押絵の奇蹟 (角川文庫)

著者 :
制作 : 米倉 斎加年 
  • 角川書店
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本棚登録 : 269
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010440

作品紹介・あらすじ

明治30年代、美貌のピアニスト・井ノ口トシ子が演奏中倒れる。死を悟った彼女が綴る手紙には出生の秘密が……。(「押絵の奇跡」)江戸川乱歩に激賞された表題作の他「氷の涯」「あやかしの鼓」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 収録三作とも書簡形式の独り語りで
    延々と一方的に語りかけられると
    本来の受け手ではないであろう読み手は
    正直結構疲れる。

    『氷の涯』
    推理・逃亡劇で、複雑?に絡み合った
    謎を解き明かしてみたものの、
    複雑に多分だ~れも救われない話。

    『押絵の奇蹟』
    妖しい空気をまとって、幻想的に映るのは、
    遺伝、生殖ではなくて、一途で清らかな念が作り上げた
    奇蹟だったからか、それとも。

    『あやかしの鼓』
    過去の怨念に囚われて、今も断ち切れない不幸に
    足を踏み入れてしまった人間の不運。
    ブツに支配された人間の心と、それが呼び起こした
    事件の不運な適合。

  • 数年振り、夢野久作ワールドを堪能(?)いたしました。
    『氷の涯』『押絵の奇蹟』『あやかしの鼓』全3編。
    全て、遺書(『押絵の奇蹟』は微妙ではあるが)の体をした書簡体。論文、記事等引用形式もあり、後の『ドグラマグラ』の片鱗も見え隠れするのも…。
    個人的に気に入った順に、簡単に触れます。
    イヤミス的な読後感の『押絵の奇蹟』。でも、弱ってる時ほど、とりとめのない話しに没頭したり、誰かにしたくなったりする、っていうのはわからないでもない。
    ミステリー、ホラー、あやしさ(←あえて、平仮名で)、様々な要素二転三転する『あやかしの鼓』。解説にあるように、オーラス前が少し急ぎ足の感は確かに…。『瓶詰の地獄』を漫画化した、丸尾末広先生にコレも漫画化していただきたい。
    『氷の涯』は仕掛け自体は面白い。ただ、舞台が第一次対戦後の旧満州ということで、自分には、ちょっと映像喚起しにくい部分もあった。ラストは「そんな〇〇あり?」的な…。
    そして、同時期に文庫本の整理をしていたら、夢野久作作品は『少女地獄』しか手元になく、ガックリと肩を落とす自分がいた。

  • 夢野久作の中篇3作が収められた本書は、
    全て書簡形式で遺書という面白い組み合わせでした。
    時代背景や地域は様々ながら全作を通して死際に打ち明ける秘密であり、様々な愛の形が散りばめられていました。
    「氷の涯」は戦時下の露西亜を舞台にしており様々な思想や主義などの背景が描かれる中、所謂ヒロイン的でも悪女でもなく(今時の表現で大変失礼かとは思いますが)まさにキルビルの如く強く生き生きとしたニーナはとても格好良かったです。
    夢野久作の作品に登場する女性はどこか妖艶で陰のある人物像が多いので、意外に感じつつとても好きになりました。
    「押絵の奇蹟」は押絵そのものの繊細な描写が非常に美しく純愛を彩っていました。
    探偵小説のような事件のトリックはないのですが、今現在に於いて昔の出来事がどのように関係してくるかというトリックを美しく仕上げる手腕は見事だと改めて感じました。

  • 乱歩、皆川博子が好きな私としては、前に読んだ感じという感想しか持てなかった。

  • はったり小説。やっぱり期待を裏切らない。3つの中篇のなかでは『氷の涯』がいちばん好きです。ラストシーンがきれい。

  • 氷の涯は、最後がすごくいい。恐ろしいんだけど、幻想的で綺麗な最期。

    押絵の奇跡は純愛で、何がほんとかわからないけど、綺麗な愛だった。


    どの話も描写がおどろおどろしくて綺麗。

  • 「氷の涯」
    日本陸軍歩兵二等卒、上村作次郎がハルビンで起こした事件とは。舞台もわかるし話もドラマチック。だが、上村と一緒に逃げたニーナという娘の独白みたいなものが10数ページも切れ目なく。さすがに読み疲れた。

    「押絵の奇蹟」
    ピアニストの娘が自分の母と、ある歌舞伎役者にまつわる話を手紙に書き送る。なんという純愛、そう言ってもいいのかな。しかしこちらもかなり回りくどい。

    「あやかしの鼓」
    こちらも「あやかしの鼓」について書いた手紙。いわゆる呪われた鼓というものだろう。わかっているのにこの鼓に惹かれる周囲の人々とは。

  • また読むのに時間がかかってしまった。ふるい本だから今と言葉遣いもちがうし、漢字も難しい。でも内容は素晴らしい。今では書けない、言ってはいけない言葉をバンバン使うのも現代だからこそ楽しめる。

  • 夢野久作流大メロドラマ。病気のために余命僅かの少女の、遺書のような手記のみで構成されているため話の結末は不明。実は壮大な妄想だったというオチだったら、面白かったかもしれないけど。

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著者プロフィール

明治22 (1889)年1月4日福岡に生まれる。本名杉山泰道。幼名直樹。法号萠圓。父杉山茂丸は近代における政界の黒幕といわれた。旧制修猷館中学を卒業後、近衛歩兵連隊に入隊。慶応義塾大学に入学後、大正2(1913)年に中退。放浪生活ののちに出家し、僧侶となる。大正6(1917)年に還俗し、父の出資による農園を経営する傍ら執筆を開始。結婚し、喜多流の謡曲教授となる。大正8(1919)年に九州日報に入社、記者となる。大正15 (1926)年に「あやかしの鼓」を発表し作家活動を始める。昭和10(1935)年「ドグラ・マグラ」を出版。昭和11年(1936)3月11日逝去、享年47歳。

「2019年 『定本 夢野久作全集 第6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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