9の扉 (角川文庫)

  • 角川書店
3.31
  • (7)
  • (17)
  • (48)
  • (5)
  • (1)
  • 本棚登録 :249
  • レビュー :31
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010952

作品紹介・あらすじ

前の筆者がお題とともに、バトンを渡す相手をリクエスト。9人の個性と想像力から生まれた、驚きの化学反応の結果とは!? 凄腕ミステリ作家たちがつなぐ心躍る企みをご堪能あれ!

感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • どれも如何せん短すぎて、食い足りない感じが残って(特に冒頭の北村さんの話はもっと読みたい!)でもサラッと読めて面白かった。竹本健治さんは、お題と舞台設定の組み合わせが巧い!貫井さんは、さすがというか、最初に『愚行録』を読んだのがいけなかったのか、あれでうわぁぁ〜!となってしまい、他は読んでないのよね…。上手でした。一番好きだったのは、最後の辻村深月さん。似たような話を読んだ記憶はあるけれど、いいお話でした。

  • [北村薫さん関連の記事あり]
    「くしゅん」 北村薫

  • 9人のリレー形式の短編集。歌野がメンバーにいたので買った。どの話も30ページ前後で超短いのでさくさく読めた。いろんな作家のいろんな世界をちらちらっとのぞき見る感覚でまあまあ楽しかった。

  • アンソロの場合、順番通りでなくタイトルで惹かれた話から読むこともあるんですが、これは冒頭から読む本です。
    トップバッターの北村薫さんからラストの辻村さんまで、前の人が出したお題を引き継ぐ形のリレー小説となっています。
    一応独立した話ではありますが、ただ単にお題を引き継いでいるだけではなく、話の設定も微妙に引き継いでる。
    つまり、あとの人たちはそれ以前の話の設定を自分の話の中に出していく感じ。既に出された話のうちどこをメインにしてどう料理するかが各作者さんたちにかかってます。
    ・北村薫/くしゅん
    トップバッターは、飼い猫にまつわるお伽噺のような不思議なテイスト

    ・法月綸太郎/まよい猫
    北村さんから引き継いだお題は『猫』。
    ペット探しを得意とする探偵のもとに「人を探してほしい」と尋ねてきたちょっと不思議な女性。
    よくよく話を聞いてみると、その人は自分を「猫」だと思っており、探してほしいのは「飼い主」だと言う。

    ・殊能将之/キラキラコウモリ
    引き継いだお題は『コウモリ』。
    コウモリのカチューシャを被ったゴスロリ系のまどかと、その相方の男性ミツキ。
    二人はある裏稼業を請け負っていた。
    裏稼業に向かうのにお笑いのネタを見ていたりする二人。割とブラックダークなのにさらりとしたテイスト。

    ・鳥飼否宇/ブラックジョーク
    引き継いだお題は『芸人』。
    前の話の時に二人組が見ていたお笑いのネタがちらりと出てくる。二人組のうちの一人、ミツキも少しだけ登場。
    主役の山室はかつて若手お笑いコンテストで相方・永井とともに上位の賞を取ったが、今ではお笑い界の片隅にかじりついているような存在。受賞した時の相方・永井はネタ作りの天才だったが、亡くなってしまい、ピンで活動している山室だが、才能に限界を感じていた。
    そんな折、山室は永井が死ぬ前に書き溜めていたネタ帳を発見する。これでもう一度復活できると感じた山室は、新しい相方を探し始めた。そして再びお笑いコンテストの舞台に立つ。
    ところが…。

    ・麻耶雄嵩/バッド・テイスト
    引き継いだお題は『スコッチ』。
    テレビ業界で活躍する男が主人公。その男はあるバーで、15年もののスコッチを好んで飲む奇妙な男と出会う。その男は、時間をかけて人を焦らし、その反応を見て楽しむという一風変わった好みを持つ男だった。
    実はこの話の語り手の「私」は、前の話で出てきた山室。奇妙な男は探偵だった。
    探偵は山室が相方の永井を殺めた事実を山室に向かって語る。
    探偵は山室が事件を起こしてすぐに、彼の犯行だと気付いていたという。探偵は、時効間際になって犯人である山室がどう反応するか待っていたのだ。15年もののスコッチを呑みながら。

    ・竹本健治/依存のお茶会
    お題は『蜻蛉』。
    主人公のミーハー気味の女子大生は、大学で人気のあるイケメンから『お茶会』に誘われる。
    洋風のお茶会だと思って行ったが、茶室で催されるきちんとした和風の茶会だった。
    その席で、以前なくなったみすずという女性の話が出される。
    みすずの死の裏には何か秘密があるようだ。

    ・貫井徳郎/帳尻
    人生をトータルで見ると、幸福と不幸のバランスが取れているのだろうか…という話。
    主人公の男は友人の小関から「ちょっとの不幸が転じて福となった」話を聞かされる。小関のちょっとした不幸は『飛び石(車が跳ね飛ばした石)』だったが、ある日主人公も飛び石の被害に遭ってしまう。小関のようにこれが幸福をもたらしてくれるかも…と思い、石を飛ばした車の持ち主を訪ねるが、これが強面の男・内藤で、証拠も大してなかったため、うまく行かない。おまけに帰りに財布を落とし、中に入っていた銀行カードを使われ、三百万円の被害が出てしまう。
    さらに、妻が子を道連れにして心中してしまう。自殺後、出てきた遺書には、妻が金融商品に手を出して多額の損失を出していたこと、そして浮気していたことがつづられていた。しかも、浮気相手は飛び石の開いて、内藤。
    散々な目に合った主人公だが、最後の最後にあることに気が付く。それは妻子の保険金が下りることだった。額は、五千万円。

    ・歌野晶午/母ちゃん、おれだよ、おれおれ
    『一千万円』がお題。
    前の話の主人公が継続。保険金が下りた後のことが描かれている。
    保険金を下ろしてきて、家の中に置いておいたところ。母親がオレオレ詐欺に遭ってしまい、一千万円の被害が出た。主人公は典型的な手に引っかかった母親をなじる。
    母親は母親で、ある男性に好意を持ち、その男性に嫁の保険金1000万円を貢いでいた。
    そこへ主人公から電話がかかる。
    主人公は財布と鍵と携帯電話の入ったカバンを友人の小関のところに置き忘れてしまい、小関はカードですでに高い買い物をしてしまった。鍵も入っていて、家にある保険金が心配だからすぐに戻れという。
    しかし携帯電話の番号は別人だし、言っていることも怪しい。母親は「そんな手にはもう引っかからない」と電話を切ってしまう。

    ・辻村深月/さくら日和
    お題は『サクラ』。
    いつも行列が出来ているおいしいたい焼き屋。
    ある日その店のお兄さんが、主人公の少女にただでたい焼きをくれた。
    お兄さんは、このくらいの時間に来てくれたらまたあげるよ、という。
    少女は最初、そのお兄さんの好意的な意味だと思っていたが、やがて自分が客引きの『サクラ』だったことに気が付く。そしてお兄さんが本当に呼びたかったのは誰かも。

  • 北村薫『くしゅん』
    法月綸太郎『まよい猫』
    殊能将之『キラキラコウモリ』
    鳥飼否宇『ブラックジョーク』
    麻耶雄嵩『バッド・テイスト』
    竹本健治『依存のお茶会』
    貫井徳郎『帳尻』
    歌野晶午『母ちゃん、おれだよ、おれおれ』
    辻村深月『さくら日和』
    以上全 9 作から成るリレー短編集

  • 北村薫が発案者のこの企画は、9人のミステリー作家による9つの短編で構成。まずは発案者が1編書き、次に書いてほしい作家とお題をリクエスト。また次の人へとバトンを渡すスタイルで、このリレーがなかなか楽しい。

    1編目、北村薫の『くしゅん』を読んだときの感想は「なんだかなぁ」。北村薫はデビュー作の『空飛ぶ馬』をとてもおもしろく読んだので、期待しすぎたかなぁと不安な思いに駆られて読み進めたのですけれども、バトンが渡されるたびにおもしろくなりました。

    北村薫は次のランナーとして法月綸太郎を指名、お題は「猫」。この後、猫→コウモリ→芸人→スコッチ→蜻蛉→飛び石一千万円→サクラと繋がります。北村薫『くしゅん』にはじまり、法月綸太郎『まよい猫』、殊能将之『キラキラコウモリ』、鳥飼否宇『ブラックジョーク』、麻耶雄嵩『バッド・テイスト』、竹本健治『依存のお茶会』、貫井徳郎『帳尻』、歌野晶午『母ちゃん、おれだよ、おれおれ』、そして〆は辻村深月『さくら日和』。

    前編に繋がる物語を書くべしというルールがあるわけでもなく、そこは作家の好き勝手に。まったく独立した物語を書いた作家もいれば、前編の続きを書いた作家、前編の登場人物を自分の物語にも登場させた作家、いろいろ。

    執筆者の著作では、法月綸太郎の『生首に聞いてみろ』、殊能将之の『ハサミ男』、麻耶雄嵩の『蛍』、歌野晶午の『葉桜の季節に君を想うということ』、そして貫井徳郎と辻村深月については著作のほとんどを読んでいますが、鳥飼否宇と竹本健治は読んだことなし。鳥飼否宇がめっぽうおもしろかったので、長編も読んでみたいです。

    あとがきがまたまた粋で、今度はアンカーから順にトップランナーへと戻ります。購入後にまず最後のページを開いたら、そこにあったのが北村薫のあとがきで、「あとがきから立ち読みしている人もいるんだろうなぁ」と。いえいえ、立ち読みじゃないですけどと思いながら笑いました。すぐに読めるそこそこの1冊。こんな試み、楽しいぞ。

  • ・くしゅん/北村薫
    ・まよい猫/法月綸太郎
    ・キラキラコウモリ/殊能将之
    ・ブラックジョーク/鳥飼否宇
    ・バッド・テイスト/麻耶雄嵩
    ・依存のお茶会/竹本健治
    ・帳尻/貫井徳郎
    ・母ちゃん、おれだよ、おれおれ/歌野晶午
    ・さくら日和/辻村深月

    お題を渡していくリレー形式の短編集。
    鳥飼からの麻耶、貫井からの歌野の流れがおもしろかった。
    アンカー辻村のさくら日和の、微妙に他作品とリンクさせるラストも良かった。

  • ミステリ作家さん9名による短編集。前の作家さんが次の作品の執筆者とテーマを決めてバトンを渡す、というなかなか面白い趣向を凝らしています。北村薫氏を皮切りに、最終的には辻村深月氏へ。今知りましたが、お2人とも直木賞作家なのですね。

    既読は北村氏のみ。名前を聞いた事のある方はちらほら…という程度の浅い認識でしたが、それぞれの作家さんにそれぞれの味わいがあって大変面白かったです。ただ、全体にトーンが低めの話が多かったのが、ハッピーエンド至上主義者としてはちょっとなあ…。全編通して後味が最も悪いであろう貫井氏の設定を、次の歌野氏がそのまま継いだ時はどうしようかと思いました(笑)。まあ、それもこの手の企画の醍醐味なのでしょう。

    さまざまな作風に出会えるオトクな一冊。それでいて、単行本全体でしっかりカラーがまとまっているあたり、皆様さすがです。

  • お題に沿った物語を作り、次の作家がそれをゆるーく引き継いで次の物語を……とリレー小説としても読める9の扉。作家の作風により好き嫌いがあるので、コレが良い悪いとは一概に評価できませんが、私の好きなのは、「ブラックジョーク」→「バッドテイスト」辺りの話の膨らんでく所とかですね。ミステリ調なのも良い。

  • 16/01/21
    本を手にとって、薄ーーーて思ったけど、内容は薄くありません。さいごの辻村さんの『さくら日和』で、おーここで“くしゅん”が来るかあ繋がるかあとちょっと感激。
    お気に入りは法月綸太郎さんの『まよい猫』。
    逆リレーのあとがきがこれまた素敵。

    ・私はもう、今日からあそこにいく必要がなくなったこと。確かめなくても、きちんとわかった。私は本物じゃなくて、「嘘」だから。体が地面を踏んでる感触がほとんどない。どこも痛くないのに、体の中がワンワン鳴ってる。(P234-235 さくら日和)

全31件中 1 - 10件を表示

北村薫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印

9の扉 (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする