万能鑑定士Qの探偵譚 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010556

作品紹介・あらすじ

波照間に戻った凜田莉子と小笠原悠斗を待ち受ける新たな事件。悠斗への想いと自らの進む道を確かめるため、莉子は再び「万能鑑定士Q」として事件に立ち向かい、羽ばたくことができるのか?

感想・レビュー・書評

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  • 万能鑑定士シリーズの長編シリーズ。
    前回の『探偵の鑑定』の少し前に起きた波照間島での出来事を描いた本作。今作の莉子は、波照間に帰り自分を見失っている所から始まる。小笠原との微妙な関係性や、石垣島での伝説における莉子のトラウマ、コピアとの再会など多くの見所がある本作。その分、本のページ数も多いが読み応えの多い作品である。
    ストーリーも濃いものとなっており、『推理劇Ⅳ』で逮捕されたコピアがまさかの偽物であるということ、今までの推理劇シリーズ4編が全てコピアの手によって引き起こされておりタイトルこそが弧比類巻兄弟の犯罪記録そのものだったという所がメタでありながら上手くできているなと思いました。
    樫栗芽衣の事件が思ったよりも速く、残りのページをどのように消化していくのかが気になっていたところまさかのトラウマ解決とコピアとの対決に割かれていてとても面白かったです。コピアとの対決が今後の全体のシリーズのクライマックスに繋がっているのかなぁと、これからもシリーズを楽しんでいきたいと思いました。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    凜田莉子:佐藤聡美
    小笠原悠斗:寺島拓篤
    葉山翔太:中村悠一
    荻野甲陽:平田広明
    宮牧拓海:福島潤
    雨森華蓮:日笠陽子
    凜田盛昌:千葉繁
    凜田優那:井上喜久子
    凜田タキ:野沢雅子
    弧比類巻修/黎弥:関俊彦
    弧比類巻祐司:屋良有作
    秋月暮人:代永翼
    樫栗芽衣:小清水亜美
    浦橋陽菜:金元寿子
    スコット・ランズウィック/ドゥエイン・ブレッティンガム:梅津秀行
    チョウ・ユイファン:水島裕
    槌島周径:田原アルノ

  • 東京に戻しちゃった~週刊カドカワの八重山オフィスに収まった小笠原はハッピーだが、仕事がないのは莉子も同じ。盆の祭に訪れた若い女性は偽の壱万円札を残して漁船で石垣へ帰っていった。編集長からオフィスを閉めるぞと脅された小笠原は、岡山から来た刑事達とその女性を追いかけることにしたが、莉子はチケットの破片から新潟空港に行くのだと言う。女性は偽名を使って短大に通っていたが、新潟に住まう親友は事情をしっていて、岡山の銀行に勤めて、現金5千万を徒歩で運んでいる隙に奪われ、偽札にすり替えられいたのだ。怪しげな投資会社は詐欺だ~南海の孤島では事件も起きないからねぇ。コピアってのはアンダルシア語で双子だってさ。堆朱の硯ね

  • 万能鑑定士Q、また新しいシリーズ探偵譚 がスタートしました。
    前作・推理劇の最後が今ひとつ、でしたし、
    今後、沖縄・波照間が舞台だと、事件も少ないし、どうなることだろう、と思ったのですが
    また莉子が復活、面白くなってきました。

  • 莉子が悩む家族を巻き込んで迷惑をかけたとか、ライオン事件とか、さっぱり思い出せなくて、本書了してから事件簿最終巻をめくり、推理劇4作をめくり倒した(^_^;)
    なるほどね。。祖母は莉子にとってとても重要だわ。。。
    悠斗の浮気(?)にダブルのコピアにマーベーの伝説。雑多なそれらが繫がって事件の解決と莉子の復活へと進む物語は見事。
    ただ莉子と悠斗の関係がいい加減どうでも良くなってきた感もあり!?笑だって、コピアが、素敵じゃない!?笑
    雨宮華蓮も好き。彼女のさらなる活躍も読みたいけど。。完結まで、あと少し!?

  • p189助手の牧瀬紅莉栖。

  • 立ち直る前に恋敵?

  • この作者の知識の幅にはいつも驚かされる。ここまでシリーズが続いてよくネタ切れしないな。

  • 『わたしは横領着服などしていません…』無実を主張し、波照間島から去った謎の女性。樫栗芽依と名乗った彼女は、未使用の偽札を残して姿を消した。鑑定家に徹しきれない自分を恐れ、事件に関わることを避ける凛田莉子。だが、小笠原悠斗には島からの撤退命令が出ていた…。悠斗への想いと自らの道を確かめるため、莉子は再び「万能鑑定士Q」として、羽ばたけるのか? ヒロイン・コージーミステリの原点、最高傑作!
    (2013年)

  • 記録

  • 万能鑑定士Qシリーズあまりに数が多く何から読むか迷ってしまい、手に取ったのがこの作品
    高校事変シリーズや千里眼シリーズと比較すると迫力に少し欠けるが論理的なところは魅力である。
    もう何冊か読んでみようと思う。

  • いつも通りそれなりに楽しめました。過去からの登場人物を絡めるのは、この著者の良いところですね。

  • 前作でコピアにあっさり勝ちすぎたのが不満だったけど、なるほどそういうことかと思えたので納得した。
    ストーリーはともかく、小笠原との恋愛の進展のなさにさすがにちょっとイライラしてきた。もはや「奥手」「草食系」じゃ説明にならない。いくら奥手でも相手も自分に好意を持ってくれているって分かったら行動すると思うんだけどなー。

  • 波照間が舞台。
    莉子も悠斗も波照間にいます。
    悠斗が角川書店の東京本社への帰還命令を受けたことから物語は始まります。
    今回は少し全体的に暗い話だったので、あまり楽しめませんでした。
    莉子が昔から怖がりで冷静な判断ができなくなる…?
    そういう描写って、今まで出てきたのかな…。
    記憶になかったので、ちょっとびっくりしました。
    まあ、それでも最後には、莉子の成長した姿を見られたので、これからの物語が楽しみです。

  • 波照間に戻った莉子は偶然、横領の疑いをかけられた女性と出会う。小笠原に恋心を抱く彼女。莉子は自らの怖れを払拭して再び東京に戻ることができるのか。
    久しぶりに出てきた華蓮がコピアと話すシーンが印象的だった。ここまでにつながるエピソードを読んできたけれど、コピアの正体について疑ったことはなかった。張り巡らされた伏線すごい。読み終わるのが惜しくなるシリーズ。勇敢な小笠原さんもすてきだった。

  • 波照間島から再び事件を追うことにより、自らの弱さを克服することができるのか

  • 万能鑑定士Qの推理劇の後の話。まさかこんな続け方が…。

  • 万能鑑定士Qの復活。いろんな人の思いを受けて、自分らしく生きることを見つめはじめた凛子。自らのウィークポイントもちゃんと受け留める強さも取り戻して一件落着。次回作はないのかな。

  • 面白かった

  • 『わたしは横領着服などしていません…』無実を主張し、波照間島から去った謎の女性。樫栗芽依と名乗った彼女は、未使用の偽札を残して姿を消した。鑑定家に徹しきれない自分を恐れ、事件に関わることを避ける凛田莉子。だが、小笠原悠斗には島からの撤退命令が出ていた…。悠斗への想いと自らの道を確かめるため、莉子は再び「万能鑑定士Q」として、羽ばたけるのか?

  • 〇 評価 
     サプライズ ★★☆☆☆
     熱中度   ★★★★☆
     インパクト ★★★☆☆
     キャラクター★★★☆☆
     読後感   ★★★★☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★★★☆☆
     「推理劇4」で東京を離れ,波照間島に拠点を移した莉子と小笠原。莉子は,幸せではありながら,何か,満たされない生活を送っている。それに加え,小笠原には月刊角川八重山オフィスを閉鎖しろとの辞令が伝えられる。
     波照間島に樫栗芽依という女性が迷い込む。その女性は偽札を使った横領犯人だと疑われている。小笠原の説得と,祖母の助言を受け,莉子が再度,探偵のような調査を行う…という筋書き。
     大掛かりなトリックはない。樫栗芽依の横領事件は,お金を預けた株式会社R・O・Fが黒幕。詐欺のトリックも,稚拙。サプライズらしいサプライズはない。
     ミステリ的な要素は薄いが,莉子と小笠原の関係がどうなるのか,莉子は立ち直れるのかといった部分で読者を引っ張る。リーダビリティはなかなかのもの 
     事件簿シリーズ,推理劇シリーズと続き,凜田莉子と小笠原というキャラクターがどちらも成長している姿が見てとれる。また,黒幕であるコピアについて,推理劇4で捕まったコピアがデキの悪い兄で,真の黒幕である弟は捕まっていないという設定が明かされる。弟の方のコピアはなかなか深みがありそう。
     全体手的に見て,この作品は完全につなぎという感じ。一度,波照間島に戻った莉子が再び東京に戻る。捕まった黒幕はニセモノ。それらを踏まえ,今後どう展開するのか。
     この作品単体のデキは並程度。面白くなくはない。シリーズ全体として,キーとなる一篇ではあるが,トリック,プロット,謎のいずれも平凡。★3どまりだろう。

    〇 メモ
     樫栗芽依
     凜田莉子の小学生時代のシーンから始まる。劣等生だったが,対象に強く興味を抱いたときは,知力を発揮する。石垣島の野底岳で,雨の日にマーペーという女性の壁画に睨まれたという。引き出しを持って自転車を漕ぐ男性が,接着剤を手にこぼし,引き出しをつかんで離れなくなったと推理したシーンなど
     樫栗芽依が波照間島を訪れる。その日はムシャーマという島の盆祭。小笠原悠斗と凜田莉子に出会う。莉子はツブリというイベントに参加し,泡波を3杯飲みながら勝つ。
     翌日,莉子が起きる。東京を離れ,波照間島に戻ることになったことについて思いをはせるシーン。胸にぽっかり開いた穴のような虚無を感じている。
     小笠原のもとに,八重山オフィスを撤収するように指示が出る。
     コピアこと孤比類巻修の取り調べ。父である孤比類巻祐司から警察が話を聞く。莉子の店に漆器でできた硯の鑑定の依頼が来る。
     八重山オフィスの撤収を避けるために,小笠原が取材活動。警察がやってきて樫栗芽依を探していることを知る。樫栗芽依は,1万円札の偽札を持っていた。また,横領の罪で追われているという。
     莉子は小笠原と一緒に樫栗芽依についての調査するか,迷う。そこに祖母が現れ,これを最後に協力するように言う。莉子は,協力することにし,最初の調査で「→日本国」と書かれたチケットの切れ端を見付ける。
     莉子と小笠原は,まず,新潟に向かう。その前に,石垣島でマーペーを見る。
     莉子は,石垣島の空港で,いくつかのトラブルや謎を解決する。
     コピアの捜査。警察は雨森花蓮に協力を依頼する。浪滝琉聖(宝石鑑定トーナメント事件の主犯)から提供された音声などから,COPIAはスペインのアンダルシア州のスラングで一卵性双生児。コピアは双子だった。花蓮は,コピア(兄)と対峙し,コピア(兄)に,自分はコピアだと認めさせ追い詰める。
     花蓮は,コピア(弟)に出会う。コピア(弟)は,莉子が立ち直るために,コピアが双子であることは,しばらく伝えないように言う。
     莉子と小笠原は,新潟で捜査をする。spモードメールがドコモメールに切り替わるとのニュースを聞きながら捜査。「→日本国」のチケットが新潟のバスのチケットであることを確認する。山形隆泉女子短期大学の広告に樫栗芽依の写真が掲載されていることを知る。
     大学での調査。小笠原の機転でスクールカウンセラーから,大学当時の友人,浦橋陽菜の存在を知る。浦橋から,芽依のことを聞く。芽依は,5000万円の横領の罪で追われている。芽依が運んでいた5000万円が偽札になっていたという。
     それから倉敷での捜査。小笠原は5000万円が偽札になった現場を調査し,莉子は,樫栗芽依の実家を訪れる。
     spモードメールがドコモメールに変わり,メールサーバに情報が残るようになったことを利用し,樫栗芽依の居場所を突き止める。
     樫栗芽依から話を聞き,莉子は犯人が株式会社R・O・Fであることを突き止める。
     株式会社R・O・F(琉球王府ファイナンス)への侵入捜査。同社は,嘘の投資情報を伝えている詐欺会社だった。
     表裏で,片方の数字の方が13多くなっている4枚のカードを利用したトリック。数字の少ない方を表とすると,表裏を2枚ずつにすると206になるように仕組まれていた。もう一つは700人くらいを対象に,株価が上がると伝える相手と下がると伝える相手を半分ずつ用意し,的中が続いていると思わせるトリック
     倉敷警察と協力し,株式会社R・O・Fの詐欺を暴く。
     事件が終わったあと,莉子は波照間島に戻る。小笠原は,週末,京都に来てほしいと伝える。莉子は行くか,行くまいか迷うが,祖母の説得を受け,行くことにする。
     京都に行く前に,もう一度,マーペーのもとに。その日は雨。しかし,莉子の姿をマーペーの視線が追うという体験をし,莉子は気を失う。
     小笠原は,樫栗芽依から告白されるが,断り,京都から石垣島を目指す。莉子を発見し,マーペーの謎を解くように説得する。莉子は謎を解く。マーペーは黒目が目の輪郭より少し後ろにあった。雨のときだけこうなる。隙間があるので,視線が追ってきているように感じたのだ。
     マーペーは謎の画家により復元される。その画家はコピア(弟)。
     その後,莉子はコピア(弟)の取引現場に足を運び,取引を阻止する。コピア(弟)と莉子の会話。コピア(弟)は,莉子に鑑定を時間制で料金を取るようにアドバイスする。コピア(弟)は,黎弥という自分の名を莉子に伝え,取引現場を去る。
     小笠原悠斗は,月刊角川の編集部に戻り,デスクになる。莉子は飯田橋に再び店を構える。

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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