- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041010020
感想・レビュー・書評
-
数年前急に、学生の頃の文学史の教科書に載ってる本を読みたくて購入。ここ最近の坂東玉三郎への傾倒で、本棚から出して読んだ。
『義血侠血』『夜行巡査』『外科室』『高野聖』『眉かくしの霊』
解説を読むと、泉鏡花は、金沢で、加賀象嵌細工師(父)と、能楽師の娘(母)との間に生まれたとのこと。
その生まれを知っただけで、美的感覚、言語感覚、素養に納得してしまった。
加えて、ただ美しいとか幻想的というだけでなく、たとえば『夜行巡査』などを読むと、権力に抵抗したり、『外科室』を読むと因習に反抗したりしている傾向が読み取れるので、読んでいて面白かった。
100年前の文章なので、多々読みにくいところもあるが、全体的に言葉の運びがリズミカルで(西洋のワルツの三拍子ではないが、農耕民族の単純な二拍子でもない)、その言葉とリズムによって、読む側はどんどん鏡花の世界に引き込まれるのだと思う。
とても芸術性豊かな世界で、引き込まれる甲斐のある本だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
泉鏡花の短編集。前半3作「義血侠血」「夜行巡査」「外科室」と後半2作「高野聖」「眉かくしの霊」は結構違うなぁと思っていたら解説でその謎が解けた。だがどれも構成はシンプルだが古典等から色々な言い回しを引用しながらいいテンポで話が進み、オチがあるという点では共通していると思う。前半3作はより現実的というか人間同士の人情だとか感情・情愛がメインで後半2作はそれがファンタジーに寄っているといったところか。
個人的には「義血侠血」の話の進み方が好きで、ひょんな縁から二人が出会い、売れっ子の白糸が不憫な村越に学費の援助をし、後に法廷で悲しい立場で二人が相まみえる、そして・・・といったシンプルな構成だがその一つ一つの行程に人情情愛その他諸々を味わえてよいと思った。
他の作品もそうだが、古典やら何やら引用が多いのもあり読み解くのが少し大変だが、このテンポに慣れてしまえば話自体は重い気持ちを抱えることなくすっと読めて味わえる。あとは個人的に嫌と思う女が出てこなかったのもポイント高し。他の作品も読んでみたくなった。 -
2018/07/15
-
高野聖
美しい文章。幻想的な世界。オカルトでもなく、怪奇という言葉でまとめることもできない。そこは人間が足を踏み入れてはいけない禁断で幽幻な世界なのだとおもいます。
-
泉鏡花のロマン主義代表作。
旅僧が語る不思議体験。山奥に住まう女の描写がいやらしくなくエロティックで実にロマン主義。色々な意味で怖いもの見たさなドキドキ感。 -
義血狭血のハッピーエンドバージョンがあったらぜひ読んでみたいものだ。
追記:外科室、夜行巡査も似たような雰囲気だった。
眉隠しの霊が一番好き。最初はおもしろ旅行記風だけど、最後一気に内容が「霊」の方に寄っていく。 -
ああ…読み終わってしまった……ずうーっと読んでいたい…