怖い絵 (角川文庫)

著者 : 中野京子
  • 角川書店 (2013年7月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041009123

作品紹介

残酷、非情で甘美……名画の“怖さ”をいかに味わうか、そんな新しい鑑賞法を案内する大ヒットシリーズの第1弾、待望の文庫化。ラ・トゥール『いかさま師』、ドガ『踊り子』など20点の隠れた魅力を堪能!

怖い絵 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 美術館で絵画を鑑賞することが多くなると、その名画についての
    知識をもっともっととより深く知りたくなります。
    美術展で名画と向かい合うことが出来るのは、ほんの数分にも満たない
    下手すれば、数秒から数十秒でしかないごく僅かな時間なのですから
    なおさらです。

    そんな名画と向かい合った一瞬を、もう少し深く心に刻んでおきたい..。

    「怖い絵」は、とにかくどこの書店でもよく目に付いていました。
    "怖い.."というところには少し躊躇がありましたが
    気楽に向き合えるのかもしれないという思いで手に取りました。

    "怖い.."のは、その見た目から残虐であろうシーンを描いた絵である
    というのは当然ですが、中には見た目にはそれほどの怖さは感じられないのに
    実はその絵の影には暗黒の秘めたストーリーが隠されている...というような
    見た目だけではわかりようのない逸話なども解説されていました。

  • 知識が絵画鑑賞を面白く、奥深くするんだなというのが体感できる。
    クノップフの「見捨てられた街」には特別な感情がわいた。胸を締め付けられるような静けさと破滅に向かう痛ましさが際立っていて、前に発信する派手さではなく内にこもる主張というのがとても強く、そこに人の心を感じた。
    理屈抜きで恐ろしい絵もいくつかあった。迫力に目が離せない絵もあった。人生と切り離すことができない分、画家自身の表れでもあり、描かずにいられないとでもいうような絵画が胸にグッとくるものがある。
    自分の深いところをグラつかせるような絵画はいくつも存在する。そういうものに出会えることは幸せだ。
    いくらインターネットが発達して、世界のあらゆるものが簡単に見られるようになっても、実際作品を目の前にすることの重要さはいつの時代でも変わらないと思う。この本を読んで知った気になっているけど、本当の意味で知るためには現物を見るしかない。

  • 美術の授業のために久しぶりに購入した怖い絵シリーズ。以前読んだ新書に含まれていた絵も何枚かあったが、相変わらず面白い。絵は絵それ自体でも感動できるものもあるが、その裏に潜んでいる意味や背景を知るとその絵画に一歩近づいたような、親しくなったようなワクワク感がある。

  • 絵画の構成。
    描かれた時代背景。
    画家の人生。
    それらの説明文がまるで物語を読んでいるかのよう。

    ただ残念なのが、肝心の絵が小さくて見にくい。

  • もう展覧会も終わったしブームも一段落して今更ではあるけれど、やっぱりちょっと興味はあるので怖い絵シリーズに手を出してみる。ひとことに「怖い」と言ってもその範囲はかなり広く怖さの種類はさまざま。見るからに怖いゴヤのサトゥルヌスのような作品もあれば、一見華麗だったり可憐だったりする絵の裏にある歴史的背景を知るとゾワっとくるものも多い。個人的には怖さを楽しむというよりは雑学&豆知識として知らなかったことを知るのが楽しかった。

    例えばドガの有名なバレリーナの絵、今でこそ高尚な芸術のように扱われているバレエの発祥を遡ると、日本における江戸時代の歌舞伎と同じようなことが行われていたとは驚きでした。受胎告知なんかも言われてみれば確かに、身に覚えのない結婚前の女性が「妊娠してますよ!」っていきなり言われたら例えお告げしてきたのが大天使様でもまずは恐怖しかないというのも納得。ルドン『キュクロプス』は個人的にはひとつめちゃん可愛いとか思ってしまうのだけど、元祖ストーカーというのには納得。

    アルテミジア・ジュンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』は、絵そのものより女性画家であったアルテミジアにまつわるフェミ問題が興味深かった。あとムンク『思春期』、この絵から下世話な想像をする人の意見にはちょっとイラっとするものの、バルテュスの少女絵のみならず、ウォーターハウスのニンフの絵までフェミ団体からの抗議で撤去されるご時世、正直女性側から見ても絵画のヌードをいちいちセクハラだと騒ぎだしたらきりがないし、そもそも美しいものを美しいと讃えることまで否定するのはどうかと思う。

    ※収録作品
    ラ・トゥール『いかさま師』/ドガ『エトワール、または舞台の踊り子』/ティントレット『受胎告知』/ダヴィッド『マリー・アントワネット最後の肖像』/ブロンツィーノ『愛の寓意』/ブリューゲル『絞首台上のかささぎ』/クノップフ『見捨てられた街』/ボッティッチェリ『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』/ホガース『グラハム家の子どもたち』/ゴヤ『我が子を喰らうサトゥルヌス』/ベーコン『ベラスケス<教皇インノケンティウス十世像>による習作』/アルテミジア・ジュンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』/ムンク『思春期』/ライト・オブ・ダービー『空気ポンプの実験』/ホルバイン『ヘンリー八世像』/ジョルジョーネ『老婆の肖像』/ルドン『キュクロプス』/コレッジョ『ガニュメデスの誘拐』/レ-ピン『イワン雷帝とその息子』/ゴッホ『自画像』/ジェリコー『メデューズ号の筏』/グリューネヴァルト『イーゼンハイムの祭壇画』

  • 目次:作品1 ラ・トゥール『いかさま師』、作品2 ドガ『エトワール、または舞台の踊り子』、作品3 ティントレット『受胎告知』、作品4 ダヴィッド『マリー・アントワネット最後の肖像』、作品5 ブロンツィーノ『愛の寓意』…他

  • 著者の選ぶ“怖い絵”それぞれについてのエッセイを通じて、絵を観る楽しさや知的興奮を味わえます。
    画家の生涯やその絵が描かれた時代の様子、神話や聖書など、その絵の闇を浮かび上がらせる視点がいちいち新鮮でした。

  • 現代人で良かった、と思ってしまった。
    女は若いうちはちやほやされ、老いさらばえれば躊躇なく笑いもの。果ては子供が産まれないと離縁され首を落とされる。ギロチンの上で逃げ回り泣き叫んでも。
    ヨーロッパの各時代の当たり前が凝縮された絵。読み解くと怖さがわかるものもあり、一見して怖いものもあり。ルドンのキュクロプスなんか夢に出てきそうで、ページをめくって目に飛び込んできた瞬間「ヒッ」と声が出た。
    ユーディトの絵はカラヴァッジョのものしか知らず、それが美しくて好きだったんですけど、アルテミジアのものを見たらもうこちらの方が心に残って素晴らしいとしか思えなかった。
    最初の一枚が有名ないかさま師なのもいいですね。怖いなー。
    ただ文庫サイズのために絵の細部が確認できず、色も少し読み取りづらく、文中に書かれている内容が確認できなかった(受胎告知の左隅のヨセフとか、絞首台の上のかささぎの人々とか)のが大変残念。古本で単行本を買うか、いつか本物を見てみたい。

  • この人の解説は、解説でありながら解説でない。上質な短編を読んでいるようだ。美術作品を見ながら、お話を読む。しかも歴史背景まで分かる。なんて贅沢な本なんだ。

  • 何が怖いのかサッパリ、と思う絵も時代背景や作者の人となりを解説された上で見ると確かに…な感じがする。印刷の加減や頁の境で絵画が見にくい。本物を見る機会があればいいなぁ。
    映像というものがなかった時代、人の受け取る絵画からのパワーってすごいものだったのかもしれない。

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