高野聖 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 360
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008492

作品紹介・あらすじ

飛騨から信州へと向かう僧が、危険な旧道を経てようやくたどり着いた山中の一軒家。家の婦人に一夜の宿を請うが、彼女には恐ろしい秘密が。耽美な魅力に溢れる表題作など5編を収録。文字が読みやすい改版。

感想・レビュー・書評

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  • 全体に歯切れ良くリズミカルな文章。擬音語の差し込み方が印象的で好き。最後までぐいぐい読まされてしまう。

    初めの収録作品は、まず怒涛のように押し寄せる見慣れない漢字や古い文法に面食らったけれど、分かり易い展開と心情描写のお陰で、慣れてしまえばすいすい読めた。高野聖、眉かくしの霊になると、大仰な表現は鳴りをひそめ、華美な装飾を削ぐことでさらにリズムの良さ、品の良さが際立っている。美しい情景描写を堪能し、楽しい読書時間を過ごせた。
    以下ネタバレ含む、各話感想。

    義血俠血
    勢いの良い若々しい文章。義理人情が主題のためか、熱っぽくドラマチックな展開が続き、まるで舞台を観ているよう。
    特に多く割かれた前半の競争シーンや、白糸の殺人を犯す場面は圧巻の臨場感!

    夜行巡査
    抑揚がなくやや退屈。伯父と八田の極端ぶりには心底驚き。最後に皮肉っている辺り、揶揄の対象を考えさせられる。
    時代を考えると社会派な一面もある作品?色々な読み解き方がありそう。

    外科室
    まさに病院の中のような白っぽい文章。
    道ならぬ恋、ひた隠していた想いが情熱を育み、それを解き放つとき。
    非常に奥ゆかしい恋だと感じつつも、夫人はなんと剛毅な人かと。読んでいて血の気が引いた。

    高野聖
    ぐんと文が洗練されている。これまでの小話よりも話の奥行きも増したように思う。
    色っぽい場面があるけれども、艶かしさよりも、妖しさや神秘性が際立つ。
    蛭の森や水辺の描き方など、異形の世界のようでありながら、神話的な荘厳さも感じる。
    読解力不足で大事なところを見逃したみたい。「高野聖」に呼び名を変えたところを気付かなかった。
    忘れた頃に再読しよう。

    眉隠しの霊
    これもまた舞台にできそうな美しさ。
    お化けものながら、こちらもやっぱり高貴な雰囲気漂う。
    残念ながら物語それ自体については、理解が及ばなかったのか、良さがわからなかった。
    自分の旦那を救うのに、旦那の情婦に協力してもらう…?当時では不思議でなかったの?あとがきでもなんじゃそりゃ扱いされてたので、なんとも。。
    しかし綺麗だった。幽霊の登場シーン。

  • 古い文体だけど読みやすかった。
    文章のリズムも良く言葉も美しい。
    何よりストーリーが面白い。特に前半の3つの恋物語はいずれも成就しないで終わっている。その秘めたる想いが何とも哀しく美しい。

  • 天守物語が良かったので短編集のようなこの本を購入。
    高野聖は大人向けの日本昔話のような小説。
    文章は読み辛いが読めない程ではないので、泉鏡花は結構好き。

  • 角川の夏フェア本。かわまぬカバーにひかれて。泉鏡花賞は存じ上げていたが大元の泉鏡花作品は初。世間は不条理にあふれているが、その不条理の中で生きるのが人の業というもので。人には様々な事情がつきまとうものだが、どこかに肩入れするでもなく、フェアネスにあふれた描写がよかった。漫画「秘密」で青木が言ってた外科室が収録されていて、読んで納得。確かに青木の言わんとすることは言い得て妙であった。

  • 「義血侠血」の御者が荷車を捨てて、美女を連れ、馬で真一文字に疾走するところ。なんてかっこいいシーンなんだろうと思った。

  • これは……なんで今まで読まずにいたのだろう。
    こんな幻想的な小説を書く人が、ずっと昔に存在していたんだ。
    素晴らしすぎて、言葉にならない。
    美しい文章に流れるようなペースで読んでしまった。

  • 文体が当時のものなので、正直なところ物語に引き込まれる様なペースを作れなかったのが悔しい。
    その様な訳で、面白かったとかつまらなかったとか、語ることはできない。

    『高野聖』や『眉かくしの霊』などは言ってしまえばホラーだし、『外科室』なんかは大正浪漫って感じだ。
    ホラーなんて特に、あらすじを言って価値のあるものでもない。

    外国語の文学に置いて行かれるのも、こんな感じなのかなぁ。
    無念。

  • 漢字の多さにおののきつつ読み進めていくと、物語にいつの間にか引き込まれていました。義血侠血も、外科医も、夜行巡査も、眉かくしの霊も、死が纏いついて綺麗だけど引いてしまう中、高野聖はユーモアと救いのある点で、この中では一番好きな話です。他の作品も読みたいです。だけど休み休み。だって疲れるー。

  • 難しそうな文体だが、リズミカルで味わいがある。

  • 霞がかかったような不思議で美しい世界に引き込まれる。

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著者プロフィール

泉鏡花(いずみ きょうか)
1873年11月4日 - 1939年9月7日)
石川県金沢市生まれの小説家。本名は「泉鏡太郎」。明治後期から昭和初期にかけて活躍。尾崎紅葉『二人比丘尼 色懺悔』を読んで文学を志し、上京し本人に入門、尾崎家で書生生活を始める。師弟の絆は終生切れることがなかった。
1893年、京都日出新聞に真土事件を素材とした処女作「冠弥左衛門」を連載。以降、『夜行巡査』、『外科室』、『照葉狂言』、『高野聖』、『婦系図』、『歌行燈』などの作品を残す。1939年に癌性肺腫瘍のため逝去、雑司が谷霊園に眠る。その後1973年に「泉鏡花文学賞」が制定され、1999年金沢に「泉鏡花記念館」が開館。

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