多く、妙に小難しかったり、ふわふわしていたりで頭に入ってきづらい。梶井基次郎の”絶望と戯れる”って感覚は好きだし、どの作品にもそういう倦怠感や疲労感が漂っているのだけど、それが文学として見事に昇華されているのって「檸檬」以外だと……うーん。なんだか読んでいて、ただ気持ちよく絶望にひたるだけの物語は、どうでもいいやと感じてしまうなあ。私が大人になったということなんだろうか。
    それでもなお、学生の頃にこの本を読んだときの「自分のことをわかってくれている」という青く、甘い、あの気持ちは間違いなくあったわけだし、この短編の価値が減じることはないので、相変わらず「檸檬」は大好きな短編なわけだけど。

  • 淡々と小さい、でも深い世界を書いているなあ。
    ほぼ神経衰弱の主人公だけど生きるのが向いていない人から見た世界や人や物事はこう書かれるんだろうな……
    現実でも生きることを楽しいと思うべき、生きているなら何かしら自分の生きた証を残すべき、みたいな考えがマジョリティだけれど世の中の苛烈さが苦しい、生きることに向いていない人は存在すると思うので、生きるのしんどいーって人には心地よい温度感かも。私は好きです。

  • 「いったい私はあの檸檬が好きだ」

    この文でわたしは日本語がより好きになりました。
    最初この文における「いったい」の意味がわからずなんだこれは……と思っていたのですが、この場合、「一体いつからだろうか、わたしは昔から檸檬が好きだ」の短縮系であることに気づいた時にパッと日本語が好きになりました。
    考えれば考えるほど色んな解釈ができる、そんな文章だと思いました。とても短く読みやすいです。

  • 重松清の「エイジ」作中で表題作が引用されていて購入。心地よくて気を抜くとすぐ眠くなってしまう一冊。冬の蠅まで読了。表題作は檸檬を持つと元気になる気の病んだ人が丸善に行って檸檬を置いて、「檸檬爆発したらおもしろいなあ」と空想する話。全体的に病人の気の弱った雰囲気が伝わってきて、加えてきれいで詳しい情景描写がまた哀愁を出してるように感じた。「桜の樹の下」や「冬の蠅」の着目点も面白かった。

  • 詩や散文の延長線上にあるような文章で、ひたすら表現が美しい短編集。
    濃かったり激しい波があるような物語はほとんどなくて、そうなると平坦になりがちなのに、表現だけで読ませるような感じ。
    そういうのを書くのはすごく難しいと思う。
    物語自体を波だらけにするのはそこまで難しくないけれど、何もないような物語を名作にするというのは。

    長らく肺結核を患い、31歳という若さで亡くなった著者なので、病を患った陰鬱な内容もけっこう多い。だけどその状態をシニカルな視点で見ているような感覚もある。
    その死後に認められ、稀有な作家だったと皆が口を揃えて言うようになった作家。
    ボードレールの詩に親しんでいた影響も随所に出ているらしい。
    映画の「小さな悪の華」を観た影響でボードレールの詩集を1冊持ってるんだけど、内容が暗く激しくてずっと読み続けることは出来なかった。ということを思い出しました。笑

    「Kの昇天」「桜の樹の下には」「冬の蠅」「ある崖上の感情」がとくに好き。

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著者プロフィール

明治34年(1901年)大阪府生まれ。同人誌「青空」で活動するが、少年時代からの肺結核が悪化。初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、31歳の若さで郷里大阪にて逝去した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『檸檬』(梶井基次郎+げみ)がある。

「2021年 『Kの昇天』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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