歪 捜査一課・澤村慶司 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2013年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784041010860

作品紹介・あらすじ

長浦市で発生した2つの殺人事件。無関係かと思われた事件に意外な接点が見つかる。容疑者の男女が同郷出身でふたりは故郷で密会していたのだ。県警捜査一課の澤村は、雪深き東北へ向かうが……。

みんなの感想まとめ

人間の本質に迫る作品であり、捜査の過程を通じて描かれる登場人物たちの心理が魅力的です。特に、警察ものとしては珍しいエンディングが印象的で、事件そのものよりも人間関係や感情の描写がメインとなっています。...

感想・レビュー・書評

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  • 警察ものでは、なかなか珍しいかたちのエンディング。多少モヤモヤは残るが今作は、事件そのものよりも人間の本質の描写のほうがメインだったのかも。個人的には人をおちょくったような橋詰の印象変化がとても心地よかったというか、この先も是非活躍してほしいと思わせる人物だった。

  • 頁を繰る手が停められなくなり、素早く読了に至った一冊だ。少し前に読了した作品のシリーズで第2作である。途中に前作の件への言及が在り、1年半程後の出来事ということになっている。
    本作に関しては、何か「映像作品的」というように感じた。第1部、第2部と各々の視点人物の目線で綴られ、第3部は両者の目線の部分が概ね交互に積み重ねられて展開するのである。
    第1部は犯罪を犯してしまう側の目線になる。日向毅郎という大学4年生である男が動き、その時点へ至る迄の回想が交じる。そして高校の同級生の井沢真菜と出くわし、行動を共にして行く。
    第2部は2人の犯罪の結果に直面する捜査員の側の目線になる。捜査一課の澤村慶司の目線となる。或る夜に事件で出動し、とりあえずその件の仕事が段落し、終電時間帯を過ぎた辺りになってしまってファミレスに入っていると、別な事件でまた現場に向かうという様子である。そういう中で2つの事件の捜査が進む。
    第3部は逃走を図って動き回っているという日向毅郎と井沢真菜を、澤村慶司達が懸命に探し、身柄を抑えようとする展開だ。動き回る日向の目線で綴られた部分、彼らを探す澤村の目線で綴られた部分が概ね交互に積み重ねられる。
    本作の題名の「歪」は何か暗示的だと思う。何処か歪んだ人生から罪が産れてしまい、それから逃れることを試みているが、「この人に話しを聴くしか無い」という事件現場の状況で、警察の捜査員達は行方を追うことになる。そういう状況にある2人が出くわし、行動を共にするという不思議な状況も生じる。こういう類の「歪」に一定の形を与えようとするかのような捜査員達の行動となる。
    本作は架空の地名と、実在の地名が混在しているような中で展開している。多分、澤村慶司が勤めている県警は、神奈川県をモデルにしているのだと思う。彼に追われる日向毅郎の故郷ということになる「東北の小さな街」だが、情景や移動の様子の描写から、福島県の内陸部である会津地方か、宮城県の南側の内陸というような感じだと思った。こういう感じなのだが、逃げている日向毅郎の動きの中に東京や新潟という実在の地名も出ているのだ。
    本作の物語である。
    第1部では、日向毅郎が故郷の「東北の小さな街」の実家で用を足して、乗っている車で引揚げようとしている時に、高校の同級生の井沢真菜と出くわす。市の中では端と端のような感じながらも、同じ街に出ているということを互いに知る。井沢真菜は地元に一寸戻って、また引揚げようとしているとして「交通費を貸して欲しい」というようなことを言い出す。日向毅郎は「それならこの車に乗って行くか?」として、2人は車で移動を始める。そういう中、2人は御互いに罪を犯してしまったことを告白し合い、日向毅郎が思い描いた計画案で、2人で国外に逃走するという相談になる。そして移動を続ける。
    第2部では、県警の捜査員である澤村慶司達が2人の罪の現場に臨むことになる。ワンルームマンションの部屋で、ベランダに置かれた箱の中で幼い子が凍死しており、室内で男性が刺殺されていた。部屋の借り主である女性の姿は無く、男性の血で汚れた衣類等を脱ぎ捨て、シャワーを浴びて着替えて何処かへ出てしまったという様子だった。その捜査が段落した後には、ワンルームマンションで異臭という騒ぎになって遺体が発見されたという話しが在り、澤村慶司達は現場に駆けつけることになった。男子大学生が他殺と見受けられる様子、鈍器で頭を殴られ、タオルか何かで首を絞めた見受けられる状態で発見された。2つの事件の捜査が始まるが、大学生の方は、特殊詐欺の“受け子”をやっていたらしいことが判る。
    第3部では、計画の実行に向けて移動中の日向毅郎達が、雪で高速道路が通行止めになるというようなことで難儀する中、澤村慶司達が彼らを追う。逃走と追跡の果ては如何に、という物語である。
    主要視点人物たる澤村慶司の他、上司の谷口課長、前作で行動を共にした女性刑事の永沢初美、県警のプロファイリング担当ということで澤村が少し鬱陶しいと思っている橋詰というような、前作で周辺に在った人達も健在で、各々に活躍だ。
    逃走する日向毅郎と、追跡する澤村慶司という軸が前面に出ているような感では在るが、寧ろ本作は日向毅郎と出くわして行動を共にする井沢真菜が「裏の主役」かもしれない。何か余韻が深い物語だ。

  • シリーズ2作目
    1作目が面白かっただけに、少し低評価

    序盤に事件の大筋が描かれている
    まず、そこまでが長い
    2件の殺人事件と犯人である2人を交わらせるためにしても長く感じた

    事件は気持ち悪い内容だった
    詐欺グループの末端が警察に目をつけられ、口封じのために殺害
    男との関係のため子供は凍死
    子供の死を受け男を殺害

    殺人以外にも金銭の授受、不正の手引きといった形で様々な悪が描かれている

    澤村の周辺は前作から変わらず
    谷口、初美、橋詰…
    橋詰のキャラクターが非常に面白い
    振り回す澤村ではなく、振り回される澤村
    でも確かなヒントを与えている


    自分は人と違う
    自分以外は下と見ている
    そんな犯人2人は
    人を殺した事については、善悪を感じている様子もなく非常に気持ち悪かった

  • 澤村はサブ的な役割でメインは日向と真菜。この二人は単に中二病のような気がする...

  • 浦市で発生した2つの殺人事件。無関係かと思われた事件に意外な接点が見つかる。容疑者の男女が同郷出身でふたりは故郷で密会していたのだ。県警捜査一課の澤村は、雪深き東北へ向かうが……。

  • おもしろかったけど、何かなんで?って感じて本人同士の繋がりがあまりにも唐突に進展した感じがする。そこはもっと丁寧でも良かったのでは。

  • 犯人側視点の話しのほうが長かったかも?
    あんな雪の中、普通は遭難するで…
    最後の堤防のところで橋詰のアフロヘアが後ろから強風に煽られ前衛的な髪型になっていた、てところ想像したら笑えてしまった。
    次がシリーズ最終作。

  • 詐欺グループのリーダー日向と、内縁の夫を殺してしまった真菜は、ひょんなことから一緒に海外へ高飛びしようと逃避行を始める。刑事の澤村は二人を追う。
    殺人や詐欺は許されない悪事だが、なぜか逃げている方の日向を応援したくなってくる不思議な感覚が芽生えた。

  • 嫌な結末

  • えええ、最後、真菜見つからないの。。。

    世間を、周りを少し馬鹿にして、下に見ている人、居るなぁ。。と思いながら読んだ。

    少しずつ、澤村と橋詰の関係が面白くなってきた。

  • 20210101読了

  • 自意識とそのための努力。井沢真菜、オレオレ詐欺の大学生日向、東北喜多方かな?

  • なんか読み進めるうちに暗ーい気持ちになってきた。達成感もないです。

  • 途中主人公が出てきて、あ、シリーズ物なのね、と気づく、初読み作家さん。
    まあ犯人達が中二病なのはよしとしても、刑事2人までもが何故かムダにオレは特別感が出ててウンザリ。
    とりあえず登場人物全員どーでもいい人達ばっかり。
    どーでもよすぎて読み終えるまで苦痛だった。

  • 東京近郊の長浦市で発生した2つの殺人事件。振り込め詐欺グループのリーダー日向毅郎はトラブルからメンバーを殺害した。シングルマザーの井沢真菜は、娘を凍死させた交際中の男を刺殺していた。無関係かと思われた2つの事件に意外な接点が見つかる。ふたりの容疑者は高校の同級生で、事件直後に故郷で密会していたのだ。県警捜査一課の澤村は、ふたりを追って雪深き東北へ向かう…。

  • 澤村慶司シリーズ第2弾。
    2つの場所で殺人事件が起きる。その共通点は借主が共に同じ高校の同級生であるということ。そこから事件を追っていくお話。
    再び出会った同級生の2人のどちらがどちらを支配するのかそこが最後までみどころ。
    雪国の景色が表現されていて丁度今の時期と合った為か入り込めた。
    ラストスパートの追う刑事と逃げる犯人の緊張感が良かった。
    ただ・・・・犯人2人共、頭が悪すぎてイライラするので注意。

  • 2017.04.30. 読了

    捜査一課 澤村慶司シリーズ 第2弾

    私だったら、
    いくら実家に二百万円隠しておいてあったとしても、
    人を殺した後で 実家に取りに行ったりはしないなぁ
    日向毅郎は やっぱり自分は他の人とは違う という気持ちがあるからなのか。
    井沢真菜も他の人とは違う と思い、見下して生きている。

    この二人のような人は案外いるような気がする。
    橋詰が語っているように、
    「中学生くらいになって、ある程度自我が固まると、人間誰でも限界人間気がつく」「自分がつまらない人間だと気がつく」のだが、二人とも「自分は他人とは違う、特別な人間だとって思いこむタイプ」で「友達を見下したりする」でも「高校生になる頃には収まる」「周りにはもっと凄い人間がたくさんいるのが分かる」
    確かに、気がつかない あるいは 気がつきたくない人はいる。
    自分より能力のある人を理解できない人もいる。
    そして、今の教育は自分は特別だと思わせようとしているようにも感じる。
    それはそれでいいけど、犯罪に走らずに、真っ当に勝負してほしい。

    澤村と橋詰のコンビはとてもよいと思う。

  • 警察小説のシリーズのはずなのだけれど、男女の逃避行に物語のほとんどが費やされている。
    善悪の区別はつくけれど、何が悪いのかはわからない。
    自分が生きるために、自分が思うように進んでいくために、何の逡巡もなく人を殺すことができる。
    殺人という、人として高いハードルを越えることに対するためらいはない。
    日向とはそんな男だ。
    だが、日向をさらに上回る人間もいる。
    日向にとって他人は踏み台でしかない。
    ときには恭順の意を示しても、それはけっして本心からではない。
    嘘も方便と言うけれど、自分以外の人間を信じない日向にとって重要なのは「利用できるか、できないか」。
    それがすべてのはずだった。
    真菜は日向のさらに上をいく。
    周りの人間がみんな馬鹿に見えてしかたがない。
    くだらないことで喜び、くだらないことで怒る。
    見下していた人間を捨て、嫌いだった街を捨てた真菜。
    人の幸せって何だろう?
    人によって違うのだろうけれど、それは結局のところ幸せを感じるセンサーの違いなのだと思う。
    周囲から見れば十分幸せなのに、「まだ足りない」と満足しない人もいる。
    満たされない思いに追い立てられるように、もっともっと・・・と求めるだけで自分は何も努力しない。
    何故なら、自分は与えられて当然の特別な人間だから・・・。
    淋しい人だなと思う。
    日向も真菜も、寂しくて哀れな人だと思う。
    どこまで行っても、どれほどのものを手にしても、きっと彼らは満足しない。
    人の痛みがわからない鈍さと、自分の痛みにだけ反応する敏感さは反比例するのかもしれない。

  • 澤村側の描写よりも日向側の描写が面白く読めた。ただラストはシラけたな。ここまで書いたならもう更に深く日向達の心理を掘り下げて欲しかった。

  • 犯行側の視点と主人公の澤村の視点の両方から事件を見る構成で最初は主人公が全く出てこないので間違えた本を読み始めたのかと思って焦った
    なんとなくすっきりしない薄気味悪い終わり方
    女性が絡む犯罪だとちょっと信じられない精神構造の登場人物が出てくることが多いなぁ……

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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