千年ジュリエット (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 857
レビュー : 90
  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010808

作品紹介・あらすじ

文化祭の季節がやってきた! 吹奏楽部の元気少女チカと、残念系美少年のハルタも準備に忙しい毎日。そんな中、変わった風貌の美女が高校に現れる。しかも、ハルタとチカの憧れの先生と何やら親しげで……。

感想・レビュー・書評

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  • ハルチカシリーズ4作目。

    チカちゃんて、スゴイ。今まで、フツーとか思っててごめん。いや、一生懸命なところは可愛いしがんばれって思ってたけど、チカちゃん、実は天然にスゴイ子だったんだ。

    吹奏楽部のメイン活動は休止して、文化祭にまつわるお話たち。個人的に好きなのは、演劇の脚本のエンドがないまま、脚本家が失踪してしまった「決闘戯曲」。当日になって、どういうエンドだったのかを探るお話です。それが、脚本の中で語られるミステリーを解決する種明かし部分なので、上演するためには、なんとか解くしかないわけです。謎自体は、物語と思えばコロンブスの卵的結末だけど、命のかかった決闘と思えばその知恵と機転の切れ味に唸ることになる。

    日常系ミステリーといえど謎を解くわけなので、どうしても探偵役やその周囲には、理屈っぽさとか説明くささがついて回ることになりかねないのですが、このシリーズでは、ごくごくフツーの女子高生チカちゃんがいい意味でバカを入れていて、頭でっかちになりがちな部分を緩めていると思います。

    チカちゃんはそういう役目なんだと思っていました。

    が、この1冊のラストの1篇、そのまたラストでガツンとやられました。

    「黒玉でもいいじゃん、打ち上げられなかったらただの玉」

    若くって、楽天的であまり物事を深く考えるタチじゃないからこそのセリフかもしれない(むしろそうなんだろうと思う)。でも、特にこれといった問題のない環境で健康に育ってきたとしても、ナチュラルにそう思って、失敗恐れずに前向いて歩ける人ばかりじゃないよね。ハルタなんかも、私にはまだ奥は見えてこないのだけれど、チカちゃんのそういう部分が眩しく思えることってあるんじゃないかなって思う。それで救われるか、苦々しく思うことになるのかは、受け止める側次第。

    ハルチカは引き気味で、吹奏楽部の外の人たちのお話ばかりですが、どれも「一歩前へ踏み出す」物語に思えます。青春だ。だけど、それが必要なのは、現在進行形で「青春」な人ばかりではないと思う。

  • 2019/10/3~10/5

    清水南高校、文化祭間近。晴れの舞台を前に、吹奏楽部の元気少女・穂村チカと、残念系美少年の上条ハルタも、練習に力が入る。そんな中、チカとハルタの憧れのひと、草壁先生に女性の来客が。奇抜な恰好だが音楽センスは抜群な彼女と、先生が共有する謎とは?(「エデンの谷」)ほか、文化祭で巻き起こる、笑って泣ける事件の数々。頭脳派ハルタと行動派チカは謎を解けるのか?青春ミステリの必読書、“ハルチカ”シリーズ第4弾!

  • ハルチカシリーズ、なにが一番好き?って言われれば、パッと浮かぶのは『タイトル』このシリーズ、タイトルが全てすき。とくにこの『千年ジュリエット』この響きだけで何だか切なくて泣きそうになる。いつも重たい謎が渦巻いているけれど、『千年ジュリエット』は胸が締め付けられたよ。でも切ない、悲しいで終わらないのがこのハルチカシリーズ。今回もちゃんと笑顔になれるラストでした。

  • 文化祭パートということもあって、いつもの目的意識のある吹奏楽部とは違った、高校生の日常面が強調されている。短編の一つ一つに謂わゆる「捨て回」がなく、どの短編も濃密で切れ味鋭く、余韻も申し分ない。以前は、謎解きの手がかりが専門知識の有無が必要条件であったため、読み物としては面白くともそこが不満ではあったわけだが、今作の短編は手掛かりはちゃんと作中で提示されている。個人的に気に入ったのはやはり「千年ジュリエット」で、明かされた真相、重いテーマもさることながら、非常に細かな技法が作中に散りばめられていて、読み物として一番面白かった。前作から通じて会話のリズムやテンポがよく、キャラの性格に屈託がないのも魅力の一つ。高校生のプリミティブでイノセントな部分や、極端から極端に振れやすい性質がよく現れていて非常に面白かったです。

  • 「エデンの谷」で草壁先生の過去編?と思ったら、あとは文化祭メインのスピンオフっぽかった。
    「千年ジュリエット」はハルチカぽくない気がしたけど、こういう方が初野さんぽいような…?

  • <あらすじ>
    清水南高校、文化祭間近、晴れの舞台を前に、吹奏楽部の元気少女・穂村チカと、残念系美少年の上条ハルタも、練習に力が入る。そんな中、チカとハルタの憧れのひと、草壁先生に女性の来客が。奇抜な恰好だが音楽センスは抜群な彼女と、先生が共有する謎とは?(「エデンの谷」)ほか、文化祭で巻き起こる、笑って泣ける事件の数々。頭脳派ハルタと行動派チカは謎を解けるのか?青春ミステリの必読書、“ハルチカ”シリーズ第4弾!
    待ってました。ハルチカ第4弾。
    スナフキンといい、アメ民部長といい、またまたいいキャラが出てきた。
    ただ、当初と比べると、チカちゃんとハルチカの掛け合いが減って残念。

  • ハルチカシリーズ第4弾。大会が終わっての文化祭前後だけに絞った4つのお話。3巻がいまいちだったけど、今回はみんな面白かった。特に「決闘戯曲」。作中作といわれる作りだけど、その作中作が本当に面白い。これを演劇で見れたらほんとに面白いだろう。高校時代の演劇部を思い出す。やっぱ劇って面白いよな。あの頃のわが母校の劇をまた見たいものだ。「失踪ヘビーロッカー」も今思うとタイトルにも絡んでるんだな。優等生がハードロックをやっている、というシチュエーションにも好感が持てる。

  • 本格×青春ミステリ! 先生の過去が明かされてよかった。 

  • 2018/8 7冊目(2018年通算120冊目)。これまでとは趣向を変え、第三者の視点から見た形で文化祭の物語が進んでいく。良かったのは「決闘戯曲」「千年ジュリエット」。「決闘戯曲」の方は、とても良くできていて「ハルチカ」シリーズではないと思えるほど。「千年ジュリエット」の語り手の正体についてはコロッと騙された。登場人物はいささか変な人たちが多いが、吹奏楽に青春をかける青春ものとしても、人の死なない日常ミステリーとしても面白い。残り2冊、読んでいきたいと思う。

  • もはや高校の吹奏楽部が舞台である必要性を感じない話の展開だけど、ミステリー中編集としての完成度は非常に高い。それぞれが完全に独自のテイストを織り込んでおり、初野氏の想像力に魅せられました。
    ただ、この先どこへ向かうのだろうという謎は残りました。

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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