ジェノサイド 下 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2013年12月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784041011270

作品紹介・あらすじ

研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けるのは、人間という生き物が作り出した〈地獄〉だった--。現代エンタテインメント小説の最高峰。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

壮大なスケールで描かれる物語は、戦争の残酷さや人間の多面的な側面を鋭く浮き彫りにしています。下巻では、コンゴ、アメリカ、日本を舞台に、緊迫した状況で繰り広げられる脱出劇や新薬開発が進行し、登場人物たち...

感想・レビュー・書評

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  • 今年こそは読もうと決めていた作品。
    昨年「13階段」を読んでから、ずっと読みたいと思っていて、ようやく手に取った。

    創薬学科を専攻する大学院生。
    難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、民間の軍事会社で働く傭兵。
    二人の運命が交錯する時、全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。

    上巻の前半は難しい描写もあり、あまり入り込めなかったけれど、上巻の後半辺りから面白さが加速して、下巻はページを捲る手が止まらなかった。

    別々の場所で起こっている出来事に徐々に見えてくる繋がり、次々に明かされる真相に大興奮!
    場面の切り替えが多々あり、一つの物事を多角的に見れるのも面白かった。

    本書に出てくるレポート、病、創薬手順などが全部フィクションだということに驚愕した。
    リアルすぎて、実際にあるんだと思ってた…!

    その一方で、人類の大量殺戮(ジェノサイド)は、実際に繰り返されている事実。
    時折、目を背けたくなるような残虐な描写があって、読み進めるのが辛かった。
    世界のどこかでは、こういうことが日常的に起こっているのかもしれないと思うと、胸が張り裂けそうだったし
    「人間なんかに生まれなければよかった。
    鳥や獣に生まれて、お父さんやお母さんや兄妹たちと寄り添い合って、いつまでも仲良く暮らしていたかった。(p.220)」
    という思いをしている子どもたちがいるのかもしれないと思うと…( т т )
    複合的要素で人間の残虐さがリアルに描かれていたことも印象的だった。

    もし本書のようなことが現実に起こったら、どうなるんだろう???
    うまく共存していけたらいいのに、と思うけれど、綺麗事なんでしょうかね…。

    ✎︎____________

    この世であっても、人間は地獄なら作り出せる。天国ではなく。(p.50)

    無理だ、とは言わない人たちが、科学の歴史を作ってきたんだよ(p.74)

    恐ろしいのは知力ではなく、ましてや武力でもない。この世でもっとも恐ろしいのは、それを使う人格なんです(p.94)

    世界各国に、戦争によって利潤を貪る企業が存在している限り、この世から戦争がなくなることはないのだろう。(p.149)

    いいかね、戦争というのは形を変えた共食いなんだ。そして人間は、知性を用いて共食いの本能を隠蔽しようとする。政治、宗教、イデオロギー、愛国心といった屁理屈をこねまわしてな。しかし根底にあるのは獣と同じ欲求だ。領土をめぐって人間が殺し合うのと、縄張りを侵されたチンパンジーが怒り狂って暴力を振るうのと、どこが違うのかね?(pp.163~164)

    どうして我々は、人間同士の殺し合いに怯えながら生きていかなくてはならないのか。この不安は、人類の誕生から現在に至るまで、二十万年もの永きに亘って受け継がれてきたものだ。人間にとっての唯一の敵は、同種の生物であるはずの人間なのだ。(p.166)

    現在、地球上に生きている六十五億の人間は、およそ百年後には全員が死に絶える。なのに、なぜ今、殺し合わなければならないんだろうな?(p.171)

    過去二十万年間に亘って殺し合いを繰り返してきた人類は、常に他集団からの侵略に怯え、疑心暗鬼が被害妄想寸前の状態で維持され、国家なる防衛体制を作り上げて現在に至っている。この異常な心理状態は、人類全体が遍く共有しているために異常ではなく正常と見做される。これが〝人間という状態〟だ。そして、完全なる平和が達成されないのは、他者が危険であるという確固たる証拠を、互いが己の内面に見ているからだ。人は皆、他者を傷つけてでも食料や資源や領土を奪い取りたいのだ。その本性を敵に投影して恐怖し、攻撃しようとしているのだ。そして、死をもたらす暴力の行使には、国家や宗教という後ろ盾が免罪符となる。その枠外にいるのは異人、即ち敵だからだ。
    こうした悪徳に目をつぶってこられたのは、同種間の殺戮を非難する知性がヒト以外に存在しなかったからである。神すらも異教徒の殺害を奨励しているのだ。(pp.203~204)

    人間なんかに生まれなければよかった。
    鳥や獣に生まれて、お父さんやお母さんや兄妹たちと寄り添い合って、いつまでも仲良く暮らしていたかった。(p.220)

    未知への挑戦がもたらす陶酔感は、人類社会にとって諸刃の剣だ。(p.334)

    政治的指導者に宿る、ほんの一瞬の狂気が、数億人の生命を危機に陥れてしまう。未来に起こり得る核戦争も、たった一人の狂った権力者によって決断され、実行されるのだろう。(p.361)

    失敗のない人生などあり得ないし、その失敗を生かすも殺すも自分次第だということだ。人間は失敗するだけ強くなれる。それだけは覚えておきなさい。(p.382)

    母親の愛情こそが、すべての平和の礎だよ(p.391)

    • Super8さん
      mariさん

      13階段も良かったけど、このジェノサイドも
      素晴らしかったヽ(^。^)ノ♪

      SF要素があったので、ビックリした記憶があった...
      mariさん

      13階段も良かったけど、このジェノサイドも
      素晴らしかったヽ(^。^)ノ♪

      SF要素があったので、ビックリした記憶があったけど、、、
      当時、結構話題になった作品ですね~
      2025/11/24
    • mariさん
      ultraman719さんo(o|o)/

      こちらこそですー♪
      よろしくお願いします(* .ˬ.))
      ultraman719さんo(o|o)/

      こちらこそですー♪
      よろしくお願いします(* .ˬ.))
      2025/11/24
    • mariさん
      Super8さん

      8さんも、どちらも読まれているのですね♪
      どちらも面白かったですよね(*ˊ ˋ*)

      それ!私もビックリでしたーΣ(º▵...
      Super8さん

      8さんも、どちらも読まれているのですね♪
      どちらも面白かったですよね(*ˊ ˋ*)

      それ!私もビックリでしたーΣ(º▵º*)

      刊行当時、いろんな賞を受賞されてますもんね!
      その時はこんな面白い作品があったことを全然知らなかったです( ´ー`)
      2025/11/24
  •  下巻では、コンゴ(アフリカ)、日本、アメリカを軸に展開が加速し、そのスケールの大きさや躍動感が増す、秀逸の超弩級エンタメ小説と言えます。

    ○ピグミー族の驚くべき知能をもった3歳児は、超人類として人類を支配するのか、それとも人類が抱える諸問題の救世主なのか? 共存か排除か?
    ○人類は、国家間・民族・宗教対立など、どこまで戦争殺戮を繰り返すのか?
    ○イエーガーの部隊はコンゴを脱出できるのか?
    ○研人は、不治の病の特効薬を完成できるのか?

     これらの関係が徐々に濃密に増幅し、スピード感を含め伏線に伏線を張った展開に、ハラハラドキドキ感は上巻以上です。実に面白く読み切りました。
     文庫上・下巻計800ページは、無駄のない充実した読書タイムにつながり、読了後に満足感・充実感に浸っていました。

     人間の、残忍・醜悪な側面と慈悲深さ・崇高な側面を考えてしまいました。本来、多面的な要素を持ち合わせている人間だからこそ、読み手は心を揺さぶられます。また、科学技術の進歩に伴って、生き方としての「不易と流行」も考えるよい機会となりました。
     「ハイズマン・レポート #5 人類の進化」は、私たちへの警鐘でしょうか?
     未読の方がいらっしゃいましたら、超おすすめです!

  • 凄い!!

    上下巻の2冊を2日で読了。

    先を読まないと居られない程の期待感。

    久々に味わった、ワクワク、ドキドキ。

    ドキドキしすぎて次のページが捲れない。
    怖い。でも期待が凄い。

    彼らはどうなるのだ?


    コロナで旅行にも行けない毎日。
    せっかくのお盆休みだというのに、家の周りを散歩するのと、必要最低限の食材日用品の購入以外の外出がままならない今。

    何するの!?

    読書でしょ!!

    いや、この本、名前は知ってましたよ。

    この作家さんも大好きだったのに、何で今まで読んで来なかったんだっ!?ってくらいの面白さ!!!

    超大作映画見終わったより凄いカタルシス。
    久々、超大当たり。

    凄いわ。。。。

    休み終盤に来て、凄い作品に出会えた。。。

    放心状態。。。
    素晴らしい!!!

    • 地球っこさん
      bmakiさん、おはようございます。

      放心状態わかります!
      わたしもこの作品、大興奮しました。
      マイ殿堂入りのお気に入り本の一冊です。
      bmakiさん、おはようございます。

      放心状態わかります!
      わたしもこの作品、大興奮しました。
      マイ殿堂入りのお気に入り本の一冊です。
      2021/08/15
    • bmakiさん
      地球っこさん
      おはようございます。
      ありがとうございます(*^^*)
      まるで映画を観ているような、壮大なストーリーでした!
      マイ殿堂...
      地球っこさん
      おはようございます。
      ありがとうございます(*^^*)
      まるで映画を観ているような、壮大なストーリーでした!
      マイ殿堂入りですか!私もそのくらい興奮しました。
      次の本が読めなくなるくらい、まだ興奮しています(*^^*)
      2021/08/16
  • いやー!すごかった!圧巻だった!
    上巻が良いところで終わり、そのまま波に乗って下巻を読み始めたら止まらなくなった。緻密に計算された壮大なストーリに脱帽。

     本格的にゴンゴ共和国からの脱出が始まる下巻。コンゴ・日本それぞれに刻一刻と迫りくる敵とミスの許されない状況にハラハラドキドキだった。
     コンゴからの脱出シーンでは戦争のリアル(残酷さ、無惨さ等)が細部まで描かれていて、少年兵に起きた凄惨な出来事など胸が締め付けられる場面がたくさんあった。常に緊張感に包まれ、戦場にいる人々の身体的・精神的苦痛は計り知れないものがあるのを感じた。

     一方、日本でも危ない橋を渡りながらも韓国人留学生の協力を得て新薬開発に取り組んでいく研人。上巻では頼りなく見えた研人が、人助けのために全力を尽くし最後まであきらめない姿は応援したくなったし、研究者としての成長に感動した。

     スピード感満載のまま様々な真相が明らかになり、あっという間に読了。
    そして末尾の解説もすごかったし、参考文献やインタビューの数にもビックリ。著者のこの作品にかけた想いや誠実さを知り、あたらめて高野さんのファンになった。
     この作品は小説好きのみんなに読んでみて!とオススメしたいものになった。

    • hiromida2さん
      satokoさん、こんにちは。はじめまして。
      高野和明さんの本作は、以前にはじめて読んだのですが、仰る通り…圧巻!
      私も大好きになった一冊で...
      satokoさん、こんにちは。はじめまして。
      高野和明さんの本作は、以前にはじめて読んだのですが、仰る通り…圧巻!
      私も大好きになった一冊です♡
      ゴンゴと日本の切替と繋がりが絶妙でした。
      最初分からなかったことが、どんどんハッキリしてゆき、無我夢中で読んでしまった記憶があります。
      ラストは涙が溢れました( ; ; )
      本当にお薦めの小説ですよね。
      おススメされていて…思わず頷けてコメントしてしまいました。
      ありがとうございます♪
      また本棚お邪魔します、今後ともよろしくお願い致します(о´∀`о)
      2022/04/06
    • satokoさん
      hiromida2さん

      こんにちは、初めまして♪
      コメントありがとうございます(o^^o)

      ほんと、ゴンゴと日本の繋がりが絶妙でしたよね...
      hiromida2さん

      こんにちは、初めまして♪
      コメントありがとうございます(o^^o)

      ほんと、ゴンゴと日本の繋がりが絶妙でしたよね!私も最初は先が見えなくて分からないまま読んでいて、次第に状況がわかってきたら読むの止まらなくなりました☆
      最後も良いですよね(/ _ ; )さっそく友達にもオススメしてしまいました笑

      hiromida2さんの本棚よく拝見させていただいてますが、素敵な本や映画がたくさんで参考にしてます(*^^*)
      こちらこそ、今後ともよろしくお願いします♪
      2022/04/07
  • かなりの時間を掛けて、ようやく読みきりました。とても壮大な物語で、それでいて清々しい読後感に浸っています。

    昔はSF=スペースファンタジーの略なのかな?とか思っていた私ですが、サイエンスフィクションと知ってからも中々イメージが沸かずにいました。
    でも本作『ジェノサイド』は科学、創薬、戦争、歴史、人類学、情報など、本当に幅広く膨大な知識量に埋もれながらも、ただただ命を救いたい!!と言う気持ちによって人は偉業を達成する物語が主軸となっています。

    本当に読めて良かったです♪
    まさにSF小説の名作ですね♪

  • 映画観てるみたい(文字しかないけど^^;)。
    ほんまに映画化されんかな?
    ハリウッドで、たっぷりの製作費で、
    主演は、
     アフリカ側が、クリス・プラットさん、
     日本側が菅田将暉さん
    なんかで…

    っと思えるような作品でした。
    エンターテイメント性たっぷりで、面白かった。

    PS
    この後、高野和明さんの作品は、ほぼ網羅してしまった^^;

  • 上下巻でだいぶ長かったが、ほぼ満点に近いぐらい面白かった!!途中、薄々感じてはいたが、新人類は、まさかこんな切り札があったとは!!

    途中のコンゴの戦闘のくだりは生々しく、特に少年兵の話は鬼畜の所業としか思えない内容だったが、これが現実で行われている事かと想像すると吐き気した。

    そして、日本パート。こちらはまさに手に汗握る逃亡劇。色々な作品で公安警察の恐ろしさにより、緊迫感は増し増しの内容だった。

    個人的にミックの件だけがモヤモヤしてしまっていたが、最後まで中弛みする事なく、一気通貫で楽しませてくれた。これは映画化されてたら是非、見てみたい!!

  • 日本、アフリカ、アメリカを渡る壮大なスケールの物語。こんな物語を創作できる作者は本当にすごいと脱帽です。

    ・アフリカ少年兵の件はエグい。しかし、現実的にあるとしたら看過できない。平和な日本では想像すらできない世界だった。

    ・ハイズマンの言葉が印象的
    →「すべての生物種の中で、人間だけが同種間の大量虐殺(ジェノサイド)を行なう唯一の動物だ。それがヒトという生き物の定義だよ。人間性とは残虐性なのさ。かつて地球上にいた別種の人類、原人やネアンデルタール人も、現生人類によって滅ぼされたと私は見ている。(ジョゼフ・ハイズマン)」

    ・すごく説得力のある見解だった。こうやって人類はヌースやエマのような新人類に淘汰されていくのだろうか。

    ・人類絶滅の原因として自然破壊や核戦争など言われているが、新人類による淘汰という新たな視点を得た。そして、それは歴史を見ると否定できない重要な要素だと思った。

  • これが高野和明さんの作品なのか。
    この1作しか読んでいませんが間違いなく傑作と確信できる1冊だった。

    『人間』を善悪問わずさまざまな人物像で描いていてまさにドラマチック。

    時折はさまれる戦闘描写や戦争背景は凄惨すぎて読むのが辛くなることもあり、殺し合いの中心地になったコンゴでのピアースの一言「戦争が、こんなに怖いものだと知らなかった」に涙した。

    凄すぎて感想は書き出すとキリがないが、なにはともあれ色々と心を動かされるものがあった、最高に面白かった。

    この先、おすすめの小説は?と聞かれたら間違いなくその1冊に「ジェノサイド」を挙げると思います。

    最後に、作者の構成の上手さには脱帽です。

    • ひろさん
      ultraman719さん、はじめまして!
      ホントに面白かったですね!
      この作品から他の高野和明さんの本に手をだすと思います!。同じ道をたど...
      ultraman719さん、はじめまして!
      ホントに面白かったですね!
      この作品から他の高野和明さんの本に手をだすと思います!。同じ道をたどります笑。ありがとうございました♪
      2023/11/24
    • ultraman719さん
      もう「踏切の幽霊」も読んだので、早く作品描いて欲しいです。
      もう「踏切の幽霊」も読んだので、早く作品描いて欲しいです。
      2023/11/24
    • ひろさん
      好きな作家さんの新作はいつも待ち遠しいですよね。次はどんな作品になるのかなぁ?私も楽しみにします。
      好きな作家さんの新作はいつも待ち遠しいですよね。次はどんな作品になるのかなぁ?私も楽しみにします。
      2023/11/25
  • すごく面白い。
    登場人物が多いので序盤は少したいへん。
    後半の盛り上がりがとてつもない。
    日本、アメリカ、アフリカでの出来事が徐々に交わり、飽きることのないスリルが幾度となく起こる。

  • 第5回啓文堂大賞
    第2回山田風太郎賞
    第24回このミステリーがすごい!第1位
    第30回日本冒険小説協会大賞
    第9回本屋大賞第2位
    第65回日本推理作家協会賞

    壮大なスケールの長編大作。テーマが面白く、テンポもはやくて最後まで飽きない。
    にもかかわらず、創薬の内容が難しすぎて読むことに苦労した。ざっと飛ばし読みしてもストーリーは追えるので薬学知識は必要ないのですが、理解しながら読みたい性分なので、、、。
    人間の知能を遥かに超えた生物誕生の脅威、SFだけどあり得なくはない未来を体験できるのが小説の醍醐味。その時がきたら私もハインズマン氏と同意見で人間は新しい超人類にバトンタッチするべきだと思う。
    この地球上では最も知能が高いはずの人間だけど、未だに争いで解決をしているあたり、まだまだ進化の余地がある未完成な生物なのかもしれない。

    その後はきっと、イエーガーが回復した息子に会えて、ギャレットの手紙も無事届けられるんだろうと想像できるけど、創薬ソフトが自動削除される意味はよくわからなかった。
    新薬も間に合うのか崖っぷちだったけど、エマがさくっと正解をだすか、もう少しヒントをくれてもいいような。
    本当にエマが日本に現れたら、並外れた知能で解決してほしいことがたくさんあるんだけどな。

  • 良く分からない医学用語や会話が出てくるが、不思議なもので特に問題となずスラスラ読める。13階段からお気に入りの高野和明の小説。

    なんだか自尊心が傷ついたような感覚。うまく説明できないのは、自尊心がまだ生きているからか。


    以下、ネタバレ含む(備忘録)。

    現人間の知能を凌駕する新人類の存在を巡る物語。
    救われた命と失われた命。目を背けてしまいそうな残虐な描写が多数ある。

    複数の主要人物それぞれの視点から描かれる。
    名も無い学生、元グリーンベレー、政府内の人間等々。登場人物達は物語に関わる動機を持っており、導かれるように逃れられない危機を迎えることになる。
    国家、政府、個人の感情渦巻く活劇は目が離せない。誰かの為に命を懸け、誰かの為に命を守り、戦い抜くことを決意した主人公たちは、未来に何を見出したのだろうか。

    現人類はいずれ淘汰される運命にあるのだろう。永遠の繁栄なんて無いことは確実なのに、やっぱり空想の世界にいるような感覚。せめて希望くらいは抱いていいよね。生き物だもん。仕方ない。
    そんなことを考えてしまう作品だった。

    読了。

  • 上巻に引き続きスピード感がある展開でドキドキしながら読み進めた。
    アフリカでは人間の残虐さが恐ろしく描かれていて、恐らくこの描写の数々は現実に起こっていることなんだと怖気が走った。
    一方日本では警察から隠れて、タイムリミットが近付いて焦る中での新薬開発。
    人助けの為に一生懸命な二人を応援しまくった。
    アメリカでは権力者に隠れて真相を探るべく動いている人がいる。
    段々と明かされる協力者の正体や、過激になっていく戦争に、下巻もあっという間に読み終わった。

    人間性について、とても率直に描かれている作品だった。
    そしてすごい知識量!
    新薬開発に関する専門用語は半ば読み流していたけど、格好いいなと思った。
    病気の子を持つ親が薬に希望を持つところは涙が出た。

    残酷な描写も多かったけれど、とてもおもろしかった。

  • 解説にもありましたが、エンターテインメント作品としてのドキドキ感は存分に味わえました。
    一方で、少年兵との凄惨な戦闘描写などを読み、人類が繰り返してきたジェノサイドは、自分と同じ人間がやってきたことなんだと思うと、今この瞬間も、自分の生きている地球上で未だに起こっていることが悲しく、虚しくなりました。

    それでも、エピローグにあった、我々人類を ”ジェノサイド(大量殺戮)を行うヒト” と定義したハイズマン博士に対して、ルーベンスのユーモアを交えた反証の場面は、少し顔を上げさせてもらえたやり取りだったと思います。


    アキリに投げかけたこの研人の言葉、胸に刻みました。
    「もう安心だよ。ここには戦争はないからね。この国の人たちは、もう戦争はしないと決めたんだ」

  • 上巻を読んでから早く続きが読みたくて。映画のようなスケールで緊張感も半端ない。研人の父からの最後の手紙には感動。非常に面白かった。

  • 「蒙を啓く」

    やはり面白かったし、考えさせられる物語だった。

    高野先生の思想的な偏向を指弾する向きもあったが、それほど気にならなかったのは、自分がやや左寄りだからなのかも知れない。

    人は距離が離れると人を殺す心理的な負担が減る。密林でイエーガーらが殺す少年兵は名をオネカといった。そして彼が兵士となるむごたらしい経緯が描かれている。こうすることでオネカの死が読者にとってより残酷なものとなる。
    対して仲間のミックはどうか。時折歪んだ倫理観を見せるミックが射殺された際、どこか溜飲の下がる思いが少しでもなかったろうか。ミックの素性が詳しく描かれなかったのは、意図的ではなかったかと個人的には思うのだ。

    この作品が優れているのはそうした問題意識を読者に抱かせる点だと思う。

    最後には肺胞上皮細胞硬化症の薬が完成し、ジャスティンと小林舞花は救われた。しかし大団円とはいかない不穏さも感じた。人類の滅亡が少し先延ばしになっただけなのかも知れないと。
    エマもアキリも子供らしいあどけなさはあるが、同時に残忍さも併せ持っている。イエーガーがネメシス作戦に加わるように候補者を次々と消したのも彼らだった。

    わずかな希望があるとすれば、研人や正勲のような、他人のために、見返りもないのに危険な橋を渡った人たちの存在だろう。
    ハイズマンはそういう人々を「進化した人類」と表現した。

    人類の善行を引き出すのは、パーンズが感じたような「視線」なのかも知れない。
    それは高度な知性を持つ新人類や、子供、ご先祖、あるいは神の視線だ。
    おそらくバーンズと我々は地続きで存在している。我々の行いが「進化」に資するか否か、その視線は厳しく問うているのだろう。

    少し前に「サピエンス全史」が話題になった時、NHKで特集が組まれたのを少しだけ観た記憶がある。それによると、ホモサピエンスの中に、ネアンデルタール人の遺伝子も含まれているらしい。
    それを観て、種の違いを越えたロマンスみたいなものを想像したものだ。
    願わくば、人類の進化がゆるやかに溶け合うようなものであると良いなと思った。

  • 何度もジェノサイドという言葉が登場して、人間の愚かで残虐な歴史が描かれていた。特に、コンゴの少年兵に起きる凄惨な出来事の描写は、この先読み進めることができないかもしれないと投げ出したい気持ちになった。読了までに時間がかかってしまったけど…ノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会が選ばれたこの時期に、この本に出会えたことに意味があるように思えてならない。
    誰もが平和で幸せに暮らせる世の中に、憎しみあったり攻撃しあったりせずに穏やかに暮らせる世の中に、過去から何を学び、今を生きる私たちへの課題にどう向き合い答えを出していくのか、人類存続のために未来から試されているのかもしれない。
    巻末の謝辞にはたくさんの方の名前が掲載され、たくさんの参考文献が記されていた。そこからも著者がこの作品に込めた想いを感じることができた。

  • 高野和明の長編小説。

    アメリカ人の傭兵イエーガーは、難病に罹る息子の治療費を稼ぐため、高報酬につられてコンゴでの極秘任務を引き受ける。それは、現地住民のひとつのキャンプを殲滅し、そこにいる「特異な生物」を抹殺しろという、謎の指令だった。

    一方、日本の大学院生である研人は、研究者だった父が急逝し、1台の端末と「ある難病の特効薬を開発しろ」という遺言を受け取る。研人は戸惑いながらもその研究を進めようとする。

    同時期、アメリカでは独裁色の強い大統領が、コンゴに出現したかもしれない「次世代の人類」の抹殺を命じていた。この実行参謀にアサインされた若き天才科学者のルーベンスは、この阻止に動くのだった。

    この三者それぞれのストーリーはやがてひとつの大きな運命となり、動き始める。


    上記が本作のあらすじである。

    まず、ここまで壮大なスケールの物語をまとめきっているという点で、本作が傑作であることは疑いようがない。
    それほどまでに、エンタメとして圧倒的な質量とクオリティを備えている。

    その上で、本作は読み手に様々なインサイトを提示する。

    テーマのひとつは、人間の根源的な残虐性、愚かさの可視化である。本作では、アキリという新人類の個体を鏡として使い、これを対照的に描写している。
    戦時下における人間たちが、同胞を惨殺し、犯し、奪い合う姿を生々しく描くことで、人間の種としての限界と存在意義を訴求する。

    その上で、人間の美徳がもうひとつの軸として描写される。
    自らの危険を省みることなく特効薬を開発することで子供たちの生命を救おうとした研人とその父、友人や、身体を張って他人を守ることができる傭兵たち。
    人間は、切り離すことのできない獣性と、他人に無償で奉仕することができる情愛を共存させている。

    本作は、この二つを逃げることなく真正面から捉えようとしている。
    故に、読んだ人が人間の限界と醜悪さを再認識しながらもなお、読後はむしろ人間のことを好きになり、明日からの活力にできる小説だと、個人的には感じた。

    一部の登場人物の動きに違和感があったり(作品冒頭で無気力だった研人が、一目見ただけの少女に大きく心動かされたのはちょっと描写が甘い)、細かな設定に突っ込みどころがあったするが(アキリが生まれてくることが分かっていたなら、初めから日本に連れて来れば良かったのに)、それらを差し引いても十分良い作品だと思う。

  • フィクションではあるけれどこの先起こる可能性は0ではないと思った。
    人間の社会の仕組みってこれでいいのか?と考えさせられた。

    ■権力者
    権力者が横暴で利己的になるのは、もともとそのような資質の人間がなるからなのか、善良な一市民でも権力を持つと変わってしまうのか。
    国民や人類のことを本気で考えてくれる人が上に立つことはあり得ないのか。
    今の日本の政治家を見ると全く明るい未来を感じられない。
    アキリが見たらどうするんだろう?

    バーンズも副大統領のように自分も殺されるのではと不安になったり、社会のインフラを乗っ取られて多くの国民が人質に取られていてもアキリを殺すことをやめなかったり…
    ルーベンスが思ったように、アキリが人類を滅ぼすように願う気持ちも少しわかる

    ■兵器
    副大統領がミサイルをくらったように、兵器を作る・使うからには自分に降りかかっても自業自得だ
    安全な場所で見たくないものは見ずに戦争を起こす権力者は絶対に許されない

    科学者や研究者も大きな力を生み出すときにはそれによって何が起こるのか考える必要と責任がある
    興味や探求心だけではいけない

    ■創薬
    世の中には色々な形で人の命を救っている人達がいる。
    治療法の無い病気に挑み、新たな治療薬を生み出すことは研究者にとっては一番のやりがいだと思う。
    そういった人達の日々の努力が医療を進歩させていると思うと本当に頭の下がる思いになる。
    大きく見ればウイルスとの生存競争に知恵で勝ったということ。
    人間同士で殺し合うなんて、そんな人達に対する侮辱でしかないよなぁ


    スケールの大きな話で圧倒させられた。
    自分が生きている内に起こるのか分からないが、フィクションだと言いきれないところが怖くも感じた。

  • 【感想】
    感染症のはずが、新人類の出現により、いきなりSFチックになったところは「あれ?」と思ったが、
    ばらまかれた伏線は見事に回収されていったな、と感じた。
    普通は決して交わることのない、日本の普通の大学生と軍人というマッチングも、何とか無事着地していた。笑

    今の人類とチンパンジーの差が、今の人類と新人類なのかと思うとと些か怖い気もしたが・・・
    また、普通の薬学部の学生が人類を救う新薬を創り出す!という設定には無理を感じつつ、
    物語が綺麗に収束していったのは何か安心しました。

    何はともあれ、面白い作品だったと思う。


    【あらすじ】
    研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。
    一方、戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けていたのは、人間という生き物が作り出した、この世の地獄だった。
    人類の命運を賭けた二人の戦いは、度重なる絶対絶命の危機を乗り越えて、いよいよクライマックスへ―
    日本推理作家協会賞、山田風太郎賞、そして各種ランキングの首位に輝いた、現代エンタテインメント小説の最高峰。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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