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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784041010884
作品紹介・あらすじ
小説家、詩人、エッセイストなど様々な人達が、犬の魅力を描く。十匹の犬と暮らしていた日々や、犬にまつわる童話など、犬好きにはたまらない一冊。長谷川如是閑、菊池寛、北原白秋、森茉莉、ほか。
感想・レビュー・書評
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2013-12-1
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犬をテーマにした古い文章のアンソロジー。
文章の形式はいろいろ。童話あり随筆あり俳句あり。
表紙につられて手に取ったけれど失敗だった。
解説に、古い文章を並べると昔と今の犬観の違いがみえるとか書いてあった。
けれど、実際の犬について書いたもの、犬をモチーフにしたもの、犬が出てくるだけのものと描かれる「犬」にバラツキがあるのでその試みがうまくいっているとは言えない。
あまり有名じゃない作品を集めたとのことだけれど、忘れられるだけの理由があるようなものも多い。
文士が今までに飼った犬の思い出を語るようなものはその人に興味がなければ楽しめないし、童話のほとんどは期限切れでつまらない。
森さんちの子たちからみたおとうさんは、続けて読むとホラー。
面白かったのは内田亨の『鴨寄せ犬のはなし』。
史料から鷹狩・犬牽きの仕事を描く。
江戸時代にすでに体罰は駄目だと経験的に判っていたとか、観察して修正を見極めるエピソードとか、動物ものとしても文化史としても興味深い。
情景がうかぶ一茶の句、夕方のチャイムに遠吠えする犬から戦時の思い出を描く西村滋もよかった。
もっと読みたいと思ったのはこれだけ。
古い文章を収録する時のお約束、「差別語使ってるけど古いのだから直しませんでした」という編集部の断り書きが素敵だった。
「これは使うべきではない言葉です」ときっぱり言い切った上で、直さない理由を説明してある。
最近読んだ別の本では「使うべきではないとされていますが云々」とあって、嫌な気分になったところだからなおさら好印象。
「第二次世界大戦の敗北は、軍事力の敗北であった以上に、私たちの若い文化力の敗退であった。私たちの文化が戦争に対して如何に無力であり、単なるあだ花に過ぎなかったかを、私たちは身を以て体験し痛感した。」から始まる角川文庫発刊の言葉をちゃんと読んでみたら感動的だった。
著者略歴と初出が分けられているのは不親切。
確認するのにいちいちページを繰るはめになる。
しかも『氷原を走る犬ぞり』が初出リストから抜けてる。
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出久根達郎の作品
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