高野聖 (角川文庫 緑 10-2)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010020

感想・レビュー・書評

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  • 数年前急に、学生の頃の文学史の教科書に載ってる本を読みたくて購入。ここ最近の坂東玉三郎への傾倒で、本棚から出して読んだ。
    『義血侠血』『夜行巡査』『外科室』『高野聖』『眉かくしの霊』
    解説を読むと、泉鏡花は、金沢で、加賀象嵌細工師(父)と、能楽師の娘(母)との間に生まれたとのこと。
    その生まれを知っただけで、美的感覚、言語感覚、素養に納得してしまった。
    加えて、ただ美しいとか幻想的というだけでなく、たとえば『夜行巡査』などを読むと、権力に抵抗したり、『外科室』を読むと因習に反抗したりしている傾向が読み取れるので、読んでいて面白かった。
    100年前の文章なので、多々読みにくいところもあるが、全体的に言葉の運びがリズミカルで(西洋のワルツの三拍子ではないが、農耕民族の単純な二拍子でもない)、その言葉とリズムによって、読む側はどんどん鏡花の世界に引き込まれるのだと思う。
    とても芸術性豊かな世界で、引き込まれる甲斐のある本だった。

  • 初の鏡花。こんなに面白いならもっと前に開けば良かった!幻想的で、少し怖い、切ない、、

    ・「義血俠血」あゝ...........一晩も共にしてない二人.......金さん.........
    ・「外科室」いいえ、あなただから、あなただから...でも、あなたは、あなたは、私を知りますまい!「忘れません」と言われたさ...
    ・「眉かくしの霊」白い桔梗の汀に咲いたように畳に乱れ敷いた

    表題にもなっている高野聖はそこまでツボらなかったのですが、圧倒的描写力(特に、山蛭のシーンはぞっとした)や、聖母性と魔女性を持つ、なんとも艶かしい女性(こちらも描写がすごい)と、白痴の夫のやり取りはなんというかとても引き込まれた。

    泉鏡花好きなのは、三島由紀夫や小野不由美が大好きで、かつ歌舞伎も大好きな私としては当然の流れだった...

  • 泉鏡花の短編集。前半3作「義血侠血」「夜行巡査」「外科室」と後半2作「高野聖」「眉かくしの霊」は結構違うなぁと思っていたら解説でその謎が解けた。だがどれも構成はシンプルだが古典等から色々な言い回しを引用しながらいいテンポで話が進み、オチがあるという点では共通していると思う。前半3作はより現実的というか人間同士の人情だとか感情・情愛がメインで後半2作はそれがファンタジーに寄っているといったところか。

    個人的には「義血侠血」の話の進み方が好きで、ひょんな縁から二人が出会い、売れっ子の白糸が不憫な村越に学費の援助をし、後に法廷で悲しい立場で二人が相まみえる、そして・・・といったシンプルな構成だがその一つ一つの行程に人情情愛その他諸々を味わえてよいと思った。
    他の作品もそうだが、古典やら何やら引用が多いのもあり読み解くのが少し大変だが、このテンポに慣れてしまえば話自体は重い気持ちを抱えることなくすっと読めて味わえる。あとは個人的に嫌と思う女が出てこなかったのもポイント高し。他の作品も読んでみたくなった。

  • 2018/07/15

  • 高野聖
    美しい文章。幻想的な世界。オカルトでもなく、怪奇という言葉でまとめることもできない。そこは人間が足を踏み入れてはいけない禁断で幽幻な世界なのだとおもいます。

  • 泉鏡花のロマン主義代表作。
    旅僧が語る不思議体験。山奥に住まう女の描写がいやらしくなくエロティックで実にロマン主義。色々な意味で怖いもの見たさなドキドキ感。

  • 義血狭血のハッピーエンドバージョンがあったらぜひ読んでみたいものだ。
    追記:外科室、夜行巡査も似たような雰囲気だった。

    眉隠しの霊が一番好き。最初はおもしろ旅行記風だけど、最後一気に内容が「霊」の方に寄っていく。

  • ああ…読み終わってしまった……ずうーっと読んでいたい…

  • この物語の世界は、近そうで遠い世界。日本のようであるが、そうでない不思議さがある。この世界観はどこか似たものがあったなぁ、と思いだしたのは、蟲師。現代とも江戸時代とも違い、そしてまだ不可思議が共存していた。蟲師の原作者も参考にしたのかな。安房峠などわたしも行ったことのある地名が出てくるので訪れたくなる。

  • 幻想的だけど少しゾクっとするお話。
    綺麗な雰囲気。

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著者プロフィール

1873(明治6)年〜1939(昭和14)年)、小説家。石川県金沢市下新町出身。
15歳のとき、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』に衝撃を受け、17歳で師事。
1893年、京都日出新聞にてデビュー作『冠弥左衛門』を連載。
1894年、父が逝去したことで経済的援助がなくなり、文筆一本で生計を立てる決意をし、『予備兵』『義血侠血』などを執筆。1895年に『夜行巡査』と『外科室』を発表。
脚気を患いながらも精力的に執筆を続け、小説『高野聖』(1900年)、『草迷宮』(1908年)、『由縁の女』(1919年)や戯曲『夜叉ヶ池』(1913年)、『天守物語』(1917年)など、数々の名作を残す。1939年9月、癌性肺腫瘍のため逝去。

「2023年 『処方秘箋  泉 鏡花 幻妖美譚傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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