冥談 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/メディアファクトリー
3.41
  • (8)
  • (29)
  • (30)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 309
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011522

作品紹介・あらすじ

庭に咲く艶々とした椿の花とは対照に、暗い座敷に座る小山内君は痩せ細り、土気色の顔をしている。僕は小山内君に頼まれて留守居をすることになった。襖を隔てた隣室に横たわっている、妹の佐弥子さんの死体とともに。しかしいま、僕の目の前に立つ佐弥子さんは、儚いほどに白く、昔と同じ声で語りかけてくる。彼女は本当に死んでいるのだろうか。「庭のある家」をはじめ、計8篇を収録。生と死のあわいをゆく、ほの瞑い旅路。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 好みは別れるであろう、この冥談と先日読了した幽談。それを分け隔てるのは実に僅かな違いなのかもしれない。オレは幸いこの冥談を後に読んだのだけども、それは個人的にはとてもよかったように思える。薄ら寒さだとか、怖気といったものは幽談の方が強いが、冥談には幽談になかった「人の死者や冥界に対する畏敬の念」だけでなく、人の生命の儚さや哀しさも内包していて、それを知らず知らずのうちに紐解いているからなのではないかと思っている。
    つまり、幽談は「人ではない何か」だからこそ恐ろしいのであり、冥談は登場人物の目線を通して「人の想い」に触れている。それは「人の業」といい換えてもいい。だからこそ、人が人としてイマジネーションの中に立ち現れるのだ。そして、既に現世にはおらず、冥界に逝ってしまっている人は、実に儚げに、そして哀しげに僕に微笑みかけるのだ。
    「キミがその現世から居なくならないと、もうぼくたちは会えないのだよ」と。

  • 幽談と併せて買って、こちらを後に読みました。
    タイトルだけを見た時は幽談の方が魅力があるように感じたのだけれど、
    蓋を開ければこちらの方が文章が胸に迫る。

    幽談は怪異と登場人物の間に距離が感じられます。
    『こわいもの』はあくまでもベッドの下にいる存在であったり、後ろから追いかけてくる
    正体不明のものであって、それと自分との間の温度は決して温かみがあるわけでは
    ありません。
    なんとなく怖い、気持ちの悪いものたち。
    一人称の語り口調で展開する文章が、不快さも混じえて気味悪く印象に残ります。

    一方こちらの冥談は、こわいだけじゃない。
    読んだ後に物悲しさがのこります。
    大事なものが消えていってしまった後の、その消えた背中の居た場所を茫と
    眺めているような。暗くて静かな、寂しい感じがします。
    生の側にある者と、死の側に行ってしまった者との儚いあわいの時間。

    幽談の話の多くは『もう会いたくない』感覚。
    冥談の多くは『もう会えないんだなあ』という感覚。

    気持ちがふわふわしている時に読むのがオススメです。

  • 読んでとても 後を引くさびしいお話の集まり
    余韻というか話の空間が絶妙
    空地のおんなはちょっとむごすぎる・・・
    庭のある家の 異次元感覚がとても好き

  • 京極夏彦のホラー短編シリーズ。
    ホラーというより、生死観をテーマにしてる話が多いです。
    ホラーっぽいのは最初の2編「庭のある家」と「冬」くらい??
    ちょっと読み進むペースが加速しなかった一冊。

  • 装丁はすっごくそれっぽくて雰囲気あるんだけど・・・・
    現代が舞台のせいか、2/3くらいまでくらい、薄い・・・
    物理的にも中身も・・・・

    もっと凶器になるくらい、ぶ厚いのが読みたいです~

    「柿」辺りから、まあ面白くなったかな。
    京極初挑戦とか、挫折した人の敗者(?)復活にはいいかも。

  • 紗のかかったような薄暗い雰囲気で、怪談やホラーと言うより奇譚小説といった方がいいかも。どれも物悲しくなるお話で好きでした。

  • 冥談と幽談と一緒にポイッ

  • すっきりしない。この本の要の部分なのだろうが、薄霧の中でもがいているような、後読感ですっきりしない。私より、頭のよい人用の本かもしれない。

  • じんわりと、怖い。


    なんだか遠野物語のこわさに似ている。
    生きているのか、死んでいるのか、わからないけれど幼き日に出会っていた女の子。
    こわいから、こわい存在。

    風の橋
    これがいちばんゾッとしたかも。
    生きている人の恐ろしさ。

    予感
    途中までは家というものについての語りであり、こわさというものをむしろ否定しているかのようだったのに、オチですっと感じる恐怖。

  • 雰囲気は何となく綾辻さんの「深泥丘奇談」のような感じで、不思議な御話が沢山です。説明のつかないようなものが殆どで自分の中で色々と消化出来るところが個人的には好きです。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

冥談 (角川文庫)のその他の作品

冥談 「 」談 (角川文庫) Kindle版 冥談 「 」談 (角川文庫) 京極夏彦
冥談 (幽BOOKS) 単行本 冥談 (幽BOOKS) 京極夏彦

京極夏彦の作品

冥談 (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする