魔女の宅急便 3キキともうひとりの魔女 (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041009499

作品紹介・あらすじ

16歳のキキのもとへケケという少女が転がりこんできて宅急便の仕事を横取りしたり、とんぼさんとのデートに居合わせたりと振り回され放題。反発しあいながらキキも少しずつ変わっていき…シリーズ第三弾!

感想・レビュー・書評

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  • キキ、16歳。突然現れたケケ(12歳)にかき乱され、宅急便のお仕事やグーチョキパン屋さんでの暮らし、ジジやとんぼさんとの関係にじりじり、ピリピリ。

    自分らしさを見失い、不安や疑いの心でいっぱいになり、ケケへの嫉妬で押しつぶしされそうになるキキ。ジジが言うように、「特別」というのはつまり、自分をちゃんとつかまえられるかってことなのかもしれません。

  • キキの元を訪れたのは、飛べない女の子ケケ。

    でも、彼女がキキの元に暮らしはじめてからキキの不安が増していきます。
    自分が出来てきたことや、自分が認められてきた場所を奪われていく感覚……分かるなあ。

    三巻ではジジの家出の章も入っています。
    イライラしているキキに蹴り出されて、そばにいないで!と言われるジジ。
    足でなんて……とぴゅーんと飛び出して行ってしまうジジが可愛すぎる。

    一緒に貯めてきたと思っていたお金を、私のお金よと言われてしまうジジ……。
    そういうシーンを見るたびに、キキにもっとジジを大切にしてやって欲しいと思うのでした。

  • 突然現れたケケという名前の不思議な女の子にキキが振り回されるちょっと苦い3巻。
    キキはケケに自分の居場所を取られてしまうんじゃないかと悩む。
    嫉妬なんだろうな…。ぐるぐると黒い感情が渦巻いてしまう。
    読んでいてその感情のかけらが自分の中にも同じようにあることを感じてとても苦しかった。

    誰かを嫌いになる時、自分のことも一緒に嫌いになっていたりする。
    相手に向かう気持ちの方が強いからあまり気付かないけど、明らかに自分のことも攻撃しているんだ。

    キキもケケに感じる苛立ちと同じかもしかしたらそれ以上に自分に対して苛立っているように思えた。
    それがすごく分かるからとても苦かった。

    最後のカラさんの歌の詞が好き。
    「自分が 自分に 出会うとき
     あなたにも いつかある
     自分が 自分に 出会うとき
     あなたにも きっとある」
    自分に出会う時は、たぶん一度きりじゃなくて、何度も何度も訪れる。
    それは楽しいことかもしれないし、苦しいことかもしれない。
    でもどんなに苦しくても、分からないままでいるよりずっといい。
    そう思った。

  • " あの子が、じゃまする。
     あの子が、じゃまする。
     わたしの大事にしてるコリコの町のくらしを。"

    ある日突然、キキの元にもう一人の魔女「ケケ」が現れてから、キキのコリコの町での日常が狂いはじめます。ライバルが現れた時、その子が憎たらしくて、妬ましくて、羨ましくて、その子のことで気を揉んでいる自分に呆れてしまう。この子はこんなに計算高いのに、なんでみんな気づかないんだろう?

    私にも今、まさにこんな子が近くにいるので、ハラハラ&悶々としながら読み進めました。自分の優位性をいちいち誇示してくる彼女が嫌で嫌で、私もキキのように、全世界を敵にまわしたかのような心地になったこともありました。私たちもまだまだ子供なのでしょう(笑)いつか、キキとケケのように、仲直りして友達になれる時がくるのでしょうか。

    さて、物語の終わり。少し大人の少女になったキキの淡い初恋が、浜辺に押し寄せる波とともに夕焼けの茜色に染まります。自分の大切な人がいる町... それだけで、十分なのよ。ふと、私が最後に恋した人との最後の夜を思い出して、切なくなってしまいました。感情が大きく揺り動かされる素敵な読書でした。❤︎

    " 自分が自分に出会うとき あなたにもいつかある
     自分が自分に出会うとき あなたにもきっとある "
    (Aug. 7th 2020)

  • キキ16歳。
    一人称が「あたし」から「わたし」に。
    物語では謎の少女ケケが強引にキキの家に居候をはじめる。
    そのせいでキキの心が乱れに乱れて気の毒を通り越して痛ましい思いもした。
    それでも最後にはしっかり成長していく姿は美しい。

  • 胸がギュッと切なくなる話が多かった。
    キキがジジを蹴飛ばしたり、二人で大切に、親にお土産を買う用に貯めたお金をキキが
    「これは二人のお金じゃない、私のお金よ。」
    と言って持ち出して使ってしまったり、足りない分を本来貰わないはずの大事なお客様から貰ったり…
    それでもキキの側で見守ってくれるジジや町の人達が泣けるほど優しくて…。
    ケケの生意気さや意地悪さにイライラしたりも…。
    でも、最後まで読んでしまうともう一度読みたくなる。
    不思議な本です。

  • コリコの町になくてはならない存在となったキキ。そんなキキの前に、ケケという少女が現れます。彼女はあっという間に人気者となり、キキはとても複雑な思いを抱く…その葛藤がとてもよく描かれていて、キキと一緒にイライラしたり焦ったり、彼女は何を考えているのだろうと思ったりして、感情移入しながら読みました。魔女だけど人間と大して違わないキキの、成長痛のようなものがひしひしと感じられます。

  • 嫉妬心を隠せないキキが人間らしくてとても好き。ケケみたいないちいちムカつく言動をとる子っていますよね、自分が小学生だったの頃の人間関係を思い出した。  あとついでに、キキが“落ちた”ことに驚いた。

  • 宅急便や薬の仕事もコリコの街で馴染んできて慣れてきた頃に、ケケがある日突然やってきて日常生活に疑いや好きなトンボや友達のことが信用できなくなるなるかもって嫉妬心描いたストーリーだった。
    昔ながらの伝統を守るキキと最新のアイデアをとりいれようとするケケ…
    伝統を守りつつ視点をかえながら何かするのって大事やなって思った。
    10代の女の子らしくお金叩いてオシャレしたり、同性に対してライバル心抱いたり嫉妬したりしてたな。

  • 突然現れた二人目の。
    いい顔をしているのではなく、相手が心を開きやすい生き方を良く知っているのだろ。
    作り上げたテリトリーに侵入してきただけでなく、土足で荒らされたら心が荒んでしまっても仕方ないだろ。

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著者プロフィール

1935(昭和10)年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、出版社に勤務する。25歳の時からブラジルに2年間滞在し、その体験をもとにしたノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で作家デビュー。著書に『ズボン船長さんの話』『小さなおばけ』シリーズ、『魔女の宅急便』『ぼくびょうきじゃないよ』『おだんごスープ』『ラストラン』など数多くの絵本・児童文学作品がある。産経児童出版文化賞大賞、路傍の石文学賞、旺文社児童文学賞、野間児童文学賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など受賞作品多数。

「2017年 『いろはにほほほ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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