雪国 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2013年6月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041008461

作品紹介・あらすじ

無為徒食の男、島村は、駒子に会うために雪国の温泉場を再訪した。駒子はいいなずけと噂される好きでもない男の療養費のために芸者をしている。
初夏の一夜以来、久々に会えた島村に、駒子は一途な情熱を注ぐが、島村にとって駒子はあくまで芸者。島村は雪国への汽車で会った女、葉子にも興味を抱いていて……。
「無為の孤独」を非情に守る男と、男に思いを寄せる女の純情。人生の悲哀を描いた著者中期の代表作。


※カバーの絵柄は(株)かまわぬのてぬぐい柄を使用しています

感想・レビュー・書評

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  • 国境の長いトンネルをぬけるとそこは雪国であった。

    ここしか知らない「雪国」。学校では作者とタイトルと有名な一節を丸暗記して終わっていたが、もったいなかった!
    特殊な状況や登場人物は登場しない、ありふれた人物のやり取りや心情が、情景とともに流れ込んでくる様子に、飽きる事なく一気に読めてしまった。

  • 図書館の借りている本に追われ中盤は飛ばしました。
    ラストはちゃんと読んでいて良かった。
    終わり方が秀逸。

  • ちょっとドロっとした人間模様。どこか郷愁を誘う綺麗な文章。次は、雪を見ながら温泉宿で再読したい。

  • 「こんな話」を、ここまで叙情的に、あはれに、虚しく、美しく綴れてしまうところが、何を書いても清涼な世界観を構築できた川端の文体マジック極まれりと感激する作品。決して悪口ではなく。

    ストーリーに明確な展開があるわけではなく。
    現代的に言えば、都会に妻子を置いて、地方に遊びに来る準ニートクズ男と、性産業に身をおく地元のちょっとメンヘラ気味だけど健気な少女の関わりを描写した、わりと負の面を綴ったともいえる小説なのに、実にあはれで美しい世界観となっている。

    もう少し本文の内容に即して言うと、カタチばかりの芸術の仕事をし、その実、親の遺産でのうのうと生きる妻子持ちの男・島村が、定期的に訪れる旅先の雪国にて、肉体関係を持ち馴染みとなった芸者の少女・駒子の自分に寄せる一途な愛情を「徒労で哀れなもの」と思い、そう思う自分自身までも哀れと思い、かといって、責任を取る気なんてさらさらなく。しかも、駒子と近しく何やら複雑や関係にあると思われるのにその関係がはっきりしない別の美しい少女・葉子にも心を惹かれていて…。

    …という、わりと最低なあらすじのお話。

    物語は始終、島村視点で進むのだけど、「なにぬかしとんねん、このオッサン」って何度も思った私は、悪くないと思う。

    その反面、芸者にまで身を堕とした(間接的な表現ではあるけれど体を売っていることを示唆する描写が複数ある)駒子をはじめとして、不遇の環境の中でも何かを選択し、時に自分自身の激しい感情を持て余しながらも生活のために必死に生きる女性たちの描写は胸を打つものがある。
    きっと、生活の心配などなく全てを他人事として眺める島村の視点だからこそ、対比的に、彼女たちの純真さや生命力とも言える必死さが際立つのだと思う。

    また、作品のあちらこちらで綴られる、土地の細やかな情景描写は、まさに瞼の裏にその風景が思い浮かぶほどの繊細な見事さ。
    その情景の中に、濃深縹色、檜皮色、桑染色など、単純な原色ではなく自然に由来する和名の、濃淡を強く意識させる色を記しているのも、目に映る世界をより鮮明なものにしている効果があるようで、心惹かれる。

    面白くわかりやすい作品では全くないけれど、川端の清涼で緻密な文体美を堪能できる作品はありますね。

  • 主人公の何をしているかわからない日常と、その割に奥さんをほおって温泉宿で浮気をしている生活にどうにも感情移入ができないと思って、人に話したら、それが「高等遊民」というもんだと説明された。この時代のあるインテリ男子の憧れの生活スタイルだったようだ。それが学べる小説とも言える。

  • 島村と駒子の愛が切なく語られる。終始2人の心情と行き来のやり取りが語られるが、最後のドラマチックな場面と天の川の美しさが交互に描かれる部分が壮大だった。

  • うつくしい 文体が麗しく心地よかった
    うつくしい日本語に触れたいときにとても良い
    日本語ってきれいなんだなあ

  • 無為徒食の男・島村は、駒子に会うために雪国の温泉を再訪した。駒子は許嫁と噂される男の療養費のために芸者となっていた。島村に情熱を注ぐ駒子だったが、島村は汽車で会った女・葉子に心を奪われ始めていて──。

    「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」
    有名すぎる開幕の一文。なんとなくその美しさに引き寄せられて、大人になって初めて読むことに。とにかく雪国の描写が研ぎ澄まされている。ぼんやりと眺めても読めるし、どこまでも読み込める底知れなさも感じられる。

    心理描写については半分も読み解けていない気がする。退廃的で現実を浮遊する男・島村と、一途さは伝わるものの破滅的で機嫌がころころ変わる駒子。繋がろうとするほど遠いその関係性は、まさに徒労のようにも思えるが、人生とは徒労が降り積もる雪国ではないか。そう考えると、これも美しさの形なのかもしれない。

    『こころ』や『人間失格』は感情移入して読めたものの、『雪国』はよくわからなかった。というか、わざと会話や場面を飛ばして書いているのでは?という噛み合わなさを感じた。あと、島村が「左手の人差指だけが女をなまなましく覚えている」とか、「匂いを嗅いでみたりしていた」とか考え始めて、いやいやそういう意味じゃないよな、ぼくの心が汚れているんだ…そういう意味かい!ってなってびっくりした。

    p.73,74
    いつも山峡の大きい自然を、自らは知らぬながら相手として孤独に稽古するのが、彼女の習わしであったゆえ、撥の強くなるは自然である。その孤独は哀愁を踏み破って、野性の意力を宿していた。幾分下地があるとは言え、複雑な曲を音譜で独習し、譜を離れて弾きこなせるまでには、強い意志の努力が重なっているにちがいない。
    島村には虚しい徒労とも思われる、遠い憧憬とも哀れまれる、駒子の生き方が、彼女自身への価値で、凛と撥の音に溢れ出るのであろう。

    p.131
    「ううん、いいのよ。私達はどこへ行ったって働けるから」
    その素直な実感の籠った調子は、親譲りの財産で徒食する島村にはひどく意外だった。
    「ほんとうよ。どこで稼ぐのもおんなじよ。くよくよすることない」

  • 難しい。大筋は単純な話ではあるけれど、何度か読み込まないと、理解できないな。ただ描写は本当に綺麗。風景描写が美しい。

  • 純文学。妻子がいながら、雪国の温泉宿で芸者の駒子と過ごす主人公。さらに葉子にまで興味を持つ。色に乱れたシーンは無いが、内容はエロに近い。うーん、よくわからない。

  • 純文学の好きなところは
    感情を説明しすぎないところで
    今この人物はどんなことを考えているんだろう
    どうしてこういう行動をとったんだろうって
    自分で想像してみるところだと思っています。

    「君はいい女だね」
    たったその一言が、
    別れを代弁する言葉になったり
    感情を説明しないことが
    一番忠実に伝わる説明になることを
    雪国をよみながらしみじみと感じました。

    なんといっても雪国は文章や、
    登場人物のセリフが美しいです。

    最後、別れの予感が二人の頭によぎりながら
    その真上に輝く天の川。
    風景はその時見る人の気持ちや
    誰と見るかでその美しさをかえる。
    あの天の川は二人にとってもう二度と見ることのできない刹那の美しさ。
    はじまりがあって、必ず終わりがくる。
    終わりがあるから一瞬一瞬が輝いて
    なんとも言えぬ気持ちになりました。

  • すべてを文にして語らない、それが川端康成の作風だと思うし『雪国』ではそれが特に顕著だと思う。

    寒々とした風景の描写はひたすら美しい。
    星空の描写が特に好きです。

    自分にとっては意味の内容なことが他人からすると生きていく理由になるというのは今でも通じるテーマ。
    小説なのに、文豪なのに『書かないこと』を徹底して必要最低限な言葉で構成された作品なので、一から十まで説明してほしい人からすれば読み取るのが難しい。
    文章からいかに『察する』かが求められる。

    すべてを咀嚼できているとは思えないのでまた時間を空けて読んでみます。
    駒子は一生懸命で哀れでかわいい。

  • 図書館で借りたがどうしても読む時間が取れず、時間切れで返却。近々再挑戦する。

  • 大傑作
    鏡を使うなどの視覚描写の巧みさは言わずもがな、
    台詞における引き算の美学も大好き。

    さながら極寒で無機質な雪国が魅せる自然の美しさのよう、過酷な状況で逞しく生きる女たち。

    男に熱があまりないのが、よい比較になっている。

    主要な4名の具体的な描写があるわけではないが、関係性や台詞や行動で、感情が浮かび上がってくる。
    このように余白が私たちに妄想を促してくれるので、読むのが楽しくなる。

  • 文学的評価が定まっていて、さらにノーベル文学賞を獲っているから読み通せたのだけれど、もしこれが無名の作品だったら、きっととてもではないが最後まで読み通すことはできなかってだろう、と思う。

    「結局この指だけが、これから会いに行く女をなまなましく覚えている~この指だけは女の触感で今も濡れていて~鼻につけて匂いを嗅いでみたりしていたが」この箇所は色々な人が取り上げているけれども、こういった清潔な色っぽさの描写にはっとさせられる。他にも、「人間は薄く滑らかな皮膚を愛し合っているのだ」「島村は死骸を捨てようとして指で拾いながら、家に残して来た子供達をふと思い出すこともあった」「そうして駒子がせつなく迫って来れば来るほど、島村は自分が生きていないかのような苛責がつのった。いわば自分のさびしさを見ながら、ただじっとたたずんでいるのだった」という表現に、ああ、こういう表現もあるのか、と、感心した。

    どこかで感じたことがあるような、名状し難い感情の揺れ動く瞬間、しかも数時間も経てば忘れてしまうような感情の僅かなさざなみに、こうも的確な言葉を与えられるのかと思うと、その表現手法に驚いた。

    あと、駒子と葉子の話しぶりや身振りや台詞回しが妙に生々しく、確かに男女の会話ってこんな感じだよなあ、と思わせられる部分が多かった。そういう男女の交わりを品格を損ねないで描ききるのはすごいな、と思った。

    けれども、じゃあ、話として面白かったかと言われると、別にそうでもない。いや、別に不倫がダメとか、主人公がクズだから嫌だったとか、人格者ぶりたいわけでもなく、ストーリーラインがずっと平坦でなだらかで気怠い感じがどうも性に合わない感じがした。

  • これがあの雪国か
    昔の日本の服装や住まいや、男女の関わり方など知られてよかった
    けど最後急に終わりすぎてな〜、解説頼むって感じ

  • 非現実と現実の狭間のような世界を持っていて好き。駒子の言葉には強い生命力とか弱い女の部分とが入り交じっていて、何とも人間臭くて惹かれた。

  • 1回目は全く理解できなくて数年ぶりにこの本をとって読んでみました。日本語ってこんなに綺麗なんだなと思わせてくれる文章でした。どうやって生きたらこのように描写や感情を美しく言語化できるのでしょうか。

    ただ相変わらずストーリーが面白いかと言われるとよく分からなくて、何がオチなのかなと疑問です。

  • めちゃよかった
    情景描写と心情描写が丁寧で世界観がしっかりしてた
    最後にはは入り込んでて大きな動きはないんだけど一つ一つのセリフが心にくる

  • 久しぶりに純文学を読んで、ああ読みにくいなと思った。面白くないということではなくて、一文一文を咀嚼するのに時間がかかるという意味で。むしろ味はしっかりとある。日頃食べやすく切られたSNSや動画ばっかり消費していたんだなと気づかされた。難しいなと思ったのはセリフ回し。駒子や島村ら登場人物たちの発言には目的語や詳しい説明が語られないことが多く、いかにも日本語らしい。解釈の余地も大きい。翻訳者は苦労するだろうなと思った。

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著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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