永遠の曠野 芙蓉千里IV (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041009666

作品紹介・あらすじ

大陸を取り巻く戦況が深刻になる中、愛する男とその仲間たちとともに、馬賊として生きる覚悟を決めたフミ。……そして運命の日、一発の弾丸が彼女の人生を決定的に変える……。慟哭と感動の完結編!

感想・レビュー・書評

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  • 良かった!まさに大河浪漫少女活劇!
    後半は曠野に吹く風に身を晒している気が…極寒の中に熱い魂を見た、スケールの大きなストーリーだった。
    大陸一の芸妓、それを捨てて馬賊になり、、時代に翻弄されて、生き抜くフミがカッコ良すぎる。痛い描写も悲しみもいっぱいで。だからこそ、舞や健明との幸せな場面が美しかった。
    時代背景や地域など知らないことが多く、自分には難しい部分はあったけど革命が起こり時代が動いている雰囲気が感じられて良かった。

    生きるか死ぬかを何度もくぐり抜けて、フミがたどり着いた先が安らげる場所でよかった…(なんだかんだ炎林が私的には1番好きな男性キャラ)時代もこのまま穏やかにってわけにもいかないだろうけれど、悲しいことがもうありませんように。

  • うん、安定に面白かった。
    けど、『また、桜の国で』と『革命前夜』は越えてこないかな〜と思い、星4で。

    話のテーマとして「家族」がある。家族は一種の帰属先だけど、フミにはその感覚がないし、強く憧れてもいる。軸がないからこそ色んなものになれるんだとも思う。
    フミの苗字が一貫して出てこないのはそういうことなのかな〜と勝手に思ってた。(もしかしたら序盤に出てたかも)

    バースト生きてたの?!!!良かった!!という気持ちで終われたのはよかった。
    ずっと建明と黒谷のどっちになるの〜という話できていたのに、そっちかーい!と思わずツッコミを入れたくなる展開だった。
    でも、フミだけじゃなく建明、黒谷、炎林、、みんなそれぞれの形で幸せに過ごせたんじゃないかな。いいラストでした。
    フミの生命力が強すぎてひたすらカッコイイ。
    黒谷がただの坊ちゃんからどんどんいい男になっていくのを見るのが楽しかったな。貴文がんばったね〜と言いたくなる。

  • 全巻、高クオリティのまま結末まで走り切ったの凄過ぎます。
    遊郭もの、歴史小説、戦争もの、ヒューマンドラマ、アクション活劇、エスピオナージュもの、少女(女性)小説。
    最終巻も色んな要素が詰まった高品質な物語でした。

  • 芙蓉千里シリーズの最終巻、読み終わりました!
    すっごく面白くて、中盤は涙が…。
    最終的にはとても幸せに溢れた終わり方で、後味が凄く良かった。

    でも、まさかあの人が…という驚きは凄くあります(笑)けど、そんな展開も、らしくて好き。

    3、4巻目になると、なんかもう、少女大河ロマンらしく歴史感が濃厚になってきます。

    この辺、歴史小説読んでる感じ。

    とにかくフミが強く逞しく、本当惚れ惚れしちゃう。かっこいいなぁ。
    男たちも男っぷりをあげ、なんか読んでていろんな人の成長を感じた(笑)

    まあとにかく、面白かったです。

    ストーリーもさる事ながら、文章立てやタイトルの付け方にとてもセンスを感じる本でした。

    「永遠の曠野」は凄くいい。

    4巻の中盤の同タイトルの章があるんだけど、ここが最高のクライマックスっていうアクセントになってますよね。

    ラスト章をタイトルにもってくる本はいっばいあるけど、私はこうゆう取り方にセンスを感じるなぁ。

    永遠の曠野の章は、たまらなく良かったです。一番かっこ良く心に焼きついてる。

  • 芙蓉千里から4冊一気読みしました。生まれた境遇に負けず強く生き抜いたフミの人生にハラハラしながらも応援し、結末を読みたいような終わってしまうのが惜しいような気分で読み切りました。登場人物も魅力的で本当にいたかのような生き生きしたリアルさがありました。
    なんだか懐かしい感じがしていましたが何故なのかがあとがきを読んでスッキリしました。須賀さんも大和和紀さんの漫画を読んでいたとか。少女が夢を追って大人になり恋をして愛する人が夢を叶えるのを支えるというストーリーは惹きつけられ、気力を与えてくれます。結末が想像の斜め上をいって母になったフミと不思議なパートナーを得たところはさすが深いっと思いました。

  • 流血女神伝は25冊ほどあったがこちらは4冊
    中身は同じ
    コバルト文庫なので「受動的」であったから
    カリエとエドが「喪の女王」では超然としていたのかと思ったが
    わりと作者の描きたいこととしてこうならざるをえないか
    「少女小説」だからできないってことはないと思うので
    もうひとつ突き抜けてほしいところ

  • 生きたいように生きたフミがよかったです。二人目生んだことで、今までの何もかもが一瞬でいい思い出にされちゃったところが凄かったです(笑)。
    最後まで逞しいフミですから、これからの迎える激動の時代も、なんなくこなしていきそうな明るい感じが想像できる結末でよかったです。

  • 貧しい辻芸人の親に捨てられ、大陸一の女郎になるという野望を持ってハルビンに渡った娘。素晴らしい身体能力と舞の才能を持った彼女の波乱万丈の人生を描く。
    ロシア革命から逃れてきた白系ロシア人、ボリシェビキ、コサック、清朝が倒れたばかりの中国 漢人やモンゴル人、シベリアの覇権を争う日本人や欧米人が入り混じる世界大戦前夜のシベリアや満州が舞台になっていて、これまで全く知ることのなかった彼の地の歴史を知ることができたのが面白かった。
    前半は舞の才能を生かして伝説の芸妓となる姿、後半は運命の男のために馬賊になり、モンゴル独立をめぐる争いに駆り出される姿を描いている。前半はどちらかといえば少女漫画のようで、後半はまるで冒険活劇のような、少年漫画のような。前半と後半で全く様相が違うので、少し戸惑った。
    この不穏な時代の劣悪な環境の中で人々が逞しく生きているのに対し、少し後に生まれた私たちのなんと恵まれていることか。平和で自由でいられることのなんとありがたいことか。この時代を知って自らを戒めることは、本当に必要で大切なことだと思う。

  • 子どもの頃からの親友と、それぞれの子どもも成長した頃に再会し、おいしいお茶を飲みながら、あれこれ語り合うところで終わる物語。

    って、言ったら、全然波乱万丈に見えないけど。

    波乱万丈も波乱万丈、そして、これからも時代の波の中、彼女なら、たくましく、国境もものともせず、彼女らしく生き抜いていくのだろうな、と感じさせる幕切れでした。

  • 須賀しのぶの少女小説らしいというか流血女神伝らしいというか。たくましくて強かにフミは生きて、落ち着くところに落ち着いた感じ。最初の2冊とは大分趣が違うので、前半と後半で好き嫌いが分かれるのではないかな?私はどちらも好きです。

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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