文庫版 豆腐小僧双六道中おやすみ (角川文庫)

著者 :
制作 : 荒井 良 
  • 角川書店
3.84
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本棚登録 : 170
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (706ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041009208

作品紹介・あらすじ

妖怪総大将の父に恥じぬ立派なお化けになるため、豆腐小僧は達磨先生と武者修行の旅に出る。芝右衛門狸による〈妖怪総狸化計画〉。信玄の隠し金を狙う人間の悪党たち。騒動に巻き込まれた小僧の運命は!?

感想・レビュー・書評

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  • ぴょん。
    「豆腐小僧にございまするぅ」

    前作「ふりだし」の後を受け、意味もなければ説明でも解釈でもない概念(=おばけ…ですらないような気が)、愛すべきキャラクター妖怪の豆腐小僧が今作では甲州で活躍……は、しないなあんまり(´・ω・`)
    まあ活躍するようなキャラじゃないのだよね。しかも主役のくせに物語の半ばで長いこと留守になるし。
    しかも今回はなんと河童(豆腐小僧的にはこれ大事件だと思うんだが、本人あまり気にしてなさそう。豆腐はアイデンティティの根幹だけど、笠とかはオプションなのでいいらしい)になっちゃうし!かっぱっぱああ!

    そしてまた、人間の方の物語もちゃんと進んで行くわけだけど、これもまたお化けどうしのああだこうだに負けず劣らずのドタバタっぷり。

    語り口が軽妙で、何でもアリアリの名調子。飯綱権現なんかどんどん語り口がフランクになってきてて親しみが(笑)。あと個人的にはやはり八咫烏がいいですな。

    しかし、このシリーズには巧妙な「仕掛け」があって、登場人物ならぬ登場妖怪のトークから、そして語り手から「果たして妖怪とは何ぞや」が論じられているわけで、おまけに今作のラスト近くでは一種の「時間移動トリック」的な離れ業が。メタ物語がメタ・メタ物語になっております。いや、物語がメタメタというわけではなくて。

    こないだ文庫版の「ふりだし」が発見されて読みふけってたら、こっちも読みたくなって、でも豆腐型のオリジナル版が見当たらなかったのでこっちも買っちゃった次第。
    改めて読んだらやっぱり面白いねえ。
    でも、せっかくだから前作くらいの仕切りをして欲しかったわぁというのが親心(なのか?誰が誰の親?)。

  • 概念としてしか存在しないものを描写する妖怪ばなしの2作目

    前にも増してメタな表現が増える
    ってか、豆富小僧ひいてはこの小説自体がその存在を確定させるという入れ子構造の説明がされた時点でもう何でもありだな

    ストーリー的には一区切りついてない中途半端なところでおわってるけど、続編はいつ出るのかねぇ?
    続編が出てもまた読み返さないと話がわからんぞ~

  • 妖怪は概念。でも実際にいる!と思うのも楽しくていいと思う。豆腐小僧は河童風にもなれるとは凄い。地方によって妖怪にも特色が出るのは面白い。

  • 前作よりはだいぶ読みやすく感じた。
    私がこの感じに慣れたからってのもあるのかもしれない。
    あとは、前作より豆腐小僧の出番が大幅に減って、その分人間の騒動の方にスポットが当たることが多かったのも一因かも。
    逆に豆腐小僧の出番を前作くらいに思ってると肩透かしをくらうかもしれない。

    まぁ相変わらず妖怪の蘊蓄だったり考えだったりは結構な量あるのでそこで引っかかっちゃうと読むのに苦労すると思う。
    最後はドタバタで面白かった。
    まだ続きそうなので続きが出たら買おうかな。

  • ・京極夏彦「豆腐小僧双六道中おやすみ」(角川文庫)と その先行の「豆腐小僧双六道中ふりだし」を読んだ。例の調子と言へるかどうか。たぶん言へないと思ふが、しかしおもしろいことは確かである。さう、これは 豆腐小僧を中心として、妖怪の来歴を記したもの、更に言つてしまへば、妖怪の履歴を散りばめた物語、履歴書小説ではないか。多くの妖怪が出てくる。それら のよつて来たるところをきちんと確認したうへで、その妖怪をそのやうに動かしてゐる。語りは、多分に戯作を意識してゐると思はれる饒舌体である。そんな作品だから、かういふ語りが案外あつてゐるのかもしれない。ただし、理屈つぽい作品である。それは概念といふ漢字におばけの読みが付されてゐることに象徴さ れてゐる。おばけは概念だといふのである。これが京極の妖怪観なのであらう。
    ・適当に引用する。「化け物なんてものは実際にはおらんし、おらんから見えんわ。思い描く形なんざ人それぞれだ。」(53頁)「愚僧ら妖怪は 生き物ではないのだ。物理的に存在しない概念であるところの我ら云々」(73頁)「我らは全て後付けなんだ。非存在は存在する事象に一切の影響を及ぼすことが出来ないのだ。」(「後付け」に傍点、74頁)猫股の「三毛殿はあの道場で飼われておったその猫が喚起する概念であった云々」(「概念」に「おばけ」 のルビ、271頁)「我らは概念であるから、主体とはなり得ない。主体である訳がない。」(275頁)おばけは「いるけどいないというのが基本だ。」 (「いる」「いない」に傍点、同前)他にも同様の理屈は多い。極端なことを言へば、人間の物語の部分以外、つまり、妖怪、お化けの物語では必ずこれが出てくる。この理屈なくしてこの豆腐小僧の物語はない……つまりはかういふことである。敢へてこの状態を評すれば、これは一種の信仰宣言ではないか。京極の妖怪信仰である。それは、妖怪は存在するのではなく、つまり妖怪は物理的には存在せず、その妖怪の概念があるだけだといふ信仰である。それを豆腐小僧が主人 公の物語としたのがこの「双六道中」ではないのか。だから様々な妖怪が出てくる。そしてその履歴が説明される。その出自は「出た時にそれを見た人間が、勝手に解釈を加えるとーその段階でいろいろな妖怪になる」(「ふりだし」177頁)といふところにあり、例へば小豆洗ひは、「これ、姿形は見えません。(中略)何しろ音だけでございますから(中略)音をさせる正体として、各地域で様々なモノが用意されます。(原文改行)鼬だ狢だ、山の神だ、蝦蟇だ幽霊だと、 それはもうヴァラエティー豊かな」(333頁)ものであつたといふ。これが後付けの概念といふことである。かういふ説明を様々な妖怪が出る度に作中で何度も繰り返すことで、作者は妖怪は存在しないと宣言し、確認してゐるのではないか。またかと思ふ。しかし、そこは京極である。それで物語のおもしろみを削ぐことはない。人間世界と妖怪世界がともに物語の頂点に向かつて進む。この物語は幕末の尊皇倒幕に関係してゐる。そこに阿波の狸も絡むから物語はドタバタの 様相を呈する。それを豆腐小僧といふ概念=おばけが支へる。さう、この豆腐小僧、幕末の草双紙に登場する。結構人気者である。紅葉豆腐を持つて町中を歩き回る。人に悪さをしない、人に相手にされない、そんな特異な概念=お化けである。それが物語を支へる。かういふ雰囲気が他の京極作品にあつたらうか。たぶんない。ちなみに、本書には参考文献が記されてゐない。これがあれば今少し京極の妖怪信仰を知ることができたらうにと思ふ。お化けは概念なり……蓋し正論である。

  • 2013/10/18読了。さりげない会話に示される知識量がぱない。

  • ”豆腐小僧双六道中おやすみ”京極夏彦著 角川文庫(2013/07発売)
    (2011/04発売 角川書店単行本の文庫版。解説:香川政信)

    ・・・当てもなく旅を続ける妖怪、豆腐小僧。甲府で幕府転覆の騒動に巻き込まれる。

    ・・・人が認識しないと存在できない怪異たち。なのに存在し続ける豆腐小僧。
    幕府転覆の騒動とからめてメタ的な感じに綺麗なオチがついていました。
    ”おやすみ”と完結のようなタイトルのわりに続編を匂わせるのはどうか、と思いましたが。(笑)

  • さすがに冗長だったかな。ドタバタし過ぎて、しっちゃかめっちゃか(笑)。まあ、巷説百物語シリーズや百鬼夜行シリーズのような物語性を求めているわけではないですからねえ、豆腐小僧には。相変わらずのメタ発言というか上から目線でのお話で面白いです。この言葉廻しはさすがの京極さんという感じ。
    今回の一番の見どころは三毛姐さんの貴狐天王に対する啖呵ですかねえ。さすが表紙を飾るだけはありました。見事な大見栄啖呵。お稲荷様の門番とか言い切っちゃうし。
    にしても主役不在(笑)挙句の果てには河童小僧ってどういうことよ?それでも締めるところは締めたのは流石主役。あー、主役が出てこないから「おやすみ」か。
    芝居狸に八洲狸。アニメ有頂天家族のせいか狸が妙に身近に感じますねえ。
    そして不細工対決。にしても猪狩虎五郎の顔を表現する語彙のすごいこと。不細工の形容にこれだけの語彙があろうとは。もう無尽蔵。すごいな。
    はてさて、最後の結末のドタバタはもう・・・。何が何だか。結局不細工権太達はどうなったのか。次回でどう語られるんですかねえ。記憶が薄れそうですが。カンチキは出てくるんだろうな、やっぱり。ガウガウ。
    解説の妖怪談義の様子も面白かったです。「いい大人が・・・」とか世間では言われるのかもしれませんが、でもいいですよねえ。

  • おもろいにも関わらず、なかなか読み進まなかった。原因はアレかな。妖怪達によるはちゃめちゃな喜劇な物語と、妖怪がどのような形で成立していったのかを解説していく学術書的な部分がごっちゃになってるからなんだろうな。そういう意味では異色だし、京極さんの意欲も伝わるんだけども、純粋な喜劇的な物語としてどうなの?と考えてしまうと、ちと微妙な気がする。だから高評価ってわけにはいかないかな。

  • 文庫本化でふりだしに続けて読了。単行本の際にも多分、同じ印象だったと思うが、本作では肝心な主人公の消滅による閑話休題的な脱線が多く、尚且つ、人間側の登場人物が雑多で、彼らが妖怪を超えてボケまくるので、煩雑な印象が強く、終わり方も前作ほど綺麗でなかったので前作ほど、面白くはない。また、概念としての妖怪が感得する人間の影響から外れ、何故に独立した存在として動き廻るのかという説明も、少々、やっつけ感がのこる。何と言っても、小僧と達磨の掛け合い漫才が少ないのが残念。

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