ジェノサイド 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.20
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本棚登録 : 3232
レビュー : 351
  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011270

作品紹介・あらすじ

研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けるのは、人間という生き物が作り出した〈地獄〉だった−−。現代エンタテインメント小説の最高峰。

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。後半は読むのを止められなかった。
    人間はほんとにバカだわ。いつ破滅してもおかしくないわ。
    アフリカ・人間の暴力・国家間の醜い争い・進化した生物・難病・薬開発

  • ここまで緻密で壮大な作品は久しぶりに読んだ。これを書き上げるのに、筆者はものすごい膨大な取材や情報収集をして、何度も練り直したんだろうなっていうのが伝わる。
    ただ、ちょっとあまりにも専門的な分野すぎる上に緻密すぎるというか…難しすぎてすんなり頭に入ってこなくて、イメージの広がりを妨げてしまったのは残念。
    それさえ除けば、世界、人間というものの醜さや愚かさ無力さ等々、非常に考えさせられる部分あり、愛だったり、友情だったり、心温まる部分もあり、盛り沢山な内容がひとつにまとまったすごい作品だと思った。

  • 同じ種同士で大量殺戮を繰り返してきた人類(ホモ・サピエンス)の進化史を背景に、アメリカ、アフリカ(コンゴ)、そして日本とお話の舞台は地球規模で展開されます。記憶に新しいアメリカ合衆国主導のイラン・イラク戦争。イスラム過激派の指導者を悪の枢軸と名指しして正義をかざして殺戮を行った結果、罪のない何万人もの命が失われたのでした。そのときの大統領の地位にいたのはあの人物。直近の世界情勢をリアルに再現しながら合衆国大統領の人間性に鋭く迫る内容でお話は始まります。上下巻に分かれているものの続きはすぐ読まずにはいられなくなるストーリーです。
    破格の報酬で雇われた4人の傭兵は、出自もバラバラの集団、白人3名日本人1名というメンバ-。リーダー格の青年、イエーガ-は不治の病の子どもを持っているなど他のメンバーもそれぞれ訳ありの様子。彼らの任務は契約時に一切中身を明かされない機密の作戦を実行することでした。その作戦とは・・作戦地域コンゴ民主共和国(ザイール)に赴いた4人は、ピグミー族の集団40名と彼らを研究している人類学者1名を秘密裡に殲滅させるという命令をうけたのでした。理由として、その集団は致死率100%という新種のウイルスに感染しているためと明かされたのでしたが、その作戦には奇妙な続きがありました。それは任務遂行中に「見たことがない生き物に遭遇したら、真っ先に殺せ」という内容なのでした・・見たことがない生き物?その奇妙な内容にこそ、この作戦の真相がありました。
    彼らの行く手には、ジェノサイドというタイトル通りに目を背けたくなる戦闘場面や虐殺の詳細も登場するのですが、作者が登場人物に言わせているように、想像力の欠如した人間、現場にいず間接的ならいくらでも人を殺せる指導者・・といった下りにごく普通の人が権力を手にしたときの恐ろしさが伝わってきて肝に銘じながら読み進めました。人間の残虐性や愚かさにテーマをあてているものの、その反面、人間の善の部分、利他的な行為にも焦点はあてられています。急逝した科学者だった父親の陰の仕事を追っていくうちに、難病の子供のために治療薬を開発するという崇高な使命に目覚めた主人公の青年、古賀研人、彼と友人の韓国人との友情、彼らの自分の利益や危険を顧みない活躍劇はドキドキハラハラしながら、成功を祈りつつ読みました。創薬開発ソフトのギフトということばに親子二代に渡る科学者魂がこめられていると思いました。治療薬の受け渡しの場面は思わず涙が出てくる感動の場面でした。

  • 上下読み終わっての感想:まさに一気読み!29日に上巻読み終わってそっこー下巻買いにいったほど。面白い!かっこいい!!

    この本はアメリカ、コンゴ、日本が舞台になっている。それぞれの抱えた思い、背景などが交錯し、物語は展開していく。
    上巻ではイエーガーと研人中心に描かれる。2章では「人間とはどういう存在なのか」というのがルーベンなりに考察されている。
    超人類の発見とともに、それを消滅させるのが目的だったが、本当に正しいのかということを思い、アメリカ政府に背く4人。アメリカ政府こえーって感じがしたね笑おもしろさの一つとしてはいかせん規模がでかい。国家規模。こういうのに立ち向かう、とか陰謀があるーみたいなのに弱い笑
    研人、ジョンフンは命の危機にさらされながらも新薬の開発に乗り出し、10万人の子どもたちを救うべく、奮闘する。誰かのために命をはる、全力になることの大切さを感じた。こいつら心が豊だわ。また、誠治と研人の親子関係にも感動した。父親ってかっけえ。自分も将来父親になれんのか心配笑
    あとは科学のすばらしさ!めっちゃ夢がある。文系とは違う笑

    人間の愚かさ、権力者の実情、背景、世界の力の関係とか色々詰まっている本。春休み時間があったらもう一回読みたい。
    生きるって難しいことだし、ある意味「奇跡」だな。

  • 臨場感溢れる文章で、下巻は一日で読んでしまった。いろんな感想があるけれど、少年兵の死の間際の、どうして人間に生まれてしまったんだろうという言葉が纏わり付いて離れない。きっと、こんな風にして死んでいった人がたくさんいるんだろうな。人間の醜さ、残虐性をまざまざと思い知らされた。そんなことを思う自分自身も、対した存在ではない。それを肝に銘じた上で、より良い生き方をしていかなくては。

  • すごい読書体験をしてしまった…。

    こんなにフィクション小説に引き込まれることは生涯ないかもしれない、とちょっとだけ将来の読書体験を憂えてしまうくらいに衝撃的な作品でした。

    スケールの大きさ、サスペンスと呼ぶに相応しいスピード感のあるハラハラ感、そして何よりフィクションとは思えぬ精緻な描写。ページを繰る手が止まらず、夜更かししてしまいました。下巻の終盤には圧倒的感動が押し寄せて、鳥肌と目に溜まる涙の処理に苦労しました。


    虐殺を惹き起こす愚かな下等生物である人類。であるところの私は、読みながら何度も絶望で死にたくなり、希望の光であるヌースに、ルーベンスと共に殺してくれ!と祈りました。笑 でも、あながち笑ってもいられず、物語で語られた数々の虐殺は実際に現実世界に起こったこと。それを思うとやはり、この世を生き抜くには自分という存在があまりにもナイーブでかつ残忍な個であると結論せずにはいられない…。

    しかし、最後の最後で「フツーの」人間であるちょっと頼りない主人公のケント・コガの勇姿が、ボロボロの精神状態になった?我々読者を救済してくれます。あとがきの「人間は人間を殺す。それでも、人間は自分以外の人間を信じ、助けようともする。」という言葉にもあるように、絶望を感じてもなお、人間は生きるに値するはずだという希望を与えてくれます。これこそが、著者がこの小説で伝えたかったメッセージではないかと思いました。


    言葉にするとあまりにも稚拙になりますが、わたしも生きるに値する人間として生きていきたいと思う。

  • 【感想】
    感染症のはずが、新人類の出現により、いきなりSFチックになったところは「あれ?」と思ったが、
    ばらまかれた伏線は見事に回収されていったな、と感じた。
    普通は決して交わることのない、日本の普通の大学生と軍人というマッチングも、何とか無事着地していた。笑

    今の人類とチンパンジーの差が、今の人類と新人類なのかと思うとと些か怖い気もしたが・・・
    また、普通の薬学部の学生が人類を救う新薬を創り出す!という設定には無理を感じつつ、
    物語が綺麗に収束していったのは何か安心しました。

    何はともあれ、面白い作品だったと思う。


    【あらすじ】
    研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。
    一方、戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けていたのは、人間という生き物が作り出した、この世の地獄だった。
    人類の命運を賭けた二人の戦いは、度重なる絶対絶命の危機を乗り越えて、いよいよクライマックスへ―
    日本推理作家協会賞、山田風太郎賞、そして各種ランキングの首位に輝いた、現代エンタテインメント小説の最高峰。

  • すごく面白かった!
    圧倒的スケールのストーリーが最後にちゃんと収束しているのもすごい。
    お父さんからの最後のメッセージで泣いてしまった…
    読後感もよく、大満足!
    素晴らしいエンターテイメントをありがとうございました!

  •  エマとヌースの子孫が築き上げる社会には、国家という単位はないのではないかとルーベンスは夢想した。現生人類には、決して作り上げることのできない境界線のない世界。彼らの故郷は地球、それだけだ。

     戦争作品は重い。人間の取り繕った上辺だけでなく、生身の本能を見せつけてくれるからこそ、心に響くのだろう。

  • とても面白かった。圧倒的な内容です。

    みなさん長文の感想を書いていますので、手短にまとめます。

    作戦を誰が、いつからコントロールしているのか、すごい構成だった。
    アフリカ脱出路の意味について最初は想像つかなかった。なるほど、単に脱出の他に、釘を刺して、他にも...
    最後、父から研人に宛てたメッセージ、感慨深かった。

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著者プロフィール

高野 和明(たかの かずあき)
1964年、東京都生まれの小説家・脚本家。日本推理作家協会会員。
幼少の頃から映画監督を志していた。ロサンゼルス・シティー・カレッジ映画科中退。 1991年Vシネマの監督を誘われたことがきっかけの中退で、帰国後は脚本家として活動した。
2000年に江戸川乱歩賞への応募を目的に書かれたミステリー『13階段』が、2001年第47回江戸川乱歩賞を満場一致で受賞。その後も脚本家として活動しつつ執筆活動を行っており、2011年の『ジェノサイド』が第2回山田風太郎賞と第65回日本推理作家協会賞(長編および連作短編編集部門賞)を受賞、「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」ともに1位に。本屋大賞ノミネートも果たしている。2013年に文庫化され、ベストセラーとなった。

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