ジェノサイド 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 7105
感想 : 640
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011270

作品紹介・あらすじ

研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けるのは、人間という生き物が作り出した〈地獄〉だった−−。現代エンタテインメント小説の最高峰。

感想・レビュー・書評

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  •  下巻では、コンゴ(アフリカ)、日本、アメリカを軸に展開が加速し、そのスケールの大きさや躍動感が増す、秀逸の超弩級エンタメ小説と言えます。

    ○ピグミー族の驚くべき知能をもった3歳児は、超人類として人類を支配するのか、それとも人類が抱える諸問題の救世主なのか? 共存か排除か?
    ○人類は、国家間・民族・宗教対立など、どこまで戦争殺戮を繰り返すのか?
    ○イエーガーの部隊はコンゴを脱出できるのか?
    ○研人は、不治の病の特効薬を完成できるのか?

     これらの関係が徐々に濃密に増幅し、スピード感を含め伏線に伏線を張った展開に、ハラハラドキドキ感は上巻以上です。実に面白く読み切りました。
     文庫上・下巻計800ページは、無駄のない充実した読書タイムにつながり、読了後に満足感・充実感に浸っていました。

     人間の、残忍・醜悪な側面と慈悲深さ・崇高な側面を考えてしまいました。本来、多面的な要素を持ち合わせている人間だからこそ、読み手は心を揺さぶられます。また、科学技術の進歩に伴って、生き方としての「不易と流行」も考えるよい機会となりました。
     「ハイズマン・レポート #5 人類の進化」は、私たちへの警鐘でしょうか?
     未読の方がいらっしゃいましたら、超おすすめです!

  • 凄い!!

    上下巻の2冊を2日で読了。

    先を読まないと居られない程の期待感。

    久々に味わった、ワクワク、ドキドキ。

    ドキドキしすぎて次のページが捲れない。
    怖い。でも期待が凄い。

    彼らはどうなるのだ?


    コロナで旅行にも行けない毎日。
    せっかくのお盆休みだというのに、家の周りを散歩するのと、必要最低限の食材日用品の購入以外の外出がままならない今。

    何するの!?

    読書でしょ!!

    いや、この本、名前は知ってましたよ。

    この作家さんも大好きだったのに、何で今まで読んで来なかったんだっ!?ってくらいの面白さ!!!

    超大作映画見終わったより凄いカタルシス。
    久々、超大当たり。

    凄いわ。。。。

    休み終盤に来て、凄い作品に出会えた。。。

    放心状態。。。
    素晴らしい!!!

    • 地球っこさん
      bmakiさん、おはようございます。

      放心状態わかります!
      わたしもこの作品、大興奮しました。
      マイ殿堂入りのお気に入り本の一冊です。
      bmakiさん、おはようございます。

      放心状態わかります!
      わたしもこの作品、大興奮しました。
      マイ殿堂入りのお気に入り本の一冊です。
      2021/08/15
    • bmakiさん
      地球っこさん
      おはようございます。
      ありがとうございます(*^^*)
      まるで映画を観ているような、壮大なストーリーでした!
      マイ殿堂...
      地球っこさん
      おはようございます。
      ありがとうございます(*^^*)
      まるで映画を観ているような、壮大なストーリーでした!
      マイ殿堂入りですか!私もそのくらい興奮しました。
      次の本が読めなくなるくらい、まだ興奮しています(*^^*)
      2021/08/16
  • かなりの時間を掛けて、ようやく読みきりました。とても壮大な物語で、それでいて清々しい読後感に浸っています。

    昔はSF=スペースファンタジーの略なのかな?とか思っていた私ですが、サイエンスフィクションと知ってからも中々イメージが沸かずにいました。
    でも本作『ジェノサイド』は科学、創薬、戦争、歴史、人類学、情報など、本当に幅広く膨大な知識量に埋もれながらも、ただただ命を救いたい!!と言う気持ちによって人は偉業を達成する物語が主軸となっています。

    本当に読めて良かったです♪
    まさにSF小説の名作ですね♪

  • いやー!すごかった!圧巻だった!
    上巻が良いところで終わり、そのまま波に乗って下巻を読み始めたら止まらなくなった。緻密に計算された壮大なストーリに脱帽。

     本格的にゴンゴ共和国からの脱出が始まる下巻。コンゴ・日本それぞれに刻一刻と迫りくる敵とミスの許されない状況にハラハラドキドキだった。
     コンゴからの脱出シーンでは戦争のリアル(残酷さ、無惨さ等)が細部まで描かれていて、少年兵に起きた凄惨な出来事など胸が締め付けられる場面がたくさんあった。常に緊張感に包まれ、戦場にいる人々の身体的・精神的苦痛は計り知れないものがあるのを感じた。

     一方、日本でも危ない橋を渡りながらも韓国人留学生の協力を得て新薬開発に取り組んでいく研人。上巻では頼りなく見えた研人が、人助けのために全力を尽くし最後まであきらめない姿は応援したくなったし、研究者としての成長に感動した。

     スピード感満載のまま様々な真相が明らかになり、あっという間に読了。
    そして末尾の解説もすごかったし、参考文献やインタビューの数にもビックリ。著者のこの作品にかけた想いや誠実さを知り、あたらめて高野さんのファンになった。
     この作品は小説好きのみんなに読んでみて!とオススメしたいものになった。

    • hiromida2さん
      satokoさん、こんにちは。はじめまして。
      高野和明さんの本作は、以前にはじめて読んだのですが、仰る通り…圧巻!
      私も大好きになった一冊で...
      satokoさん、こんにちは。はじめまして。
      高野和明さんの本作は、以前にはじめて読んだのですが、仰る通り…圧巻!
      私も大好きになった一冊です♡
      ゴンゴと日本の切替と繋がりが絶妙でした。
      最初分からなかったことが、どんどんハッキリしてゆき、無我夢中で読んでしまった記憶があります。
      ラストは涙が溢れました( ; ; )
      本当にお薦めの小説ですよね。
      おススメされていて…思わず頷けてコメントしてしまいました。
      ありがとうございます♪
      また本棚お邪魔します、今後ともよろしくお願い致します(о´∀`о)
      2022/04/06
    • satokoさん
      hiromida2さん

      こんにちは、初めまして♪
      コメントありがとうございます(o^^o)

      ほんと、ゴンゴと日本の繋がりが絶妙でしたよね...
      hiromida2さん

      こんにちは、初めまして♪
      コメントありがとうございます(o^^o)

      ほんと、ゴンゴと日本の繋がりが絶妙でしたよね!私も最初は先が見えなくて分からないまま読んでいて、次第に状況がわかってきたら読むの止まらなくなりました☆
      最後も良いですよね(/ _ ; )さっそく友達にもオススメしてしまいました笑

      hiromida2さんの本棚よく拝見させていただいてますが、素敵な本や映画がたくさんで参考にしてます(*^^*)
      こちらこそ、今後ともよろしくお願いします♪
      2022/04/07
  • これが高野和明さんの作品なのか。
    この1作しか読んでいませんが間違いなく傑作と確信できる1冊だった。

    『人間』を善悪問わずさまざまな人物像で描いていてまさにドラマチック。

    時折はさまれる戦闘描写や戦争背景は凄惨すぎて読むのが辛くなることもあり、殺し合いの中心地になったコンゴでのピアースの一言「戦争が、こんなに怖いものだと知らなかった」に涙した。

    凄すぎて感想は書き出すとキリがないが、なにはともあれ色々と心を動かされるものがあった、最高に面白かった。

    この先、おすすめの小説は?と聞かれたら間違いなくその1冊に「ジェノサイド」を挙げると思います。

    最後に、作者の構成の上手さには脱帽です。

    • ひろさん
      ultraman719さん、はじめまして!
      ホントに面白かったですね!
      この作品から他の高野和明さんの本に手をだすと思います!。同じ道をたど...
      ultraman719さん、はじめまして!
      ホントに面白かったですね!
      この作品から他の高野和明さんの本に手をだすと思います!。同じ道をたどります笑。ありがとうございました♪
      2023/11/24
    • ultraman719さん
      もう「踏切の幽霊」も読んだので、早く作品描いて欲しいです。
      もう「踏切の幽霊」も読んだので、早く作品描いて欲しいです。
      2023/11/24
    • ひろさん
      好きな作家さんの新作はいつも待ち遠しいですよね。次はどんな作品になるのかなぁ?私も楽しみにします。
      好きな作家さんの新作はいつも待ち遠しいですよね。次はどんな作品になるのかなぁ?私も楽しみにします。
      2023/11/25
  • 何と感想を書いたら良いのか。
    読み終わった今、長い長い戦いを終えた彼らと同じく達成感でいっぱい。

    私は「小説は楽しむために読む」という主義。ただ本書はそういった娯楽も十分に感じさせつつ、人の価値観・信念のレベルにまで訴えかけるメッセージがあると感じた。

    下巻は正反対の二つの視点が読者を揺さぶる。
    遺伝子変異によって超人的な頭脳を持った子供・アキリ。彼を抹殺しようとするアメリカ政府や武装集団から逃げ、アフリカ大陸を脱出しようとするイェーガー一団。
    一方日本では警察に追われながら、治癒が不可能な難病のための薬を開発する研人とジョンフン。

    武装集団が行うジェノサイドの描写は本当に残酷で、心をえぐられる。悪の極み。
    「人間なんかに生まれなければよかった」と思いながら死んでいく少年兵。
    なぜこんな事が起こっているのか?
    なぜ戦争は無くならないのか?
    なぜ同じ人間がこんなに尊厳を踏みにじられ、死ななければならないのか?
    そして金儲けのために戦争を命令するアメリカにいる高官たち。核爆弾のボタンを押すのは、一滴の血も流さない彼らだ。
    人間はどうしてこんなにも愚かなんだろう…と読者を容赦なく絶望させる。
    (それにしても、大統領をこんなにも姑息で傲慢なキャラクターに書いて大丈夫なんだろうか…宗教の違いも虐殺の大義名分になってるとかあるし、アメリカ国籍の人が読んだらどう思うのかしら)

    その絶望からよろよろと立ち上がるように、もう一方の新薬の開発に光明が射し始める。
    病気に苦しむ子供のために、寝食全てを投げ打って薬を作る研人。迫る期限。無理だ、と弱音を吐きたくなる気持ちを何度も奮い立たせる。
    相棒・ジョンフンが韓国人というのもニクイ。過去に縛られず、お互いを助け合いながら進む二人。正に人間の善とも言える側面だ。

    少しややこしいのはアキリをどうするか問題と、新薬開発の問題の二つがごちゃごちゃに入り混じっているところ。
    ところがそれも突然一つに繋がる。
    後半少し謎解きミステリー要素もあり。
    そうして二つの点が少しずつ、少しずつ近づいていく…


    人間は常に善と悪の間で揺れ動く。
    食欲と性欲の満ち足りたものだけが、世界平和を口にする。人間が地球上に生きている限り、平和な世界は訪れない…
    確かにそうかも知れない。日本にいたって、安全とは言い切れなくなってきた今日この頃。
    だけど私は非常時こそ他人を思いやれる人になりたい。善く生きようと努力したい。
    そのために平時から自分を磨きたいと思った。

    解説を読んでぶっ飛んだ。
    高野さんはこの作品にリアリティーを持たせるために、徹底的に嘘をついた、と。
    その嘘の精緻さ。本物と見紛うほどの偽物を見せてくれた。
    騙してくれてありがとう!!まじ楽しかったです!!

    蛇足ですが、最後に私が大好きなジョンフンのかっこいい台詞トップ3を発表して終わります。

    1位→「僕が薬を持ってリスボンまで飛ぶ」
    2位→「その金を次の開発資金に回そう。誰も手をつけない、希少病がターゲットだ」
    3位→「無理だ、とは言わない人たちが、科学の歴史を作ってきたんだよ」

    うおおおお
    すきだーーーっっ

  • 映画観てるみたい(文字しかないけど^^;)。
    ほんまに映画化されんかな?
    ハリウッドで、たっぷりの製作費で、
    主演は、
     アフリカ側が、クリス・プラットさん、
     日本側が菅田将暉さん
    なんかで…

    っと思えるような作品でした。
    エンターテイメント性たっぷりで、面白かった。

    PS
    この後、高野和明さんの作品は、ほぼ網羅してしまった^^;

  • すごく面白い。
    登場人物が多いので序盤は少したいへん。
    後半の盛り上がりがとてつもない。
    日本、アメリカ、アフリカでの出来事が徐々に交わり、飽きることのないスリルが幾度となく起こる。

  • 解説にもありましたが、エンターテインメント作品としてのドキドキ感は存分に味わえました。
    一方で、少年兵との凄惨な戦闘描写などを読み、人類が繰り返してきたジェノサイドは、自分と同じ人間がやってきたことなんだと思うと、今この瞬間も、自分の生きている地球上で未だに起こっていることが悲しく、虚しくなりました。

    それでも、エピローグにあった、我々人類を ”ジェノサイド(大量殺戮)を行うヒト” と定義したハイズマン博士に対して、ルーベンスのユーモアを交えた反証の場面は、少し顔を上げさせてもらえたやり取りだったと思います。


    アキリに投げかけたこの研人の言葉、胸に刻みました。
    「もう安心だよ。ここには戦争はないからね。この国の人たちは、もう戦争はしないと決めたんだ」

  • 良く分からない医学用語や会話が出てくるが、不思議なもので特に問題となずスラスラ読める。13階段からお気に入りの高野和明の小説。

    なんだか自尊心が傷ついたような感覚。うまく説明できないのは、自尊心がまだ生きているからか。


    以下、ネタバレ含む(備忘録)。

    現人間の知能を凌駕する新人類の存在を巡る物語。
    救われた命と失われた命。目を背けてしまいそうな残虐な描写が多数ある。

    複数の主要人物それぞれの視点から描かれる。
    名も無い学生、元グリーンベレー、政府内の人間等々。登場人物達は物語に関わる動機を持っており、導かれるように逃れられない危機を迎えることになる。
    国家、政府、個人の感情渦巻く活劇は目が離せない。誰かの為に命を懸け、誰かの為に命を守り、戦い抜くことを決意した主人公たちは、未来に何を見出したのだろうか。

    現人類はいずれ淘汰される運命にあるのだろう。永遠の繁栄なんて無いことは確実なのに、やっぱり空想の世界にいるような感覚。せめて希望くらいは抱いていいよね。生き物だもん。仕方ない。
    そんなことを考えてしまう作品だった。

    読了。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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