あなたには帰る家がある (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.60
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本棚登録 : 214
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041008720

作品紹介・あらすじ

平凡な主婦が恋に落ちたのは、些細なことがきっかけだった。平凡な男が恋したのは、幸福そうな主婦の姿だった。妻と夫、それぞれの恋、その中で家庭の事情が浮き彫りにされ−−。結婚の意味を問う長編小説!

感想・レビュー・書評

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  • 秀明と真弓、この夫婦が茄子田家に絡みあっていく相関図はとても複雑で、でもドラマをみているような面白さがありました。
    寿退社して赤ちゃんを授かって、陽当たりのよいマンションで優しい夫と幸せな生活を送るはずだった真弓。
    けれど専業主婦であることの辛さから「また働きにでたい」と切望してしまう気持ちは痛いほどよく分かります。
    そして、働き出してからの夫婦がすれ違って互いに責任を押し付けあう姿も。
    この小説のすごいのは、私自身おなじ立場である真弓はもちろん、夫である秀明の言い分もよく理解できて感情移入すらしてしまえるところです。
    妻に対する蔑視や失望や憤り、よそに癒しを求めてしまう弱さも分かる。
    とことんリアルだった。
    家庭を築くということ、誰かとともに生きていくということの現実と真摯に向き合っている。
    最後の最後まで安易に逃げや救いを用意しない、山本文緒さんの徹底したスタンスがとても好きです。

    家族は、家族であるかぎり、ずっと家族なんだ。
    家を持つということは、自分の一生をそこにすっかり預けてしまうということである。
    帰る家があるというのは、なんて頼もしくて、鬱陶しくて、幸福なんだろう。

  • 男性目線で読んでいくと、
    男性達の心理は共感でき、
    女性達の心理はそう来るかぁ〜と勉強になりました。

    2組の夫婦だけでなく、祖父母、子供たち、仕事仲間など、皆んなが色々と抱えていて途中から混乱してきて、終盤の修羅場でドカーンとなる感じがドキドキハラハラの連続でした。

    スッキリはしない終わり方だったが楽しめました。

  • introduction───
    毎週日曜日の朝、茄子田太郎は犬の散歩に出る。
    私立中学で社会科の教師をしている彼にとって、日曜日は貴重な休日だ。いつもより二時間ほど朝寝坊をして、愛犬のゴブリンと共に家を出る。彼はその犬の名を気に入ってはいなかったが、息子達が勝手に付けてしまったのだ。ゴブリンとはロールプレイングゲームに出てくる、あまり強くない妖怪らしい。
    ─────────

    今期観ているドラマの原作が気になって購入。
    放映分までで止めようと思っていたのに、一気に読み終えてしまった。
    山本文緒も唯川恵もそうだけれど、さらっと流れていってあとに残るものがほとんどないというか、読んだ端からこぼれ落ちていくというか。
    読みやすさと読みごたえって両立しないのかもと思ったり。

    映像化にあたっては、原作をだいぶ脚色している印象。
    登場人物の設定こそある程度原作に沿っているものの、主題が変わっているように思う。

    ドラマでは愛情をベースにした家族のありかたが描かれているのに対し、小説は個人の生き方から派生する家族のありかたに焦点を当てている。
    執筆された1994年という時代背景を反映してか、女性管理職や主夫への視点も、2018年現在にくらべると多少否定的だったり差別的だったり。

    そして驚くほどにどの登場人物も幼く、人間としての魅力を一切感じなかった(かろうじていい人だと思えるのは樺木くらいかな)

    佐藤真弓も茄子田綾子も子どもを結婚の切り札にしている点では嫌悪感しか感じないし、佐藤真弓にいたっては、あまりのわがままぶりに怒りさえ覚えた。
    薄っぺらい正義感をふりかざさないぶんだけ、まだ愛川由紀のほうが可愛いと思う。
    そう感じるのは、私が未婚であることと、結婚制度に肯定的でないことも関係するのかもしれないけれど…。

    あなたには帰る家がある。
    小説内では、秀明と麗奈の帰る場所として佐藤家が描かれていたけれど、「あなた」を様々に置き換えて考えてみると、なかなかに意味深なタイトルだと思う。

    ドラマの最終回を待って処分予定。

  •  佐藤真弓
    子供っぽい人だと思ったが子供っぽいなりに筋は通している。我儘で不器用で甘えも強いが、素直なところをなくさない大人がいてもいいと思う。周りも自分も疲れるかもしれないけれど。個人的には好き。

     佐藤秀明
    結婚も転職も不倫も退職も他人の考えに流されてばかり。自分の意志がないのか、責任を取るのがいやで敢えて流されているのか、無責任さがずるい。無責任なお子ちゃまが不倫なんてとんでもない。(不倫はみんな駄目ですね。)

     茄子田太郎
    自分本位で我儘で横暴。遊びも許し難い。…なのだけれど本質は優しい人なのかもしれない。家族への想いを屈折せずもっと真っ直ぐ上手に表せればいいのに。

     茄子田綾子
    欲しいものを手に入れるためには、見苦しいほどなりふり構わないのか何なのか同情も同意も出来ない。我慢しなくてはならないのは茄子田太郎との結婚生活ではなく、姉の夫や秀明の事。

    二組の夫婦が試されるのはこれから。


    この本は20年以上前に書かれたそうでテーマが古いのではと感じたが、今どきのドラマになるのだから家庭や仕事に対する考え方や夫婦関係は、今も少し前もそれほど変わっていないのかなと感じた。

  • ドラマを見ていたので、原作も気になって一晩で読了。ドラマ版とは主人公の年代が違っていて今の自分に近く、28歳。真弓という人間が、夢見がちでないものねだり、感情的であったため、自分に投影できた。また10年後くらいに読んでみたい作品だった。

  • 山本さんの作品は好きなので何冊か読んでいますが、
    ドラマが放映されるというので
    この作品も読んだと思ったのですが内容を全然思い出さなかったので手に取りました。

    登場人物をドラマのキャストの人と想像しながら読んでいったので
    更に分かりやすかったですが、ドラマとは少し違う印象でした。

    専業主婦というものは家事、育児、介護などと常に日頃から
    時間に関係なく働いていて、自分の時間というものもなく、
    常に家族の人のために働いているのに
    特に評価もされずにいるととても孤独だなと思います。

    真弓にしても綾子にしてもそれは共通しているのだと思いますが、
    その解決策が二人は違っていてこれもまた女性ならではだと思いました。

    前半の茄子田の印象はなんて嫌な男性だなという思いが強いですが、
    後半になると本当は純粋な人で結婚の前も後もぶれなくて、この登場人物の中では一番
    まともな人間ではなかったかと思えました。

    その反対に秀明は優しい良い人というイメージでしたが、
    何だか話を進めるごとに常に自分の楽な方にしか考えず、
    自分本位で好きな事にしか関心がないみたいで、
    こうゆう人はもしかしたら夫にするには
    値しない人なのかなと思えてしまいました。

    結婚する前と後では環境が違ってきたり、
    立場も徐々に変わってくるので同じようにはいかないということは
    よく分かりますが、その時々に変わっていくのを
    夫婦で会話をしながら確認をしながら臨機応変に
    していけばこのようなトラブルなども無かったのかとも思いました。

    それにしても謎や秘密の多い茄子田家には驚かされてばかりで、
    特に綾子の過去から現在に至ってはとても想像できないことばかりでした。
    真弓に比べたら綾子のような人は
    女性から見ても苦手なタイプだと思うし、
    こうゆう女性にはなりたくもなく、
    友達になるのもちょっと怖くて気が引けます。

    真弓の時として秀明に冷たく口走ってしまう言葉も
    自分の思い描いていた結婚生活ではなく物足りないものだったり、
    一人の女性としての何か生き甲斐のあるものが欲しかったから
    お金だけでなく働きたいという意欲が強くなったのかとも思いました。

    秀明の浮気が無ければ働くということに対しても、
    前半の考え方とはまた違った考えにもなり、
    秀明もそれなりの自分の生き方を少しは考えるようには
    なったと思うので少しは明るい未来が開けて良かったようにも思えました。

    ただ家事はいつも妻や女性だけがするという固定観念は
    もう捨てて、気が付いた人がしたり、
    その場において臨機応変にして欲しいなという
    思いが強く残りました。

    結婚生活とは、夫婦とは、家族とはと改めて考えさせられることが
    多々あり、結婚の意味は何かと思わされる作品でした。

    あとがきに20年以上前の作品だと書かれていましたが、
    時代に関係なく違和感なく読めました。

  • 主人公の周りの人間にもきめ細やかな描写があって、物語にリアリティがある。とくに茄子田の両親の闇やクセの描き方は、なんとも印象的だった。

  • ★3.5

    家庭に縛られるのが嫌になって働きに出る真弓の気持ちは、少しわかる気がします。
    気持ち悪い存在だった茄子田が終盤で見せる涙ながらの訴えには切なくなりました。
    秀明にはもっとしっかりしてほしかったな。
    夫婦って何なんでしょう。難しい。

  • 「あなたには帰る家がある」
    TBS系、金曜22:00~
    放送開始日:2018年4月13日
    キャスト:中谷美紀、玉木宏、ユースケ・サンタマリア、木村多江
    http://www.tbs.co.jp/anaie/
    Youtube https://youtu.be/1QzjrBuyNqg

  • 誰もが結婚した時には、一緒にいられるだけで幸せって思っていたはず。お互いを思いやる気持ちだって確かに存在していたはず。その気持ちをずっと持ち続けることって難しいことなのかな…

    夫に愛され、守られ、なんの心配もない毎日を過ごすことができていること。そして、家族の待つ帰れる家があること。そんな幸せを忘れかけていたことに気付かされた。

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